アングリフにある自室へ戻るとすぐに、ベッドに潜り込む。忘れたくても忘れない。思い出したくなくても、思い出してしまう。母が父じゃない男と楽しそうに話していたのを。正直、浮気だとは思いたくない。
コンコンと部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「入るわよ、菫ちゃん。」
声の主は陽毬だとすぐにわかった。
陽毬はドアを開け、部屋に入ってきた。
「菫ちゃん...。元気なくしちゃって何かあったの?」
「...何でもないです。」
「私でよければ、お話聞くわよ?もし、話をしてスッキリするなら何でも話して頂戴。」
「だから、何でもないって!」
気が付けば、怒鳴っていた。菫は気まずくなり黙り込んだ。陽毬もそれに釣られるように黙り込んだ。少し、時間が経ってから陽毬は口を開け
「...ごめんなさい..。」
と謝り、陽毬は部屋から出て行くことにした。菫は、泣きそうになっていた。何で、怒鳴ってしまったんだろうと。陽毬に嫌われてしまったんじゃないかと。
すると、菫の体から黒い煙が黙々と浮かんだ。
「あーーーーーーーっ!!」
その黒い煙は、菫の部屋を覆った。
***
今の声は菫ちゃん?
何故か嫌な予感がした。
私は、もう一回菫ちゃんの部屋に行こうとした、だがドアが開かない。どんなに強くドアノブを引っ張っても開かない。鍵でもかけちゃったのかな...。
「す..みれ...ちゃ!!くっ!!」
どんなに強くドアノブを握っても、ドアは開かない。ちょうど、そこに実亜と数人の組織員が走ってきた。
「今の声は、菫ちゃんの声よね?!」
「菫ちゃん、この部屋にいるはずなのよ!!それなのに!!」
「ぐっ...。」
実亜がドアノブを引っ張るがドアは開く気配がない。数人の組織員が、実亜の手を引っ張るがやっぱりドアは開く気配がない。
「どんなに力入れても開きませんね!!」
「何があったんでしょうか。」
「紫の戦士に一体何があったんでしょうか?」
私は、なぜか罪悪感に襲われた。
もし、さっき菫ちゃんに怒鳴られて、部屋から出ていかなかったら?
菫ちゃんが落ち込んでる理由を聞き出せていたら?
全ては私が悪いんじゃないかと思い始めた。
「...ごめんなさい、ちょっと外の空気吸ってくる。」
「ち、ちょっと!もしかして、貴方、菫ちゃんに何かしたんじゃないの?」
「何もしてないわよ!」
「本当の事言いなさいよ!」
そう言われて実亜に頬を叩かれた。
「本当に何でもないわよ!!」
私はそう言い残し、走ってその場から去った。