この素晴らしい世界でエリス様ルートを 作:エリス様はメインヒロイン
ギルドに帰ってきた俺たちの空気は重かった。
1番頼りにしていた魔剣の勇者はあっさりと悪魔に敗北し、重症を負った。今はエリス教会でプリーストの治療を受けている。魔剣の勇者だけでなく数人が重症を負い他にも怪我をしたもの、悪魔を見て戦意を失ったものが多数いた。
「チッ、魔剣の勇者がやられたからってなんだよこの空気、辛気くせえ。俺たちだったらやれたんじゃねえか?」
「あたし達が撤退できたのだって魔剣の勇者がどうにか押し留めてくれたからでしょう。悪魔はそのまま去っていったそうだけど。何にしても相手は魔王軍の幹部級、他の町から高レベルの冒険者が来るのを待つしかないわ」
レックスのパーティーの会話が聞こえてくる。魔剣グラムを操る勇者ミツルギ。会ったことはないがおそらく転生特典を持った日本人の転生者だろう。そんな奴でもあっさりとやられたのか。
そんな空気の中ギルドのお姉さんが出てきた。
「みなさんお疲れ様です。報告は受けとりました。大変な相手だったそうですね」
そうして今回受けた被害の再確認をした。
「あの悪魔は俺達で相手するのは無理だ。どこか他の街の高レベル冒険者を呼んでくださいよ」
1人の冒険者が提案した。しかしその言葉に対して、
「すみません。現在魔王軍幹部のデュラハン、ベルディアが大量の部下を引き連れて行動しているようでして。現在目的も行動も不明ではありますがどこの街もその件にかかりきりになっていて、応援を送る余裕がないそうです。ですから、この街の冒険者で対処するしかないのですが…」
お姉さんの声はそこで途切れた。街で1番強いと言われている魔剣の勇者がやられたのだ。残った冒険者でどうにかしろというのはあまりにも酷な話だった。
対策案はうまれずに冒険者は1人また1人とギルドを出ていった。そんな中レックスが俺とクリス、ダクネスに話しかけてきた。
「よう3人とも。この俺にいい案があるんだが。どうだ、一枚噛まないか?」
いい案? それが何か尋ねようとしたが、
「ごめんね。あたし達はその話はなしでお願い」
クリスはそれを断った。
「カズマ君、宿に帰ろ」
そう言ってクリスは俺の手を引いてくる。
「え? せめて話ぐらい聞いてからでも」
「いいから」
いつもと違って少し強い口調で返してきた。
「ダクネス、明日の朝、宿に来て。そこで話したいことがあるから」
「あ、ああ。分かった」
そうして俺とクリスはギルドを出ていった。
宿に帰るとエリスは俺に告げてきた。
「カズマさん一つお願いをしてもいいですか」
どこか決意を感じさせる表情で。
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sideめぐみん
「たく、なんだクリスの野郎、怖気付いたのか?」
カズマのパーティーと話していたレックスはそんなことを言っていた。カズマ達はどうやら彼の話を断ったらしい。
「まあいい。おい、お嬢ちゃん達よ。お前らはどうだ。俺の案を聞いてみないか。まあ口だけ魔導士さんは別に聞いてくれなくても構わないんだが」
私は昼間の戦闘では味方が密集していたこともあり爆裂魔法を撃つ機会がなかったのだ。
「口だけかどうか今ここで証明してあげましょうか」
「ち、ちょっとめぐみん。なんでそうやってすぐに喧嘩しようとするの」
「ガハハ、まあそう怒るな。口だけじゃないんなら俺たちの作戦の時にその力を見せてくれたら構わねえよ。本命はそっちの嬢ちゃんだからな」
「わ、私ですか?」
「昼間の戦い振りは中々よかったからな。嬢ちゃんがついて来てくれたら作戦の成功率も上がるってもんよ」
その言葉にゆんゆんは恥ずかしそうにしながらも少し嬉しそうだった。私はまだ本気を出してないだけですから。どこぞのニートみたいなことを考えた。
「実はあの悪魔を見た奴らの中になーーー」
そう言ってレックスはその作戦を教えてきた。
翌日。
私とゆんゆん、それにレックスのパーティーは森に来ていた。
「本当なんですか? あの話は」
「ああ、悪魔本人が聞いてきたらしいからな」
レックスの話によると魔剣の勇者を倒したその悪魔は逃げ遅れた冒険者に対して真っ黒で巨大な魔獣を知らないかと尋ねてきたそうだ。冒険者がそんなもの知らないと答えるとそのまま悪魔は去っていったらしい。
「最近街から離れた山の麓でその条件に合致するモンスターの目撃情報があってな」
「それで、そのモンスターとは?」
「初心者殺しだ」
初心者殺し。黒い毛並みに鋭い牙を持った大きい猫のようなモンスターだ。その名の通り駆け出し冒険者にとって天敵のような存在で、素早く狡猾で知能が高いモンスターだ。
「本当に信頼してもいいんですよね。あのモンスターは頭がいいので真っ先に後ろにいるゆんゆんを狙ってきますよ」
「ねえ、なんで私だけが狙われるみたいな言い方するの」
「それはもちろん、ゆんゆんの方がモンスターにとって美味しそうだからです。その無駄にでかいだけの脂肪の使い道がようやく出来ましたね」
「自分が無いからってそんなこと言わなくてもいいでしょー!」
「な、無いとは何ですか! 私はまだ成長の余地を残してるだけです!」
そんな私達を見て呆れたようにレックスは言ってくる。
「ちゃんと俺たちが守ってやるから騒ぐんじゃねえよ。それで俺たちが相手してる間にそっちの嬢ちゃんが魔法で眠らせてくれ」
「任せましたよ。それで捕獲したらどうするんですか?」
「馬に引かせてるこの檻に入れて街へ帰る。おそらく目撃にあった初心者殺しはあの悪魔の所有物、まあペットみたいなもんだったんだろうよ。ならそいつを使って倒すなり交渉するなり後は自由だ」
そう言ってレックスは笑みを浮かべていた。
その後は順調だった。初心者殺しはゴブリンなどの雑魚モンスターを使って狩をする。ならそのゴブリンを狩っていればおのずと現れてくるのだ。それをゆんゆんのスリープの魔法で眠らせて、後は街に帰るだけだった。
そこにそれは現れた。
「見つけたーーーーー!」
その声の主は森の中から急に現れると一瞬でレックス達3人をその大きな腕で吹き飛ばした。
「大丈夫ですかウォルバク様!…てあれこいつただの初心者殺しじゃねえか」
その光沢を放つ漆黒の巨大な体躯。蝙蝠を思わせる二枚の背中の羽。禍々しさを感じさせる角と牙。
「おっかしーなー。こっちの方でウォルバク様の匂いがしたと思ったんだが」
現在街を騒がせているその上位悪魔が
「おっ、おいお前らちょっと聞きたいことがあるんだが」
その無機質な瞳をこちらに向けた。
「「いやぁああああああああああああー!!」」
「お、おい落ち着けって」
「食べるならこの娘からどうぞ。脂が程よくのって食べごろです!」
「あんたさっきからいい加減にしなさいよ!」
「お前らのその目、紅魔族だろ」
「大丈夫ですよゆんゆん。例えあなたがお星様になったとしても私は忘れませんから!」
「なんだかんだ言ってめぐみんなら見捨てないでくれるって信じてるからねー!」
「お前ら紅魔族とはできればやり合いたく……って聞けよ!」
一向に襲ってくる気配がない悪魔に私とゆんゆんも少し落ち着きを取り戻した。
「あなたは一体?」
「俺か? あー、我が名はホースト。邪神ウォルバク様の右腕にして上位悪魔。やがてはちっこいガキに使役される予定のもの、ってな。お前ら紅魔族はこういう挨拶がお決まりなんだろ」
やけに紅魔族に詳しい悪魔はわたしに顔を近づけると私の匂いを嗅ぎ出した。そんなに顔を近づけられると怖いんですが!
「お前だ。お前の方からウォルバク様の匂いがする。それもかなり新しい匂いだ」
「ウォルバク、ウォルバクと一体なんなんですか。そんなもの私は知りま、せん、よ?」
そう言えば以前倒した悪魔のアーネスがちょむすけのことをそんな名前で読んでいたような。
「お、その反応は当たりだな。知ってることを話してもらおうか」
「あ、あなたもウチのちょむすけを狙っているのですか。ウチの子はただの黒猫ですよ。あの子は私の妹にも負ける貧弱っぷりですからね」
狙われているのがちょむすけのことだと分かりゆんゆんの顔にも焦りが見える。
「ち、ちょむすけ? なんだその名前は。……いや待てそういやお前妙にあのガキんちょに似てるし、妹だと? ……」
悪魔は何かを葛藤し始めたがその考えを振り切るように頭を振った。
「いいかお前たち。ウォルバク様だ、ウォルバク様を連れてこい。こいつは取引だ。素直に渡せばさっさと居なくなってやるよ」
「悪魔を信じろと? 昨日はあれだけ暴れていたくせによくそんな事が言えますね」
「あれは俺も悪かった。なんせあの魔剣の勇者とやらがいたからな。加減をミスっちまった。悪魔としちゃあ無駄に人間を殺すなんて論外だからな」
「いいか。悪魔は契約した事は破らない。これは掟であり矜恃だ」
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紅魔族の2人が帰っていく。そこいらに転がした人間3人を乗せて馬車は遠く離れていった。
(まさかこめっこの家族に会うとは思わなかったぜ。それにあのガキンチョ、なにがしっこくのまじゅうだ。もし俺が召喚されることがあったら覚えてろよ)
悪魔は小さな友人を思い出しながらクックックと小さく笑った。
「何が、おかしいんですか?」
悪魔は瞬時に後ろを振り向いた。
「あなた達悪魔は何を考えているか分かりませんね。まあ分かりたくはないですが」
さっきまでそんな気配はなかった。
「なんでお前みたいなのがこんな所にいやがるんだ」
悪魔は嫌悪と緊張を持って聞いた。
「それに答える義理はないでしょう」
目の前の女から感じるこの気配は悪魔の天敵。
「これ以上あなたと語り合う気はありません」
「ここで滅ぼします」
そう女神エリスは告げた。
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彼らには悪いことをした。
彼らが出会う前にケリをつけるつもりだったのだが。
いいえそれだけでなく、他の冒険者の人たちにも。
私はダメな女神ですね。
女神である事を忘れてただ日々を過ごす。
そのせいで多くの人たちが傷ついた。
真に償いとはなりませんが、
私は私の責務を果たします。
おかしい。ラスボスにしか見えない。どうしてこうなった。
直前にホーストとこめっこの関係書いたから余計そう感じる。
そんなエリス様も好きです。
エリス様はメインヒロイン。はい復唱。
爆焔は基本めぐみんのお話なのでだいぶ尺持ってかれる。つらみ。
アクアが降りてきてないのでセシリーは出ません。申し訳ないと思ってる。このすばのアプリのセシリーはかわいいというわけじゃないけどなんか好き。
おまけ
だいたいエリスのせい (アクシズ並感)
ゼスタ「むむ、アクア様のお声が聞こえる」
アクア『なんで仕事終わんないのよー。助けてエリスー』
ゼスタ「こ、これは。皆の者、アクア様が天界でお困りになられておる。原因は後輩である事をいいことにアクア様に頼み事を押し付けるエリスの仕業だと思われる。聖戦だ。皆エリス教会へ向かえー!」
うおー
セシリー「く、めぐみんさんが困っている電波を感じる。ごめんなさいめぐみんさん。一緒にいてあげられないお姉ちゃんを許して」
読んでくださったみなさんに深く感謝を。