Tales of the Force -lyrical Crisis- 作:天羽々矢
レクサスとアリシアが今回行われる盗掘品の違法取引の関係者と思われる人物の顔写真を撮り終えて翌日、写真が仕上がった為にここから本格的な捜査に乗り出す。
今のオーシャンハイツ、レクサスの部屋はまるで捜査室のような雰囲気である。
「なんか管理局の特別捜査みたいだね♪」
「レヴィ、いつまで
昼下がりの部屋でレヴィは昼食に用意されたハンバーガーを頬張っており、集められた情報を纏めた書類に目配せするディアーチェに怒られる。
そんな2人を後目にテーブルに置かれたノートPCで情報を探っている2人、シュテルとユーリだ。
昨日は眠っていて分からなかったユーリの金色の瞳もしっかりと開かれている。
「ユーリ、女性の方は分かりましたか?」
「あ、はい」
シュテルから突然問いかけられるも、ユーリは何とか対応してPCを回して調べ上げた情報を纏めた画面を見やすくする。そしてその画面をディアーチェとハンバーガー片手に立ち上がったレヴィが覗き込む。
「名前は“オーフェリア・アル・シュヤ”。管理世界だけでなく管理外世界でも活動してる大犯罪組織“
「“だつごくしゃ”ってやつ?」
「食しながら喋るな口の中の物が飛んだぞ!!」
画面を見てハンバーガーを食べながら喋るレヴィにディアーチェが怒鳴る。
するとそこでドアノブの音がし、何やら書類を片手にレクサスとそれに付き従うアリシアが入室してきた。
「やっぱりだ、あの黒スーツの男どっかで見覚えがあると思ったんだ」
そうぼやきながらレクサスはテーブルの上に持っていた書類を置いて見やすくなるように広げる。
その書類には逆立てた金髪に色白の肌の男の顔写真が入っている。
「“キャメロン・レイエス”。リバティーシティで今1番力を持つ投資家でアレクトロ社の最高幹部、そして・・・
少し含みのある言い方だったがその声には明らかに怒気が孕んでおり。それを隣で聞いているアリシアも怒り心頭といった表情だ。
「見覚えがあると言いましたが、レクサスはこの男と面識が?」
ふと気になったシュテルが質問するが、レクサスは怒りを隠す様子も無く答える。
「9年くらい前かな。その時管理局の捜査官見習いだった俺は暴走事故の事が気になって改めて事故の詳しい経緯を調べた。調べ上げるのにはホントに苦労したっけな・・・。で、アレクトロを挙げられる証拠を掴んでそれを管理局上層部に提出した。けど・・・」
「けど・・・?」
「・・・特別報奨と長期休暇を
レクサスのその発言にシュテルはおろか室内の誰も発言できなくなってしまった。レヴィでさえもハンバーガーを持つ手が止まっている。
だが今の話を聞きレクサスと同じかそれ以上に憤っている人物がいた。
「・・・最初に罰を下すべき輩が決まったな」
そう呟くように発言したのは銀髪の女性、ディアーチェだ。
その声には明らかに憎悪に似たような怒気を孕ませ、右手にも怒りからか力が入り震えているのが分かる。
だがレクサスは首を横に振った。
「ただ潰すだけじゃダメだ。奴が消えたところで誰かが奴の財と成果を引き継ぐ。何せリバティーで最も
「フンッ、そんな戯言で王たる我が怖気づくとでも思ったか?むしろ望むところよ。愚か者から全てを奪ってくれるわ」
「流石です、我が王」
「そうだよ!王様の言う通り悪いやつはこらしめなくちゃ!」
「そうですよ、私もディアーチェの意見に賛成です!」
レクサスのネガティブ発言にむしろやる気の炎が燃え上がったディアーチェの発言にシュテル、レヴィ、ユーリも賛同する。
そして隣にいるアリシアもレクサスの手を両手で握りしめる。
「やろうレクサス、みんなで」
それはアリシアもディアーチェに賛同する意である。
全会一致。これで次の仕事の
それをレクサス達は分かっている。
「やるにしても今のままじゃダメだ。まずは情報が要る。その後に作戦を立てないと」
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ミッドチルダ中央区画、
湾岸地区のミッドチルダ南駐屯地内にJS事件で名を馳せた奇跡の部隊“機動六課”の隊舎がある。
「ふぃ~・・・」
その部隊長室で書類仕事を終え椅子の背もたれに背中を預ける女性、はやてである。
「お疲れ様ですぅ、はやてちゃん」
「お疲れ様です、我が主」
そこにはやてに声掛けをする2人の女性の声が。
1人ははやての隣に立ち、トレイに載せているお茶の入ったコップを置く10代後半相当の綺麗な長い銀髪と赤い瞳を持つ女性。
もう1人は身長30㎝程で、青い眼である事を除けば前述の銀髪の女性に似ている。
2人ははやての家族とも言える存在でそれぞれ“リインフォース
「あんがとなリインフォース、リインもお疲れ様や」
2人の労いの言葉を聞き、はやてはリインフォースⅠが入れたお茶を口に含もうとした時、
デスクの上にあるインターホンが鳴る。
インターホンの表示には“クロノ・ハラオウン”と表れている。
信頼できる人間であった為はやては迷わず回線を繋ぐ。
〈はやて、いきなりですまない〉
「ほんまにいきなりやな、今からリインフォースが入れてくれたお茶飲もう思ってたんやけど・・・」
はやての目の前にスクリーンが映し出され、そこには黒髪の男性の姿が映っている。
その黒髪の男性こそが“クロノ・ハラオウン”その人である。
その苗字の通りフェイトとは義理の兄で本局直轄の次元航行隊の提督を務めるまさにエリートと呼ぶに相応しい人物。
機動六課の設立にも一役買っている後見人の1人でもある。
〈休息の楽しみを邪魔してしまったのは本当に申し訳ないと思ってる、だが至急調べて欲しい案件があるんだ〉
だが基本的にクロノはあまり連絡を寄こさない。その彼がこうして連絡を寄越してきたのだ。それが何を意味するかはやてはよく分かっている。
「それでどうしたん?突然連絡してきたっちゅう事は、やっぱそれなりに厄介事なんか?」
〈あぁ、まさにその通り・・・
・・・第15無人世界から盗掘されたロストロギアらしき物品の違法取引がミッド南部、バイスシティで行われるらしい。だが僕は他の案件もあって動けない。そこで六課に調査と、可能であれば取引の摘発の依頼したいんだ〉
ED:DREAMCATCHER/ナノ