細かな登場人物や名前はうろ覚えで、大まかな内容しか覚えてませんけどね。
なお、剣豪将軍義輝を読んでから、構想し温め続けてる義輝in Fate は
FGOの英霊剣豪七番勝負に義輝が出なかったら公開する模様…
義輝さんとか、卜伝先生とか、上泉先生とか見てみたいような見てみたくないような…
また、作者の中でコレジャナイ闘争が起こるんだろうなぁ……
いつもと違う、肌寒さで目が覚めた。
ふと、部屋の小窓に目をやれば僅かに雪が積もっていた。
それでも、体を起こせない程ではなく、かけていた布を外して、起き上がった。
そして、特に身だしなみを整えることもなく、近くの机に腰かけて、読みかけの本に手を伸ばした。本の中ほどに、はさまれた栞から読み始めた。
時刻は大体昼過ぎとなった。本は既に終盤となっており、読み終わるのは時間の問題だった。そんなとき、ドアがノックされた。私がどうぞ、と声を掛ける間もなく、長い銀髪のメイドが顔をのぞかせた。
「朝食をお持ちいたしました」
高くもなく、低くもない、その上抑揚もないのが特徴的だった。
「失礼します」
メイドは、本を読む私を邪魔しないように、私の身だしなみを整え始めた。髪を梳いたり、簡易的な化粧をしたり、一通りを整えると彼女は、テーブルの上に食事を並べ始めた。
「ありがとう、メルウィンド」
「仕事ですので」
切れ長の目を閉じて、少し頭を下げると、そのまま部屋を出て行った。あとに残ったのは、彼女の香水だけだった。嫌味にならない程度の、僅かな香り。それは寡黙な彼女に合っていた。
本を読み終え、テーブルに向き合った。主菜の肉料理に、その他数点の副菜。いつもと変わらない献立だった。
不満もなく、満足もない。ただの平穏な一日。そのはずだった。
クロスで口を拭っていると、乱暴なノックの音。またも返事すら許さずに、甲冑に身を包んだ騎士が一人、入ってきた。
「邪魔するぜ」
「せめて兜は脱ぎなさい、モードレット」
悪びれもせず、わりぃわりぃなど言いながら、騎士はいそいそと兜を脱ぎ始めた。その顔立ちはあの人に良く似ていた。ただ違いを言うのなら、あの人はこの子の様に無邪気には笑わない。
「何かあったのですか、モードレット」
「なんだよ、用事もないのに来ちゃいけないのかよ」
「一応は幽閉されている身ですので」
「そうだったな…」
少し不貞腐れたような顔に、罪悪感を覚えた。私は咳払いを一つして、仕切りなおすことにした。
「まぁ、良いでしょう。
久しぶりですね、モードレット。少し大きくなりましたか?」
「おう!」
堰を切ったかのように、モードレットは話を始めた。異教徒どもを屠ってきたことや、相も変わらず堅物のアグラヴェインとは馬が合わないこと、ガウェインの脳味噌は筋肉で出来ている可能性があることなど、さまざまなことを私に聞かせてくれた。どの話も、外には出られない私には新鮮で面白く感じた。
でも、物事には限界があり、あの人の話に辿り着くのはさして不思議なことではなかった。
「ずっと、陛下は後悔しているみたいなんだ。
最近、少し遠くを眺めていることがある。それも砦の方を」
その言葉は、とても言いづらそうだった。話しても良いのかどうかを、今も悩んでいる。いや、悩みながら話しているのだろう。
私は何も言えなかった。そもそも、言う権利が私には無いのだ。ただじっと、この何もない砦の中で、私は一人待つしかない。
「怖いんだ、正直な話。
笑っちまうよな。狂犬なんて一部では言われているオレが、恐れているんだ。
このまま、この国が無くなっちまう気がして」
私はモードレットの頭を優しく撫でた。少しでも、不安が減るように。
モードレットは為すがままに撫でられていたが、恥ずかしくなったのか、さっと私の手を払いのけた。
「ま、また来るからな!」
僅かに頬を赤くして、逃げるように去って行った。
勇猛果敢なモードレット、君に救いがあらんことを。祈る神もいないのに、そっと心で呟いた。
そんな祈りとは裏腹に、同じ心の中で呪詛を吐く。
嫌いだ。救いがない、この国が。
円卓の騎士の一人であるモードレットが、この砦に居たのだ。あの人がいないわけがなかった。
「ギネヴィア」
その声を聞くのは、本当に久方ぶりだった。ここに幽閉されて三年ほど経っている。つまり、三年ぶりの再会ということになるのだろうか。
白かった鎧は黒く染まり、あの使命に燃えていた瞳には空虚さがあった。まるで燃え尽きた蝋燭のようだ。
「お久しぶりですね、陛下」
「お前は何も変わってないな」
浮かべられた笑みには一切の力が無かった。
「陛下は変わられましたね」
「ああ、そうだな。
変わったのかもしれないな。
憐れな話だ。お前をここに閉じ込めた結果がこの様だ。
聞いてくれ。色が映らないんだ、私の瞳には。
美しい風景を見ようと、心震わす戦場だろうと、白と黒しか映らない」
それは当然の帰結の様に、私は感じていた。誰も彼もが理想を押し付けた結果が、この姿なのだから。
清廉潔白で、公明正大な王様。
それはヒトというより、無機質なナニカだ。
ヒトであるにも関わらず、ヒトとしての振る舞いを一切許されていない。それなのに、ヒトとしての生き方を求められる。酷い矛盾だ。
「それに、私は人の形をした、正しく人形らしい」
「どなたがそのようなことを?」
「王は人の心が分からない。
そう、言われたよ、トリスタン卿に。
かの騎士は円卓から去った」
腹の底から、激情が込み上げてきた。
ああトリスタン。貴様がそれを言うのか。円卓の騎士であったお前が。王を碌に見もしない円卓が。理想を押し付け続けるお前たちが。
憤怒が憎悪に変わる前に、その思いを押し殺した。
「貴方はどうしたいのですか?」
「どうしたらいいのだ、ギネヴィアよ。
どうすればよかったのだ」
私に縋る、弱弱しいこの人に、甘言を囁く。
「貴方の好きなようにすると良いよ、アルトリア。
大丈夫、全てが君を裏切っても、僕だけは裏切りはしないから」
我ながら最低な行いだ。この人の弱みに付け込んで、耳当たりがいい言葉を吐く。
そして、押し殺した憤怒は憎悪ではなく呪詛へと変わる。
―――滅びればいい。この人を苦しめる国なんて。
作者のギネヴィア像が正しく伝わればいいなぁ、と思いながら書いている所です。
まぁ、ほとんど情報らしい情報を出していないので、なんとも言えませんが。
さり気無く、黒化している騎士王様。
原作では泥の影響とかなんとかかんとかありましたが、この物語では闇堕ちしました。
普通の騎士王様ファン並びに原作ファンの皆様、ごめんなさい。
そういう解釈、歴史もあるということで許して。
感想であったのですが、こちらでも補足をしておきます。
良心に従って離れたのが嫌だ、という訳ではなく、
理想を押し付け続けた側にも関わらず、その最後を見届けることもなく、去ったことに憤慨しているだけです。
理想を叶える代償として合理的な、機械じみた何かになったアーサーに対して、
人の心が分からないと(この作品の)トリスタンは王に向かって言ったわけです。
トリスタン、我儘過ぎない?というのが主人公から見たトリスタンです。
そして、これに至る理由として、主人公とトリスタンの間にほぼ友好関係がありません。
つまり、どういった思いでトリスタンが言ったのかも主人公には伝わっていないのです。
額面通りに受け取っただけです。
作者の未熟と描写不足のため誤解をさせてしまい、申し訳ございませんでした。