ーリアードー
情報通りにビースト兵が変身し持ち場を離れた、その隙にアンジェラを背負って脱出。無事にジャドの城壁を越え、ラビの森の入口に出ることが出来た。入口の近くに金の女神像があったから、そこで先ず一息入れよう。俺の背で眠っているアンジェラを起こさなければ、…眠りっぱなしは許さん。
金の女神像の足下、そこへアンジェラをやや乱暴に降ろす。地面を転がりうつ伏せになるアンジェラ、暫くしてから起き上がり俺を見て怒り出した。草だらけの顔で怒っても恐くはない、…というか怒るのは違うんじゃないかい? 逆にここまでの経緯を話しアンジェラを叱る、俺だって眠いんだからな!
叱られて落ち込むどころか嬉しそうなアンジェラ、Mなの? …と思った俺は悪くない。まぁとにかくアンジェラが目覚めたんだから先へ進もう、確か…ラビの森へ入って南に進めば村があったような。…進んでいけば立て札ぐらいあるだろう、それを見逃さずに行こうか。勿論ラビを中心に魔物が潜んでいるからな、アンジェラは気を付けろよ。…ラビを殺せないだ? 甘ったれんな! 俺のラビとは違い凶暴なんだから殺りなさい、分かったなアンジェラ!
そんなわけで俺を先頭にラビの森を南進中。案の定、野生のラビを中心にアサシンバグやマイコニドが襲い掛かってきた。俺とラビからしてみれば雑魚中の雑魚、しかしアンジェラにとっては強敵だ。涙目で杖をがむしゃらに振り回して戦っている、その必死さが可愛いと思ったのは内緒だ。まぁ彼女に戦闘経験を積ませる為…手は出さない、その代わり一対一になるよう調整している。それにマジで危なくなったら助けるし、回復アイテムも沢山あるから余程のことがない限り安全だ。
安全なんだけれども、アンジェラの奴は野生のラビにボコられて泣いている。泣いていることから無事である、普通は泣くどころか死体となって野晒しになるところだぞ。このラビの森で発覚して良かったわ、アンジェラが思いの外に激弱ってことを。…この先にあるであろう村へ着く前にある程度は鍛えなければ、そうしなければ彼女が死んでしまう。いつも一緒にいるわけじゃないからな、一人で行動することもあるだろう。その為にも杖で戦えるようにしないと、…泣いている暇はないぞアンジェラ。
ややスパルタで戦い方を教えながら進み、最低限の戦闘術を仕込むことに成功した。魔法が使えないと腐り気味ではあるが、何だかんだで素質があるのだろう。魔法の方は未知数だが、杖での戦闘はイケると思う。まぁアンジェラも主人公の一人だし、きっかけがあれば魔法の方もイケると確信している。俺でも分かる程の魔力量だぜ? 身体中から溢れ出るえげつなさっすよ彼女。
そして辿り着いた目的の村。え~と…湖畔の村アストリアね、良い感じの村じゃないか。自然の中にあって湖の
………あん? 眠くないだ? …そんなの知らんがな、俺は眠いんだ。ジャドで情報収集したし、お前を背負って脱出したんだぜ? それにほぼ付きっきりで戦い方を教えたわけだ、そりゃあ眠くもなるさ。眠くないと言ってもベッドへ入れば眠れるって、…俺は爆睡する自信があるね。…つーことで今日はこれで終わり、分かったな?
………にしてもだ、ジャドと同じように何かを忘れているような気がする。眠くて頭が働かねぇや、…何だったかな? …う~む。
…………………………ぐぅ。
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ー???ー
………はぁっ、………はぁっ。…やっとここまで来ることが出来た、後少しで聖都ウェンデルに着くわ。みんなから託された力を節約しながらここまで来たけれど、…少し厳しいかな? …このままじゃマナの聖域のこと、マナの樹と女神様の異変を知らせることが出来ない。…何処かに宿り木、…宿り木になりそうな人がいてくれれば。
………もう、……本当に不味いわ。…私の力、…聖都ウェンデルまでもたない。…このままじゃあ、…せっかく力を託されたのに何も出来ないまま。
………何かの力を感じる、……これは…嘘!? ……あの娘達はもう、…なのに何故? …確かめなきゃ。…でも、………そこまでもつかな?
………ああ…もう駄目、…真っ直ぐ飛べない。
…残る力を使って強い光を出してみたけれど、……………気付いてくれるかな?
………気付いてくれなかったら、…知らせることもなく……消えてしまう。
……………どうか、………………気付いて。