アングリフ   作:豆月

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命は

今日は朝から一日中雨が降っている。雨の日は憂鬱な気分になってしまう。学校の授業だって怠いと感じしてしまう。でも、両親から離れ喧嘩を見なくていい今は、少し気分が晴れている。

 

「井村さん!!」

その声と共に誰が本で頭を叩いてきた。上を見ると怒った顔をした担任が机の横に立っていた。他のクラスメイトは笑っていた。

「ひいいいい、ごめんなさいいいいいいいい」

「井村さん、授業聞いてなかった罰で廊下に立ってなさい!!」

そう言われるがまま、椅子から立ち上がり素直に廊下へ出てきてしまった。私が廊下へ出ると教室のドアは勢いよく閉められてしまった。またやらかしたな...。

 

廊下で立っていたら、隣の教室の前の廊下にも立っている人がいる事に気づいた。その人は緑色の髪だった。その人を見ていたら、緑髪の立たされている人は立ちながら目を瞑って寝ていた。正直えーっと思ってしまった。

 

「(ある意味立ちながら寝るって才能なんじゃ...。)」

心ではそう思ったが、さすがに言葉には出さない。もし相手に聞かれてたら、喧嘩になってしまうから。

 

口は災いの元。

 

小さい頃からずっと両親や先生から聞かされていた言葉。

 

これからも言葉には気をつけなきゃ。

 

 

 

 

***

6時間の授業が終わり、帰りの会と掃除もやって後は、アングリフに帰るだけ。今日も疲れた。帰ったら寝ようかななんて、考えてたら、何処からか誰かの悲鳴が聞こえた。

「きゃあああああああああ!!」

 

私は悲鳴が聞こえる場所へ向かった。

 

 

 

その場所は、人気がない公園だった。こんな所に来る人なんているのかなんて、公園を見渡していたら青い髪の、私と同じ中学の制服を着た子が仰向けで倒れていた。

 

私は倒れている子に近づき、肩を揺するが反応がない。まさか...。AEDを探したが、どこにも見当たらなかった。

 

私は取り敢えずアングリフに連絡する事にした。前に渡された折り畳み式の携帯電話で陽毬さんに電話をかけた。

 

「もしもし。」

『その声は、菫ちゃん?どうかした?』

「学校近くの公園に、同じ制服着てる子が倒れているんです!!肩を揺らしても反応がなくて...。」

『わかったわ。教えてくれてありがとう。救急車呼んでそっちに向かうわ!』

 

数十分後、救急車と陽毬さんの乗った車が到着した。倒れていた青い髪の子は救急車に運び込まれ病院に搬送された。私は陽毬さんの車に乗り、その子が運び込まれた病院へ行った。

 

 

「大丈夫ですかね..,。」

「大丈夫よ。きっと。」

 

車の中ではそんな会話をしていた。

 


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