墓標あるいは墓場   作:痛み分け

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んー、無理なあべこべ。

正直、少し寒い作品になってしまった感…

まぁこんな物だろうか。

前提条件からしてギャップとかを出せないのが原因か……辛い。





切っ掛け

 これから書いていくのは、常識を獲得していなかった頃の僕の話である。

つまり、書き手は未来の僕で、物語の主役は過去の僕ということだ。

 だから、滔々と過去の僕の行動へ未来の僕が苦言を呈してもいいのだが、ここでは趣向を凝らして、未来の僕はただ書き手になろうと思う。ただありのままの過去の僕の姿を、思いを記すだけの。

 まずは練習といこう。

 

 

―――あれは立香たちが第一特異点から帰ってきた頃の話だ。

 

 

 

 

 彼女たちが第一特異点から帰還した結果、僕の仕事は増えた。

 今まではサーヴァントから見た歴史の編纂だけだったが、そこに特異点であったことも記録することが増えた。

 特異点となる原因を修正すると、そこであったことは消える。所謂、歴史の修正力というやつである。

 とは言え、来訪者である立香やそのサーヴァントたちはそのことを覚えている。

 どうせなら、それを記録として保存する話になり、僕にお鉢が回ってきたのだ。

 

 

 

 

 僕は彼女たちが十分に休息をとった頃を見計らい、僕の部屋へと呼びだした。

 僕の部屋にしたのは、僕には専用の仕事場がない。それに態々仕事場を作っても悪い。前のアーサー王だって僕の部屋で聴取を行ったのだ。今更、どうってことない。

「だから、別にやましい事なんてないです、所長」

「貴方には無い事くらいは分かって居るわ。

でもね、女はみんな狼なの。

ヘタレでムッツリスケベのアーサー王ばかりじゃ無いのよ!」

「いや、ペンドラゴンさんのどこにヘタレ要素とムッツリ要素があるんですか…」

「ムムム…常識が無い事が仇となったのかしら……」

「確かに、世間知らずではありますけど…常識知らずではないです」

「知らぬが仏と言うべきでしょうね…」

 話を聞きつけた所長が僕を即行で呼び出したのだ。僕は何故か常識が無いとかで責められている。理不尽すぎる。

「何が一体駄目なんですか?」

「女を二人も部屋に招くことよ!」

「え、ええ…」

 正直怒っている理由が全く理解できない…。

「いや、だって見知らぬ人たちではないんですよ。

立香もマシュも顔合わせどころか、会話もして、そこそこ良好な関係は築けていると思うんですが」

「だからダメなのよ!

いい?若さ=リビドーの迸りなの!

一夜の過ちがあってからでは遅いのよ!」

「そんな大げさな…。

僕は節操なしじゃないですし、そもそもなんで僕が襲われるんですか?」

「本当に、憎い憎いわ、貴方のご両親が」

 色々な所に飛び火しながら、所長の責めは終わらない。

 話を聞き流している、その時、僕の脳裏に電流が走った。

 彼女は、僕の態度に怒っているのだ。上司ではなく、部下や同僚とさも仕事に託けて親交を深めようとする態度に。

「分かりました、所長」

「よ、漸く分かってくれたのね…」

「次は所長が僕の部屋に来てくださいね!」

「何に一つ分かって居なかったぁぁぁ!」

 正解を外したようだ。解せぬ。

「確かに!

確かに、貴方の部屋に仕事とはいえ、お呼ばれなんて羨ましいとか思っていたわ!

でも、違うの、そうじゃないの…」

 僅かに項垂れる所長を尻目に、時計に目をやると約束の時間に迫っていた。だから、僕は話を叩き切ることにした。

「今度は、ゆっくり話しましょうね、所長!

じゃぁ、僕はこの辺りで」

「ええそうね、ゆっくり貴方のお部屋でね…違うそうじゃない、待ちなさい!」

 僕は所長の声を遮断するように、部屋の扉を閉めた。

 

 

 

 

 

「ゴメンね、待たせちゃったね」

「いえ…それ程待っていません。

ですよね、先輩」

「うん。

むしろ所長に呼び出されていたから、もう少し時間が掛かるかなぁと思ってた」

 僕が部屋に着くころには、既に彼女たちは部屋の前に居たのだ。

「部屋の鍵を開けていれば良かったね」

「そ、そうですね、今度はそうしてもらいましょう、先輩!」

「太郎さん、マジ神!」

「部屋の鍵を開けておくこと位で大げさだなぁ」

 何故か、若干興奮している彼女たちを不思議に思いながら、僕は部屋へ通した。

「何も無い所だけど、お茶くらいは出すから、椅子に座っていてよ」

 そう彼女たちに椅子に座るように促し、僕は簡易のキッチンに立って、お茶とお茶請けの準備をして机に並べた。だが、彼女たちは一向にお茶請けに手を伸ばす気配が無かった。その様子から少し緊張しているように感じた。

「あまり緊張しないで、というのは難しそうだね。

まぁ、男の部屋だけど自分の部屋の様に寛いでくれたらいいから」

 と言ったものの、ちびりちびりとしか彼女たちはお茶を飲まなかった。それでも、視線は茶菓子に向いていた。それは遠慮から来るものだろうか。それとも、男の作った料理など食えたものじゃないと思われているのだろうか、それなら少しショックだ。

「厨房に居た時に余った材料で作ったクッキーなんですが…ダメでしたか?」

 僕は全体的に小柄だから、僅かに上目遣いに彼女たちを見た。瞬間彼女たちは慌てだした。

「いや、大丈夫ですよ!

あまりにも美味しそうで食べるのを憚れたというか、男の娘の手ずから作られたお菓子を食べるのが勿体ないというか…、だよねマシュ!」

「そうです!あまりがっつき過ぎないのが良い女だってダ・ヴィンチちゃんが言っていまして!」

「そう?それなら良かった」

 美味しい、美味しいと言って食べる彼女たちを見て、少し胸をなでおろした。

 緊張も解れ、雰囲気もマシになった頃合いを見て、本題に入ろうとした。が、僕は立香の口の周りに僅かに付いているクッキーの粕が気になった。急いで食べていたので、その際に付いたのだろう。僕はポケットからハンカチを取り出し、行儀は悪いが机に身を乗り出し、口の周りを簡単に拭った。

「ん、取れた。

突然、ゴメンね。少し気になって…立香?」

 立香はさながら石像の様に動かなくなった。同様にマシュも驚きで固まっていた。

 マシュの方が起動は早かった。

「羨ま…ダメですよ、先輩!何固まっているんですか!」

 立香は顔を真っ赤にして俯いた。

 まぁ、食べ粕を不意に取られたのだ、恥ずかしいのだろう。でも、そのままにするのもどうかと思ったから、やったのだ。僕は悪い事してない…はず。

 立香は未だに顔を赤くしながら、わざとらしく咳を一つした。

「落ち着いたかな?じゃぁ、本題に入ろうか」

 そう言って、僕は第一特異点邪竜百年戦争オルレアンについて記録をしていくのだった。

 

 

 

「首謀者は、ジル・ド・レェ。それも晩年の。」

「正確には彼に聖杯を渡した何者かだけど、人理崩壊の原因を作ったのはそうだよ」

「そして、二人のジャンヌね」

「正当なサーヴァントとしてのジャンヌ・ダルクとその性質が反転したオルタですね」

 なんとも、特異点というのは酷い有様のようだ。

そこら辺を飛竜種が飛び回り、絶えず血と焼け焦げた匂いが充満した都市。市井の人々はただ逃げ惑うのみ。

 きっとこれからの特異点でも同じことが続くのだろう。彼女たちの奮闘ぶりには頭が下がるばかりだ。

 けど、そろそろ離してほしい。

「安珍様ぁ、安珍様ぁ!

ああ、何と罪深い事でしょう!

私には旦那様(マスター)がいるというのに、安珍様まで見つけてしまうのですから!」

 僕にすり寄る少女がいた。長い碧色の髪に、小柄な体型。良く似合った着物を身にまとう彼女。特徴的なのは爬虫類を思わせるような鋭い黄色の瞳、米神の辺りに生えた一対の角。明らかに人ではない。

「あの、僕は安珍様ではないんですけど。」

「何をおっしゃいますか、その在り方、魂、何処を見ても立派な安珍様でございます!」

「ちょっと、清姫離れて!」

「そうですよ、その人は貴女の安珍様ではないですよ!」

 確かに、現地の協力してくれたサーヴァントが居て、偶々カルデアに居るとのことで、呼んだのは僕だけれど…。こんな娘だとは思っていなかったよ。

「まぁ、嘘をついているようではありませんし、此度は引くと致しましょう。

ですが、貴方は安珍様です。

確かにあの時、焼き殺した安珍様です。

いずれ記憶を取り戻すまで、この清姫、何時までも傍に侍ります。

まぁ、勿論旦那様の方が優先順位は高いので、安心してくださいね!」

 そう言って清姫は去っていた。

「何というか、強烈だね」

「ごめんなさい、太郎さん、私とマシュが付いていたのに…」

 申し訳なさそうな顔をする二人に、僕は苦笑するしかなかった。

「気にしないで。

僕が連れてきてって言ったから。

根気よく話せばわかってくれるよ、きっと」

 若干、ブルーな雰囲気が流れる中、扉をノックする音が響く。間を置かない清姫の襲撃かと身構えたが、それは杞憂だった。入ってきたのはアーサー王だった。

「いざとなれば、私がサクッとやりますので山田さんは安心してください」

「あ、ペンドラゴンさん。

そこまでは大丈夫だと思いますが…」

「私のマスターは立香ですが、私は貴方の騎士ですので」

 非常に凛々しい顔に、僕は頼もしさを感じた。それはきっと僕を励ますための冗談なのだろう。だから、僕も少し乗ることにした。

「期待していますよ、僕の騎士様」

 笑顔を付けて、言ったその言葉に、アーサー王は立香の方へ顔を向けた。

「マスター、もう襲っても宜しいのでは?」

「三画の令呪をもって命じる。

アーサー、ハウス」

 瞬間立香の手の甲が輝き、アーサーは凄まじいスピードで去っていった。

「悪は去った」

「そうですね、先輩」

「え、ちょっと立香、令呪をそんな雑に使うのは…」

「雑じゃないです。

むしろ、太郎さんの貞操の危機を救った私を褒めるべき」

 僕の貞操は危険だったらしい。まるで意味が分からない。

 そうして、ぐだぐだなまま第一特異点の記録をまとめた。

 

 

 

 

 彼女たちが去った後、次は所長が突っ込んできた。

「こんばんは、所長」

「何もされなかった?

貞操とか純潔とか無事ね!」

 何故貞操だとか純潔だとかが出て来るのか、僕には一切分からなかった。ただ分かることは、彼女が非常に焦っているということだけだ。それだけ不安だったのだろう。僕は僅かな罪悪感を覚えていた。

「落ち着いてください。大丈夫ですよ、何もありませんよ」

 彼女は深呼吸を数回繰り返すと、落ち着きを取り戻した。

「何事も無いのなら、良いわ。

でも、きちんと貴方の職場を用意したから、今度からそこを使いなさい。

分かったわね?」

「了解しました、所長」

 彼女は僕の言葉に安堵すると、急にそわそわし始めた。

「二回目だけど、やっぱり異性の部屋となると緊張するわね…」

 僕は彼女の様子に、不謹慎にも笑ってしまった。

「しょうがないじゃない。

私だって女なんだから、気になるわよ。

それに折角…」

 徐々に尻すぼみになる声に少し聞き取れず、聞き返した。

「折角?」

「せ、折角…あれよ!折角だからお茶くらい入れてって言ったのよ!」

「わかりました、所長」

 僕は静かにお茶を入れ始めた。

 

 

 

 

 

 

―――やはり、この書き方は止めた方が良いかもしれない。

 

 至る所に苦言を呈さねばならない。

 この頃の山田太郎は非常に危ない行為をしていた。

 一つ、一つ苦言を言おう。

 仕事と言え、自分の部屋に女性を二人も呼ぶなど、ありえない。

 襲われても文句言えない。未だこの時のマシュや立香は慎みというか、僕の優しさを不気味に感じて、様子を見ていたからこそ大丈夫だっただけだ。後に、慣れてきた彼女たちは本性を現し始める。その上、部屋の鍵を開けておくなど言語道断だ。このせいで、僕は酷い目に遭うのだ。偶々、自室で行うことになったときだ。

―――脱ぎ捨てられた服の匂いを嗅ぐ立香の姿と卓越したカメラ技術で盗撮するマシュの姿が…

 あの怒らないし、こう今まで男性から色々されたのかもしれないけど、こじらせすぎでは…。

 

 そして、アーサー王は冗談をほぼ言わない。彼女の言うことは全部マジだ。そんな彼女に僕の冗談が通じると思うかい?答えは否だ。本当に冗談とは言え、あの返しはない。この世界の常識に則って言えば、勘違い乙とか、自意識過剰とか、ストレートにクーリングオフしておけばいいのだ。

 冗談が利かない彼女はこれより先、僕の騎士として振舞いだすのだ。何が問題って、騎士って封建制度の代表格。恩を求められるわけだ。彼女は毎度毎度とんでもないものを要求してくる。

―――パンツを咥えて出ていこうとするな、処女拗らせておかしくなっている!

 いや、あの特別扱いとかじゃ無いです。ですけど、だからって、僕のパンツを勝手に持っていくのは止めて!

 

 清姫が話せばわかってくれるだと?冗談は休み休み言うものなんだよ、僕。

 今まで、何度焼き殺されかけたか…考えただけで、寒気がしてきた。それだけでは無く、彼女がいるためか、より厄介なのがカルデアに来ることになるのだ。

―――ミコーン!イケ魂発見!是非私のハーレムにですね…

 もうお腹いっぱいなんで。もう旦那見つけているんだから、その人とだけイチャイチャしていろよぉ!

 

 

 

 

 




もう少しあべこべ的なことをしたいんですけどねぇ…

少し思うのが、流されて藍蘭島ってあべこべ…?

ここまであべこべが書きにくいことを考えると作者の腕が糞である上に、

そういう題材ではないのかなぁ、やっぱり。



次回は作者の構想する世界観やコンセプトなどの説明の箸置き回となっています。

多分、それを読めば作者の苦労の分かるのでは…?

と自己防衛に走ります。

感想欄の方で少し触れましたが、この話自体の作風に迷っているのが、現状です。

良ければ、次回のコンセプトや世界観などを見て、活動報告の欄か適当な所に

ご意見をいただければ、と思います。


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