Tales of the Force -lyrical Crisis- 作:天羽々矢
どんな物にも光と影があるように、どの世界にも必ず表と裏が存在する。
これは、その世界の裏・・・闇と影の世界に身を置きながらも平和を重んじる1人の人間と、それを取り巻く者達の物語である・・・。
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世間で“JS事件”と呼ばれる大規模テロから1ヵ月近くが経った頃、街は未だ復興ムードが漂い続けている。
その中で1つの新聞の1面記事が世間を騒がせていた。
【元時空管理局一佐、金色の閃光により拘束されるも起訴ならず!?】
【本日、時空管理局当局はフェイト・
その記事の通り、悪党が法の裁きを逃れのさばっている。馬鹿げていようが珍しい事ではないだろう。権力者は己のありとあらゆる力を利用し罪から逃れようとする。うまく周囲を操る事ができれば難しい話ではない。だが当然それを市民達はよしとせず、復興中でありながらも悪人を裁けと街中でデモ行進が起こる危険も孕んでいる。
そして、その市民の中で1人、動き出す人影が・・・
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人気が無くなったクラナガンと呼ばれる都市の深夜の低所得者街の橋の上、そこに件の人物はいた。
日焼けしているかのような褐色の肌にスキンヘッド、悪党然とした悪い目つきに管理局指定の茶色の制服の男。彼こそが法から逃れた悪党“オーウェン・テンペニー”である。
「チッ、三提督とか抜かす老いぼれ共がいねぇからって羽目外し過ぎたか・・・フェイト・T・ハラオウンか、覚えたぞ、その名前。いつか俺に逆らった事を後悔させてやる・・・」
手下らしき1人の男を従えながらも自らを裁こうと出たフェイトに対し明らかな憎悪を見せるように吐き捨てる。
そしてすぐ近くに停めてある車に乗り込もうとした時だ。
「うわっ・・・!!」
突然手下の男が悲鳴を上げ、そして橋から転落。下の川に落下した。
「何っ・・・!?」
突然の事態にテンペニーは驚きを隠せない。ふと正面に気配を感じ視線を正面に戻すと黒いロングコートに付いているフードを目深くかぶった、下も黒のジーンズ、インナーも黒と全身黒ずくめの人間が立っていた。体格からして恐らく男であろう。
そしてその右手には赤い液体・・・人間の血が付着している刃物、直刀と呼ばれる部類の日本刀が握られている。
「な、何だお前は!?俺を手にかけるつもりか!?」
テンペニーは目の前の男の放つ威圧感に呑まれているのか及び腰になりながら後ずさる。それに対し黒衣の男はゆっくりとだが確実にテンペニーに迫る。
「お、お前なんざ簡単に潰せるんだぞ!?もし俺を手にかけてみろ、タダで済むなんざ・・・!!」
「法や管理局がお前を許しても、俺はお前を許さない」
テンペニーの言葉を遮り黒衣の男は口を開いた。それはまだどこか少年のような雰囲気を残した青年の声であるが、その声には目の前にいるテンペニーに対しての明確な怒りと憎悪が感じられ、刀を持つ右手にも力が入っているのが分かる。
「ひぃっ、く、来るなっ!!」
テンペニーは遂に恐怖に負け黒衣の男に背を向け走り出す。が、黒衣の男は低く構えると一瞬で距離を詰め右手に持つ刀をテンペニーの背に向け振り下ろした。
「ぐっ・・・この俺が、こんな・・・」
背中を大きく斬られたテンペニーは苦し気に声を出すが、そこで黒衣の男の事で何か思い出したのか目を見開き、
「・・・思い出したぞ・・・黒ずくめの人斬り・・・お前が・・・“闇の執行者”か・・・」
それだけ言い、テンペニーは力なく橋から転落し手下と同じように川へ落ちた。
闇の執行者と呼ばれた黒衣の男はその様子を見届けると、すぐにその場を移動する。