役立たずのフルンティング   作:ライアン

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某作品に影響されてうおおおおおお俺も神祖のクソぶりをもっとちゃんと描写しておくべきだったぜえええええとなって描いたIF短編です。救いのないバッドエンドなので前話で綺麗に完結したと思っている方は見ない方が良いと思います。


凡庸なるアルフレッド(バッドエンドIF)

 

 カンタベリー聖教国は新西暦に於いて最も平和な国だと言われている。海という天然の防壁によって囲まれた島国という立地、宗教国家という立ち位置を利用した巧妙な外交的な立ち回り、これらが幾度となく侵略者の野望を挫いて来たのだ。それはクリストファー・ヴァルゼライドという稀代の英雄が約束された玉座へと戴冠を果たした軍事帝国アドラーも例外ではなかった。カンタベリー本土への侵攻計画は幾度となく策定されたがそれが実行に移される事は無かった。無論外敵による侵略を受けない状態だったからと言って、国内の政治それ自体が腐敗していれば到底平和とは言えなかっただろうが、そちらもまたカンタベリーはどの国よりも安定していた。平民に生まれたものが立身出世を目指すという事こそどの国よりも困難だったものの、カンタベリーに存在する貴族階級は他国に比べて良識的な者が多かった。流石に腐敗と無縁等という事こそなかったが、そうした不正はやがて暴かれて裁きを受ける事が聖教国の常であったのだ。神の祝福を受けた国、それこそが我らが住まうカンタベリーなのだと民は信じた。信じていたのだった。

 

「…………」

 

 “牢獄である今の世界を解放する為”そんな大義の下犠牲となったある村落の事後処理、それを終えた神祖の忠実なる使徒足るアルフレッド・ベルグシュラインは深いため息を吐き出す。

 

「これは……第二太陽によって牢獄となった今の世界を解放する為のものだ。彼らの犠牲は決して無駄などではない。神祖(カミ)の悲願が成就した暁に彼らのような弱者こそが恩恵を受けるのだから」

 

 そう主君である神祖によって教えられた大義名分(お為ごかし)を自らに言い聞かせるようにアルフレッドは口にする。

 

「何より神祖の方々はこの犠牲以上のものをこの国に齎し続けて来た。聖教国が新西暦の中で最も平和な国だと言われているのは偉大なる神祖(かみ)が居たからこそだ」

 

 それは事実だろう。本来ならば起こる階級制に伴う特権階級の腐敗と制度の硬直。そうしたものが起こらず腐敗した貴族が軒並み粛清されているのも、時代の変化に対応して大規模な政変が起こらぬまま制度が適宜修正されているのも総て手綱を握る神祖が居たからこそだ。

 数の収支で物事を考えるなら、あるいは国というものを運営する巨視的な視点で見るのならば、この世界に生きる誰よりも経験を積みながらも、時代の変化に対応するべく謙虚に学び続ける絶対者が君臨している益の方が明らかに勝っているだろう。

 

「そうだ、感傷に流されるべきではない。手の白い支配者など居はしないのだから。10を救うために1を犠牲にする選択を取らねばならぬ事があるのが上に立つ人間だ。騎士として功績を挙げる為に幾度となくやって来た事ではないか?ただ今回犠牲となった1によって救われる10が今ではない未来の人間だけだという事。未来の投資の為にやむなく今の人間へと負担を求める事もまた国を長期の視点で治める場合は避けては通れぬ事だ」

 

 それも事実だろう。アルフレッド・ベルグシュラインは第二軍団団長という要職に就いている男、命の計算が出来る人種だ。これまでとて10を救う為に1をやむなく切り捨てる等という事は散々にやって来た。むしろそれが出来ぬ者は一兵卒ならまだしも多くの部下を預かる士官には向いてない人種だろう。故にそうした軍務とこれの何が違うというのか?最大多数の幸福の為に少をやむなく切り捨てるという点に於いては何も変わらないではないかーーー等ともっともらしい詭弁で以てその行為を正当化しようとする。

 

「何よりも今日の私があるのは総て偉大なる神祖(かみ)が弟共々孤児であった我々を拾い上げて育て導いて下さったからこそ。お前はその恩義と信頼に背くというのかアルフレッド?そのような忘恩の行為、それこそ騎士の道に背くというものだろう」

 

 そうしてアルフレッドは自らの中にある罪悪感、それを最もらしい理屈で以て蓋をする。

 

「……らしくもない感傷だな。こんな事はもう何度もやってきたというのに。今更最もらしく罪悪感に浸るなど本当にらしくない」

 

 一回目は煩悶した。主君である神祖スメラギから大義の為の必要な犠牲だと教えられた後も妻と我が子、そして真の意味で騎士の鑑という形容に相応しい豪快に笑う友の顔がちらついた。今の自分は本当に彼らに誇れるような男なのかという想いが過った。しかしそんな自分の苦悩を見透かしたかのようにかけられた言葉によってそれらを吹っ切ったはずだった。そしてそれから幾度も神祖の求めるままに実験を行った後の後始末を行ってきた。そうして一度一線を越えてしまえば後はもう流れ作業だ。相応の葛藤を抱けどもそれらを飲みほす(誤魔化す)事にも相応に()()()()()はずだったというのに。

 

「……ザンブレイブ卿の影響か」

 

 数週間前まで自らの部下として働き弟の下へと栄転した後輩(新たな使徒)の姿、それをアルフレッドは思い浮かべる。巷の風評にあるような傑物というわけではなかった。慈愛に満ちた聖人というわけでもなかった。欲と怠惰に流されやすいその様はとてもではないが巷で噂されている“平民の希望”だなどとはとてもではないが思えないだろう。

 

「……彼は素朴に信じていたな。騎士とは民を護る存在である事を」

 

 だが彼には()()()()()があった。既に使徒というそこらの貴族を歯牙にかけないこの国の上流階級へと仲間入りを果たしていながら捕食者側の論理に染まり切っていなかったのだ。そしてそれこそが傑物でも聖人でもない俗物でありながら、ルーファス・ザンブレイブが広告塔として見込まれて使徒へと選出された理由だったのだろう。そんな平民の為の騎士を見事演じて見せているルーファスの姿がアルフレッドの心の中に堆積していた想いを刺激したのだ。

 

「……感傷に囚われるな。私とルーファス卿とでは求められている役割が違う。彼はアレで良い。ああいう男だからこそ彼は平民の希望足り得る。私は違う。私は神祖の忠実なる剣にして調停者。皇国守護騎士団、その一角足る黒曜騎士団(オプシディアン)を滞りなく運用する事こそが私の役目だ。そうだ、私ならば理解出来る。呑み込む事が出来る。これらの葛藤を。それこそがルーファス卿でもウィリアムでもなく私に求められている役割なのだから」

 

 情だけでは国や組織というものは回らない。さりとて理や利のみでも人間は動かない。情と理、そして利。それらを上手く使いこなす事こそが上に立つ者には求められる。そしてそれこそが理に従い主君の敵を討つ絶対剣士でも情によって衆生を照らす雷鳴福音でもない、最優の使徒足るアルフレッドへと求められている役割だ。

 

「そうだ……それこそが私に求められている役目だ。綺麗ごとだけでは世の中というのは回らぬし、人間とはそうそう理想通りに生きられぬものなのだ」

 

 自分を騎士の鑑と信じ尊敬する息子の姿、それがアルフレッドの脳裏に過る。感じた後ろめたさ、それを封じ込める。もしも自分が感傷に囚われて己が役割を忘れようものならそれこそ待っているのは家族そろって破滅の末路なのだからと誤魔化して。

 

「すべては我らが神祖(カミ)の御心がままに」

 

 故に抱いた葛藤は内面で消化され、表に出るのは神祖への忠誠の言葉。

 神祖の為の名刀(フルンティング)を最優の使徒足らしめる恩義、信頼、畏怖の三つの柱は依然健在。

 自らの中に確かに存在する罪悪感を主君への忠誠で以て糊塗してアルフレッド・ベルグシュラインは愛する妻子には決して言えぬ悪事へと加担し続けるのであった…… 

 

・・・

 

「やあ久しぶりだねアルフレッド、壮健そうで何よりだよ」

 

「教皇猊下に於かれましてはご機嫌麗しく。して危急の要件とは一体?ただならぬ事態が起こったとは理解しておりますが」

 

 主君である教皇ーーー否、神祖スメラギより下された危急かつ内密の話がある故至急皇都クルセイダルに参上せよとの命。それに応じて神祖スメラギの下を訪ねたアルフレッドは居合わせている面々の顔ぶれで否応なしに事態の重要性を理解する。四柱の神祖とそして現在いる使徒の中でも自分と同じく最古参である絶対剣士。そして最優の使徒と謳われる自分。わずかその6名のみ。

 本来ならば居合わせて然るべき他の使徒も、そして神祖へと忠誠を捧げる聖教国の中枢を担う数百名の精鋭も居ないというかつてない事態。情報を知る者を最低限にしなければならない特級の秘匿事項に当たる何かが話される事は間違いがなかった。

 

「君はとても良く神祖(ぼくら)に仕えてくれた。単純な戦闘能力という点ではそこにいるウィリアムに譲れど総合力という点に於いては使徒の中でも最優と言って良い。もう数年もすればグレンに次ぐ皇国騎士団のNO2に就いて貰おうというかつて伝えた言葉、これは僕ら四人全員の総意だ」

 

「……勿体なきお言葉」

 

 主君からの絶賛と言って良い自身への賞賛。それを受けてアルフレッドは喜びと同時に訝しむ。

 はてこのような前置きをわざわざするとは一体どういう事だろうか?これから行われるのが自分が皇国騎士団のNO2となるに真に相応しいかを推し量るための最終試練という事なのだろうか?と主君からの続きの言葉を待つ。

 

「故にこれから起こる事、それは決して君が何かの不忠をしたというわけでも失態を犯したというわけでもない。運命の皮肉とでもいうべき物であり、まあ端的に言って()()()()()()というだけの話だ。納得しろとは言わないから理解してくれたまえ、僕らにとっても()()()()()だったんだ」

 

「は?それは一体……」

 

 主君から告げられた謝罪の言葉。それにアルフレッドの意識が割かれた瞬間

 

「!?教皇猊下!これは一体ーーーゴフッ。ガ……ハ……」

 

 突如として起こった自身の胸の中にある()()()()()()()という慮外の事態。

 それによってアルフレッドの意識が驚愕で埋め尽くされた刹那、振るわれた()()()()()()()()()がアルフレッドの両の腕を飛ばし、胸部からは真紅の花弁が舞い散った。

 

「な……ぜ……」

 

「すまんなぁアルフレッド、()()()()()()()()()。スメラギの言う通り、とても良く俺達に仕えてくれたとも」

 

「ええ、本当に。貴方はこの千年の中でも最上位と言って良い位よくできた使徒だったわ」

 

「故にこれは我らにとっても真実()()()()()という奴なのだよ。すまんなぁアルフレッド、()()()()()と思っている。せめてもの誠意としてお前の事は非業の英雄として語り継ごう。どうか安らかに眠ってくれ」

 

 奇跡を起こす余地など微塵も与えない。どうか真実を知らぬままにわけもわからぬままに逝ってくれと放たれた神祖イザナの星光がアルフレッドをオウカごとのみ込みその身体を塵すら残さず消滅させる。

 不死の所以たる翠星晶鋼を奪われたアルフレッドの肉体は神祖オウカとは異なり、再生されず。アルフレッド・ベルグシュラインは何故自分が神祖より切り捨てられたのかもわからぬままにこの世を去ったのであった。

 

・・・

 

「すまないねアルフレッド……本当にすまない」

 

 ほんのわずかな間皇悠也はその目を閉じて手にかけた自らの腹心へと黙祷を捧げる。

 

「辛いか、悠也?」

 

「そりゃあね。アルフレッドはとても良く仕えてくれたというのにこちらの都合で一方的に切り捨てたんだ。とても胸が痛むよ。出来る事なら彼にはもっと幸せな終わりを迎えて欲しかった」

 

 嘘ではないのだろう。スメラギの語る言葉に自分が殺した部下に対しての確かな哀切の念が宿っていた。

 

「うん、でも大丈夫。()()()()()()()()()。別にこちらの都合で部下を一方的に切り捨てるなんて事この千年散々やって来た事だしね。今更()()()()で休んでなんてられないよ」

 

 しかしそんな人間らしい様子を見せていたのもほんのわずかな間。3秒後そこに居たのは本当に哀しんでいるのか?と疑いたくなるほど常と変わらぬ姿であった。

 

「ああ、そうだな。俺達には責任がある。世界を今のように変えてしまった者として、そして数多の命を犠牲にしてきた者としての責任が。立ち止まる事など許されない。より善き世界を作る事で彼らの死に報いねばならないだろう」

 

 そのためにこそ神祖は千年もの間歩み続けたのだから。

 

「しかしまあとんだ運命の悪戯もあったものよなぁ。まさかアルフレッドの娘が我らの計画の要となる集束性と拡散性に高い素養を持った魔星となる素質を持っていた等と。

 これが単なる平民であれば最優の使徒を処分する等という苦渋の決断を下さずに済んだのだが……まあ実際にそうであった以上は致し方ない。良く仕えてくれた腹心であろうと市井を生きる民であろうと()()()には変わらないのだから。

 犠牲に見合うだけの益があると判断したならば、()()()()()()そうしなければならんだろう。それこそが統治者足る者の務めというものなのだから」

 

 神祖イザナはこの国とそしてこの国に生きる民を愛している。願う事ならば総ての者が幸福に暮らし、その生涯を終えて欲しいと心から思っている。

 そしてその上でそんな民を己が大望の為に犠牲にし続けたのだ。ならばこそその天秤に乗ったのが高く評価していた忠臣の命であろうとも躊躇う事は無い。

 その死以上の益があると判断すれば躊躇う事無く犠牲にする。ーーー何せこの千年の間に彼女は忠臣どころか実の我が子を相手にしてもそれを行ってきたのだから。

 

「でも本当に良かったの?私の目から見たアルフレッドはこの千年の中でも最高峰の完成度を誇る使徒だった。やり方次第では()()()()()()()()()()()()()()()ように持っていく事だって出来たのではないかと思うのだけれど?」

 

 オウカ・鳳・アマツはアルフレッド・ベルグシュラインの事を高く評価していた。少々危ない傾向が見える自らの使徒も見習ってくれれば良いと思う程に。故に惜しく思う。必要なのはあくまで彼の娘なのだから、やり方次第では彼を殺さずに済ませられたのではないかと情ではなく合理の側面から惜しく思う気持ちが存在するのだ。

 

「それはないよ、オウカ。()()()()()。その二択を突きつけたらアルフレッドは迷った末に家族を選ぶ男だった。だからこそこうするのが最善だったのさ。散々に迷った末にそれでも自分にとっての大切な少を護ると決めた存在、そうした手合いがどれだけ厄介かはこの千年の間で散々味わって来ただろう?」

 

 アルフレッド・ベルグシュラインを最優の使徒足らしめていたのは彼の神祖への忠誠を支える三つの柱が総て健在であればこそ。

 その柱に神祖に従い続ける場合愛する家族が死ぬ事になるという亀裂が走った時、名刀は主に仇なす魔剣へと変貌する。

 それこそ初代使徒エドワードにさえ匹敵する脅威になるだろう。だからこそ真実を教える事なくわけもわからぬままに逝って貰うことにしたのだ。

 

「光の為だの明日の為だのに戦う亡者共も厄介だが、愛の為に戦うと決めた者もまた厄介だからなぁ。先手を打っておくに越したことはない」

 

「そう、貴方達がそういうならまあそうなのでしょうね」

 

 オウカは自らがこの手の感情の機微に関する分野では4人の中で一番疎いという自覚がある。ならばこそそうした機微を熟知しているスメラギとイザナの両名がそういうのならばそうなのだろうとあっさり受け容れる。

 

「しかし良かったのかいウィリアム、何せ今回は君にとっても相手が相手だ。拒否したとしても別段僕らはそれを咎めるつもりはなかったんだが……」

 

「お言葉ですが、質問の意味が分かりかねます教皇猊下。真実を知った時兄はその身に課せられた責務と忠誠よりも家族への情愛を優先させる人種であり反乱の危険があった。故に先手を打ち処断する必要があった。そしてその犠牲に見合うだけの益は確かに存在する。猊下の語った論は筋が通った物であり神祖の剣足る私がそこに背く道理など全くないように思うのですが?」

 

 淡々とした様子で刀剣は答える。そこには実の兄を手にかけておきながらも後ろめたさを感じるような素振りも自己弁護の色も全く見られない。陶酔とは程遠いどこまでも透明な神祖への忠誠だけが存在した。

 

「いや、そうだね。君の言う事はとても正しい。つまらない事を言った。忘れてくれ」

 

 この千年の中でも初めて見る最高傑作。その完成度を前にスメラギは苦笑しながら自らの不明を詫びる。

 

「よくもまあ此処まで仕込んだものだなぁ。兄は兄で最高峰と言って良い完成度だったがそれでも流石にこれはけた違いだ。ここまでの完成度の奴を見るのはこの千年でも初めてだぞ」

 

「ウィリアムは俺が育てた!……等と言えれば格好が付くのだがな。こればかりは本人の素質に依る部分が大という奴だろう。いやはや師として俺も鼻が高いというものだよ」

 

 仲間からの賛辞それに対して誇らしげに応じた後絶対神は神剣へと託宣を降す。

 

「さて斬空真剣(ティルフィング)よ、お前にはもう一働きして貰いたい。残されたアルフレッドの妻子、これを確実に仕留めて来て貰いたい。お前ならばそれこそ相手が何もわからぬままに一家全員を葬り去る事が出来るはずだ」

 

「仰せのままに、我が主」

 

 義姉を甥を姪をその手にかけよという主君の命にも絶対剣士は何の反発も見せない。何故ならばそれは無意味な殺戮ではなくその犠牲に見合うだけの益がある必要悪なのだから。主君の命じるままに一切斬滅、それこそが斬空真剣へと課せられた役割なのだから。

 

「イザナ、君の方は」

 

「ああ、わかっているとも。アルフレッド・ベルグシュラインとその一家は聖教国に恨みを抱くテロリスト共によって殺されて非業の死を遂げたーーーとそんな感じの情報が出回るように手を打っておくとも。せめてもの誠意として悲劇の英雄として語り継いでやらねばな」

 

「頼むわよ。シュウとリナも流石にあの子の死まですんなり呑み込める程には()()()()にはなれないだろうから。その辺しくじると面倒な事になりかねない」

 

「わかっているとも。何せその筆頭が私の可愛いルーファスなのだから。アレはアルフレッドに劣等感を抱きながらも良くしてもらったと感謝も尊敬もしていたからな。そのアルフレッドを我々が殺した等という事は知らない方が幸せというものさ。真実というのは何時だとて耳に痛く受け止め難いものだからなぁ」

 

 自らにとっての都合の良さ、それをさも相手の為を思ってやっているようにすり替えながら狡猾なる四柱の悪魔は事後の対応へと当たっていく。

 

「ああ、そうだな。アルフレッドの奴は多くの者から慕われるとても良くできた奴だった。その死を知り、多くの者が嘆き哀しむ事だろう。そしてならばこそ我々は立ち止まるわけにはいかない。その犠牲、必ずや明日へ続く礎へと変えねばな」

 

 上に立つ者の責務。それはその死を嘆き哀しむ事等ではない。その死が無駄ではなかったと証明してやる事なのだと。

 

「無限の希望も絶望も重ねた総てが俺達の力だ」

 

 四柱の神は止まらない。千年歩み続けた末の“勝利”、それをその手に掴み取るまでは……

 

 




Q;こんな事をして心が痛まないんですか?
神祖:悪いとは思っているよ。だからちゃんと非業の英雄として語り継ぐし今回は族滅だったけどそうじゃない場合はちゃんと遺族への保証だって怠らないしその死は決して無駄にはしないよ!
絶対剣士:兄とて散々最大多数の幸福の為に少を犠牲にしてきたのだからいざ自分の娘がその少になったからといって自らに課せられた責務を放棄して反逆しようとする兄の行いこそ筋が通っていないものでは?(自己正当化の色など欠片もない素朴な疑問)
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