知らない女性に車に乗せられ、ついたのは高い高層ビルだった。きっと、ここは女性の住んでるマンションかなんかだ。あわよくば泊めてもらおう...そう思った。
「ここが...マンションですか?」
そう聞くと女性は首を横に振った。じゃあ、一体ここは何なんだろう。
「貴方、知らない?ここは、アングリフって言う組織の本部のビルよ?」
「アングリフ...?」
「そうよ?」
アングリフ...?
「えええええええええええええええええええええええええええええええ」
私は勢い良く大きな声で叫んでしまった。その声が辺りに響いてしまった。
「お、落ち着いて。そんなに驚く事じゃないと思うのだけれど」
「あ、あの...。私、シュラハトと言う組織の組織長と副組織長の娘なんですけども...。」
「ええええええええええええええ」
今度は、女性が叫んだ。その声も辺り一面に響いた。叫んだまま腰を抜かし、地面に尻餅をついた。
「あ、あの、大丈夫ですか?」
女性に心配する声をかけたら、女性は頭をかきながら笑っていた。
「ご、ごめんなさい。驚いてしまって。大丈夫だから、心配しないで。」
女性は、フラフラしながら立ち上がった。
「ならよかったです。」
「取り敢えず、詳しい事は本部の中でお話ししましょう。外で落ち着かないし。」
そう言うと女性は、歩き始めた。私はその後をついて行った。
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取り敢えず私は、この子を連れてエレベーターで地下に降り部屋まで来た。菫ちゃんを座らせ、冷蔵庫に入っていたペットボトルの紅茶を出し、この子に渡した。
「取り敢えず、詳しく説明するわね。あ、そういえばまだ名前言ってなかったわね。私は、降霊陽毬。このアングリフと言う組織で組織員として働いてるの。宜しくね。」
私が手を差し出すと、彼女は手を重ねてくれて、握手をした。
「私は、井村菫と言います。宜しくお願いします。降霊さん。」
苗字呼びって何だか、堅苦しいわね。
「あ、私の事は陽毬って呼んでくれて構わないから。苗字だとなんだか堅苦しいイメージあるから。宜しくね、菫ちゃん。」
でもまさか、今私の目の前にいるのが、シュラハトの組織長の娘だなんて想像がつかない。紫の瞳だから連れてきただけなのに。もしかすると、この子のクラスに、青い瞳や赤い瞳の子もいるのかしら。調査が必要みたいね。と言っても、アングリフに入ってくれるかはわからない。だってシュラハトの組織長の娘なんですもの。アングリフと言う組織の情報を父親に持っていくのかもしれないんだから。
「ひ、陽毬さん...。なんか、すみません」
「何が?」
「あ、いえなんでも...。」
「何か悩み事でも?」
そう聞くと、菫ちゃんは俯いた。何か触れていけない事に触れてしまったのかと心配になる。
「私...実は、両親が毎日のように喧嘩してて何か精神的にもう耐えれなくなったんです。だから、家出考えてたんです。で、両親の喧嘩聞くの嫌になって公園にずっといようと考えてたんです。たまたま陽毬さんに声かけてもらって、だから、その...あわよくば泊めてもらおうとまで考えてたんです...。だから、その...ごめ..んなさ...い。」
つまり、菫ちゃんはもう喧嘩している両親の所へは帰りたくないと。もしかしたら、菫ちゃんはアングリフに入って紫の戦士として戦ってくれるのかもしれない。希望はまだ残ってる。
「良いわよ。」
「本当ですか?!」
菫ちゃんの顔は、曇った表情からぱっと花が咲いたようだった。少しだけでもアングリフに興味持ってくれたら嬉しい。そんな浅はかな考えで泊まらせる事にした。
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「昨日はありがとうございました。」
結局、菫ちゃんを家まで車で送ってきてしまった。もしかしたら、いつか本当にアングリフと言う組織に来てくれるような気がした。
「こちらこそありがとう。考えといてね。アングリフに入る件。」
「はい。勿論です。」
菫ちゃんは笑顔で答えてくれた。
本当にそうだったら良いな。
叶わぬ望みと見えぬ希望を持っている私は愚かだと心を自分で痛めつけた。