ーリアードー
海のヌシであるブースカブーに認められる為、相棒のラビと共に岸辺の洞窟へ。その最奥部へ辿り着いたがブースカブーはおらず、とりあえず次の日まで待つと決めて野宿。魔物との連戦で疲れたからね、爆睡したよ。
…ツンツン。
…何だよ、俺はまだ寝ていたいんだ。
…ツンツン。
………ラビか? …頼むからもう少しだけ眠らせてくれ。
…ツンツン。
………あぁ~っ!! もう何なんだよ!? 人が気持ちよく眠っている中をちょっかい出して! いい加減にしないと流石の俺もキレるぜ?
…ツンツン。
…コラ! いい加減にしろ、ラビ!! …ラビ? …ラビにしてはモコモコしていない、…というかヌメヌメ?
一体何奴!?
眠りを妨げているのがラビではないと気付いた俺は、慌てて起きて斧を構える。もしかしたら魔物が出現したのかもしれない、ヌメっぽさからぱっくんオタマか!? …そう思っていたのだが魔物ではなかった。
目の前にいたのは大きな緑色の亀のような奴、…コイツはもしかしなくてもブースカブーではないか!?
目覚めたらブースカブーがいた。いきなりの登場に俺…固まる、ついでにラビも起きており同じく固まっている。…寝ている俺を突っついていたの? いつ頃から? …そして何故? 俺は運命に選ばれたのか? …もしかして主人公の一人? まさかの7人目!?
固まりつつも色々と頭の中で考えてしまうが、
「…ブゥ。」
ブースカブーが鳴き声を発したことで思考の海から帰還する。帰還はしたがやはり目の前にいるとね、…固まるのは仕方がないと思うわけよ。…親代わりのダークプリーストから聞いているんだぜ? ブースカブー、…実はめっちゃ凶暴な大型の幻獣だってことを。
聞くところによると、不用意に近付いたりすると鋭い爪で切り裂かれるらしい。機嫌が悪いと上級水魔法メガスプラッシュをぶっ放すとか、フロストドラゴンを咥えていたとか色々とね。…それを知っているからこそ固まる、…ビビっちゃうわけなんですよ。認められる為にここまで来たわけなんだけど、いざ対面するとビビっちゃう人間の矮小さ。ままならぬものですな!
そんな俺に対しブースカブーは顔を近付けてきて、
「…ブゥ♪」
弾む鳴き声を発した。ゴーグルの奥に光る瞳が何かを期待している? …が期待されても矮小なる人間である俺に出来ることは少ない。そう思いつつもとりあえず、今出来ることをしよう。
「…初めましてブースカブー! 俺はリアード、頭の上にいるのがラビ。ヨロシクな!!」
そう、…元気よく挨拶をすること。…正直これしか思い付かないよ!
極力ビビりを抑えて元気に挨拶してみたわけだが、…ブースカブーの反応は? 様子を窺ってみると、目をぱちくりさせた後にぐるぐるとその場で横回転。
「…ブゥ♪」
…何やらご満悦の様子。ご機嫌のままピタリと横回転を止め、此方へ向き直り一鳴き。
「…ブゥ!」
敬礼と共に挨拶を返されたよ。………ブースカブーなりの挨拶でいいんだよな?
………これは俺、…気に入られたってことでいいのか?
互いに挨拶? をした後は、普通にブースカブーと話をしたよ。他人から見たら会話をしているようには見えないだろうけど、確かに通じ合っている。ブースカブーは『ブゥ。』としか鳴かないからね、俺はほぼ頷くように聞いているだけだし。だが会話は成立している、何故かブースカブーの言っていることが理解出来ているし。
ブースカブー的に世間話のつもりなんだろうけど、内容は世間話とは言えないものである。
魔法王国アルテナが草原の国フォルセナへ戦争を仕掛けようとしている。
ビーストキングダムが聖都ウェンデルへの侵略を計画している。
ナバール盗賊団が風の王国ローラントに対して侵攻を開始せんとしている。
………最初に聞いた世間話が全て戦争関連、物騒過ぎる。…というか近々、聖剣3の本編が始まろうとしているじゃないか!
更にマナの力が弱まってきただとか、不審な人物や組織等が水面下で蠢いているだとか色々。総じて全てが悪い話、良い話がないのはどういうことかね?
……………聖剣3の物語を体験する為に島を出ようと考え、ブースカブーに認められようとここまで来た俺。世の中物騒だ、…外へ行くのを止めたくなってきた。世界を知り現実を知ると考えが改まるね、軽はずみに聖剣3の物語へ介入しようと考えた俺って本当にバカだわ。