Tales of the Force -lyrical Crisis-   作:天羽々矢

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OP:幻想の輪舞/黒崎真音


3 レクサスとアリシア

オーシャンハイツ・アパートメントを出て、レクサスとアリシアはレクサス所有のハーレーダビッドソン・ソフテイルFLSTCの改造バイクで東島北部、バイスポイント地区の北部にあるノースポイントモールに足を運んでいた。

 

2階の衣服店でアリシアの買い物に付き合い支払いを済ます際に2人が提示したIDにはこう表記されていた。

 

Leonard(レナード)O'Conner(オコナー)

 

Alice(アリス)F(フィオラ)O'Conner(オコナー)

 

それが()の2人の名だ。出発前にレクサスが言った通り、2人の本名は表沙汰にすると面倒なのである。

 

アリシアの買い物を済ませ、今2人は1回のフードコートで昼食をとっている。ちなみにメニューはフルーツスムージーとクロックムッシュ。レクサスは自分の好物であるチリドッグをペットボトルの緑茶で流し込んでいる。

 

食事の間、レクサスはノートPCでネット情報を漁り何か変わった事が無いか調べている。もっとも、この街(バイスシティ)ではその変わった事が日常茶飯事として起きているが。

そんな時レクサスの持つ携帯端末のバイブが鳴り、画面を確認するとミッド東部地方の別の都市、リバティーシティで仕事をしていた“仲間”が仕事を終えてこれからバイスシティに戻るという内容のメールが届いていた。

 

「もしかして、あの子から?」

 

「当たり。仕事が終わったから()()()()バイスに戻るって」

 

早く2人、あるいはレクサスに会いたいが為に愛用のバイクをかっ飛ばそうとして同僚の3人に止められる水色の髪の女性の姿を想像し2人は思わず吹き出してしまった。

だがすぐにレクサスは残っているチリドッグの一片を口に放り込み緑茶で流し込むと、アリシアの荷物である紙袋を持って立ち上がる。

 

「さて、今度は俺の買い物を済ませないと」

 

「あ、待ってよ~」

 

すぐに移動を始めたレクサスを追うべく、アリシアも残っているクロックムッシュを口に押し込むとすぐに椅子から立ち上がり後を追う。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

次に2人が入ったのはノースポイントモールの関係者以外立ち入りが禁止されている区画。レクサスは周囲に自分たち以外誰もおらず、サーチャーも設置されていない事を確認すると重厚な扉を開け中へ入る。

 

その先は薄暗くとも広い空間となっており、そのスペースの一角の壁には、ミッドチルダを始めとした次元世界では既に違法とされている武器、銃火器が掛けて並べられていた。そしてその先にあるカウンターに佇んでいる赤い甲冑魚のようなフェイスマスクを着けた男に近づく。

 

「おや、これはこれはレナード・オコナー君じゃないですか。ご注文の物は仕上がってますよ」

 

少しぼんやりとした口調だが、男はカウンターの下から無骨だがスマートな黒い物体・・・拳銃を取り出しカウンターに置く。

 

「ご注文通り、消音器(サイレンサー)を付けられるようにしておきましたよ」

 

「ありがとうございますシンカイさん。それとこれ用のマガジン3つと彼女用に別の物を1丁お願いできますか?できれば装弾数が多くて扱いやすい奴を」

 

「え~っと、ちょっと待ってくださいね」

 

レクサスにシンカイと呼ばれた赤マスクの男は注文を受け奥へ入っていった。

シンカイが立ち去ったのを見ると、レクサスはカウンターに置かれた拳銃、“スプリングフィールド XDM”を手に取り射撃の構えだけをとって感触を確かめる。

 

XDMはスプリングフィールド・アーモリーがHS2000拳銃をコピーして販売したXDを一新した新モデルで前のXDよりもスマートになりより握りやすくなっている。

レクサスのXDMは.45ACP弾を使うモデルだ。

 

「随分と暇そうだねトラヴァ?」

 

XDMの感触を確かめながらもレクサスはカウンターの奥の方で新聞を読む1人、トラヴァと呼んだ肩まで届く藍色の縮れ毛の髪の男に声をかける。

 

「別に見てくれ程ヒマじゃねぇのよこれでも。他に仕事あんだし」

 

「へぇ~、流石“ミッドチルダ最速の何でも屋”ってとこ?」

 

「おぉ何だケンカ売ってんのか、よし買っちゃうよ?」

 

レクサスの発言を挑発と受け取ったのか、トラヴァは読んでいた新聞を投げ捨てレクサスを睨みつける。レクサスもお返しと言わんばかりに睨み返し一見すると険悪な雰囲気だが、これが2人の割と普通のやり取りである。

そこへXDMとは別の拳銃を木箱の上に載せて両手で持つシンカイが戻ってきた。

 

「はいはいお二方毎度のやり取りはお終いですよ」

 

そう言いながらシンカイは木箱をカウンターに置く。レクサスは木箱の上に置かれている拳銃を一目見て判別した。

 

「これってPx4?」

 

「当たり。“ベレッタ Px4 Storm(ピーエックスフォー・ストーム)”。簡単にグリップを換えられるしバレル、マガジン、スライドの取り換えるだけで9mmパラベラム、9mmIMI、40S&Wと多様の弾を使える初心者にはイチオシのブツですよ。ちなみにこれは9パラの方ですね、弾数は17まで入りますよ」

 

シンカイが解説を挿み、レクサスはPx4の銃身を握るとグリップの方をアリシアに向ける。アリシアは武骨だがどこか威圧感を放つ雰囲気に思わず息を呑んだが意を決し左手でグリップを握りグリップ下部に右掌を添え射撃の構えを取ってみる。

 

「・・・良さそうだね」

 

アリシアの構えを見て判断したのかレクサスが僅かに笑みを浮かべ頷きながらそう言い、カウンターに20ドル札を20枚束ねた物を置いた。

シンカイがそれを見て電卓を取り出し、お札を数えて電卓に数値を入力し計算する。

 

「丁度ですね~毎度ありがとうございます~」

 

会計終了の言葉を聞きレクサスとアリシアは部屋を後にする。

だが部屋を出たレクサスは先ほど見せた笑みではなく、アリシアを心配するような表情だが、それに気づいたアリシアは首を横に振って何かを否定する。

 

「心配しないで、もう覚悟は決めてる。今私が生きてるのもレクサスが()()()()()から。そうじゃなくても私はレクサスだから着いていくんだよ。だから私はレクサスが望むのであれば何でもするよ。・・・たとえ管理局を敵に回す事になっても、ね」

 

笑みを浮かべながらも語ったそれはアリシアの決意。レクサスに救われてからずっと秘めていた思いだ。

 

「・・・ありがとう」

 

その思いにレクサスは感謝を述べアリシアの頭の頭を撫でる。

アリシアは気持ちよさげに目を細め、猫のように甘えている。だが2人の時間ももう終わり。用事は全て済ませたので後は帰宅するだけだ。

2人はそのままモールの駐車場に止めてあるレクサスのハーレーに乗り帰路に就いた。




ED:DREAMCATCHER/ナノ
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