Tales of the Force -lyrical Crisis-   作:天羽々矢

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OP:幻想の輪舞/黒崎真音


8 取引と繋がり

リニアレールからミッドチルダ製の最新カーナビゲーションシステムを搭載したシェルビー・コブラ MK.3を奪取したレクサスとレヴィは、レヴィのバイクであるZX-10Rを回収した後にレクサスが乗ってきたシボレー・シェベルSSを痕跡(あし)が付かない為にスクラップヤードへ運び解体処分をしてもらう事に。

だがミッドチルダを始めとした管理世界から見れば希少である地球産のクラシックカーな上に状態が良かった為か幾分かはパーツ取り用にとって置けるという事で管理業者から駄賃を受け取る事にった。

 

そしてレクサスとレヴィはバイスシティへの帰路に付き隠れ家へ戻るが、

 

「馬鹿か?いや、元から馬鹿だったな貴様は」

 

戻ってきたレクサスを待っていたのはディアーチェによる容赦ない毒舌だった。

だか彼女の反応はある意味正常とも言える。襲撃に成功したという連絡を受け何を持って帰って来るかと思えば、何十年も前の古臭い車だったのだから。

レクサスは一先ずそんな彼女を宥め話を続ける。

 

「まぁまぁとにかく話を聞いてくれ。連絡した通りこのクルマはリニアレールで運ばれてた。時間もコストもかかるのにも関わらず」

 

「そうまでする価値がこのクルマにはある、という事でしょうか・・・?」

 

レクサスの言葉にユーリが相槌を打つ。そのユーリの言葉にレクサスは頷き、今度は車内を確認しているシュテルの方を向く。

 

「シュテル、ユーリと一緒に()()の方を頼めるか?」

 

その言葉を聞きシュテルはレクサスの方を向くと、

 

「承知いたしました。ではユーリ、すぐ始めましょう」

 

「は、はいっ!」

 

そう言い、シュテルの両手には既にレンチやドライバー等といった工具が握られていた。

それを見てユーリも作業を始めようとするも、アワアワしていたので、

 

「あうっ」

 

と言う声と共に足をもつれさせて転び顔面から倒れこんでしまう。

ディアーチェが慌ててユーリに駆け寄り容態を確認するが、それを見計らっていたかのようにレクサスが退室していく。

 

「出かけるの?」

 

気づいたアリシアが一声問うが、彼はそれに対し一言。

 

「ちょっと小遣い稼ぎだよ」

 

そう返し退室していった。

 

 

 

 


 

 

 

 

ミッドチルダ本土と隣接するバイスシティ本島、その南西に存在するバイスシティ唯一の空港“エスコバル臨海空港”。

毎日大勢のサラリーマンや観光客が往来するその空港の大駐車場では半年に1度の頻度で管理する航空会社の主催で自動車オークションが行われる。

 

 

―――個人やショップが腕を振るいレストア・カスタムした車が多数出品されそれらを求める顧客達が大金を(はた)いてでも手にしようと盛り上がる。

 

古来からミッドチルダは地球との関わりがあったようだが、エース・オブ・エースの異名で知られる“高町なのは”や“八神はやて”を筆頭とした地球出身の魔導士が出現した事で地球産の物品に注目が集まりミッドチルダを始めとした管理世界に流通し始めている。

 

それは当然、自動車も例外ではない。地球から何台か車が輸入されると、その機能や外観に惚れた企業の人間達によりデザインを参考、あるいは模倣した自動車が生産され始めたがそれでもオリジナルである地球産には敵わない―――。

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

レクサスはそのオークションが行われている駐車場兼オークション会場に足を運んでいた。

 

今メインステージではディープブルーの車、ヴァイセンのインポンテというメーカーが作った車“デュークス”を巡っての競りが行われている。

かく言うレクサスも勝手に増えていくコレクションの処分の為に来た訳なのだが。

 

今、レクサスは自分が乗ってきた車の手入れをしている。

窓、ホイール、ボディを軽く拭き汚れが無い事を確かめる。後は受付に話を通し出品手続きを終えるだけ。

そう思いレクサスが車から離れようとした時だ。

 

「よう、ちょっといいか?」

 

レクサスの背後から声を掛けられる。

振り向いてみると、そこにいたのは地上勤務の証拠である茶色の管理局制服を纏ったダークブラウンの髪の青年。

当然レクサスは顔に覚えがない。

 

「えっと……どちら様?」

 

「俺はヴァイスってんだ、お前さんは?」

 

「……レナード」

 

局員の青年、ヴァイスに話しかけられた事から一瞬自分の正体がバレたかと内心焦るがヴァイスの反応からそれは違うと分かり何とか持ち直した。

レクサスのそんな心境とは裏腹に、ヴァイスはレクサスの持つ車に興味津々のようだ。

 

「このクルマ、お前さんのか?」

 

「そう。それも地球産(オリジナル)だよ」

 

その言葉を聞いたヴァイスは関心と更なる興味からか口笛を吹いた。

 

トランクリッドの端まで伸びた緩やかに傾斜したルーフラインとユニークな凹型テールランプパネルが特徴的。

ボディラインに沿って入れられたジェードグリーンのピンストライプを境に下側はシルバー、上側はタキシードブラックのツートンカラーのその車は、

 

“1969年式 フォード トリノGT スポーツルーフ”。

 

ミッドチルダはおろか管理世界でも滅多に見られない地球産のクラシックカーである。

下手をすれば地球でもお目にかかれないかもしれない。

 

「エンジン見てみる?」

 

「良いのか?」

 

トリノに興味津々なヴァイスにレクサスは1つ提案し、ボンネットを開けてエンジンを見せる。

 

カバーに“ROUSH(ラウシュ)”と彫られているそれは5.0LV8、“コヨーテ”のニックネームで知られるV8エンジンが収まっている。目を引くのはエンジンに取り付けられている8連独立スロットル。

 

「スゲェな、いくつ出るんだこれ?」

 

「500馬力くらいだったかな?」

 

レクサスが度々解説を挟みながらも夢中気味なヴァイスに説明を続ける。

 

排気管(マフラー)Flowmaster(フロウマスター)製“SUPER(スーパー) 44 SERIES(シリーズ)

 

サスペンション周りは大馬力に耐えられるよう前後輪コイルオーバーサスペンションに、Wilwood(ウィルウッド)製のディスクブレーキを4輪全部に装備している。

 

ホイールはボディに合うメタリックグレーのAMERICAN RACING(アメリカンレーシング)製“Torq (トルク) Thrust(トラスト) Ⅱ”。

 

トランスミッションはTREMEC(トレメック)製TKO5速マニュアルミッション。

 

内装はヘッドレストが無いバケットタイプの黒シートに外装に合わせて緑のパイピングが入っている。後部のベンチシートも同じだ。

 

その全てが地球産のパフォーマンスパーツでアップグレードされている。

 

「ところで、1つ相談なんだが・・・このクルマを売る気あるか?」

 

ここでヴァイスが話を切り替えて来た。どうやらヴァイスはレクサスのトリノが相当気に入ったらしく売ってもらえないか聞いてくる。

レクサスとしては売る事自体は何ら問題は無い。元々オークションに出品する予定の車だったのだから。

 

「良いけど、値段にもよるよ?俺としてはコイツに……42000ドルは欲しいとこかな」

 

レクサスが提示した額を聞くとヴァイスはあちゃーと右手を額に当て天を仰ぐ。

その反応にレクサスは頭に?マークを浮かべるが、すぐ答えは帰ってきた。

 

(わり)ぃな、貯金の40000までしか出せねぇんだ。何とかなんねぇかな?」

 

それはヴァイスの予算の上限、40000ドルまでしか出せないという事だ。

レクサスは自分の顎に右手を当て考える。自分としてはこれまで掛けた維持費を取り返す意味合いでも確かに儲けは欲しい。

だがその費用のほとんどは実際には比較的安易に入手できるパーツだ。欲張らなくとも取り返すのは難しくない。

それに仮にオークションに出品したとしても、40000どころか30000以上の値が付く保証も無い。

そう考えに至ったレクサスは決断した。

 

「人の懐を全崩しするほど俺も鬼じゃないし……OK、じゃあ34000(サンヨン)でどう?」

 

「マジか!?よっしゃ買った!」

 

レクサスの値引きにヴァイスは歓喜し、2人は握手。交渉成立だ。

ヴァイスが小切手を切り、それをレクサスが受け取ると今度はトリノのキーをヴァイスに手渡す。

 

「登録書と権利書はクルマのグローブボックスに入ってるから、どうぞ楽しんで」

 

「サンキュー、気前の良い兄ちゃん!」

 

笑いながらヴァイスがレクサスの肩を軽く叩き、その後すぐにトリノに乗りエンジンを掛ける。ギアを5速に入れゆっくりと走り出して去っていく。

それを見送ったレクサスも、あらかじめ用意していた折り畳み式ロードバイクに乗り一先ずは受け取った小切手を換金すべく銀行へ向けペダルをこぎ始める。

 

 

 

 


 

 

 

 

レクサスという青年から69年式トリノGTを買い取ったヴァイスは上機嫌でダウンタウン北西部に存在する高級マンション“Hyman Condo(ハイマン コンドミニアム)”のガレージに入る。

そのガレージにはヴァイスと同じ茶色の制服姿の青いショートヘアの少女、オレンジのツインテールの少女、坂だった赤い短髪の少年、ピンクのショートヘアの少女が街に繰り出そうとしていた所だ。

 

「ヴァイス陸曹どうしたんですか、そのクルマ!?」

 

戻ってきたヴァイスが乗って帰ってきたトリノを見てオレンジのツインテールの少女が驚きながらヴァイスに問う。

 

「コイツか?空港のオークション会場で気前の良い兄ちゃんが安く譲ってくれたんだよ」

 

『カッコいい……!』

 

ツインテールの少女にヴァイスが説明する中、青ショートヘアの少女と赤短髪の少年は好奇心に満ちた眼差しでトリノを見つめている。

 

「エリオ、キャロ、ハンカチ忘れてるよ」

 

「フェイトさん!」

 

「す、すみません……」

 

そこにガレージ奥から豊かな金髪にモデルのような整った体型に黒い制服を身に纏った女性、エリオと呼んだ赤短髪の少年“エリオ・モンディアル”にフェイトと呼ばれた彼女“フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウン”がエリオとキャロと呼ばれたピンクの少女“キャロ・ル・ルシエ”に忘れ物らしきハンカチを届けに入り、エリオとキャロは少し気まずそうにする。

 

2人に対しフェイトは微笑みながらハンカチを手渡すが、

 

「……!?」

 

2人のすぐ背後にある車、ヴァイスが買い取ったトリノを見ると途端に表情を引き締めた。

その様子を見てエリオとキャロは頭に?マークを浮かべて首を傾げる。

 

「このクルマ……どうしたの?」

 

「えっと、確かヴァイス陸曹が……」

 

「あぁ、確かに俺が買ったクルマッスけど……」

 

オレンジのツインテールの少女とヴァイスがフェイトの問いに答えると、フェイトは飾り台の付いた逆三角形の宝石のような物を取り出し、

 

「バルディッシュ、確認お願い」

 

[Yes Sir]

 

フェイトがそれに声をかけると機械的な男性の声で返事が返ってきた。それこそフェイトが幼少期から共にいた相棒(デバイス)である。

フェイトが宝石のような物、待機状態のバルディッシュを右手でカメラを構えるように持ったままヴァイスのトリノの周囲をゆっくりと周っていく。

 

Confirmation completed, no doubt(確認完了しました、間違いありません)

 

「ありがとう」

 

「えっと……このクルマがどうかしたんスか?」

 

車体後部のナンバープレートを確認した所でバルディッシュからの報告を受けフェイトはバルディッシュを降ろす。

フェイトとバルディッシュのやり取りにヴァイスはおろかエリオ達4人も理解が追い付いていないが、フェイトは一呼吸置くと5人の方に向いて言葉を発する。

 

 

 

「このクルマ……麻薬密売組織の首領が使ってた物だよ」




ED:DREAMCATCHER/ナノ



今回はそれなりに早く書けたと思いますが、原作でのミッドチルダでの買い物システムを覚えてないんだよなぁ・・・マンガの方にも無いし・・・
もし覚えてる方がいらしたら是非アドバイスお願いします(__)
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