陽毬は、自分が住んでいる街をアングリフ本部の屋上から見下ろしていた。風が吹いていてとても気持ちいい。それに今日は雲一つない晴天だ。髪を靡かせながら手摺りに両手を置いていた。
すると、後ろから足音が聞こえてきた。後ろを向こうとしたら後ろから誰かに抱き締められた。身長が高い人。
「陽毬。」
声だけで誰かわかってしまった。
「その声は純希?」
そう聞くと純希は、手を離し、隣に立った。
「声だけでわかってしまうとは。流石だ。」
純希は手摺りに手をあてた。
「急にどうしたの?」
「君を探してた。」
「私を?」
純希は懐に手を伸ばし、あるものを取り出した。それを陽毬の掌にのせた。
「君にあげたかった。長い間、ずっと渡したかった。」
赤いリボンだった。グシャグシャになり一部の色は、変わり果てていた。新品ではないと見た目でわかった。陽毬は、赤いリボンを見つめた。
「そ、そう...。」
「出来ればずっと持っていて欲しい。」
「...わかったわ。」
どうして赤いリボンは、こんなにもうグシャグシャだったのか謎だった。だが、陽毬は敢えて聞かなかった。聞いたらいけない気がしたから。
***
「さっき、あいつらが言っていたことは本当なのか?」
夕日の下。土筆と駿河は一緒に下校していた。土筆は駿河から目を逸らす。
「あたしが魔女って話?」
「それ。」
「あたしはー...。」
喉を詰まらせた。駿河は、不思議そうに土筆を見つめた。土筆は、言いたい事あればはっきり言うのに。
「土筆?」
「...。普通の人間に決まってるじゃない!あいつらが言ってたことはデタラメに決まってんじゃない!もうー!あーはーはー!」
土筆は必死に、笑って誤魔化した。だが、植物の魔法を使えるのは事実だ。
そんな2人を遠くの木からモルケは見つめていた。
「あら、もしかしてあの女の子と好きになっちゃった?」
「え?!」
話しかけてきたのは、クランヌクだった。モルケはため息をついた。
「はあ。そんなわけない。それに、何で僕があんな人を好きにならなきゃいけないんだよ。勝手な憶測やめて来んない?それに、あいつは全然僕のタイプじゃないし。」
モルケはクランヌクを睨んだ。
「あーらー、ほんっとうに面白くない男ですわね〜。」
「一体、クランヌクは僕に何を望んでいるんだ?!」
「最初から、貴方には何も望んでいませんわ。」
「だったら一体何で...。」
「まあ、わたくしからすると貴方がどうなってしまってもいいのですわ。わたくしには関係ないのですから。組織長に抹殺されても知らないですわよ?」
そう言いクランヌクはその場から去っていった。モルケは空を見つめた。