放課後。樒は、図書室で本を探していた。その本は、担任の先生からお勧めされた小説だった。駿河は、ネイヴィーの組織員でアングリフの戦士とアングリフにとっては敵であるが、土筆にとっては敵でありクラスメイトであった。
「(あれ〜、この辺にあるはずなんだけど?)」
「何か探してますか?」
樒は、誰かに声をかけられ横を見るとそこには同じクラスメイトである、夏我緋桐がいた。緋桐は、微笑んでいた。
「あっと...この小説探してて...。」
樒は、小説の名前が書かれた紙を緋桐に見せた。緋桐は、紙を受け取り小説の名前を確認した。
「あ、これですね。」
数秒すると緋桐は、本棚から一冊の本を取り出して樒に渡した。樒は、本を見ると確かにそれは探していた小説だった。
「ありがとうございます...。」
樒は、言い慣れないお礼を言うと緋桐は、微笑んだ。
「どういたしまして。そ、そういえば...隣の席なのに全然お話しした事ありませんでしたよね。」
「あ、そういえば...。」
「今更自己紹介なんて、あれかもしれませんが...。私の名前は、夏我緋桐と申します。宜しくお願いします。」
「もう僕の名前知ってると思うけど...。僕は、光徳樒と言います。よ、宜しくね!緋桐ちゃん。」
「こちらこそ宜しくね。樒くん。図書室についてはどの本がどこにあるとか知り尽くしてるから、もし探してる本が見つからなかったら遠慮なく聞いてね!」
「ありがとう。」
樒は笑顔でお礼を言った。樒は心の中で、緋桐ちゃんはとても頼りになりそうだと確信していた。だが、本来の目的はアングリフの戦士に近づく為、普通の中学生としてして近付いている。それが、組織とは何も関係ない一般人にバレてはいけない。例え、緋桐と親友になったとしても隠し事を通さなければならない。
「に、しても樒くんって深い物語が好きなの?」
「うん。やっぱこう言う深い物語って、最後まで読んでけばこう言う事だったのか!って繋がるから最後まで読んじゃうんだよね。」
「私も...。内容が浅い小説より深い小説の方が読み応えがあるって言うか...結末が気になって最後まで読んじゃうんだよね。樒くんの気持ちよくわかる...。」
緋桐は、樒となら本当の友達になれそうな気がした。
「あ、内容が深い小説で他にもお勧めなのあったら教えてくれない?その小説読んで感想言い合いたいなって!」
「うん!勿論!」
「そういえば、緋桐ちゃんって帰らなくて大丈夫なの?」
「う、うん。訳あって家に帰りたくないの...。家に帰っても、家族にこき使われるだけだから...、それなら放課後に図書室で勉強してたり本読んでた方が楽だから。」
夕日に照らされる緋桐の表情は、どこか悲しげだと樒は感じた。