墓標あるいは墓場   作:痛み分け

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蛇足その2です。
非常にはちゃめちゃに書いてるので、出来はよろしくないです。
今までがいい出来だったかって?
それは…ナオキです。
後、主人公の雰囲気ががらりと違うのでキャラが壊れると思われるかもしれません。
予め、ご了承してください。


未だに鍵かっこの後は段落を落とすべきか分からない…
今回は落としてみました。









プロローグ

 ああ、ままならない物ね。

 私は、目の前に横たわる人型を見て、ひとりごちた。

 人型…外国人特有の大柄な体は地面に伏して、胸の辺りから流れる赤色が地面に水溜まりを作っていた。おまけに、仰向けにされてよく見える表情には、目を見開き口を僅かに開く、驚愕の表情で固定されていた。

 断言できる。即死だ。

 何故なら、私がこの手でその胸を貫いたのだから。

 本当に嫌になる。自分の事が。

 裏切り、裏切られる。人の関係など、そんなものだと割り切っているはずなのに。

 心の何処かで人を信じたがっている。

 あの人が今の私を見れば、何と言うのだろうか。優しい言葉を掛けてくれるだろうか。それとも、怒って説教をするのだろうか。

 答えなど自問するまでも無かった。ただ黙して、私の隣に立つだけだろう。

 彼はそういう人だった。私の騎士はそういう人でしかなかった。

 主体性も自己も薄かった最初の頃に比べると、最後はマシにはなっていたというだけで、彼は変わらず私の隣に居るだけだった。憐憫も愛情も無く、ただ親愛だけを糧として。

 愛情を向けてくれれば良かったのに。それなら私は彼を愛せたのに。

 どれだけ距離を縮めようとしようが、どれだけ愛を囁こうとしようが、彼は笑って流すだけだった。それなのに、彼は最後まで隣に女性を侍らせることは無かった。

 今考えると非常に腹立たしい。

 最後の最後まで気の有る様な、のらりくらりとした態度をとって。女の敵とも言えるヤツだった。

 でも、彼は誠実だった。少なくとも、私に対しては最後まで誠実だった。

 だから、だからこそ、私は思うのだ。

 彼は受け入れてはくれなかった。でも、いずれ、きっと…

―――私を受け入れてくれる誠実な人と出会って、一生分の本当の恋がしたい、と

 

 気が付くと、私はあの男を刺した場所から離れていた。気が付かず、ふらふらと動いていたらしい。

 視界がぶれる。

 真っ直ぐ歩けなくなる。

 ああ、もうすぐ私は消えるのね。そう悟った。

 本当にままならないものだ。

 欲しい物はいつもいつも、私の手の平から零れ落ちる。

 でも、私は失念していたのだ。

 裏切り裏切られたその果てに、たった一つだけ残ったように。

 ほんの少しは報われることを。

 

「おい、大丈夫か?」

 満足に動かない身体に喝を入れて、声の方へと目を向ける。

 真っ黒な短髪に、同じく真っ黒な瞳。何より目に付くのは、一切の感情を宿さない表情。

 私はそれを見たことがあった。

 出会った頃の彼の表情にそっくりだった。

―――貴方のような人に看取られるのなら、案外悪くはない。

 そこで私の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 何がどうなって、こうなったのだろうか。私は自問した。

 状況を整理しよう。

 結論から言って、私は消えることは無かった。あのとき出会った男、葛木宗一郎により私は救われた。

 彼は私の話を聞いて、信じてくれた。彼は寡黙だが誠実で、純然たる好意で私の依り代となってくれた。

 現状私は彼が客分として、居候をしている柳洞寺に同居している。

―――葛木 宗一郎、いや宗一郎様の嫁として

 仕方ないのだ。これは仕方ない。

 周りに私たちの関係を疑われない様にするためのカモフラージュである。他意はない。決して他意はない。

 いえ、嘘です。白状します。彼に惚れました。

 我ながら単純と言うか、ちょろいと言うか。

 つまり、まとめると、彼に助けられて惚れて私の夢が半ば叶いました。

 そうした絶頂を迎えて一週間経過したが、私は自身が召喚される所以となった戦争をやめようとは思わなかった。

 

 聖杯戦争。

 私が参加する戦争の名前だ。

 この冬木の地にて行われる英雄の祭典、殺し合いというべきか。機構は単純な物だ。

 全部で七騎のサーヴァント、英雄たちの魂を薪に願望機である聖杯を作り上げる。そして、生き残った勝者が聖杯を獲得するという訳だ。

 私が望むのは、この身の受肉とその後のささやかな幸せだ。せっかく掴んだ幸せを捨てる気は全くなかった。

 だがキャスターの階位で召喚された上に、私を維持するための魔力を生産できない宗一郎様では、私がこの戦いを生き残るのは難しい。そこで私はズルをすることにした。

 

「帰っていいですか?」

 召喚されて、直後の僕の一言はソレだった。

「駄目に決まっているじゃない」

 その返しは知っていた。そもそも、どれ位の付き合いかも忘れた。数える気も起らないから。

 僕はため息をついて、改めて口上を述べた。

「サーヴァント アサシン。

我が主の呼び声に馳せ参じた。

我が血肉はもとより、この魂も貴方に捧げます」

「従僕の癖に真名を隠すなんて生意気ね、ファラン」

 形式に乗っかったら、この仕打ち。これは酷過ぎると思う。

 僕は文句を言う気も失せて、要件を直に聞くことにした。

「オーダーは何ですか、我が主」

「ちょっと市井に紛れ込んで隙を見て、サーヴァントを何人かサクッとやってきなさい」

 予想外の無理難題が飛び込んできた。

「あの、今の僕のステータス分かります?」

「ええ、軒並み糞みたいなランクになっているわね。

憐れすぎて、涙すら出ないわ。

その上、何この宝具?私に喧嘩売っているの?

あれよね、コレ、私を出汁にして筋肉達磨共を撃退した物が昇華したのよね。

効率を求めました、とかドヤ顔で言えば許されると思っているの?」

 彼女は、非常に大きなため息を吐いて言った。

「使えなさすぎ」

 僕は猛烈に自害して帰りたくなった。

「まぁ、でも一つだけ評価してあげるわ」

―――よく呼びかけに応じてくれたわ

 毎回毎回、そうやって笑顔を見ると許してしまう僕はきっと駄目な騎士だ。

 

 

 

 

 で、今僕が何をしているかというと寝床を探しているのである。

 あの後、僕は彼女に蹴り出されてしまったのだ。

 曰く、馬に蹴られて死にたくなければサーヴァントの一人か二人をやってこい、との事だった。言った後、宗一郎様~とか言いながら体をくねらせて、どこか行ってしまった。

 まぁ、生前見つからない物を見つけることが出来て幸いだ、と思うことにしよう。ただし、この冬の寒い時期に無一文で放り出された恨みは忘れない。

 僕は完全に途方に暮れていた。僕がするべきことは二つある。

 一つはサーヴァントを数体サクッとやること。これは宝具を上手く使えば問題ない。

 もう一つが死活問題である。僕の依り代となってくれる、比較的善良なマスターを見つける必要がある。

 僕は恨めし気に右手に光る紋章を見た。一画捧げれば、僕の願いが一つ叶うとかは無いだろうか?

 この紋章は令呪。僕らサーヴァントを縛ることが出来る絶対命令権であり、この地に定着するための鍵である。本来であればマスターとなる人物が持つのだが、僕の場合居ないため、一時的にキャスターの魔術で誤魔化して何とかしている所である。

 何とも居心地の悪い雰囲気だ。これを例えるなら、効率の為に主を出汁にしたときに非常によく似ている。

 きっと前までの僕ならば、見捨てていたんだろうなぁと思いながら、不自然なほど静かで、人の気配が無い公園の近くへと足を運んだ。

 そこには公園へと続くアスファルトが抉れており、その近くに立ったまま動かない一人の少女。そして、少女に下卑た笑みを浮かべながら迫る少年と、その隣に立つ眼帯を付けた女性。

 僕は彼らに向かって陽気な声を掛けた。

 

 

―――時間は彼が声を掛ける少し前に巻き戻る。

 

 美綴 綾子、穂群原学園に通う現役JK。肩辺りまで伸ばした茶色い髪に同系色の瞳。学園では美人として大変有名で…。

 と、非常に錯乱したことを、頭の中で唱えて気を紛らわせなければ、あたしはどうにかなりそうだった。それ程までにあたしは暗い場所が好きでは無かった。

 こうなった理由はひとえにあたしの判断ミスだ。

 何となくの気分で図書館に寄ったのが運の尽き。あれよあれよと言う間に夜遅くまで学校に残ってしまったのだ。だから、こうして気味の悪い夜の公園を通り過ぎないといけないし、好きでもない奴に出会う事になる。

「おいおい、美綴なに無視してくれちゃってるわけ?」

 本当に面倒な奴だ。あたしが何故、お前を無視してるかなんて態々聞かないでくれ。

 緩くウェーブのかかった髪をかき揚げる気障な仕草。顔の形とか目の色とか認識する気も全く起こらないほどに、あたしはこの男を嫌っていた。とりわけ、あたしは彼の陰鬱な目が一番気に入らなかった。

 間桐 慎二、それがソイツの名前。

 あたしはソイツの隣を通り抜けようとした。すると、奴はあたしの腕を掴んだ。あたしの嫌いな目があたしを射貫いた。

「本当に目障りだよ、お前。

いつも、いつも僕の邪魔をして…女が僕に意見するな。

女は僕に靡いていればそれでいいんだよ」

「言いたい事はそれだけ?」

 あたしは慎二の手を振りほどいた。さっさと帰るに越したこと無い。

「だからさぁ、僕は考えたんだ。

どうすれば誰も僕に逆らわないかを」

 瞬間、あたしは体を横にずらした。すると、遅れて鈍い音が響いた。それは例えるなら、工事でアスファルトを壊している時に聞くような音だった。

 あたしは後ろを振り返った。振り返ってしまった。

 舌打ちを一つ零す慎二の隣に、一人の女性がいた。その女性の持つ杭には鎖が付いていて、更にその先にある杭はあたしがさっきまで立っていた所に突き刺さっていた。

 地面にまで届きそうな紫の長い髪を持ち、両目は共に眼帯で隠されていた。服装は黒を基調としたボディコンを身に纏っており、非常に妖艶な雰囲気を醸し出していた。その雰囲気があたしの恐怖をより助長させた。

 あたしは気付くべきだったのだ。公園の近くでアスファルトが砕けた音が鳴った筈なのに、人っ子一人民家に至るまで誰も反応をしていないことに。

 あたしは蛇に睨まれたカエルの様に一歩もそこから動くことが出来なかった。

 怖い怖い怖い。恐怖が波となって襲い掛かってくる。

「おいおい美綴ぃ、ビビってんのか!」

 慎二は手を額の上に乗せ、鷹揚な態度であたしを嘲笑していた。

 いつもなら、きっと冷ややかな目で反応出来ていただろう。だが、今は出来ない。

 あたしは恐怖に呑まれていた。

 慎二はあたしにゆっくりと近づいてくる。

「あの美綴が小鹿の様に足を震わせているなんてな!

どうした、別に漏らしたっていいんだぜ!」

 あたしは一言も出せない。来るな、の一言さえも出せない。

「本当は魂食いだけで終わるつもりだったんだけど…」

 慎二の顔に劣情の色が映った。

「感謝しろよ、美綴。

お前みたいな女でも僕のをくわえられるんだからな!」

 あたしは慎二が何をしようとしているのかを察した。体は一歩も動ないのに、涙だけは零れた。

 誰か、助けて…。

 その時だった、あたしは運命に出会ったのだ。

 

「へいへーい。

嫌がる女を捕まえて、暴行を働くなんて僕の父親かよ」

 暗い中で、その声はよく響いた。

「お前、誰だよ。

僕は今からお楽しみなんだ。

邪魔するなら殺すぞ」

慎二の声を受けても、その声は飄々と返す。

「おいおい、いきり立つなよチェリーボーイ。

確かに僕だって早く童貞は捨てるべきだとは思うぜ。

でも何と言うか、初めてって神聖な物じゃん?

初めての狩り、初めての魔術、初めての騎士ごっこ…。

アレ?言っててなんだけど、どれも黒歴史として生き残って、神聖さの欠片もねーじゃん」

 僕という一人称と若干低い声から男性だろう、彼は自分で言ったことに勝手にうけているようだった。陽気な笑い声が響く。

「お前、うざいな。

殺せ、ライダー」

 終わった。そう思った。

 彼女の怖さは相対したあたしが良く知っていた。

 逃げて、そう言葉に出そうとした。あたしは硬直から解けて、後ろを振り向くと同時に、甲高い金属音が鳴り響いた。

「やれやれ、ずいぶん熱烈な歓迎だ」

 赤みがかった黒の短髪、薄い緑の瞳。日本人ではない、異邦人の顔つき。灰色のサーコートを身に纏う姿は様になっていた。きっとそこだけを見れば、偶然迷い込んだコスプレをした外人だろう。だが、普通の人は鎌のような形をした短剣など持たない。

 彼はライダーと呼ばれた女性の突撃を、逆手に持った短剣でいなしていた。

 先ほどの金属音は、彼がライダーの杭を弾いた際に起きた音だった。

「貴方はサーヴァントですか?」

「さぁね、知りたきゃその首置いて行きな」

「それは出来ない相談ですね」

そこでライダーは彼と距離を置いて、再び慎二の隣へ移動した。

「おい、ライダーどういうことだ!

なんで、あいつが生きている!」

「わざわざ言う必要も無いでしょう、シンジ。

彼もサーヴァント、という訳です。

それに彼と私との相性は最悪と言っても良い。

素直に引きましょう。」

「クソクソクソ、クソォ!

どいつもこいつも僕の邪魔をしやがってぇ!

お前、絶対ぶっ殺してやる!

楽に死ねると思うなよ!」

「殺せるものなら殺してみなよ。

僕はその時を楽しみにしているよ」

 ライダーと慎二は彼の言葉を尻目に何処かへ去っていった。終始、信二は彼に遊ばれている様に見えた。

 そこで、あたしはその場で座り込んだ。緊張が解けて腰が抜けたのだ。

「大丈夫かい、お嬢さん」

 そう言って、あたしに手を差し出す彼の姿を忘れはしないだろう。

 

 

―――それは月夜に照らされた幻想的な雰囲気の中、そこには一人の騎士がいたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想の力って凄い…
前半部分ですが、一応書き上げました。
今までみたく抑える必要が無いので、非常に書きやすかった主人公。
キャラ崩壊と見紛う程ですが、これが騎士としての生活を歩んだ後の彼です。
最後は士郎とセイバーの出会いをモチーフに、自己流に改悪して書き上げた物です。
何気に初めて簡単なビジュアルが描写された主人公。
主人公の見た目はプロトタイプのペルセウスを基本としています。
シンジ君の描写をさぼったけど、ばれへんやろ…

メディアさんにヒーローがいるんだから、主人公にもヒロイン持たせよう、という発想で美綴さんが選ばれました。
正直、メインキャラ以外なら誰でも良かったのは内緒です。
あと主人公君ですが、糞ザコナメクジです。
ライダーとのやり取りはじゃれ合いみたいなものです。
主人公は自身の魔力とか諸々がばれないかと冷や冷や物でした。
その辺りは次回きっちり描写します。
強引にねじ込まれた美綴ちゃんの描写…可笑しかったら普通に次回にします。
つまり、前半部分からは削除します。


主人公君が自我を持って騎士として生きていなかったら美綴さんは見捨てられていました。
だってほら、美綴が主人公君の求めるマスターと違う可能性もありますし…、そもそもサーヴァント殺すためなら何でもします。
少しずつ、その辺りも含めて描写をしていけたらと思います。

あと終わりまで書き上げたら、一気に統合する予定です。
感想お持ちしております。



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