墓標あるいは墓場   作:痛み分け

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度重なる感想、感謝します。

主人公の強さを少し描写して見ました。

あと完全に元の話を無視しています。








完全なる蛇足

 コルキスの地に一人の騎士がいる。その騎士の武勇は大変に優れ、並ぶ者無し。

 そんな噂をコルキスに近づくにつれて、イアソンはよく聞くようになった。

 馬鹿馬鹿しい。どうせ、コルキスには軟弱者しかおらず、その中で強いというだけだろう。そう考えていた。

イアソンの考えは何もおかしい所は無い。何故なら、彼は古今東西の無双の豪傑を従える頭目で、それ程までに強いのであれば自分の仲間になっていなければおかしいという発想が根底にあったのだから。

 彼は自身の仲間を、力を過信していた。きっと彼ら彼女らならいかなる強敵をも打倒してくれると。そう無邪気に信じていたのだ。

―――目の前の光景を見るまでは

 

 

 

 

 コルキスの地にたどり着き、イアソンは真っ先に金羊毛のある王国へと向かった。

 事情を話し、頭を下げればくれるだろう。仮にくれなければ、丁寧にお礼を渡すだけだ。

 誠実さの欠片も無い、完全に不誠実の塊であった。だが、その考えに何ら間違いはない。

 彼の集めた英雄たちはそれを可能とするのだから。ただ、一つ不安要素があるとすれば、彼が最も信頼する英雄、ヘラクレスがいない事だろう。

 イアソンは王に謁見し、事情を話したが、その回答は拒否であった。

「どうしても、ですか?」

「ならん。

お前の言い分は分かった。

同情の余地はあろう。

だが、あの金羊毛はコルキスを守護する竜の秘宝。

おいそれと渡せるものではない」

イアソンは内心でこの王を馬鹿にした。時勢の読めぬ愚か者め、とも内心で罵った。

 

 

 

 

 イアソンは王のいる部屋から出ていき、すぐさま行動を開始した。

 彼の計画はアルゴナウタイの一部の仲間たちに、誘拐をさせる事だった。

 彼は、コルキスの王が自分の子供を非常に可愛がっていることを知っていた。だから、その子供を誘拐して金羊毛と取引をしようという計画だった。

 勿論、アルゴナウタイの中でそう言った事を何とも思わない奴らに頼んだ。彼らは一も二も無く了承をした。理由は単純で、誘拐する対象であるコルキスの王女メディアは非常に美しい娘であると評判だからである。

 イアソンは彼らの元へ急いだ。傷物にはするな、と言ったものの彼らが本当に言う事を聞くかどうかは別だからである。腕っぷしだけの馬鹿は使いやすいが諸刃の剣である。

 だが、彼の目に映る実情は異なっていた。

 

 

 

 

 現実は直視しづらい物だった。

「な、なんだよ、コレ…」

自分の率いてきた英雄たち、アルゴナウタイの過半数が地面に寝転がされていたのだった。

 そして、イアソンはその中に一人見たことのない者がいることに気が付いた。

 背の高さは自分より少し高い程度で、それ程大柄ではない。だが、最も目を引く点が二つあった。

 一つは武器の構え方。左手に外側に反りの入った鎌のような形状の短剣を逆手に持ち、右の肩辺りまで持ち上げている。右手には、大凡片手では扱いきれないと思える大きな両刃の剣を持ち、正眼に構えている。正面から見ると、両刃の剣から一直線になるように見えた。それはどう見ても普通の構え方ではない。

 もう一つ、その見た目。全く見たことのない鎧兜だった。先端が上に尖った帽子のような兜。胴体にはマントが巻かれ、顔の部分を完全に覆い隠していた。マントに隠れていない部分は全体的になめした皮が使われ、全体関節部分と人体急所の所々にはその上から金属が縫い合わされていた。一般的な鎧というには些か過剰だった。

 そいつは終始アルゴナウタイを圧倒していた。名手たちにより放たれる矢は全て当たる直前に急に向きを変え、英雄に振るわれる槍や剣を足さばきと左の短剣でいなし、時折振り抜かれる右の剣は防御の上から弾き飛ばす。

 イアソンは、漸く噂が事実であることを遅まきながら理解した。

 

 

 

 

 本来であれば、彼がいくら強くともアルゴナウタイを圧倒する事は出来ない。つまり、彼は策を弄したのである。

 イアソンが王の元へ謁見をするため準備に取り掛かり、王宮の中に入っていくと、予定通りにイアソンの命令を受けた男たちは速やかに動き出した。彼らの監視を請け負っていた彼は、当然その動きを察知したものの、その場で手を下さず、尾行し他に別動隊がいないかどうかを探った。調べ終え、機を窺う彼が手を下したのは、彼らがメディアに手を出そうとした瞬間である。

 実行犯はイアソンに止められていたが、ばれなければ大丈夫だと思い、目の前の可憐な少女をどう楽しむか考えていた。なにせ時間は一時間以上もあるのだから。彼らは獲物を前に舌なめずりし、気を抜いた。彼らの意識はそこで完全に途絶えた。

 彼は実行犯が気を抜く一瞬の内に、奇襲をかけて気絶させた。

 これで、メディアに危害を及ぼそうとしたという大義名分を得たのだった。

 他の実行犯がいない事知っている彼は、そのままアルゴナウタイがいる場所へ奇襲をかけた。襲われるとは露知らず、油断しきった彼らに対応できる術は無かった。

 だが、腐っても英傑。彼らの内の半数が奇襲に対応してみせた。普通であれば、奇襲した彼にとって絶望的な状況だった。

―――普通であれば

 彼は狼と神の混血。肉体、魔力、どれをとっても人間を超える規格を持っている。その上で、母は魔術神ヘカテーに認められた才覚を持つ女神キルケーである。

彼は自身目掛けて放たれる矢を時に魔術で逸らし、時に立ち位置を利用して同士討ちの危険を誘い躱した。矢避けに魔術を使いながらも、なお有り余る強大な魔力は常時肉体を強化し、いかなる力自慢であろうと一合打ち合えば、手がしびれるような筋力を生み出した。おまけにかれこれ一時間続けているが、彼に疲れの色は見えず、アルゴナウタイの面々は殆どが荒い息を吐いていた。

 最初から戦いですらなかったのである。それは正しく狩り。外敵を排除し、獲物を効率的に確保する行為と何ら変わりが無かった。彼らは戦う前に罠に嵌められていたのである。

 趨勢は決していた。イアソンはその事実に舌打ちをしそうになった。

 彼の頭に過るのはヘラクレスの存在である。神々さえ認めたかの大英雄さえいれば、きっとこの困難など紙を吹き飛ばすように解決してくれる筈だと信じていた。

 それはきっと間違えてはいない。かの大英雄がいれば、気配と足音を完全に消した彼の奇襲を迎撃できただろう。消えない物が消えるという齟齬を感じて。

―――現実は非情である、ここに大英雄はいない

 

 

 

 

 アルゴナウタイはメディアを襲ったことを理由に地下牢へ拘留された。事実、彼らの仲間が実行犯として突き出されれば何も言えない。

 火の無い所に煙は立たない。それにアルゴナウタイの中で、イアソンという小心者をよく理解している者は彼が考えそうなことだと気が付いていた。

 イアソンは当然焦った。いずれはここから出してもらえるだろう。

 だが、いずれではダメなのだ。イアソンは、俺は王になる男なのだと、自身を言い聞かせて、頭を働かせた。結局何も思いつくことが無く、その日は牢屋の硬いベッドに横になった。

 だが、中々寝付けない。ベッドが硬い事も関係はあるが、どうにもそれだけではないような気がした。そうして、ベッドの上で悶々としていると、声が頭に届いた。

 イアソン、イアソンと呼ぶ声をよく知っていた。これは女神の声だ、女神アプロディーテの声だと分かった。

 イアソン、貴方は何もしなくともよろしいのです、その言葉にイアソンは安心感を覚えた。

 そうだ、俺には神々の加護がある。世界が、神々が、俺に王になれと囁いているのだ。イアソンはそのまま眠りについた。

 

 

 

 

 アプロディーテがイアソンに手を貸したのは偶々だ。偶々イアソンを王にするために力を貸して欲しいとヘラに頼まれ、偶々扱いやすい娘がキルケーの最も愛する信徒だった。

 アプロディーテは常々キルケーを疎ましく思っていた。美の神である自身を差し置いて、淫蕩に耽るその姿に。その上自らが目を掛けた男を奪い、狼変えてまで近くに置いていることも拍車にかけていた。

 だから、アプロディーテはキルケーに対する嫌がらせを思いついたのだ。

 それは、彼女が目にかけている信徒を奪い、絶望を植え付けて棄てることを。

 アプロディーテは嗤った。あのキルケーの怒りに震え、顔を赤くする姿を想像して。

 ああ、なんて愉快なのだろう。何度も何度も嗤った。

 

 

 

 

 

 

 これより先は述べる必要はないだろう。

 騎士と王女は引き離されたが、その縁まで切られたわけでは無いのだから。

 ちなみに蛇足ではあるが、かの美の女神は魔女より手痛い報復をされたとか。

 

 

 

 

 





締め方が雑なのは許してください、何でもします。


と、端折りに端折った主人公の強さを少し描写してみました。
毎度のことながら二次創作をしているのか、キャラと原作の名を騙る詐欺師みたいな作品となっていますね…(諦め
本来ならもっと熱いバトルを書きたかったのですが、アルゴー船の船員多過ぎぃというのと、いたという説もあるの連打でやめました。
というか、主人公がサラブレッド過ぎてヘラクレスくらいしか相手になりなさそうだった。
強くしすぎた…。
お父さんの強さの描写は全くしていませんが、アプロディーテから目をつけられるほどには勇者していた、と受け入れてください。
ご都合主義のタグを追加しておきます。
主人公はもっともっと苦行を味合わなきゃ。
なおサーヴァントとして召喚されると、狼の姿で召喚される模様。
彼が主と認め、彼の名前を読んで初めて本来の姿になれる的な…。
最後の逸話が最大の拘束具になる、という訳です。
それでもゲームの大神の主人公位の戦闘能力はありますが…
だが、いっすんは居ないので意思の疎通は困難どころではない、ハード仕様。



作中の「消えない物が消えるという齟齬を感じて。」というのは非常に分かりづらい表現だとは思いましたが、そのままにしました。
イメージを分かりやすく言うのなら、気配とか足音とか、存在を認識する要素を全て消した所で、その場に居ないわけではありません。無いように感じるだけです。
で、ただ物であれ人であれ、それぞれに気配があるものです。
それが消えるのです、突然。正確には、彼が移動した部分だけ消えるのです。
言ってしまえば、ニュータイプみたな別次元に住んでいる奴のみが知覚できる世界という訳です。
バーサーカーは最強らしいので、狂化してないバーサーカーはもっと最強という事です。

感想に関してですが、一つ一つ感想のページで返した方が良いのか、活動報告でまとめてしたらいいのか…

一応、コンセプトとか諸々の雑記は次の話にて。

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