アングリフ   作:豆月

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親子の愛

そのまま偽物の母親は陽毬に近づいた。そして、両手で陽毬の首を絞め始めた。

「ひ、陽毬さん!!」

「くっ...るしっ...」

「今助けますから!!」

 

「ママ!!」

「待て!!杏樹ちゃん!!」

やっと到着した純希が杏樹を下ろした瞬間杏樹が、母親のところに行ってしまった。偽物の母親は陽毬の首を絞めながら杏樹を睨んだ。

「ママ!!ママ!!そんな怖い顔してどうしたの?」

「あ..んじ..ゅ..ちゃ」

偽物の母親は陽毬の首を絞めていた手を離した。陽毬はその場に倒れた。

「陽毬!!」

純希がすぐに陽毬に駆け寄り、膝をつき陽毬の手を握りしめた。

「姉さん、どうして陽毬を!!」

「うるさい!!」

叫び、掌を陽毬と純希に向け物凄い強い風を出し陽毬と純希を向こうまで飛ばした。すると、純希も倒れてしまった。

 

「くっ...姉さん...。」

「まだ生きているのか..まあ、いい。あの紫頭から片付けようか。」

何か違和感を感じる。下を見ると足に杏樹がしがみついていた。

「ママ!ママ!」

しがみつきながら自分の母親の名前を呼んでいた。

「邪魔だ!!」

足にしがみついた杏樹が邪魔で、足を動かせれないため振り払おうとするが、ぎゅっと足にしがみつき離れない。

 

「ママ!なんで!ママ!」

「うるさい!」

「いつものままにもどって!!あっ!!」

一生懸命足にしがみついていたが、大人の力には勝てず地面に倒れた。うつ伏せの状態になったが顔を上げた。

「お前から、片付けてやるよ。」

そう言い杏樹を見つめると、杏樹は体を起こしその場に立ち上がった。

 

「ママ!!おねがい!!ママにもどって!!」

「ふっ!!」

母親に近付こうとすると、黒いバリアが張られて当たろうとすると突き飛ばされる。何回も。

「大丈夫?」

菫が杏樹に手を差し出した。

「むらさき..のおねえ..ちゃん..」

小さな手を菫の手に重ねて、立ち上がった。

「後は私がやるから。安心して。」

「まって..わたしのママ..わたしがたすける!」

そして歩き始め母親のところに行ってしまった。

「無茶だよ!!バリア張られてるんだから」

菫の話を杏樹は聞こうとはしない。

「ママ!ママ!ママ!いや!!」

バリアに突き飛ばされそうになっても、力を出しバリアの中に足を踏み入れた。すると、バリアの中にすっと入ってしまった。バリアの中はとても苦しかった。

「そんな..」

菫はただただその様子を何も言わずに見るしかなかった。

「よくこんなところまで来たな、」

「ママ!!まま!!もどって!!」

「お前の母親じゃない。」

「おねがい!!まま!!」

そう叫び母親の手を握った。

「や、やめろ!!」

そう叫ぶが、目を丸くして、何かを思い出した。

 

 

『まま、これあげる』

『花冠?』

『うん、今日ね、幼稚園で先生に教えてもらいながら作ったの!』

『とっても、綺麗ね。』

『ままにあげる!』

『ありがとう。杏樹ちゃん。』

 

 

『まま、誕生日おめでとう』

『ありがとう。杏樹ちゃん。まあ、これ杏樹ちゃんが描いてくれたの?』

『うん、ママのにがおえ!』

 

 

「(暖かい...)」

「ママ!!」

「(私は、確かに子育てに時間を奪われて疲れていた。でも、この子が成長していく姿を見れて私は..。)」

「ママ!!」

「杏樹ちゃん、ごめんね。」

そう言った瞬間、バリアにヒビが入りバリアがパリンと音を立て破れた。

 

「ママ!!良かった。」

母親は地面に膝をつき、両手を広げた。杏樹はそれに応えるように母親に抱きついた。

菫は2人に近付いた。

 

「良かったね。お母さんが戻って。」

「うん!ありがとう!むらさきのおねえちゃん。」

「迷惑かけてしまって、ごめんなさい。」

「いーの、いーの。戦うことが今の私にとって大切な事ですからー。」

倒れていた純希と陽毬も意識を戻し、立ち上がり3人の方に来た。

 

「あれ、姉ちゃん?」

「もしかして..戻ったんですか?」

 

「純希と、貴方にも本当に迷惑かけてしまって、すみませんでした。」

「いいですよ、そんなの。杏樹ちゃん、良かったわね。」

「ありがとう!」

「ご存知かもしれませんが、私の今の体は本物ではありません。器です。なので、私は元の体に戻らさせていただきます。」

杏樹を話し、偽物の母親は黒い魂となり何処かへ飛んでいってしまった。

「ママ!!」

理解が出来ない、杏樹は泣き出してしまった。

 

「杏樹ちゃん、本物のお母さんに会いに行こう。」

「うん」

そう言い純希はまあ杏樹を、おんぶした。ネソは4人のところに歩いてきた。

 

 

****

病院につくと、既にベッドの上にいる杏樹の母親は意識を戻していた。

純希は杏樹を下ろした。

「まま!」

「良かった。杏樹ちゃん。」

「純希おにーたん、ありがとう!むらさきのおねえちゃんも、茶色のおねちゃんも、ピンクのおねーちゃんもありがとう。」

「どういたしまして!」

「ま、私は何もしてないんだけどね。」

「菫ちゃん、そんなこと言わないの。」

「私には関係ないことだけどね。」

「寝そもそんなこと言わないの!」

「ごめん、杏樹ちゃん。約束果たせなくて。」

「..やくそく?」

「ケーキを食べに行くっていう約束。」

純希と杏樹の約束を聞いた瞬間、母親が何かを閃いた。

「あー!それなら!」

 

 

****

「ええ?!いいんですか?!」

6人はケーキバイキングにいた。

「勿論!私が迷惑かけてしまったんだから、当たり前よ!さっ!沢山食べて!」

「そんなに食べたら太るわよ、井村さん。」

「そ、そんなの関係ないから!大丈夫だから!とか、そう言ってるネソさんもモンブランとチョコケーキとタルト持ってきてるじゃん!」

「別にいいじゃん。」

ネソは顔を赤くした。

 

 

「(良かったわね、杏樹ちゃん。)」

陽毬は心の中でそう思いながら、ケーキを食べたのだった。

 

 

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