「純希と降霊ちゃんを返しなさい!きゃ!!」
「志倉さん!!」
志倉が黒い丸いもの中に入ろうとしていたが、どうぶつかっても入れはしない。ぶつかるが、体に黒い稲妻が走り痺れて、押し返され尻餅をつく。萩と菫とネソがどんなに黒い丸いものに攻撃しても、小さくなる気配はない。
「陽毬さん、どうして純希さんだけ拒絶しないの!?」
「わからないわ。もしかして、何か深い意味があるんじゃない?」
ネソは勢い良く剣を振って投げたが、剣はなぜか黒い丸いものの中に入った。
「?!」
「剣がどうして?!」
菫も萩もネソも志倉も驚きを隠せなかった。
「この中で何が起こってると言うの...純希...。」
***
「ぎゃ!!」
陽毬の近くに行こうとしたが、足に何かが引っかかって躓いてしまった。足元を見ると、黒い茨があった。これが原因か。よく見ると、陽毬がいる場所まで行く道を黒い茨が邪魔していた。しかも、陽毬は茨で手足を縛られていた。早く助けなければと思いながらどうすればいいか考えていた。
カランッと言う音と共に何かが上から落ちて来た。よく見ると、それは剣だった。純希は剣を持ち立ち上がった。そうか、これで茨を切っていけばいいんだとわかった。
「とう!!」
何十本も生えている茨を剣で切り刻んでいく。
...そしてようやく、陽毬に辿りついた。
「...陽毬迎えに来たよ」
陽毬の頭に手を当てるが、陽毬の目は覚めなかった。陽毬の手足を縛っている茨も剣で切る。そして、陽毬が何処にも行かないように陽毬の腰に手を当て、抱きしめた。
『私は』
陽毬の声が聞こえた。陽毬自体は喋ってはいないが、心の中に入って来た気がした。
「大丈夫。一緒に、皆の所へ戻ろう。こんな世界にいても、君は辛くなるだけだ。だから、一緒に元の世界へ帰ろう。」
すると、陽毬は目を開けた。
「純希...、助けてくれてありがとう。」
「ううん、君自身が頑張ったおかげだよ。」
陽毬は純気が持っている剣に気が付いた。
「その件って...。」
「あーこれ?なんか、転けた時たまたま落ちて来たんだ。」
「ネソの剣ね、これ...。ねえ、ちょっと剣貸してもらっていい?」
純希は陽毬に剣を渡した。陽毬は、剣の先っぽを何かに向けた。剣の先っぽの先には、黒の水晶が浮かんでいた。
「な、何をするんだ?」
「あの黒い丸い水晶を壊して、この世界から脱出するの。もし、剣があれを割れなかったらもう2度と戻れないけど、いい?」
「勿論。」
「運任せで行くわよ。」
そう言い、陽毬は剣を投げた。
すると、剣は見事に黒い水晶に突き刺さり、割れたのだった。