アングリフ本部に戻ると、陽毬さんがどこにもいなかった。さっき病院で勝手に病室から出たのを謝ろうとしてたのに。組織員さん達に聞いて、部屋、待合室、組織長室、図書室、トレーニング室など色々な場所を捜したが陽毬さんはどこにもいなかった。
「あら、井村さん。人捜しているの?」
「わ!奈苗さん!」
いきなり声をかけられた為、大声を出してしまった。奈苗さんは心配そうに私を見つめた。
「そんなびっくりしなくてもいいのに。」
「あ..あの、陽毬さんって何処にいますか?」
すると、奈苗さんは顎に手を当てて、何かを考え始めた。
「うーん、陽毬さんは...そう言えば見てないわね。朝に挨拶しただけだったのよ。彼氏さんのところにでもいってるんじゃない?」
「あー。」
きっとそうだよね。深く考えずに、奈苗さんの意見に賛成した。
「ですよね。陽毬さんって、彼氏いそうですもんね!」
「でも、陽毬さんは真面目だから、もし2、3日アングリフに来なかったら事件として考えるのが妥当ね。」
「ですよね...。」
「仕事をさぼるなんて事、思えないし..。」
その時、頭の中にある考えがよぎった。あの公園に行けばもしかしたらいるのではないだろうかと。
「あ、あの。一緒に来てくれませんか?」
「え?」
「ちょっと、確かめたい場所が一箇所だけあるんです。」
***
奈苗さんを連れ、公園にやってきた。すると、陽毬さんが倒れていた。やっぱりこの公園には何かあるに違いない。そう思った。
「陽毬さん!陽毬さん!!」
奈苗さんが陽毬さんの肩を揺するが反応はない。青髪のあの子が倒れていた事と何か関係があるのだろうか。
その時、どこからか視線を感じた。そして、周りを見渡すとブランコに誰かが座っていた。
「あの..ブランコに誰か座ってるのでもしかしたら、ここで何あったか見てたかもしれないのでお話聞いてきます。」
ブランコに近付くと、明らかにおかしいと気付いた。ブランコに座っているのは陽毬さんだ。陽毬さんは今倒れているはずなのに。
ブランコに座っている陽毬さんは、私がいる事に気付き、睨んできた。
「...。」
そのままゆっくり、ブランコから立ち上がり私に近づいて来た。陽毬さんの目の瞳から光が消えていた。
「ひ、陽毬さん?」
「...を....いして...。」
「へ?」
「私を愛して!!」
「きゃあーーーーー!!」
陽毬さんは、両手で私の首を絞めて来た。苦しい。誰か助け...て...。
「菫ちゃん!!」
その声と共に、後ろから飛んできた何かが陽毬さんにぶつかり陽毬さんは、両手を私の首から離した。私は、地面に尻餅をついた。目の前の陽毬さんは頭を抱え込んで苦しんでいた。
「な、奈苗さん!」
「今、石投げたんだけど、井村さんにはぶつかってないわよね?」
「は、はい!」
奈苗さんは近くに来て、頭を撫でてくれた。
「なら、良かった。」
「あああああ!!」
陽毬さんは、何かを叫び始め体から黒いモヤみたいなものが出てき始めたのだった。
「な、何?」
すると、陽毬さん...いえ、陽毬さんをのっとった魔物は姿を変え、巨大な黒い蛇になってしまった。
「これが..敵の真の姿なんですね...。」
「真の姿...。」
黒い蛇は口を開け私と奈苗さんに向かって、炎を吐いてきたのだ。私は何とか逃れたのだが、奈苗さんは炎に囲まれていた。
「奈苗さん!!」
「ゲホッ...井村さん、闇のちか...らで、あの黒い...ゲホッゲホッ...。蛇を...。倒し...て」
「闇の力...で...すか...。」
明らかに奈苗さんを囲む炎は、燃え広がっていた。このままじゃ奈苗さんが。とっとと、あの蛇を倒さなければ。
ー貴方が頭の中でこんな攻撃したいとイメージして。実際にそれができるから。ー
陽毬さんに教えてもらった闇の力での攻撃方法。
「(奈苗さんのためにも、陽毬さんのためにも私、戦うから!!)」