この素晴らしい世界でエリス様ルートを   作:エリス様はメインヒロイン

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ポンコツ店主さん登場


この上位悪魔と決着を♯1

 俺とクリスは2人で宿に帰っていた。陽はだいぶ傾いておりそろそろ夕刻といったところだろうか。クリスはダクネスからの折檻を想像してかなかなか宿に入ろうとしなかった。

 

「やめてダクネス。アイアンクローだけは勘弁してぇ」

 

「大丈夫だ、クリス。あいつはバインドで縛り上げて置いてきたからな。今ごろ部屋の中でそれはもう言葉にできないような状態になっていることだろう」

 

「そ、それはそれで友人として見たくないんだけど」

 

 だがそんな俺たちの予想に反して部屋には誰もおらず置き手紙があるだけだった。その手紙の内容は、

 

『すまない2人とも。今この手紙を読んでいるということは私はもう連れさられたあとなのだろう。というか今絶賛、連れさらわれるれている最中だ。この手紙はハーゲンに頼んで書いてもらっている。私は今から私の決着をつけてくる。少しの間戻れないが2人が無事帰ってきてくれることを願っている。 

 ps. クリスは帰ってきたのなら覚悟しておけ』

 

 俺が縛り上げたせいなのかダクネスは以前聞いた何者かに連れさられたようだ。まあ文面を見る限り緊急を要するわけではなさそうだが。

 

「そっかー、ダクネスが連れて行かれたなら仕方ないねー」

 

 あはははと折檻を回避したことをあからさまに喜ぶクリスだった。最後の文章は見なかった事にしたらしい。

 

「それでどうするの? あたしとしてはあんまりキミに危ない目には会って欲しくないんだけど」

 

 心配そうな目を向けてくる。

 森の中で俺はあの悪魔をどうにかすると言った。しかしどうやって倒すかはまだ伝えていない。

 

「まあ、当てはある。作戦にはクリスも手伝ってもらうと思うからここで休んでてくれ」

 

 そう悪魔を倒す当てはある。後はどうやってその状況にこぎつけるかだ。

 

 

  ーーーーーーーー

sideめぐみん

 

「ど、どうしよっかめぐみん?」

 

 目の前のゆんゆんが不安げに聞いてくる。私たちは今ギルドの酒場にいる。

 

 悪魔から逃げてきた私たちはレックス達3人をエリス教会に預けた。幸い怪我は大した事なく数日もすれば完治するだろう。その後ギルドに先程の出来事を報告すると阿鼻叫喚となっていた。魔剣の勇者に続き街で有力なパーティーのレックス達がやられたのだ。もうこの街の人間だけで対処するのは不可能になったようなものだ。

 

「どうするもこうするも。ゆんゆんはちょむすけをあの悪魔に引き渡すつもりなのですか。そんな非道なことを覚えたなんて一体誰の影響を受けたのでしょう」

 

「ち、違うよ私もこの子に情が移ったんだから渡したくないの。あと私が非道になる理由はめぐみんだと思うよ」

 

 あの悪魔はこの机の上で丸まっている毛玉が欲しいらしい。まったくわが使い魔は人気者ですね。

 

「まあ任せてください。あの悪魔がどれほど強かろうと私の魔法で一撃で吹き飛ばしてあげましょう」

 

「でも私たちだけじゃ無理だしそれに手伝ってくれそうな人も…」

 

 そうなのだ。ゆんゆんはぼっちだし、私と組もうとする人はいないだろう。手詰まりといったところだろうか。

 そんなことを考えているとギルドの入り口から見知った顔がこちらに歩いてくる。ああ、そういえば1人つきあってくれそうな人がいましたね。

 

「ようめぐみん。暇なら俺の話に乗らないか? 爆裂魔法は最強魔法。その使い道を考えてやる」

 

 どうやらあちらものり気のようだ。

 

  ーーーーーーーー

 

 ギルドでめぐみんとゆんゆんを見つけた。どうやら彼女達もあの悪魔に会ったそうだ。俺たちはお互いの知っていることをすり合わせた。

 

「つまりあの悪魔はその猫を狙ってるってことか」

 

「ちょむすけです」

 

 人の話を折るな。

 

「まず大前提としてめぐみんの爆裂魔法であの悪魔は倒せるんだな?」

 

「ええ、私の魔法は神だろうが悪魔だろうが消し飛ばすことができる魔法ですから」

 

「でも爆裂魔法って詠唱も長いしどうやって当てるの?」

 

 そう1番の問題点はそこなのである。昼間の戦いぶりを見た限りあの悪魔は見た目以上に素早い。それに翼で空に逃げられたら当てる難易度は跳ね上がるだろう。戦って抑えようにもあの力だ。簡単に蹴散らされてしまう。

 

「何か使えるものがないか探してみるか」

 

 そうして俺たちは商店街の方に足を運んだ。

 

 

 二時間後。

 

「カズマ何かありましたか?」

 

「ご、ごめんなさいカズマさん。何も見つからなかったです」

 

「まあ、そう都合よくあるわけないか」

 

 3人で手分けして探していたがこれといったものは見つからなかった。聖水や頑丈なロープなど効き目はありそうなものはあったが決定打には欠けている。

  

「早くしないと店全部しまっちまうぞ」

 

 あの悪魔がいつ街に来るかは分からない。早く方法を見つけないと。そんなことを考えていると小道の奥の方にポツンと店が構えてあった。

 

「誰かあそこの店行ったか?」

 

「私は行ってませんね。あるのにも気づきませんでした」

 

 ゆんゆんも首を振っている。ダメ元ではあるが行ってみよう。

 

 そこは『ウィズ魔道具店』という名前の小さな店だった。俺たちがそこに入ると、

 

「いらっしゃいませ。ウィズ魔道具店にようこそ」

 

 茶色のウェーブがかった髪に紫を基調にしたローブ、少し不健康そうな顔をした美人のお姉さんがいた。というか、

 

(デカっ!)

 

 どことは言わないがとても立派なものをお持ちだった。

 

「今日は誰もお客さんが来ないと思っていたのに三人もきてくださるなんて。頑張ってお安くしますよ!」

 

 中身はちょっと残念なのかもしれない。

 

「何か使えそうなアイテムがないか探しに来たんだが」

 

「でしたらこれがオススメですよ」

 

 そう言って棚から一つの商品を取り出した。

 

「強い衝撃を与えると爆発するポーションです」

 

「必要ありませんね」

 

 めぐみんは即答した。

 

「え、えっとでしたらこの蓋を開けると爆発するポーションは」

 

「いりませんね」

 

 食い気味である。

 

「な、なら私一押しのこの水に触れると爆…」

 

「却下ですね」

 

 もはや条件反射である。爆裂魔法を使う者として爆発関連のものは受け付けないらしい。というかこの店は火薬庫なのか。事故が起きたら周りもろとも吹き飛びそうである。

 

「えっと、そういった攻撃用のじゃなくてもっと別のものはないか?」

 

 めぐみんに全部拒否され少し涙目の店主はでしたらと別の商品を取り出す。

 

「これは使うと数分の間、周囲を暗闇で覆う魔道具です。使い切りですがモンスターから逃げる時に便利ですよ」

 

 なるほど。自分達の目も奪われるが逃げるだけならそこまで問題はないのかもしれない。

 

「使えそうだなそれ。いくらするんだ?」

 

「50万エリスです」

 

「……」

 

 50万エリスはカエル20匹相当の報酬である。

 

「それだったら普通の煙玉でも使えばいいと思うんだが。使い切りにしては高いし」

 

「で、ですけどこの商品は煙と違って真っ暗になりますし、風で吹き流されないんですよ!」

 

 まあ品としては悪くさそうだが値段がぼったくりである。

 

「カズマ、今必要なのは動きを封じる魔道具なのでそれは必要ないのでは?」

 

「いやもし作戦が失敗したら逃げるために必要だろ」

 

「カ、カズマさんはあれだけ格好つけて誘ったのに逃げることを考えてるんですか」

 

 俺の発言に2人が少し引いてる。おかしい、別に冒険者として間違った判断はしてないのに。  

 

「動きを封じる魔道具でしたらこれなんてどうですか。パラライズの魔法の能力アップポーションです」

 

 俺たちの話を聞いてそれならと商品を出してきた。

 

「えっと、私たちが戦うのは街を騒がせている悪魔で、…悪魔にはパラライズの魔法は効かないんです」

 

「その点でしたら大丈夫ですよ。昔私の知り合いの方に尋ねたところ『うむ確かに悪魔だろうとそのポーションを使えば動きを止められよう。まあその後は知らんがな、フハハハハ』と仰ってましたから」

 

 控えめに指摘するゆんゆんに店主はその効果を保証してきた。

 本当に大丈夫なのかそれ。しかしこれまた結構なお値段だ。というか金が足りないな。そう悩んでいると、

 

「では、これをどうぞ」

 

 そう言ってポーションや魔道具を渡してきた。

 

「いや、そんなに金ないですよ」

 

「お代は構いませんよ。私も冒険者の皆さんのお手伝いをしたいので」

 

 この店主さんめっちゃいい人だな。俺たちみたいな駆け出しにこんな高価なものを渡してくるなんて。

 

「大丈夫ですよ。私は毎日パンの耳でも生きていけますから」

 

「悪魔倒したらちゃんと代金払いにきますから!」

 

 こうして俺たちはパラライズのポーションを筆頭に幾つかの魔道具を貰った。

 

 

「後この爆発するポーションも…」

 

「ありがとうございました。では」

 

 めぐみんは俺たち2人の手を引き店を出た。

 

「ま、またいらしてくださいね〜」

 

  ーーーーーーーー

 

 その夜。俺とエリスは明日の作戦を練っていた。悪魔と直接戦ったエリスの意見が聞きたかったのでめぐみんとゆんゆんには明日に備えて休んでくれと頼んでおいた。

 

「作戦は、まあこんなもんか」

 

 やることは明白でこちらの手札も多くはない。作戦はそう時間をかけずに決まった。

 

「それで失敗した時にはこれを使って逃げる」

 

 俺は店主さんにもらった暗闇の魔道具を手にしながら言った。

 

「あなたは俺に任せてくれって言ったのに逃げる算段なんてしてるんですね」

 

 エリスはジト目で抗議してくる。おかしい、別に冒険者として間違ってないのに。いや確かに昨日の言葉を言った手前逃げるのは我ながらどうかと思うが。

 

「ふふ、冗談ですよ」

 

 俺が返答に困っていると彼女は笑っていた。どうやらからかわれたらしい。

 

「けれど暗闇は私の目や千里眼の暗視などで見ることはできますが、同じく悪魔も見ることができるので効果はあまり期待できませんよ」

 

「マジですか。結構高い物だったんだけどなぁ」

 

 まあ貰い物だが。使わなかったら今度返しに行こう。

 

「というか、クリスの時に暗闇で目が効かないって言ってませんでした?」

 

「私は女神ですから見通す力を持っているんです。この姿なら暗闇の中でもはっきりと見ることができるんですよ」

 

「なん…だと」

 

 少し自信あり気に返してきたが問題はそこじゃない。

 

「つかぬことを聞きますが夜寝ている時にこっちのベッドを見たりすることは…」

 

「たまに布団をゴソゴソして寝苦しそうだなと思うことはありますが、それが何か?」

 

 質問の真意を理解せずにキョトンとしている。よかった。この人が純粋で本当によかった。そうやって俺が安堵していると彼女は俺に告げてきた。

 

「それと、もし作戦が失敗したのならあなたはあの2人を連れて逃げてください。私が1人になればエリスとしてあの悪魔を倒しますから」

 

「いやでも、そんなことしたら…」

 

 さすがに1人になったところに悪魔が倒されたら不審に思う人も多いだろう。場所によっては他の冒険者に見られる危険性もある。それは彼女の望む所ではないはずだ。

 

「お願いします」

 

 それでも少女はリスクはあれど街の人のために戦うことを決めたようだ。

 明日の作戦の失敗は許されない。

 

 

 

 




ウィズはかわいい。そしてでかい。
ダクネスにはすまなかったと思ってる。

もろもろの解説は次回まとめて。

おまけ

見つけましたよお嬢様

ダクネスバインド中

「くぅ、クリスのことは心配だがこの状況もなかなか捨てがたい物だ。カズマが帰ってきたときは続きだと言って私を好き放題にするのだろう」

「お嬢様。見つけましたよ」

「な、ハーゲン。どうしてこの場所が」

「宿の方が部屋の中から不審な声がすると通報がありましておそらくお嬢様だろうと判断し、現れた次第です」

「さすがだ。よく私のことをわかっているな」

「お嬢様はもうちょっと自重してください」


さすがのダクネスも家の人の前だと恥ずかしがるとは思うけどね。

読んでくださったみなさんに深く感謝を。
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