浅黄水仙は小さい頃からバイオリンをやらされている。だがそれは、自分の意思ではなく両親の意思だった。やりたくもないバイオリンをやらされてもうそろそろ辞めていたいと思っていた。
『コンクールで優勝も出来ないなら、あんたがバイオリンをやってる価値はないのよ!』
専属のバイオリンを教える先生に言われた言葉。
『辞めるなら、バイオリンコンクールで優勝したら辞めろ。それまで、辞めるのは何があっても認めない。』
と、父が。
『水仙お嬢様?バイオリンのお時間です。休むという選択肢には、お嬢様にはありませんから。』
と、メイドが。
バイオリンのお稽古のお休みさえもさせてくれないのだ。一体、何のためにこんなバイオリンをやらされているのか水仙は理解できなかった。バイオリンは、将来使うかもわからないのに。
「(もう、こんな生活嫌よ。お嬢様なんて立場なんてもう嫌....。ごく普通の、一般人に生まれたかったのよ....。)」
水仙は、バイオリンを床に置き出窓から、外の青くどこまでも果てしなく広がる空を見つめた。
「(ただただ私は普通の女の子に生まれたかった。)」
そう思っていたら、部屋のドアがノックされ誰かが部屋に入ってきた。
「お嬢様、バイオリンのお稽古の時間です。」
「...えぇ。」
またこの時間がやってきてしまった。
***
「違う、そうじゃない!」
「だから、何度やってもここだけは覚えれませんから!!」
「やる気あるの?」
「ありますけど!」
「さぼるの?サボりたければ、サボってもいいのよ?この時間。」
「きゃ...」
専属の先生にバイオリンを取り上げられ、水仙はバイオリンで殴られた。バイオリンは地面に落ちた。
「今のことを口が滑っても、親や他の人に言うんじゃないわよ。」
「...。」
「返事は?」
「...は...い...。」
小さな声で返事をすると、専属の先生は怖いか表情に変わり、水仙の頬を勢い良く叩いた。
「もっと、大きな声で返事しなさいっていっつも言ってるでしょ?!」
「..はい」
「貴方のバイオリンの時間に休憩時間なんて存在しないわよ。さっさと、練習するわよ。」
「...。」
水仙がバイオリンを嫌になる原因は、専属の先生にあった。先生は、両親の前だと笑顔になって良い人ぶるが、水仙と2人っきりになると殴ったり、叩いたりはあたりまえ。
殴られたりするのが怖くなり、水仙の中でバイオリンをやりたくない気持ちが日に日に大きくなってしまった。
また、明日もこの時間が来るのかと思うと不安になる。