バリンッ
両手で持っていた、真っ白の綺麗なお皿をいつのまにか落としたみたい。お皿は原型もなく粉々に割れていた。何この胸騒ぎ。いつもはこんな感情になる事なんてそんなにないのに。私は、掃除用具のロッカーから箒と塵取りを取り出し、粉々に割れたお皿を片付けた。何か起こりそうな..いえ、既に何かが起こっている気がする。知っている人が....私の前から消えそうな気がする。
自室から出て、廊下へ行き階段を上り一階へ行き、外へ出た。外は雨がざーっと降っていた。傘も持っていなかったから、雨に打たれながらその辺を歩いた。雨って、何だか嫌いのに落ち着く。何でなのかしら。
「お母さん...。」
私は私を捨てたお母さんのことが嫌いなはずなのに、お母さんを未だに求めていた。母は、事故で亡くなってもうこの世には何をしても、蘇らないと言うのに。生き物は一度きりの人生であって、命が尽きて枯れ果ててしまったらもうどう願っても、どう祈っても一つの生き物として戻れない。もしくは、別の何かに生まれ変わる。もし、お母さん、もし何かに生まれ変わってたら、私の事思い出してくれる?私の母だって思い出してくれる?
***
「ねえ、この子の名前どうする?」
「うーん。そうだな、陽毬はどうだ?」
「陽毬?」
「あぁ。誰かにとって陽だまりみたいな存在になって誰かを支えて、向日葵みたいにいつも笑っていてほしい。だから、陽だまりと向日葵の被ってる字をとって、陽毬。」
名前の由来を聞いた母親は、納得した。
「そうね、良い名前ね。これから貴方の名前は陽毬。」
***
「(あら、純希はどこかしら?)」
志倉は純希を捜すために、シュラハト本部のあちこちを隅から隅まで歩いていたが何処にも見当たらない。もしかして、何かあったんじゃないのかと、急に不安になり出した。周りをキョロキョロとみていると、シュラハトの組織長である井村颯を見つけた。志倉は颯を呼び止め、颯はその場に立ち止まった。
「あ、あの!純希は何処にいるか知りませんか?」
颯はうーんと腕を胸の前で組んで、地面を見た。
「純希か。今日はまだ姿見てないぞ...。」
志倉は肩を落とした。
「そうですか...。教えてくださって、ありがとうございました。」
志倉は組織長の前から去っていった。颯はある事に勘付いた。
「(もしかして、純希の中に入ったカプセルのあれが?)」
***
ここはどこだ?全てが真っ暗な空間だった。陽毬がいたあの空間と似ていた。つまりここは...。