墓標あるいは墓場   作:痛み分け

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コンセプト
1.極限まで描写を削る
2.書きたいことだけ書く
3.ショート・ショート
4.見やすくするために、行間を開ける

なので、想像力頼りの作品となっています。





王妃の手記、あるいは述懐
いつもの一日


 指が本のページをなぞっては、めくっていく。

 

 私はその行為を幾度となく、繰り返す。

 

 そうして、最後のページをめくり終えた。本を閉じて、近くのテーブルの上に置いた。私は次の本へ手を伸ばそうとして、手が空をきった。

 

 ため息を一つ、零して今度はハンドベルを鳴らした。

 

「お姫様、ご機嫌はいかがかな?」

 

 いつの間にか、真っ白いローブを着た優男が私の目の前にいた。

 

「貴方を呼んだ憶えは無いのですが」

 

「辛辣な物言いだねぇ。

 折角、来てあげたというのにさ」

 

 相も変わらず、鬱陶しい態度をとる男だ。私は苛立ちを隠すことなく、嫌味を言った。

 

「お姫様扱いをするのなら、騎士的なマナーを守るべきではなくて?」

 

「おおっと、これは失敬。

 でも、ごめんね。僕は宮廷魔術師であって騎士ではないんだ」

 

「なら、男性としてのマナーを守ってくださいね」

 

「残念、同性には適用されないから無効だ」

 

 男の軽口に反吐が出そうになる。

 

「黙っていろ」

 

 ついつい本音が出てしまう。気を付けなければ、余所で言ってしまいそうになる。

 

「おお怖い、怖い。

 要件は追加の本かな?」

 

 男は、積み上げられた本を回収して新しい数冊の本を置いた。

 

 分かっているのなら黙って置け、とは口には出さなかった。言わなくとも、態度には出ていたのはご愛敬、としてもらおうか。

 

「他には何かあるかい?」

 

「あの人は、無事ですか?」

 

「まぁぼちぼち、という所だね」

 

「そうですか」

 

 私は新しい本へと手を伸ばした。

 

「おや、えらく淡白な対応だね」

 

 妙につっかかる。

 

「死んでいないのであれば、いずれ会えますから」

 

 私はあの人を裏切った。そんな私に心配する権利はない。 

 

「虚偽は正すべきだと僕は思うけどね」

 

 その言葉に私は笑い声を上げた。

 

「それは一体どこから正すべきなんですか?」

 

 あの人が性別を偽って王になっていることか、それとも私が性別を偽って王女となっていることか。どちらにせよ、滑稽な話だった。

 

 ちぐはぐも良い所だ。

 

「分かっていて聞いているのか?」

 

 今までのおちゃらけた雰囲気は鳴りを潜め、剣呑な雰囲気を纏い始めた。

 

「君とあの人の父が始めた演劇を、台本通りに踊っている役者を責めるのはどうかと思うけどね」

 

 化けの皮が剥がれそうになっているのは、私だけだと思っていたがそうではないらしい。お互い様だった。

 

「不毛な話だ。止めにしよう」

 

 そう言って、男は剣呑な雰囲気を収めた。

 

「ああ一つ言わせてほしい。

 

―――やはり僕は君が嫌いだよ、ギネヴィア王妃」

 

 男は、入ってきた時と同様に消えた。

 

 私は真っ白な前髪を掻き上げた。そして、呪詛を吐いた。

 

「存分に嫌いたまえよ、宮廷魔術師マーリン。

 

―――私はこの国が嫌いだ」

 

 

 

 





呪詛ばら撒き系女装男子 ギネヴィア

腹黒策略系語部半人半妖 マーリン


まるで決戦兵器


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