アベレージ   作:へたくそ

2 / 2
主人公(仮)

特進クラス。全入学生の中で特に魔法適性であるマジックレベルが4レベル以上の者しかなれないクラス。

しかもそのほ殆どが卒業の後にエリートコースに乗ってる。

この魔法科高校に入学する者は皆、クラスを狙って入ってくるのだ。

 

 

 

カヅキ「なぁ春、大丈夫か?落ち込む気持ちは分かるが…」

 

ハル「もうやだ…、俺この学校やめるわ。それじゃカズ、お前は強く生きろよ」

 

カヅキ「おい待て。何ナチュラルに帰ろうとしてんだお前は」

 

 

 

春はあまりにもショックで鞄を持って帰ろうとするが、火月は春の肩をガシッと掴んで止める。

春は仕方ないと背中で語りながら席に座る。

 

 

 

ハル「くそ。今からでも校長に直談判しに行ってクラス下げてもらうか」

 

カヅキ「今のカズが言うと冗談に聞こえないからやめてくれ」

 

ハル「特進クラスが嫌な訳じゃないんだよ。むしろ入れて得するクラスだとは思っているよ」

 

カヅキ「て事は、嫌な理由はやっぱりは三羽矢か?」

 

ハル「そりゃそうだ。何で好き好んであんな奴と同じクラスにならなきゃいかんのだ」

 

カヅキ「前から気になってたんだけど、春って三羽矢と面識あるのか?」

 

ハル「あるわけないだろ?ただ見かけただんだよ。その時の印象が最悪だったんだよ」

 

 

 

春は以前一度だけ三羽矢 雄司を見かけた事はある。

その時は男に絡まれている女子を助けようとしていたらしいのだが、結局は三羽矢が早とちりをしただけだったのだ。

側から見ても見るに耐えない物だった。それ以来春は、三羽矢の事が嫌いになった。

 

 

 

 

ハル「あんな奴のどこがいいんだか」

 

カヅキ「お前の気持ちも分かるけど、本人が来たからその辺にしといた方がいいぞ?」

 

 

 

火月の言葉通り、教室に三羽矢が入ってきた。それも女子に囲まれてだ。

イケメンな上にマジックレベルもトップレベル、モテないはずもなく女子は皆三羽矢に注目している。

 

 

 

女生徒1「ねえねえ三羽矢君って彼女いるの?」

 

ミハヤ「彼女はいないよ。今までできた事が無いんだ」

 

女生徒2「好きな食べ物は何?」

 

ミハヤ「お肉が好きだよ。特にハンバーグが好きかな」

 

女生徒3「それじゃ好きな女の子のタイプは!?」

 

ミハヤ「ん〜、良く分からないかな。好きなった子がタイプかな?」

 

女生徒3「何それ〜!三羽矢君ってやっぱり面白いね!」

 

 

 

三羽矢と女子生徒たちがワイワイ話していると教師であろう男が入ってきた。

 

 

 

男教師「お前たち、これからガイダンスがある。大講義室に案内するからさっさと並べ〜」

 

 

 

するとさっきまで話していたクラスメイト達がゾロゾロと廊下に並び始める。

 

 

カヅキ「おい春。いつまでも降っぷしてないで早くぞ?」

 

ハル「あぁ、だるい…」

 

カヅキ「お前ホントそれしか言わないな」

 

ハル「思った事を口に出してるだけだ」

 

 

 

二人はクラスの後ろの方を歩く。列と言ってもテキトーに並んだだけで順番はない。

 

 

 

ハル「ガイダンスって何の意味があるんだろうな」

 

カヅキ「まぁそれは色々だろ」

 

ハル「偉くテキトーだな。まるで俺みたいだな」

 

カヅキ「まぁぶっちゃけ分からないしな」

 

 

 

そんな話をしているうちに大講義室に着く。

その形は、半円形型でかなりデカイ。2000人は座れるほどの席がある。

席は教団が見える様に前は低く、後は高くなっている。

 

 

 

男教師「お前達は特進だから前に座れ。席は特に決まってないから好きに座っていいぞ」

 

ハル「カズ、あそこの隅っこに座るぞ」

 

カヅキ「お前寝る気満々だろ」

 

ハル「よく分かったな」

 

カヅキ「伊達に友人やってねえからな」

 

ハル「まぁ俺は寝るから。今日寝たの6時なんだよ」

 

カヅキ「お前何してたんだよ…」

 

ハル「闇カジノで稼ぎまくってるオヤジ達をカモに金を巻き上げてた」

 

カヅキ「また危ない事を…」

 

ハル「この時間、俺を寝かせてくれたら帰りにステーキ奢ってやる」

 

カヅキ「任せろ。お前の安眠は俺が守る!」

 

 

 

 

ちょろいなっと春は思いながら席に座り、机に顔を伏せる。

今日の睡眠時間は1時間未満、夢の中に落ちるのにそう時間は掛からなかった。

春はその誘いに逆らう事なく眠りついた。

 

 

しかし春が目覚めたのはガイダンスが終わったタイミングでは無く、ガイダンスの最中だった。

それは生徒達のざわめが聞こえ、春は徐々に意識を覚醒させて行った。

 

 

 

ハル(ん?何だ?やけに騒がしいな)

 

 

 

そのざわめきが気になった春は仕方なく顔をあげる。

 

 

 

カヅキ「お?やっぱり起きちまったか」

 

ハル「あぁ、それにしてもこれは何の騒ぎなんだ?」

 

カヅキ「あれを見ろよ。さすがの俺も驚いたぜ。まさかあの方がここに来るとはな」

 

ハル「あの方?」

 

 

 

火月の言い方に疑問を持った春は、講義室のステージに目を向けた。

 

 

 

ハル「これはまた大物が来たな」

 

 

 

その目の先には日本にいるはずのない人がいた。金髪より黄色と言える腰まで伸びた髪、上に伸びた耳にもふもふしていそうな一本の尻尾。

その人の名前はミッシェル・アリス。世界一の魔法大国であるイギリスの第一女王である。

そして彼女は獣人の(テウメ)(ソス)である。この世界、つまり人間界には人類以外の種族がいる。

エルフ、ドワーフ、精霊、そして獣人だ。先の三種族はそれぞれ人類と共存しているが、獣人は全ての種族から嫌悪されている。

その理由は、300年前に起こった三代戦争で獣人の大半が魔界側に付いたからだ。

故に獣人は裏切り者のレッテルを貼られ、挙げ句の果てには魔界からも裏切られた。

とは言えそんな悪い習慣がよく思わない人類も少なくはなかった。それ故に差別意識は昔ほど酷くはない。

 

 

 

生徒1「おい、何であの人が来てるんだよ。イギリスには魔法科高校は腐るほどあるんじゃないのか?」

 

生徒2「知らねえよ。それよりどこにくらすになるんだ?俺達のクラスは勘弁だぞ…」

 

 

 

などと春の耳にはこそこそと話している声が聞こえる。

それが一人や二人なら聞こえないだろうが、これが100人、200人となってくると話は別だ。

大講義室はひそひそ話がひそひそ話では無くなっている。

 

 

 

校長「さて皆さん。今ここにいらっしゃるのはイギイリスから来られたメッシェル・アリス様だ。あるご都合により3年間、この学校で過ごす事になる。ちなみにクラスは特進クラスなので、特進クラスの皆さんはどうぞ仲良くしてあげてください。私からは以上です。さて、本人からも一言お願いします」

 

ミッシェル「ミッシェル・アリスです。これから3年間よろしくお願いします…」

 

 

ミッシェルの挨拶が終わると力のない拍手がちらほら聞こえた。

あからさまに歓迎していない分かる。それほど獣人は忌み嫌われているのだ。

 

 

 

ハル(うちのクラスに来るってなった途端、分かりやすく嫌な雰囲気なったな)

 

カヅキ「なぁ春、ステーキの事なんだけどよ。最近新しい肉屋ができたんだよ。そこに2キロのステーキがあるって聞いてよ」

 

ハル「相変わらずよく食うな。まぁ問題ないよ。昨日はかなり巻き上げたからな」

 

カヅキ「なら特上だな」

 

ハル「その分今度奢って貰うからな」

 

カヅキ「やっぱり春には悪いし一番安いのにするかぁ」

 

ハル「素直でよろしい」

 

 

 

 

校長の話も終わり、ミッシェルの挨拶も終わったので後ろの席の生徒から講義室を後にする。

春達も教室に戻り席に着く。そして後から男の教師と一緒にミッシェルが入ってきた。

 

 

 

教師「お前はあそこの一番後ろの席に座れ」

 

ミッシェル「わ、わかりました…」

 

 

 

教師は威圧する様にミッシェルに命令する。そしてミッシェルはビクビクしながら返事をする。

そして教師が指定した席は春の隣の席だった。ミッシェルが席に歩き向かっている時、生徒のミッシェルを見る目は見るに耐えないものだった。

しかしミッシェルはやっぱりこうなるか、と思っている様な顔をしていた。そして自分の机に鞄を置き、席に座る。

その顔は、春から見て少し思うところがあった。

 

 

 

ハル「よろしくな」

 

ミッシェル「え…??」

 

 

 

春の挨拶で教室の時間が止まった様に思えた。火月もまさか春が自分から人に話しかけるとは思っていなく、少し驚いていた。

そしてミッシェルは春の挨拶を受け、最初は固まっていたが徐々に嬉しそうな顔になっていく。

 

 

 

ミッシェル「は、はい!よろしくお願いします!!」

 

 

 

さっきまでヘナッとしていた尻尾と耳も元気になったせいなのか、尻尾をフリフリさせ、耳はピンとなった。

満面の笑みを向けてきたので春は少し戸惑った。挨拶されただけでここまで喜ばれるとは思わなかったからだ。

 

 

これからの3年間、何も起こらないとは思えないなと春は少し憂鬱になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後12時半

 

 

 

 

男教師「……っという事で、今日の説明はこれで終わりだ。明日からは普通に授業もあるから気合入れてこいよ〜」

 

「「「はぁ〜い!」」」

 

カヅキ「おーい春、ステーキ食いに行こうぜ」

 

ハル「お前は本当に遠慮ってもんを知らないのな」

 

 

 

 

火月に呼ばれた春は早速荷物をまとめて席を立つ。

するとクラスの4人ほどの女子達が春の隣の席、すなわちミッシェルの席に集まってきた。

 

 

 

女生徒1「ミッシェル様、初めまして。これから3年間よろしくね?」

 

ミッシェル「あ、は、はい!よろしくお願いします!」

 

女生徒2「これから時間ありますか?私たち遊びに行くんですけど一緒にどうですか?」

 

ミッシェル「いいんですか?すごく嬉しいです!ありがとうございます!」

 

 

 

 

春は横目でその様子を見ていた。

 

 

 

カヅキ「お、案外ミッシェル様って人気なのか?これはよかったな。それより春どうしたんだ?」

 

ハル「いや別に。ただ分かりやすいなと思っただけだよ」

 

カヅキ「確かにな。でも仕方ないだろ?獣人は普通嫌われているんだ。あんな風に接してくれる人は本当に少ないしな」

 

 

 

火月は春の言っている事が、ミッシェルの反応の事だと思っていたがそれは違う。

春が言っていたのはミッシェルに話しかけた女子達のことを言っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カヅキ「あぁーー!美味かった!やっぱり肉だよな!ガッツリと美味い!マジでサンキューな」

 

ハル「あんだけ美味そうに食ってくれりゃこっちも奢った甲斐があるよ」

 

カヅキ「それにしてもさっきから何ケータイを見てんだ?何も食べないでジュースしか飲んでないし」

 

ハル「ちょっとな。それじゃ金はここに置いとくからな。俺はちょっと用事できたから」

 

カヅキ「ん?あぁ、分かった。それじゃあな」

 

 

 

 

春は万札を一枚置き、店を後にする。そして人並みが多い中を歩く。

その姿を後から出てきた火月は見ていたが、一瞬人影に隠れた瞬間に春の姿を見失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人目を避ける様に女生徒達はミッシェルを裏路地に連れこんんでいた。

 

 

 

女生徒1「なぁ、ミッシェル様。私たちこの店のカバンとか欲しいんだけど高くて買えないんだよね。だから買ってくれない?」

 

女生徒2「イギリスの王女様なら金持ちなんでしょ?」

 

ミッシェル「え、いやでもそれは…」

 

女生徒3「何?私たち仲良くしてあげるって言うんだよ?そのお礼だよお礼」

 

ミッシェル「でも私あまりお金持ってなくて…」

 

女生徒4「そんな訳ないじゃん。ほらさっさとその鞄よこしなって」

 

 

 

 

女生徒4がミッシェルの鞄を無理やり取る。そして鞄の中から財布を取り出し中身を確認する。

 

 

 

 

女生徒4「なんだよ。本当に入ってないじゃん」

 

女生徒2「いくら入ってるの?」

 

女生徒4「1万5千くらい」

 

女生徒1「それならあそこの店行ってお茶できるじゃん。それじゃありがとうねミッシェル様〜」

 

 

 

ミッシェルは浮かれていた自分が少し情けなくなった。獣人の自分に親切にしてくれる人なんている訳ない。

分かっているつもりで分かっていなかった。自己嫌悪の中でミッシェルは一人の男の事を思い出していた。

 

 

 

「窃盗罪の現行犯、これをサツにでも届ければ1発だな」

 

 

 

 

ミッシェルは声のする方を向いて見ると、ケータイを女生徒達に向けている春がいた。

 

 

 

女生徒1「なんだお前、何してんだよ!」

 

ハル「何って、どこかの誰かが盗人をしている動画を撮ってんだよ。どうする?今ならまだ間に合うぞ」

 

女生徒1「何がだよ。4対1で勝てると思ってるの?」

 

ハル「4対1で俺に勝てると思ってんの?」

 

女生徒2「ならあんたの財布もパクってやるよ!」

 

ミッシェル「ま、、待ってください!その人には手を出さないでください!」

 

 

 

女生徒2は春に向かってを(てのひら)を向けると魔法陣が浮かぶ。

次の瞬間春に向かって稲妻が走る。彼女達は一年とは言え、特進クラス。マジックレベルは最低でも5。

これはなれる人はなれる。しかしなれない人はどう足掻いてもなれないレベルだ。それは簡単に人を殺す事もできる。

 

 

 

女生徒2「これであんたも終わりよ!!」

 

 

 

しかしそれはマジックレベル5以上の話だ

 

 

 

ハル「ひとつだけ忠告してやる」

 

 

 

春は稲妻に向かって掌を向ける。すると稲妻が突然分散された。

魔法を放った女生徒達とミッシェりはその光景に驚きを隠しきれなかった。

 

 

 

女生徒2「え?」

 

ミッシェル「一体何が…」

 

ハル「裏口入学で生き残れるほど、うちの学校は甘くねえよ」

 

女生徒2「何をした!」

 

ハル「教えると思うか?それよりこのままだとお前らの動画広めるぞ」

 

女生徒3「広めたところで獣人が相手じゃ…!」

 

ハル「法律に勝てるとでも思ってんのか?それにお前の言う相手の獣人が一国の女王様って事忘れんなよ?」

 

女生徒3「それならお前をさっさと殺してやる!!」

 

 

 

そう言うと女生徒4人は一斉に春に向けて魔法を放つ。

そしてその魔法は春に直撃した

 

 

 

女生徒4「これであいつも流石にくたばって…」

 

ハル「だからお前達が生きていけるほど甘くねえって言ったろ。所詮裏口組か。それと時間切れだ」

 

女生徒4「な!直撃したはずじゃ…、それに何を言って」

 

警察「君たち、そんな所で何をしているんだ?」

 

女生徒4「な!」

 

女生徒2「落ち着けって、全部あいつのせいにしたらバレないって!誰が魔法を使ったかなんて分からないわよ」

 

女生徒1「分かったわ……。助けてください!そこの男の人が私たちを襲ってきたんです!」

 

女生徒3「そうなんです!お金を出さないと殺すって!」

 

警察「君、それは本当かい?」

 

 

 

警察官は春に確認をとる。

 

 

 

ハル「まさか。そんな事する度胸なんてありませんよ」

 

警察「本当にか?嘘ついても無駄だぞ」

 

女生徒3「そうだ!嘘なんてついてもすぐにバレるぞ!」

 

警察「そこの彼女の言う通りだ」

 

ハル「確かにそれには同意します。それじゃ警官さん、魔法検察機器使ってみてください」

 

警察「まぁ、その方がいいか」

 

女生徒2「な、なんだよそれ…」

 

ハル「それは言うより見てもらった方が早い」

 

 

 

警察官は手首に付けているリングに触れる。すると道幅いっぱいに魔法陣が展開される。

すると女生徒4人組の右手が赤い光が点滅する。春の右手首は点滅はしないが赤く光り、ミッシェルには反応しない。

 

 

 

警察「うん、それじゃそこの君たち4人。少し話を聞かせてもらおうかな」

 

女生徒1「え?うちら?なんで!?魔法がそいつが!」

 

警察「魔法は君たちが使っているね。そこの彼も使っているが攻撃系の魔法じゃない。しかし君たちは威力が低いとは言え攻撃魔法を使っている」

 

女生徒1「な、なんでそんな事が分かるんだよ!」

 

警察「この腕についているのは魔法検査機器と言ってね。このご時世だ、魔法の悪用事件が多い。だからどの系統に魔法が使われたのか、誰が使っていたのか、どれほどの規模なのか分かるようになっているんだよ」

 

女生徒4「な、なんだよそれ、知らんねよそんなの!」

 

ハル「そりゃそうだ。導入されたのがつい2ヶ月くらい前だしな。さ、それよりもお前達が言ったように嘘はすぐにバレる。良かったな、その言葉だけは嘘じゃなくて」

 

 

 

女生徒4人組は後から来た警察達に連行された。窃盗罪、傷害未遂で初日で魔法科高校を強制退学されられたと後で聞かされた。

 

春とミッシェルは4人が連行された後、少し事情聴取を受けて解放された。春はすぐに帰ろうとするがミッシェルに止められた。

 

 

 

ミッシェル「あの!すみません!」

 

ハル「ん?あぁ、王女様か。どうした?」

 

ミッシェル「その、お礼を言いたくて…。助けてくれてありがとうございます」

 

ハル「別にその事は気にしなくていい。だがあんたは獣人だ。良くなってきたとは言え差別意識は消えていない。もう少し他人を疑え」

 

ミッシェル「はい…。申し訳ありません…」

 

ハル「はぁ、あんた本当に獣人か?性格が穏やかすぎるだろ。イギリスでも差別はあるはずだが」

 

ミッシェル「はい、その通りです。でも私は基本的にお城から出ませんでしたし、使用人の人たちも獣人の方も採用してましたので」

 

ハル「なるほどな。それでもここはそんな環境じゃない。それだけは覚えておけ」

 

ミッシェル「はい、ありがとうございます…」

 

ハル「それじゃまた明日な」

 

 

 

春がミッシェルに別れの挨拶をして帰ろうとすると、女生徒4人を逮捕したさっきの警察官が話しかけてきた。

 

 

 

警察「あ、そこの君。ちょっといいかな?」

 

ハル「まだ何か?」

 

警察「いや、事件の事はもう何もないよ。それよりミッシェル様を送ってくれないかな?獣人の彼女を一人で歩かせる訳にはいかなくてね」

 

ハル「そこはあなた達がやってくれるんじゃないんですか?」

 

警察「生憎、ここにパトカーは来てなくてね。それに彼女は君を信頼している様に見えてね、安心して任せられる」

 

ハル「まぁ、王女様がいいなら構わないけど…」

 

ミッシェル「あ、はい。ご迷惑でなければ」

 

ハル「分かった。それじゃ行くか」

 

警官「それじゃ気をつけてね」

 

ミッシェル「ありがとうございました」

 

 

 

ミッシェルと春は二人で歩く。しかし会話はなくなんとなく気まずい。

そこで春は少し疑問に思っている事を尋ねる。

 

 

 

ハル「そう言えば王女様ってどこに住んでるんだ?まさか学校寮なんて言わないよな?」

 

ミッシェル「そうですが、春様。王女様ではなく名前で呼んでくれないんですか?」

 

ハル「いいのか?俺なんかが名前で呼んで」

 

ミッシェル「春様には名前で呼んでほしいです」

 

ハル「でもなぁ、こう言っちゃ悪いがミッシェルって呼びづらいし、長いからな」

 

ミッシェル「それならエルというのはどうですか?向こうでは皆んなからそう呼ばれてましたから」

 

ハル「それならそうさせてもらうわ。それじゃエル、俺からも言いたいことがあるんだが」

 

ミッシェル「なんですか?」

 

ハル「その話し方、少し無理してるだろ?もっと普通にしていいぞ」

 

 

 

ミッシェルはまさかバレるとは思ってなかったので驚いている。

確かに女王なので話し方には気をつけていたので春の言っていた事は当たっている。

もう作っても仕方ないのでミッシェルは素で話す事にすた。

 

 

 

ミッシェル「ありがとう。まさかこんなに早くバレるとは思わなかったな」

 

ハル「こういうのは得意なんだよ」

 

ミッシェル「すごいんだね。私にはできないな」

 

ハル「エルは抜けてそうだからな」

 

ミッシェル「それは否定できないなぁ」

 

 

 

春とミッシェルは道中なんでもない話をしながら寮に向かう。

寮は学校から徒歩で5分のところにある。そして寮に近づいてくると春の顔が険しくなってきた。

 

 

 

ハル「エル、少し動かないでくれ」

 

ミッシェル「え?うん」

 

 

 

そういうと春は本日2回目となる転移の魔法陣を発動させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルとミッシェルが転移で学校の寮の前に現れる。

 

 

 

ミッシェル「すごい!転移を使えるなんて!」

 

ハル「言うほどでもない。それより少し嫌な予感がしてな」

 

ミッシェル「嫌な予感?」

 

ハル「あぁ、どこかのアパートならこんな事もしなくても良かったんだが、寮となると話は別だ」

 

ミッシェル「それってどう言う」

 

ハル「とりあえず行こう」

 

 

 

ミッシェルは春の言っている事が分からないまま自分の部屋に向かう。

するとそこに待っていたのは、自分の部屋のドアや壁に「獣人は出ていけ」など「国に帰れ」など書かれていた。

 

 

 

ハル「やっぱりな。ったくほんとにくだらねえ事するな」

 

ミッシェル「やはり、獣人はあまりよく思われていないんだね…」

 

ハル「今お前が気にすることはそこじゃないだろ」

 

ミッシェル「え?」

 

ハル「はぁ、まさか1日に3回も使うことになるとは…」

 

ミッシェル「何をですか?」

 

ハル「また転移を使う。もう歩くのもめんどくさいしな」

 

ミッシェル「は、はぁ。それよりどこに行くの?」

 

ハル「理事長室」

 

ミッシェル「……え!?」

 

 

 

ミッシェルが驚いているのをお構い無しに春は転移を使った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペンの走る音だけが鳴っている部屋、そこにいるのは魔法科高校の理事長である三千院(さんぜんいん) (つるぎ)だ。

 

 

 

ツルギ「……ん?」

 

 

 

書類を書いている中、剣は魔法の気配を感じ部屋の中央を見る。

すると魔法陣が現れ、春とミッシェルが姿を現した。

 

 

 

ツルギ「なんだ、君たちか。いきなり転移で来るとは少し失礼じゃないか?」

 

ハル「そんな事はどうでもいいんだよ。それよりなんでエルを寮に入れたんだ?まさかアンタが何も予想できなかったなんて事はないはずだ」

 

ツルギ「……はやりそうなったか」

 

ハル「予想できていて何故寮に入れた?理由はあると思うが聞かない事には納得できないぞ」

 

ミッシェル「あ、あの。話が見てこないんだけど。それにその人って理事長なんじゃ…」

 

ツルギ「あぁ。君は僕のことを知らないのか。それじゃ初めまして。僕は三千院 剣、この高校で理事長をしている。それで今話しているのは、君を寮に入れたら他の寮生が君に何かしらよくない事をすると言うのは分かっていたんだ。しかしうちの学校は君を寮に入れた。それについて春君は僕に説明を求めている。ここまでは理解できるかな?」

 

ミッシェル「はい、なんとなくは」

 

ツルギ「それで春君、君に対する答えだ。確かに僕の発言で寮に入れる事を止める事はできた。しかしそれでは彼女を守る条件が揃わないんだ」

 

ハル「条件?まさか、今日の事件の事か?」

 

ツルギ「さすが春君、理解が早いね」

 

ミッシェル「それってさっきの?」

 

ハル「あぁ、全部こいつが差し向けたって事だ。マジックレベルが明らかに足りていない生徒が特進クラスにいた。間違いなく裏口入学だろ。それをこいつが見逃すとは思えなし、そう言う奴らは大体誰かの上に立ちたがる。その結果、誰をターゲットにするかと言う時にエルに白羽の矢が立った。そして見事に暴力、警察沙汰になった。それプラスさっきのエルの部屋の事だ。そこにどんな狙いがあるのかは知らんがおそらく前もってエルが事件に巻き込まれたって言う事実が欲しかった。そうだろ?」

 

ツルギ「流石だ。その通りだよ。ミッシェル君には悪い事をしたと思っている。本当にすまない。けど必要な事だったと理解してほしい」

 

ハル「悪いと思ってるなら早くどんな狙いがあるのか言え。じゃないと納得できるもんも出来ないだろ」

 

ミッシェル「そんな、謝らないでください。私は気にしてませんし」

 

ツルギ「ありがとう、それでは僕の狙いについてだ。まず寮に入るにしろ、それ以外の場所に住むにしろミッシェル君の住所を学校側に提示しなければならない。だが今回の件を盾にすればミッシェル君の個人情報を学校ではなく、僕と僕の信用できる教師に限らせることができる。そうすれば彼女の安全も少しは確保できるはずだ」

 

ハル「なるほどな」

 

ミッシェル「私のためにそこまでしてくれるなんて。ありがとうございます」

 

ツルギ「いや、本来ならもっと安全に事を運べたら良かったんだがな…」

 

ハル「なぁ剣」

 

ツルギ「君は本当に礼儀を知らないのかな…、それでなんだい?」

 

ハル「本当の狙いはなんだ?」

 

ツルギ「それはさっき言った通り…」

 

ハル「いや違うな。確かにミッシェルの安全を確保するためにアンタのやった事は筋が通っている。アンタが考えた計画も完璧だった。だがいつも運に任せるアンタが合理的に考えるなんてあり得ない。何を隠している?何故俺が特進クラスになった?何故エルは俺の隣の席になった?」

 

ツルギ「やっぱり春君には隠し事はできないか。ミッシェル君、春君。これは理事長の権限による発言だ。拒否は認めない。春君とミッシェル君は今日から共に生活してもらう。名目上は春君はミッシェル君の護衛だ。ミッシェル君の両親からも合意を得ている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミッシェル/ハル「は?」「え?

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。