「純希。何故、君を呼び出したかわかるだろ?」
「はい。」
純希は暗い顔をして、颯は表情からでもわかるようにとてもカンカンに怒っていた。カプセルの事だろうと、予測がついた。
「何か言ってみろ。」
「僕は、シュラハトを代表して10個のカプセルを使って、人の不安な気持ちを利用し紫の水晶を手に入れようとしました。ですが、紫の水晶は手に入る以前に、戦士によりどんどん倒されていきました。」
「10個もカプセルをお前に託したのに、どれ一つとして紫の水晶を奪う事はできなかったな。ネイヴィーの組織長はカンカンに怒っていた。しかも、シュラハトとの関係を切ると言っていた。この件に関して、君はどう責任を取ってくれるんだ?」
「すみません。言葉にできないほど大きな罪を犯しました。なので、自主退職させていただきます。」
「話わかっているなら早いな。さらばだ、伊織純希君よ。」
純希は、颯に頭を下げ颯の前から去っていった。こうなる事はもうわかっていたから、どうも出来ない。純希は今までおせわになった部屋から、荷物を全てまとめ駐車場に行き車に乗り込んだ。そして、車を運転し向かった先にはボロボロな家が建っていた。窓にはヒビが入り、ドアは傾いていて庭の花が枯れ、草は茂っていた。このボロボロな家は、純希がシュラハトの組織員になる前に住んでいた家だった。 懐かしい匂いを胸いっぱいに吸い込む。この家にはもう戻ってこないって決めていたつもりだった。なのに、こんなに早く戻ってくるなんて。そう思いながら、ソファに座りテレビの電源をつけた。テレビから流れてきた冴えないニュース。ボーッとテレビを見つめていた。
一体僕はここで何をしてるんだろう。次の道を早く探さなければいけないのに。純希は、天井の豆電球の光を見つめた。
アングリフ
その組織名が頭に浮かんだ。だが、アングリフの組織員達にとって自分はよく思われていないだろうし、何よりアングリフの組織員達や戦士達の心の不安を襲い、魔物を作り出してしまった。例え、それは上からの命令でも許されない。もう、後戻りなどは出来ないことも知っている。早く、次にお金を稼げる場所を探さないと、未来はこの先黒く塗り潰されたままだ。もうどうにかして頑張るしかない。純希は、そう心に誓った。もう、シュラハトや颯のことを考えるのはやめよう。過去の事を振り返るのはやめよう。どうにか、陽毬に幸せになってもらう道を見つけ出そう。そうすればきっと呪いから解放される時が来ると、純希は思った。