「そこまでよ!」
何処かから声がした。志倉が後ろを向くと、陽毬が銃を狐のお面を被った男に向けていた。陽毬はとても険しい表情だった。
「邪魔者がまた来たか。」
「菫ちゃんと志倉ちゃんに何かしたら、容赦なく銃の玉を撃たせて貰います。」
「ふっ、打てるもんなら打ってみろ。」
「私をなめないで。」
銃を持っては何故かとても震えていた。陽毬の異変に菫は気づく。菫は陽毬の腕に手をあてた。
「ひ、陽毬さん...そんなに銃を撃つのが嫌なら下げてください!闇の力でどうにかしますので...。」
「私がこの人を倒さない限り、気が済まない者。
「ふっ、撃ちたいなら撃てばいい。」
「望むところよ。」
その場にパンっという音が響き、弾丸は狐のお面の紐を引き裂き、狐のお面を地面に落下した。狐のお面をしていた男は、片手の掌で顔を隠した。
「ふっ、君は銃撃つのが上手いんだな。」
「だから?なめないでって忠告したんじゃない。」
「だが、擦り傷のひとつもない。残念だったな。」
「人を殺すことはしないわ。それに、貴方の正体をどうしても知りたかっただけよ。さあ、顔を隠してる手を退けなさい。」
男はニヤッと笑い、顔から手を離し顔を上げた。すると、陽毬は尻餅をつき銃を地面に落とした。菫と志倉は、驚きのあまり目を見開いた。
「純希...?」
狐のお面をつけていた男の正体が純希だったからだ。純希は赤い目だった。菫はある事に勘付く。
「(もしかして、純希さんも...。)」
純希はニヤッと笑みを浮かべ、掌を開くと純希の掌に黒い剣が現れ、それを握った。純希は木から飛び、地面に下りた。そして、陽毬に近づいた。
「まず、お前から抹殺しなければな。」
そう言い純希は地面に尻餅をついたままの陽毬の前で剣を振りかざした。陽毬は、抵抗できずに純希を見つめた。
「降霊ちゃん!」「陽毬さん!!」
志倉と菫の声が重なる。
『やめろおおおおおおおおおっ!!』
心の中で何か声がした。純希は急に胸が苦しくなり、黒い剣を地面に落とした。そのまま、手を胸に当て地面に苦しそうに座り込んだ。
「うっ...!」
「純希?」
陽毬は、純希の肩に手を置いた。志倉は陽毬の隣に座り込む。
「どうしたの?純希...。」
「違うっ...本気で、殺したいなんて思わない...じ、邪魔するな!」
まるで、純希に悪が取り憑いたようだった。
「純希、純希!!」
陽毬が純希の肩を揺すった。
「お前は紫の水晶を奪えと命令された!...や、やめてくれ!もう出て行ってくれ!」
その間、純希はおでこに手をあて苦しそうだった。純希の目の色が赤に変わったり元の色に変わったりしていた。
「違う、僕は僕でしかないんだ!!」
純希がそう叫ぶと、黒い煙が純希の体から外へ出て行き、消えてしまった。
こうして10個全てのカプセルの中身は消滅したのだった。