【キサラ架空デュエル】休園中の海馬ランドをポルナレフランドが乗っ取るんだ!! 作:生徒会副長
キサラはKCの社長室に帰還して、瀬人に電話で事の顛末を伝えた。
「結局そのポルナレフという奴は、一時の気の迷いでこのようなことをしでかした訳か」
「みたいですね。まあきっと、私に負けたのをトリガーにして、元の世界、元のロードに帰れたんでしょう。多分ですが」
パソコンで先程のデュエルのログを分析しながらキサラはそう答える。
スピードデュエルに、『星遺物を巡る戦い』を始めとした未知のカード、魔力の反応などが、「別世界」の存在を証明しているとキサラは考えていた。
「きっと。多分か。なかなか無責任な言い方だな?」
「そりゃあ……。私たちの夢を侵した、別世界の男性のことまで心配する義理なんて、正直ないですし?
まあ収穫もありましたけどね。スピードデュエルに未知のカード。資料はまとめとくので、この感染症が収まったら、海馬ランド復活の目玉にしたいですね!」
体調が優れず、KCの先行きも不安な瀬人を元気付けるつもりで、彼女はそう明るく話した。
「……なあ、キサラ。1つ聞いておくが」
一呼吸置いて、瀬人が尋ねる。
「俺が道を踏み外したり誤ったりしたときは、お前はどうするつもりだ?」
キサラがどう答えようか少し考えている間を、思い出したような瀬人の咳が埋めた。
キサラが口を開く。
「……止めますよ? よっぽど酷ければね?」
「てっきり何処までもついてくるのかと思ったぞ」
「そりゃあ基本的にはそのつもりですよ? でも、ただ後ろをついていくだけなら『キサラ』である意味がないでしょう? そもそも私、ついこの前まで『Sin青眼の白龍』だったんですからね?」
『Sin青眼の白龍』だったときのキサラは、自分か瀬人の死で以て、罪深き破滅の未来を避けようとした。それは、1から10まで全てパラドックスに操られていたが故という訳でもないのだ。
「ずいぶんとまぁ強かなものだ」
「おや? か弱く夫の後ろに付き従って、ひたすら盲信するようなお嫁さんの方が良かったですか?」
「まさか。頼りにしているとも。今までも、これからもな」
「えぇ。どんどん頼ってくださいね! 今の私は、どんな敵にも、暴力にも、疫病にも負けない、ちょっと無敵の嫁ですから!」
この疫病騒動が収まった後、マスタールールを簡易化した『スピードデュエル』と、簡易化によって軽減されたサーバーへの負担をフルダイブVRデュエルに活用した『デュエルリンクス』のサービスが普及し、感染症患者や身体障害者に向けたデュエルエンターテイメントとしても注目を浴びていくのは、もう少し後になってからのことである──。
【あとがき】
今回めちゃくちゃ難産でした……。
デュエル構成はめちゃくちゃ簡単に組めた(たぶん30分で組めた)のですが。
・世情に関連付けている点
・クロスオーバーなところ
辺りが最後の最後(デュエル終わった後の会話シーン)になってから自分のモチベーションを下げましてね(汗)
デュエル終わったところまで書いたから捨てるのも勿体無くて結局ものすごい時間を書けて完成させてしまう運びになりました。
【デッキ解説】
ポルナレフのデッキ/【剣闘獣】
ストラクチャーデッキとメインBOX第26弾ジャッジメントフォースによって強化された剣闘獣……なのですが、不十分な下調べだけやった後にデュエル構成を組んだ結果、本来はこんなに罠カード要らなくて、もっと展開札を積んだタイプが今の主流みたいですね。すみません。
ポルナレフを選んだ理由は「感染症によって封鎖された海馬ランドの乗っ取り」「ジャッジメントフォース販促」を絡めた結果、ポルナレフランドの野望を持ち、チャリオッツのスタンドを持つポルナレフが良いかと思った次第です(良くない)。
あくまでデュエルがメインのつもりなので、あまり深く考えないほうがいいと思います。
キサラのデッキ/【シンクロ青眼】
デュエルリンクスがインフレしまくった結果、「キサラVSドッペルゲンガー」の時と遜色ないデッキが組めるようになりました(作中の時系列としてはこっちが先です)。
スキル「光射す!」は、本来三沢のスキルですけど、スキルと決闘者の関係がどうなっているのか公式では一切描写されてないので問題ないでしょう……。
サーヴァントの宝具や魔法使いの魔法のように本人の肉体や魂と紐付けされているのか、それともカードや剣のように自由に取捨選択できるものなのか。今回は後者のつもりで考えています。