第1話 ~ジャド占領中。
ーリアードー
チチ達のいる雪の都エルランドから旅立った俺達。悪天候の中の船旅であったが、極寒の地から離れれば天候は回復。部屋に閉じ籠っていた数日分を取り戻すべく、船の甲板に出ては釣りをしたり日向ぼっこをしたりした。ラビもアンジェラも大喜び、…はしゃぎ過ぎて海に落ちるなよ!
約一週間の船旅が終わろうとしている。後数時間で目的地の城塞都市ジャドだ、そこから歩きで聖都ウェンデルを目指す。…が何かを忘れているような気がする、………何だっけ?
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やっとこジャドに着いた。船旅は予想以上に長かったけれどそれなりに楽しかった、…がやはり陸地こそ人間のいるべき場所だよな。海の上は何ていうかフワフワしていた、俺としてはどっしり構えたい。落ち着くよね? 陸地。
無事にジャドへ上陸したけれど、妙に物々しいのは何故? アンジェラもこの雰囲気に若干ビビり気味。…気にはなるがとりあえずは都市内へ行ってみようぜ、この雰囲気の理由が分かるかも。…と気楽に考えていたんだが、都市内へと足を踏み入れた瞬間に見たのがマッチョな男達。何だコイツら? と思った時、一際目立つ男が都市入りしたばかりの俺達に向けて、
「ジャドは我々ビースト軍が占領した! 大人しくしていれば危害は加えない!」
と凄んできた。…ああ、何か忘れていると思っていたけれどこれのことね。そういえば彼等も侵攻してたんだった、あはははは。
…笑っちまったけれど笑い事じゃねぇな。ビースト軍のせいで都市外へは出られず、更には港も閉鎖されて動けなくなった。俺が一暴れしたら、ジャドの人達に迷惑が掛かる。アンジェラもいるからそれは出来ない、さて…どうすべきか。とりあえず宿にでも行って落ち着こう、ラビはともかくアンジェラがビビっとる。
宿に行ってみれば運良く一部屋だけ空いていた、直ぐ様その部屋を借りてアンジェラを落ち着かせる。落ち着かせながらやるべきことを考えてみるけれど、どう考えても先ずは情報収集だよな? アンジェラはこの様子だと戦力外、俺一人で行動すべきか。瞬時にそう考えた俺は、少し落ち着いたアンジェラに俺の考えを話した。それを聞いたアンジェラが申し訳なさそうな顔をしたから、笑って女を守るのが男の甲斐性と言えば照れだした。照れる理由は分からんがゆっくりしていろ、ラビを預けるから面倒をヨロシクな!
…情報収集の基本といえば酒場、そこへ行けば最低でも一つぐらいは有益な情報があるだろう。そう思って都市内を歩いてみれば、…聖剣3の主人公達がちらほらと。…めっちゃ話し掛けたいけれど、既にアンジェラと関わっている。下手に話し掛けて何かに巻き込まれたら、脱出どころの話ではなくなる。そう思いスルーを決意、どの道誰かとは後々関わるしね。
…で酒場へやって来た俺、ホークアイっぽいのがいるけれど無視してマスターの下へ。話をしてみれば案の定、有益な情報を教えてくれた。ビースト兵は夜になると変身をする、血が騒ぐ為にジッとはしていられないとか。それで夜な夜な領主の館に集まって好き放題、その間は警備が手薄になるとのことで狙い目…と。
早速この情報を持って宿へと戻れば、あまりの早さにアンジェラが驚いた。驚いたついでに、夜までゆっくり出来ることに喜びだした。まぁ船旅で疲れているところにコレだからな、気持ちは分かる。分かるが夜にはジャドを抜け出す、なかなかにハードな行動をすることになるからな。そう言えば顔をしかめるアンジェラ、夜更かしは肌に悪い? …知らんがな!
宿で時間を潰して暫く、外はすっかり暗くなった。窓から外の様子を窺ってみると、情報通りビースト兵は変身をして館に向かって行く。…うん、今しかチャンスがないな。そう判断をした俺はアンジェラを見る、…眠気眼だよこの女。イラッときたが俺は優しい男、この程度では怒らない。
…が足手まといだよなぁ、この状態では。見捨てる訳にもいかないからアンジェラを不本意ながら背負うことにした、柔らかい感触に理性を揺さぶられるけれど堪える。…都市を抜け出すまでの辛抱だ、抜け出したら叩き起こしてくれる! 流石の俺も魔物が出現するラビの森を背負って抜ける真似はしない、可愛い相棒のラビに必要以上の負担を強いる訳にはいかぬのだよ。
…だがまぁ俺も健全な男である。ジャドを抜け出すまでこの感触を堪能させて貰うぜ? セクハラではなく、これは役得ってヤツですよ?