Tales of the Force -lyrical Crisis- 作:天羽々矢
最初の標的をキャメロン・レイエスに決めて早3日、アリシア、レヴィ、ディアーチェは少しでも情報を集めるべく奔走。シュテルとユーリはネットワークから集められる情報を時にはハッキングしてまで集めようとしているがそのどれもがハズレのガセネタ。あまりの進展の無さにディアーチェが癇癪を起こしそうになっていた時。
「コラー!レヴィ!」
何やら既にご立腹な様子のアリシアがドアを壊しそうな勢いでドアを開けて入室してきた。
「どったのアリりん?」
「どったのじゃないよ!また私のパンツちょろまかしたでしょ!!」
アリシアのレヴィに対する怒りの発言、それはこの場に男であるレクサスがいないからこそ発言できる言葉であった。
もしこの場にレクサスがいよう物なら、今手の空いているシュテル、ディアーチェ、ユーリに目と耳を塞がれ首を外れる勢いで回されるかもしれない。
「あはは~・・・ゴメンねアリりん?ボクのパンツ、なんか全部でろ~んってなっちゃってて、アリりんのが大きさもピッタリ・・・」
「知らないよそんな事っ!!レヴィの感覚だけで勝手に人の下着使わないでよ!しかも今度はよりにもよって私の1番のお気に入りのパステルグリーンのシマシマのやつを・・・」
「何騒いでんだアリシア?下の階まで聞こえてたぞ?」
アリシアが女性ならでは(?)の怒りをレヴィにぶつけている最中、再びドアの方から声が。それも男性の声。
その声にアリシアは顔をリンゴのように赤くし、錆びついた人形のようにぎこちない動きで後ろを向く。
「あっ、レクお帰り~!」
・・・が、先にアリシアの影から顔を覗かせたレヴィが先に帰ってきた男性、レクサスの名を呼んだ。
それに先ほどの発言。自分の言葉が床を抜けて下の階にいるレクサスにまで聞こえていたらしい。そう捉えたアリシアは羞恥からかレヴィから発せられたレクサスの名を聞いた瞬間フリーズしたかのように固まってしまった。
「あれ?アリりん?」
「そんなちびひよこなんぞ放っておけ、それより何用だ?」
レヴィの行動を遮りディアーチェがレクサスに問う。
その問いに対し、レクサスは手に持っていた紙の筒をテーブルに置いてそれを広げる。それに書かれていたのはミッドチルダの東半分にかけてのエリアのリニアレールの路線図であった。
「リニアレールの路線図、ですか?」
「あぁ。バイスに先乗りしてたレイエスの手下らしい連中を尾行して手に入れた情報だから間違いは無いはず。レイエスが手配したリニアレールが今リバティーに向かってるらしい。到着は今日も入れて、あと4日」
「・・・それで?まさかその列車を追う気か?間に合わんぞ?」
レクサスが入手した情報を聞くもディアーチェは若干呆れ気味だ。だがレクサスは“待てよ、まだ大事な部分を話してないぞ?”と続ける。
「重要なのはさっきも言った通り
そこまで話した所で、内容を理解したのかシュテルが口を開いた。
「つまり、
そのシュテルの言葉にレクサスは首を縦に振って肯定する。
その後、それにと言ってレクサスは更に続ける。
「ディアーチェは間に合わないって言ってたけど別に追い着こうなんて考えてない。リバティーに向かう路線は地形の都合上どうしても高台のある場所を通らないといけない。それがここ」
徐に赤の蛍光ペンを取り出し、レクサスは路線図の一部を囲う。
そこは丁度リバティーシティの西隣に位置するイーストフロントのアルゲニア台地である。
「つまり、その高台のあるポイントで待ち伏せし列車に飛び移る、と」
「そう。だけど向こうがどんな守りをしているか分からない以上強力な突破力が欲しい。そこで今回は・・・レヴィ、お前と組む」
「ふぇ?」
いきなりレクサスに名指しされたレヴィが首を傾げた。
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ミッド南東部のバイスシティから北東部のイーストフロント州までは分かるとは思うがかなり距離がある。3日という期間内で普通に走っていては間に合わないだろうが、心配はないだろう。
それは、北に向かう
「ヤッホー!!」
水色のバイク、2017年式“カワサキ・ニンジャZX-10R”に乗っている女性は、バイク用ヘルメットを被ったレヴィである。
そしてそのレヴィを追走するのは、メタリックグレーの車体とカーボンボンネットとトランクを装着したレクサスの70年式シボレー・シェベルSSである。
本来なら転移魔法を使用した方が遥かに早く辿り着けるのだが、それでは魔法行使時の魔力反応で管理局が出張って来てしまう。それにより感づかれてしまっては意味が無いのだ。
その為か2台とも明らかに法定速度ガン無視で飛ばしまくっているが周辺に管理局のパトカーがいない事は確認済みな為お構いなしである。
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2日後・・・
イーストフロント州アルゲニア台地。
季節の移り変わりを感じさせるように木々の葉はすっかり紅く染まり、所々には紅葉のカーペットが出来上がっている。
その紅葉の森の一角にその姿はあった。
“その時”を待ちわびるように空を見るワインレッドの瞳とそよ風になびいている毛先が黒みがかった水色のツインテールを持つ女性。紛れもなくレヴィその人だ。
だが手近な岩に腰かけている今の彼女は先程までの私服姿ではない。
裏地が青の黒いマント、黒を基調に所々にレヴィのパーソナルカラーとも言える水色のアクセントを取り入れた軍服調の服装である。
それは彼女に限らず、魔導士の戦闘服とも言えるバリアジャケットと呼ばれる防護魔法の一種である。
「レヴィ、そろそろ時間だ」
そのレヴィの背後からレクサスが声をかけるが彼も先程までの私服姿ではない。
今のレクサスの服装はフード付きの黒いロングコートに黒いジーンズ、インナーまで黒と
更に左手には、鞘に収められている
「オッケー・・・」
レクサスの声に返答しながらも振り向くレヴィ。その表情は先程までの人懐っこい笑みではなく何処か好戦的な雰囲気を感じさせた。
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紅葉の森の中を駆け抜ける人影、それはレクサスとそれに付き従うレヴィだ。
レクサスが地面をダッシュしているのに対しレヴィはその近く、地面ギリギリを飛行している。
やがて2人は森を抜け、真下をレールが奔っている崖の真上に辿り着いた。そこへ丁度列車の警笛が聞こえ、見ればリニアレールがレクサス達の真下のレールを通らんとする所である。
2人は顔を見合わせ、直後にレクサスが崖から飛び降り斜面を滑り下りていく。レヴィもその隣を飛行し追従。列車が迫ってきた所でレクサスが跳躍して鞘から刀を抜刀。
列車後部のコンテナに着地と同時に刀を突き立てて身体を固定。レヴィはレクサスのすぐ左隣を飛行しついて来ている。
身体を固定し終えると刀をコンテナから抜いて鞘に収め、先頭車両に向け駆け出し当然レヴィもそれに続く。列車のコンテナ上を走り、車両間を跳びして前の車両へ移る。そして手近なダクトの上に着くと一瞬で抜刀してダクトの施錠部を切断。鞘は左腰に差しダクトを開けてレヴィと共にコンテナ内へ入る。
「やれやれ、面倒な事になったみたいだな」
コンテナ車両に入ってのレクサスの第1声がそれだった。
2人の周囲にはカプセルに似た円錐型のボディと4本のコードを持ったロボットのような機械が鎮座しており、2人の侵入を感知するとカメラが起動し2人を取り囲む。その数は10体程だろうか。
「どうって事ないでしょ?」
そんなレクサスの心境を知ってか否か、レヴィがそう返す。
そして周囲を囲う円錐型ロボットの1体が2人にコードの先端を向ける。
[
コードを向けたロボットの警告に対しレクサスは薄ら笑いを浮かべる。
そして・・・コートに忍ばせていたスプリングフィールド XDMを持つ左手を眼前のロボットに対して向け、躊躇せずに発砲。発射された銃弾はロボットのカメラアイに命中し、動きが止まった一瞬の隙にレクサスが距離を詰めて背後に回り、右手に持つ刀を振り下ろしてロボットを左斜めに切断。レクサスが刀を振り付着した金属片を払うと同時にロボットの胴体が徐々にずれていきついに倒れた。
それを確認したロボット達もコードを伸ばし臨戦態勢。それを見たレヴィも自分の
レヴィの背後から迫ってきた2体に対し瞬間移動したかのような高速度で2体の後方に移動する刹那で2体を胴体中心で横に両断。
その先は当に黒と水色の乱舞。互いに背中を向けながらも互いをフォローするような動き。時折向かい合ったかと思えば、両者同時に一閃して互いの背後にいたロボットを撃破。
4体程は車両前部に退避し、その内の1体がコード先端から魔力弾を斉射。
だがそのほとんどをレヴィの前に立つレクサスが直刀で斬り落として防ぎ、弾幕が止んだ瞬間レヴィが駆け出して射撃していたロボットを両断。
周囲にいた他の2体も勢いそのままにバルニフィカスを振り回して上下半身とで両断し、最後の1体もそのままの勢いでバルニフィカスをロボットの下から振り上げて斬り上げる。
そこにレクサスが飛び入り、レヴィが斬り上げたロボットに飛び蹴りを繰り出す。
蹴り飛ばされたロボットがコンテナ車両前部の壁を突き破り、レクサスとレヴィはそろって車両の外へ。
無積載のコンテナ車上に出ると、増援として起動したであろう同型のロボット6体が立ちはだかる。
だがその状況を見ながらも、レクサスは不敵な笑みを崩さない。
「
レクサスのその発言にレヴィも笑みを浮かべ2人揃ってロボット軍団に突撃していく。
補足だがレクサスは気分が高揚するとどうしても母国語が出てしまうらしい。レヴィは恐らくレクサスの発言の意味など分かっていないだろうが何をしようとしているかは分かっているようだ。
レクサスが間合いを詰め鞘から直刀を振りぬいて一閃。斬り上げたロボット2体にレヴィがバルニフィカスでの追い打ちをかける。追い打ちを受け機能が既に停止したロボットを今度はレクサスが再び直刀で斬り飛ばす。
そのままレクサスが突撃する中、レヴィは薙刀形態のバルニフィカスを構え、それを素早く振るう。
そこから放たれた回転する2つの水色の魔力刃が先行していた2体のロボットを弾いて後退させ、そこをレクサスが一閃。動きが止まった所でレヴィが急接近し固まっていたロボット4体を1度に斬り上げ、それを見たレクサスは1度納刀すると、落ちて来たタイミングですかさず抜刀。3連続での居合を決める。
そこを今度はレヴィが一閃。2人の乱舞の中で未だ動いていた1体をレヴィが正確に見極めそれを蹴ってレクサスにパス。レクサスは直刀を左手、それも逆手に持ち替えると空いた右手にXDMを持ち、飛んできたロボットに見向きもせずに左逆手に持った直刀でロボットを斬り上げそこに右手に持ったXDMを発砲。
見もせずに機能が停止した事を分かっているのかレクサスは刀を左腰に差してある鞘に、XMDを右腰のホルスターに収める。
そのレクサスの隣にレヴィも降り立ち、バルニフィカスをスラッシャーから通常形態へ戻す。
「イェーイ♪」
先程までの真剣さは何処へやら、そんなレヴィの声と共にレクサスとレヴィはハイタッチ。
しかし直ぐに2人は前の有蓋貨物車両に入る。
その車両の中にあったのは、1台の自動車。
レクサスのシェベルとは全くの別物である。
大きく膨らんだ前後フェンダーにラジエーターグリルが覗く大口径グリルレスエアインテークを持つオープントップのロイヤルブルーのボディに白いレーシングストライプをあしらった車。
「何これ?」
当然レヴィは知らないがその知識を持っているレクサスがその問いに答える。
「・・・・シェルビー・コブラ MK.Ⅲ。これも地球産の、しかも古い部類のクルマだ」
レヴィに説明しながらもその車、シェルビー・コブラの車内を覗くレクサス。そこで何かに気づいた。
コブラのコンソールにクラシックカーらしからぬ最新のカーナビゲーションシステムが搭載されていたのだ。それもミッドチルダ製の物だ。
「これは・・・」
「レク・・・?」
レクサスの反応にレヴィが心配になり声をかける。
そのレクサスはというと少し思案した後にタイヤについている車輪止めを外し始める。
「レク?」
「レヴィ、何も思わないのか?俺が言ってた事は?」
「え?え~と・・・」
レクサスの発言に首を傾げるも、レヴィはレクサスが何を言っていたかよく思い出す。
ロボット軍団に突撃する時、リニアレールに侵入した時、行動前、レクサスが地図を持って説明した時・・・
「・・・あ!?」
「思い出した?」
レヴィの反応を後目に最後の車輪止めを外したレクサス。そして次は室内の前の方にあるコブラのキーはが入っているガラスケースの前に移動する。
「クルマの方が電車より速い!」
「“速い”じゃなくて“早く着く事がある”なんだけど、まぁ正解に近いからよし。それじゃレヴィ、右側のドアを開けといて」
「あいあいさー!」
レクサスの指示にレヴィが貨物車両右側の引戸を開け始め、レクサスは左腰に差している直刀を鞘ごと抜くと、それをガラスケースに叩きつけケースを破壊する。
だか、引戸を全開にし終えたレヴィがリニアレール前方に橋を見つけた。
「ヤバい!レク、橋だよ!!」
レヴィの叫び声に、しかしレクサスは焦る事は無い。
破壊したケースからコブラのキーを手に入れ、そのままコブラに駆け出す。
そして運転席側のドアを左手で握るとそれを支えにドアを飛び越えてコブラに飛び乗る。そしてキーを差し込んで回すとシェルビーの手が施された7.0LV8エンジンが咆哮を上げる。
クラッチペダルを蹴って5速マニュアルミッションのシフトレバーを1速へ叩き込む。
「レヴィ!」
レクサスがレヴィに呼びかけ、彼女がそれに反応して振り向く。
レクサスの方を見たレヴィはすぐさま駆け付け、レクサスがやったのと同じように右手で助手席のドアを握って支えにしコブラの助手席に飛び乗る。
それを確認するとレクサスは間髪入れずにサイドブレーキを解除しアクセルを踏み込む。それに呼応するように後輪が駆動を始めホイルスピンさせながらも加速。そしてレヴィが開けた引戸から飛び出した。
「イェーイ!!」
興奮した様子のレヴィが大声を上げ盛大に着地。
そしてそのままコブラはレクサスの運転でレヴィを共に乗せリニアレールから離れていく。
ED:DREAMCATCHER/ナノ