アングリフ   作:豆月

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黒い渦

純希は、杏樹をおんぶして外に出歩いていた。

「杏樹ちゃん、何か食べたいものある?」

「ショートケーキ!苺ケーキ!」

「ケーキか...。よし、ケーキ屋さん探して食べようか!」

「やったー!純希おにいたんだいすき!」

そんな会話をしてケーキが食べれるお店を探していた。すると、遠くの空に黒い渦が巻いているのが見えた。黒い渦を見て純希は、何か危険を感じたのだった。

「杏樹ちゃん、ケーキはやっぱり後でいいか?」

「どうして?」

「何か危険なことが起きそうなんだ。」

「..きけんなこと?」

杏樹は今すぐケーキが食べれず、しょんぼりとしてしまった。

「必ず後で美味しいケーキ食べさせてあげるから。」

「やくそく」

「うん、必ず後で食べよう。約束だよ。」

 

***

「(やっぱり..)」

陽毬はコツコツとヒールの音を響かせながら、黒い渦がある場所まで走っていた。

「(暴れてるのね!!)」

 

段数が多い階段を登っていくと、広場があり、黒い渦の前には手を広げていたのは倒れた倒れていた女性と同じ女性。つまり、杏樹の母親の偽物だった。杏樹の母親の偽物は、陽毬の気配に気付き、黒い渦の力をだんだん弱くしていった。

 

「ね、ネソ!!」

何と黒い渦の真ん中で、ネソが苦しそうにしていた。

 

「ぐっ...、ひ、陽毬さっ..」

黒い渦は爆発し、ネソは飛ばされて向こう側の壁に激突した。目を開けるが目から光がなくなっていた。

持っていた剣は床に突き刺さった。

 

杏樹の母親の偽物は、ネソに近付きネソに向け手を開いた。

「..わたし..しん..じゃうの...?」

そして掌に黒い何かが集まり始め徐々にでかくなっていた。と、その時黒い丸い何かが偽物の母親にぶつかり、地面に倒れた。

 

「良かった、間に合って。」

ネソは声がした方を向くと、そこには菫がいた。その後ろに陽毬がいた。

 

「菫ちゃん、来てくれてありがとう」

陽毬が笑顔でそういうと、菫は首を横すに振った。

「いいえ、ただ何か学校の帰りに空を眺めていたら黒い渦があったので、まさかとは思って..。」

「貴方がきてくれたのは心強いわ。」

菫は偽物の母親を睨んだ。

「何の目的があるか知らないけど、人を傷つけることはもうやめて!!」

 

「..につかれ..たのよ」

「へ?」

倒れていた偽物の母は、ゆっくりと体を起こしながら、何かぼそっと言っていた。

「子育てに疲れたのよ」

「?!」

 

偽物の母が放った言葉は菫と陽毬にとって予想外だった。

「もう、いやなの」

そしてゆっくりとその場に立ち上がった。

 

 

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