占い師の下から女の子の家へ戻る途中、丁度良くリアードと鉢合わせた。何やら考え事をしているようだけれど、私の存在に気付くとにこやかな笑みを浮かべて近付いてきた。彼に頼み事があるからか、極度に緊張してしまう。…でもきちんと頼み事を、…お願いを言わなければ進まない。だから私は彼に言った、聖都ウェンデルへの旅を共に行かせて欲しいと。
彼が言うにはエルランドから出航する船は一隻だけ、二週間後の定期船のみらしい。よって私が聖都ウェンデルを目指すのであれば、それに乗船するしかなく…必然的にリアードも同じ船に乗船する他ない。…ということは、お願いするまでもなく共に行けるということ?…緊張して損した気分だけれど、リアードが、
「これもまた縁、護衛も兼ねて共に行こう。聖都ウェンデルまでの旅路、よろしく頼むよアンジェラ。」
と、笑顔でそう言ってくれたのだ。渋々ではなく笑顔で、…本当に嬉しい!
リアードが旅のパートナー、先程までの不安が消し飛んだ。今の私は上機嫌、顔のしまりが無くなりニヤついていると自覚する。みっともないとは思うが直せない、私はニヤついたまま彼と共に少女の家へ。お世話になっている少女とその家族へ、リアードは二週間後に出航する定期船で旅立つことを伝えた。少女の家族は残念だと口にし、少女…チチちゃんは大泣き状態で彼にしがみ付く。チチちゃんの家族とリアードは困り顔、当然私はニヤつく顔を引き締めた。この状況下でニヤつく程非常識ではない、…けれど場違いを感じて固まってしまうのは仕方がないわよね?
その後、旅立ちの日までチチちゃんの相手をリアードがすることに。私も助けて貰った縁でチチちゃんの家でお世話になる、だから私も頑張ってチチちゃんの相手になろうと思う。恩人でもあるし、これを通して仲良くなれたら嬉しい。アルテナの件で私は人間不信気味、それが少しでも改善させれば。改善することが出来ないと、この先苦労すると容易に想像が…ね。
チチちゃんの相手になる、…となれば必然的にリアードとも過ごすことに。彼を中心にチチちゃんの相手、都の子供達を巻き込んで遊ぶ。その中でも一番熱いのが雪像作り、形に残るモノを都に…とリアードが言ったのだ。それに食い付いたのがチチちゃんを筆頭とした子供達、…勿論この私も食い付いた。私がチチちゃん達と仲良く過ごせた証になる、気合が入るのは仕方がないでしょ?
…で、雪像が出来上がったのは旅立ちの前日。縦に長い雪ダルマのようなモノに仕上がった、…リアードの故郷にあるトーテムポールという像をエルランド風にしたそうな。トーテムポールは守り神、チチちゃん達とエルランドを守ってくれるよう願いを込めて作られた。リアードや私、チチちゃん達の願いも込められているからきっと守ってくれる。リアードはそう笑顔で言い切っていた、…私もそう思うわよ?…だって、この像の魔力が目に見えて凄いもの。更にリアードから雪像へ力が流れていったのを見たし、…不思議な光が3つもね。
正直…この像は普通に考えれば危険なモノ、だってこれ程の魔力を宿しているのよ?アルテナが目を付けるに決まっている。けれど…何でだろう?そう思うのに大丈夫だって、そんな気がするのよね。マナの女神像と同じような神聖さがある、だからこの像はアルテナに侵されない。ずっとエルランドを、チチちゃん達を守ってくれるわ。
因みに最後の夜、リアードはチチちゃんと一緒に寝ていた。羨ましいなって思ったのは内緒だ、…リアードがだよ?決してチチちゃんが羨ましいってワケじゃないよ。
…とは言っても一人は寂しい、だから最後の夜はラビと寝かせて貰った。ラビはモフモフで可愛いし気持ちがいい、それにリアードと一緒でとても優しい。こんな私の願いを聞いて一緒に寝てくれるんだもの、………ラビちゃん♪……………うふふふふ♪
旅立ちの朝、今日この日にエルランドを発つ。それは即ち魔法王国アルテナを出ること、生まれ故郷から飛び出すのだ。………命を狙われているから出られることに喜びを感じるのと同時に、やはり今まで過ごしてきたからか少しの悲しみもある。…でも疎まれて愛されていない事実を思い出せば、これは新たな第一歩になる筈よ。
自分の足で自分の意志で国を出るのだ、聖都ウェンデルに行けばきっと私にも魔法が!それにこの旅にはリアードとラビがいる、…私は一人じゃない。それがどんなに嬉しいことか、…本当に嬉しいんだから。
私が私になる旅が始まる、私…アンジェラの旅がこの雪の都エルランドから!!