外の空気を吸う為に、ベンチに座っていた。空は既に黒く染まっていて、星達がキラキラと輝いていた。すると、頬に冷たい何かがぶつかった。
「きゃ!」
陽毬が叫ぶと、いつのまにか隣に純希がいた。
「やあ、陽毬。」
「じ、純希!!」
「取り敢えず、これをあげるよ。」
「...ありがと」
純希は陽毬に、冷たいペットボトルのお茶を渡した。陽毬はそのお茶を両手で持ち見つめる。
「たまには、こうやって何も考えずに空を見上げるのもいいよね。」
「..ふふ、そうね。悩みが消えて行くみたい。」
「悩み?」
「えぇ..あ、何でもないわ。」
「いや、絶対悩んでることありそう。僕でよければ話聞くけど。」
陽毬は顎に人差し指をあてて、夜空を見上げた。
「そうねぇ...。」
「家族のこと?」
「いいえ...。実は、夕方くらいに菫ちゃんとネソと会ったの。それで、買い物一緒に行く事になってね、一緒にスーパーへ行ったわけ。で、途中で菫ちゃんが何故か元気なくなっちゃったの。その訳を聞こうとしたら、先に帰っちゃって。で、菫ちゃんの部屋まで行って、悩み聞こうとしたら怒られちゃって。..そのあと、菫ちゃんの叫び声聞こえて、部屋に入ろうとしたらドア開かなくなっちゃって。」
その話を聞いた純希は、ビクッと震えたが、冷静を保った。
「..そ、そう言う事だったのか...。
「私って菫ちゃんに信頼されてないのかしらって。思って。」
「そ、そんな事ないよ。君はちゃんと、その子に信頼されてると思うし、きっと悩み聞いて欲しかったけど自分のプライドが邪魔して素直になれず、怒っちゃったんだと。」
陽毬は純希を見ると、首を傾げる。
「そう?」
「それか、陽毬に悩み事話して迷惑かけたくない可能性もあるよ。」
「...私は、菫ちゃんの力になりたいし迷惑だなんて全く思ってないわ。彼女には頑張ってもらいたいだけなの。」
「大丈夫、彼女は頑張れるよ。」
「そういえば、最近杏樹ちゃんは元気?」
「あぁ、この間会ってきたけど母親と幸せそうに暮らしてるよ。あの時の記憶なんてもう忘れてるんだろうから。」
『ママ!なんで!ママ!』
『うるさい!』
『いつものままにもどって!!あっ!!』
精神的に強かった杏樹を思い出す。母親を自分で助けた事も。
「杏樹ちゃんは、とても強いと思うわ。自分の母親が豹変して、とても怖かったと思うのに。母の手を握って母を助けるだなんて、私がもし杏樹ちゃんだったら怖くてそんなこと出来ないわ。」
「だね。」
夜空を見上げた陽毬の手に、純希は手を重ねた。