役立たずのフルンティング   作:ライアン

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こいつ苦労とか与えると折れちゃって頑張れないだろうなーな出来ない奴とこいつはきちんとその辺糧にして成長していくだろうなーな出来る奴とだったら当然やり方は違うと思うの。

兄上のエスペラントとしてのステは発動値だけA、他全部Bみたいなのを想定。
星光は具体的なのは浮かんでいないけど安定して強い分爆発力に欠けるみたいな感じなのを想定。不死を抜きにすればチトセネキ辺りとやり合ったらいい勝負してそれなりに食い下がれるけど決戦兵装で吹き飛ばされて終わる位の感じ。


勝利と栄光

総合値による弟超え、そんな新たな目標を掲げるようになった使徒アルフレッドは主君である神祖スメラギの理想通りの成長を遂げていく。スメラギがアルフレッドへと課す仕事は武官の範疇を超えて本来文官が担うようなものもあったが、アルフレッドに不満など出ようはずもない。何故かと言えば

 

「これはどこの国にもついて回る宿痾なんだけど、うちの国でも文武の対立というのは存在してね。まあ人間三人集まればその時点で派閥が出来るという言葉もあるし、結局予算という資源(リソース)に限りがある以上これは必然なんだが、当然これが余りに激しくなってしまうとよろしくない。外敵よりも本来仲間であるはずの存在が憎い典型的な内ゲバ状態になっちゃうわけ。

 勿論トップである神祖(ぼくら)が手綱を握り都度調整はしているんだけど、僕らの命令通りに動いてくれる忠実な手足だけではなく意志を汲んでバランスを取ってくれる調整役が居てくれると色々とありがたいのさ。で、()()()神祖(ぼくら)のそうした意図を正確に汲んでくれるようになると()()しているわけだ、使徒アルフレッド」

 

 疑問に思って問いかければ何故自分にその仕事を任せるのか、将来的にどういう存在になる事を期待しているのかを丁寧に回答してくれるのだから。最強の剣士(戦闘面での弟超え)へと拘っていた頃ならば理屈を理解できても心のどこかで納得し難い想いを抱いただろうが、それはもはや過去の事。

 究極の万能型を目指す事こそが偉大なる神祖の為であると同時に自分が弟に勝つ正着だと納得できたが故に迷いはない。今でも神祖グレンファルトがアルフレッド・ベルグシュラインにとっての父にして師である()()なのは変わらないが、一連の導きを受けた事で神祖スメラギもまた忠節を尽くすべき主君であると心の底から思えるようになった以上それは猶更だ。

 

「というわけで3日後までに此処にある資料、粗方読んで頭に入れておいてくれたまえ。百聞は一見に如かずとは言うけど最低限の予習はしておいて貰わないといい経験にならないからね。君の場合はグレンのところで最低限の基礎は仕込まれているから、素人考えで底の浅い思い付きをプロの前で鼻高々に披露するみたいな事はしないだろうけど、それでもやっぱり本職達に比べればという奴だ」

 

「仰せのままに教皇猊下」

 

 不滅の神祖スメラギはこれまで数多の使徒を導いてきた。ならばこそ当然人材を育成する力だとて習熟している。無論如何に師が優れようと教え子本人にやる気がなかったり、素質がなければ話は別だ。だがアルフレッド・ベルグシュラインはその双方を備えていた。流石に剣士として同様に100年に一人の才能を持つ天才ーーーとまでは行かなかったが、それでも数多の人間を導いてきたスメラギをして十二分に優秀と言えるだけの才覚があった。そもそも戦闘や研究という分野ならばいざ知らず、政治の分野において神祖は革新者(天才)を求めていない。

 何故ならばかつてスメラギ自身が語った通り、この国の支配者である神祖が求めているのは斬新な発想や強固な意志力で以て改革を成し遂げる破壊者(天才)ではなく、既存秩序を維持し効率良く運用してくれる秀才(守護者)だからだ。強固な意志と時には武力という力を以て他者を屈服させて既存秩序を塗り替える如何にも民衆が待ち望む英雄ではなく、堅実かつ地道に粘り強く調整を行いながら()()()()()()()()()()国を回してくれる存在、それこそが政を司る神祖スメラギの求める人材に他ならない。

 

「最初の内ーーーそうだね、およそ1年位は何が出来るという事もなく苦労する事になるとは思うが、それを己が糧としなさい。君ならばそれが出来るものと信じているよ」

 

 主君の語った通り最初の1年は苦労の連続であった。何せアルフレッド・ベルグシュラインは本来は総代聖騎士であるグレンファルトの下で武官として働くはずであったのだから。

 剣士として、騎士として超一流となるべく仕込まれた100年に一人の天才も(まつりごと)においては素人に毛が生えた程度でしかない。何が出来るでもなく無力感と辛酸を味わう日々。わかっていた事とは言え当然のようにストレスは溜まっていく。

 しかし、主君に対する忠誠心が、弟を超えるという想いがアルフレッド・ベルグシュラインを支えて奮い立たせる。何よりもアルフレッドには()()()()()()()()()()()()()があった。千年に一人の天才を超える為に足掻いた日々。結果としてその足掻きは届かずに終わったわけだが、それでも重ねた経験は決して無駄にはならない。何故ならばアルフレッドは努力の仕方を知っているから。ならばこそ痛くて苦しいそれを己が糧として進み続ける事が出来る。そしてアルフレッドは孤独ではなかった。愛する女性との逢瀬が彼の心に安らぎを齎した。偉大なる神祖直々にかけられる期待の言葉がその心を奮い立たせた。

 

「出来ないことが苦しいんだろう?何故自分はもっと上手くやれないんだって無様な自分が情けなくて仕方がないんだろう?わかるよ、その気持ち。神祖(ぼくら)もかつて味わった事だからね。でも大丈夫。心配する事は無い、何度も言うが()()()()()()()

 無限の希望も絶望も重ねた全てが俺の力だ……なんていうのは君の敬愛するグレンの口癖だけど、まあつまりはそういう事さ。練磨するという行為にはどうしたって痛みが伴う、だけどそれを乗り越える事で石ころでしかなかった原石は光を放つ宝石となる事が出来るのさ。そして君ならばその痛みを乗り越えて珠玉の輝きを放てるようになると信じているよ、アルフレッド」

 

 そうしてアルフレッド・ベルグシュラインは順当にそして神祖の期待通りに成長を遂げていく。

 幼少期より支配者の忠実な手足となるべく育成されたが故に「増税という形で民衆の懐から直接押収した場合反発を買うが、私服を肥やした腐敗貴族へと誅罰を下し、その財産を社会的弱者に還元するという間接的な形ならば民衆は快哉を挙げる」といったやり方も反発めいた感情を覚える事無くむしろその巧みさに畏敬を覚えながら受容する。何故ならば彼はかつて無辜の民草が孤児であった自分たちを居ない者が如く扱った事を知っているから。大半の人間が善良で居られるのはあくまで自らの懐が痛まない範囲の場合だと知っているが故に円滑に国を回すためにはそうした小細工の一つや二つ必要だと理解することが出来る。それでいて苦境にある時に手を差し伸べられる喜びを知っているが故に行き過ぎた自力救済信奉者になる事もなく、どこまでも支配者たる神祖にとって理想的な成長を遂げていく。

 そうして主君の告げた通り1年もすると歯車が噛み合い出していく。文武を問わず教皇スメラギの忠実にして優秀な手足として働く日々。敬愛する主君の期待と数々の御恩にようやく自分が応えられるようになったという事に確かな喜びを得ながら誇りと共に勝利と栄光を重ねる日々。それらが心の中で燻っていた弟への想いを確かに昇華させて行き……

 

「兄上、この度はご結婚おめでとうございます」

 

 アルフレッド・ベルグシュラインとマヤ・キリガクレの結婚式の日、そこで共に神祖の忠実なる使徒たる兄弟は必然として再会を果たす。平時とほとんど変わらぬ鉄面皮の弟へと兄は苦笑を零しながら応じる。

 

「ああ、ありがとうウィリアムーーーしかしお前こういう時位笑顔の一つでも浮かべたらどうだ。血の繋がった兄の晴れ舞台だぞ?祝ってくれているのはわかるが、それではせっかくの想いが通じん」

 

 かつては視界に収めるだけで心に荒波を巻き起こしたその欲望を超克した剣として完成された在り様を見てもアルフレッドの心の中に起きるのは小波程度のもの。かつては超然として憧れたその在り方も今のアルフレッドからすれば不器用さの現れと見えるようになっていた。

 

「……申し訳ございません。兄上の仰る事もわかりはするのですが、何分この身は武骨な剣であります故」

 

「やれやれそんな事ではお前の妻となる者は苦労するな」

 

「それについては無用の心配でしょう。この身は一振りの刃、妻を娶る予定などありませんので」

 

 ウィリアム・ベルグシュラインとアルフレッド・ベルグシュラインとでは主君から求められている用途が違う。万能型(ジェネラリスト)としての働きを主君より期待されたアルフレッドの場合は名門キリガクレ家の令嬢を娶る事は己が成長へとつながるものだろうが、ウィリアム・ベルグシュラインが主君よりも求められるのはどこまでも私情を挟む事無くただ粛々と神敵を屠る剣としての在り様に他ならない。そしてそんな存在が妻を娶れば余計なバグを発生させてしまう事に繋がりかねない。主君への忠義こそが絶対なればこそ絶対剣士は刃こぼれ一つ生じぬ無双の神剣足りうるのだ。故にウィリアム・ベルグシュラインに劇的な物語(ドラマ)が訪れる事は無い。主君への忠義と比肩しうる大事なものが出来てしまえば、その時点で()()()()()()()()()()()()完全無欠の神剣足り得ないのだからーーー最も、もしも斬空真剣(ティルフィング)が愛を知り一振りの剣から人間へと生まれ変わるような事があればそれさえも寿ぎ利用するだけの器を絶対神(ヴェラチュール)は持っているが。

 

「そう決めつける事もないと思うがな。私も妻と出会うまではそう思っていたが、実際に彼女と出会った事で多くの事を学び多くの喜びを知った。お前の主君であるヴェラチュール閣下も常々言っている事だろう、この世は総じてあればあるほど良いのだと」

 

 そうした事情を半ば理解しながらもアルフレッドは兄として弟へのお節介を行う。それは傍から見る分には任務一筋で不器用な弟を気遣う社交的な兄という微笑ましい光景だ。いや傍から見ているだけではなく実際話している当人自身もそう思っているだろう。しかし、兄が送る弟への助言の中にはどこか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と主張する意図が当人自身も気づかぬレベルで含まれていた。

 

「ふむ、大分吹っ切れて来たけどまだ完全にとはいかないか。まあここまで来たらもう後5年と行ったところかな。順調にいけばそう遠くない内に子供も出来るだろうしね」

 

 そしてそんなアルフレッドの様子を見て神祖スメラギは現時点での完成度を評し、そう遠くない内に歴代最優の使徒の誕生を予見する。

 

「流石の手腕だなスメラギ、改めて礼を言っておく」

 

「礼を言うのはこちらの方さグレン、()()使()()()()()()()()()()()()だろうにこちらの方に回してくれてありがとう。おかげでせっかくの逸材を無駄にせずに済みそうだ」

 

「何、あのまま()()使()()にしては十中八九弟に対して劣等感を拗らせるのは目に見えていたからな。せっかくの逸材、みすみす使い潰すには余りに惜しいというものだ」

 

 二人同時に己の使徒にすれば自分の力が大幅に弱体化するーーーそんなものはもはや遠い昔の話。この1000年歩み続けて余さず己の糧として弱点を一つずつ潰してきたグレンファルトにして見れば当然ながらとうの昔にそんな欠点は潰している。では何故アルフレッドに対してそんな嘘をついたのかと言えば、無論そうでも言わなければアルフレッドが自らの使徒になる事を願い続ける事になると判断したからに他ならない。そして一度己の使徒にしてしまえば間近で見る絶対剣士の輝き(ヒカリ)に目を焼かれ続けてーーー当然のように厄介な事になるだろうという事が予見したが故だ。

 

「ま、ご覧の通り経過は極めて順調。その成長は極めて理想的と言って良い。この分なら10年後には第二軍団(オプシティアン)辺りのトップは務まるようになっているんじゃないかな」

 

「種明かしをするとしたらその辺りだろうな。今明かしてはせっかく好転してきたのが台無しになりかねん」

 

「うん、それが無難だと思うよ。何、彼は()()()()だから理解してくれるさ。何といっても君の使徒になっていたら大切な奥さんと出会えたかだってわからないんだしね」

 

 あの時嘘をついたのは偏にお前の未来を想えばこそだったのだという言葉、それを歴代最優の使徒となったアルフレッド・ベルグシュラインは当然のように理解するだろう。「感謝しています。それのおかげで俺は大切な妻に出会えたのですから」とそんなどこまでも神祖の期待通りの反応と共に……




ベルグシュライン卿が統率80後半武勇カンスト他は全部60後半~70前半のユニットだとするなら兄上は武勇90で他も全部80後半の万能ユニット。精神性等含めて要はジェネリック神祖。
原作は戦闘メインの話なので活躍するのは弟の方だけど歴史ゲームとかにした場合使い勝手が良いのは兄の方。使徒の中でも歴代最強の弟と歴代最優の兄。大体そんな感じの兄弟。

次話にて完結の予定
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