アングリフ   作:豆月

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過去のトラウマ

「わーー!海だー!!」

「まだ、暑くないから海で泳ぐのは禁止だけどでも膝までなら使って良いらしいわよ。にしても、綺麗で澄み切ってるわね〜!」

「泳ぎたかったな...でも、膝まで浸かるだけでも気持ち良さそうですね!」

そう言い履いていた靴を砂浜に置いた。そして膝まで海に浸かる。

「どう?」

「気持ちいいですよ!陽毬さんも是非!」

陽毬は履いていたサンダルを脱いで、片足を海にいれた。

「確かに、気持ちいいわね。夏に入ったらもっと最高だったのにね。」

「それ!」

「きゃ!!」

菫はいきなり陽毬に向け、水を両手で飛ばした。その水が見事に陽毬にかかった。

「かかった〜!」

「すーみーれーちゃん?お返しよ!」

「ちょ!陽毬さん!辞めてください!」

それから菫と陽毬の水の掛け合いは、誰も止めずに始まってしまった。

 

 その様子から1人ぽつんと萩は、眺めていた。

「(海か...。そういえば私、海に入る事が怖いんだよね...。)」

過去のトラウマがフラッシュバックしてしまった。

 

『ママ!こっちよ!』

『ち、ちょっと!萩!あまりそっち行っちゃ駄目よ!溺れちゃうわよ!』

母は手を伸ばしたが、その手は届かず萩は足がつかずそのまま溺れてしまった。

 

『(誰か...助けてっ)』

そう願ったがそのまま深い所まで溺れてしまった。

 

 

『大丈夫?』

『萩!!』

目を開けると、顔を覗き込んでくる母親と見知らぬ男性がいた。顔は覚えていないがその男性は紺色の髪の色だった。

『何とか意識を取り戻したみたいだね。』

『あの...ありがとうございました...。』

『いいよ、いいよ。お礼なんて。娘さんが助かっただけでもそれだけで嬉しいですから。』

 

「(そう、私は過去に一回純希さんに助けられていたのね。で、こないだ助けられて2回目。)」

トラウマを克服しようと、海にちょっと足をいれたがすぐに海から足を出した。

「(駄目、やっぱり怖い。)」

 

そして視線を陽毬と菫に向けた。海に普通に入れる2人が羨ましいと思ってしまった。

 

***

夕方になった。夕方の海はさっきと違い夕日に照らされオレンジ色に染まっていた。浜辺でバーベキューが始まっていた。

「バーベキューって良いですよね!」

菫は焼き鳥を見ながら呟いた。

 

「でしょ?私もよく若い頃は友達とバーベキューしてたのよ。」

実亜は懐かしい思い出を思い出しながら肉の焼き加減を確認していた。

「実亜ー、あっちの台車からお皿とってくるわね!」

「頼むわ!陽毬!」

「私も手伝います」

「助かるわー、水鳥ちゃん」

萩はあることに気がついた。

 

「あれ、純希さんと茶髪の子は?」

「え?」

周りを見渡すとネソと純希がいないことにやっと気が付いた。

「バーベキュー昼から純希さんは見ましたけど茶髪の子は見てません」

「お手洗いとかじゃないかしら?」

「お手洗いでこんなに時間かかる?」

「..普通に考えてこんな時間かからないわね...。」

「あの、私探してきます!」

「駄目よ、危険だから。」

「じゃあ、私が探してきます。」

「菫ちゃんなら安心だわ。」

「はい!」

そう言い残し菫はネソと純希を捜しに行った。萩は陽毬を不満そうに見つめていた。

 

 

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