アングリフ   作:豆月

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両親とのお別れ

菫以外、誰もいない待合室。ブラインドにより外からの光は、遮られていた。幽霊が出そうなくらい待合室は暗かった。すみれは霊感というものはないが、少し怖かった。

「菫ちゃん、お部屋決まったわよ!」

その声と共に、ドアが開き光が差し込む。菫はすぐに待合室から出た。

「じゃあ、お部屋行きましょ。」

「はい」

陽毬と共に組織員達の住む場所がある、地下へと行った。菫の部屋は、運良く陽毬の部屋の隣の部屋だった。部屋のドアを開けると、部屋は、リビング、その奥に台所があり、台所の奥には寝室がある。そひて、台所の左の扉はシャワーとお風呂、お手洗いがあり菫は目を輝かせた。

「もし、何か困った事あったら、何でも言ってね。遠慮はいらないから。」

そう言いながら陽毬は菫の頭を撫でた。 頭を撫でられ、菫はちょっとだけ照れた。

「はい」

 

陽毬は何かを思い出し、赤いコートのポケットから四角く、サイズは手で持てるくらいの大きさのものをポケットから取り出した。

「アングリフに関わる人達は必ずこれ持たなきゃいけない決まりになってるのよ。緊急の時とか、組織からメールくるから必ずいつ何があっても、何処に行ってもこれ持ってて。」

菫が受け取ったのは、折りたたみ式の携帯電話だった。

 

「ありがとうございます!」

「あ、でもね本当組織に関係ないことに使ったら駄目よ。メールも電話の内容も監視されてるもの。」

「わかりました。」

「あ、あとは菫ちゃんの荷物、今度取りに行くわよ。後は、あ、まだ貴方にとってこれから重要になるもの取りにいっなかったわね。」

「あ、はい!」

「あ、でも荷物家に取りに行く方を先にした方がいいわよね。今から行きましょ」

 

 

****

 車でやってきたのは菫の家だった。陽毬は、家の門の前で荷物を取りに行った菫を待っていた。ドアが開きやっと来た!と思ったが、ドアから現れた人物は菫ではなく、菫の父親である井村 颯だった。颯は、陽毬の近くまで歩いてやってきた。

 

「俺達から菫をどうして奪おうとしてるんですか。」

そう訊くと同時に、颯は陽毬を睨みつける。そんな颯に陽毬は目を逸らした。

「そんなの関係ないじゃないですか。これは、私が奪ったのではなく菫ちゃんが決めた事なんです。貴方には全く関係ない話なので。」

「関係ないってどういう事だ!!菫の父親は紛れなく俺だ。」

「貴方が菫ちゃんの父親でも、本当貴方には関係ない事です。無理矢理、問題に入ってこないでくださる?」

 颯の頭に血が上り、陽毬の頬殴った。陽毬は、殴られた後の痛さに倒れ込んだ。颯は指をポキポキと鳴らし、倒れた陽毬を見下す。陽毬はフラフラしながらも、立ち上がった。

「うるさいな。どうせ、娘を洗脳させたんだろ?」

「違います。洗脳していません、本人の決心ですから。」

颯がもう1発陽毬を殴ろうと拳をふりあげた瞬間、菫の声で我に返り、拳を下ろした。

「辞めて、お父さん!!」

そう叫び、菫はキャリーケースをゴロゴロと引きずり2人の近くに来た。

「す、菫?!どうしてキャリーケースなんか...。」

「..私、正直お母さんもお父さんも大っ嫌い。私に相談せず離婚?毎日、毎日、喧嘩?もう辞めてよ。私もうこの家にいると精神的に崩壊しそうだから。さようなら。もうお父さんの顔も、お母さんの顔も見たくないです。」

颯は菫に今まで隠してきた本音をガツンと言われ、少しショックを受けてしまったようだった。

「菫...、まってく...れ...。」

陽毬の車に乗り込む菫に手を伸ばすが、菫はそんな父親を無視し、車のドアを閉めその車はどこかへ走っていってしまった。

 

 

「本当に良かったの?」

「何がですか?」

「あんな形で、両親とさようならして。心残りあるんじゃないの?」

「いえ。心残りなんて何もありません。後悔もありません。寧ろ、これでさっぱりしました。」

「そう。」

車の中で、陽毬と菫はそんな会話をしていたのだった。

 

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