この素晴らしい世界でエリス様ルートを 作:エリス様はメインヒロイン
サブタイトルはかなり適当。
時刻は夕暮れ。冬の陽はとうに落ち、闇と静かさが街を覆う中。
街の一画、冒険者ギルドからは、騒がしい声と光が漏れ出していた。
「ぷはーっ! やっぱ一仕事終えた後の酒はうめーなー! しかも今回はデストロイヤーなんていう超大物相手だったから、なお格別だ!」
「報酬金いくら貰えるんだろうねー。これで残りの冬場も、お金のこと気にせずに過ごせるよ」
「一時はどうなるかと思ったけど、終わってみれば万々歳の結果だな。おーい姉ちゃん、今日は奮発して高級シュワシュワ頼むわ!」
デストロイヤーという脅威を討伐した冒険者達は、当然の如く宴会を開いていた。半日前の死んだ空気の作戦会議からは考えられないような盛況ぶりだ。駆け出しのくせにこの街の冒険者達は随分と神経が図太い。
「ああ、ようやく来たかカズマ。お前が今日の主役だというのに何処に行ってたんだ?」
「遅れて悪いなダクネス。早めに済ましときたい用事があったんだよ」
野暮用を済ませた俺がギルドを訪れるとダクネスが出迎えてくれた。他の冒険者達が既に出来上がっているのに対して、ダクネスはあまり飲んでいないのか素面に見える。
ちなみに俺の用事というのはサキュバスの店のことである。女神エリスを夢に出さないよう頼みに行ったら、思いの外快諾された。そもそもサキュバスのような弱い悪魔にとって女神は恐怖の象徴らしく、俺が頼みに来なくても男達の要望は断っていたそうだ。
そんな一番の懸念点が解消されギルドに寄ったわけだが。
「それで、あいつらは何やってんだ?」
宴会の一角、そこに集まる人だかりを見ると。
「この私が! 我が爆裂魔法が! あの機動要塞デストロイヤーを粉砕したのです! 我が爆裂魔法でなければあんな芸当、到底できなかったでしょうね! どうですか皆の衆、爆裂魔法の偉大さが理解できましたか?!」
「「「おおおおっっっ!!!」」」
めぐみんがお立ち台みたく机の上に乗り、意気揚々と自分の今日の活躍を語っていた。その瞳は紅く輝き、言葉にはいつも以上に熱がこもっていた。
普段なら鬱陶しがる冒険者達も、酒とデストロイヤーを討伐したという高揚感から、やんややんやと騒ぎ立てている。あの空間だけ異様な熱気に包みこまれていた。
「いやホント何やってんだ? 今回爆裂魔法が大活躍できて嬉しいってのは分からんくもないが、今日のめぐみんは何か度を超してるっていうか……」
「どうやら私が目を離していた隙に、こっそりと酒を飲んでたみたいでな。気付いた時にはあんな風になっていた」
ああ、確かに言われてみれば、めぐみんの顔が赤くなってるのが見える。今まで散々子供扱いされて酒を飲んでこなかったから飲み過ぎでもしたのだろう。今日はもう仕方がないが、やっぱりあいつにはまだ酒は早いようだ。
「何? 失敗するのが怖くはなかったか、ですか? 愚問ですね。爆裂魔法は全ての魔法の頂点に位置する魔法です。今回は女神エリスが魔力結界を破りましたが、あれがなかったとしても失敗などあり得なかったでしょうね!」
「「「おおおおっっっ!!!」」」
俺の記憶だと作戦直前になってびびっていためぐみんの姿しか思い浮かばない。まあ俺も人にどうこう言えるほど、どっしりと構えていたわけではなかったが。というか他の冒険者達のあのノリの良さは何なのだろう。
まあ百歩譲ってアレはいい。普段より少しオーバー気味ではあるものの、いつも通りのめぐみんだ。周りの奴らも今日は珍しくめぐみんの爆裂バカっぷりを受け入れている。
問題はもう一人の方なのだが……。
「なんで誰もあたしの話を聞いてくれないんだろ? エリス様があんな馬鹿みたいなこと言うわけないじゃん。いや確かに一信徒としてのクリスと女神の隣で話を聞いた人を比べたら、後者の方が話題性とか真実味があるかもしれないけど。それでも普通はおかしいって思うでしょ。おまけにみんなあたしに対してなんか優しい目を向けてくるし……。悪気がないだけ怒るに怒れないし……」
「ああ、クリスさん。あんまり飲み過ぎるとお体に触りますよ」
ギルドの一角でクリスはぶつぶつと愚痴を吐きながら酒を煽っていた。本日の彼女の心は荒れ模様、闇落ち日和のご様子で。
そんな情緒不安定なクリスのせいか、隣で話を聞いてあげているウィズ以外の冒険者達は、少し離れたところで遠目から眺めるように飲んでいる。あそこの空間だけポッカリと穴が空いたように人がいない。
「クリスがあんな風になっているのはカズマのせいだと聞いたのだが。その……一体どんな非道なことをやったんだ? 」
「期待に満ちた目を向けてくるな、この変態。お前が楽しめるようなことは何もしてないよ」
平常運転のダクネスをあしらいながらクリスの話に聞き耳を立てていると、どうも俺が昼間にエリス教徒に吹聴したあれが原因らしい。クリスはエリス教徒達にあれはでまかせだと言って回ったようだが、当然クリス一人で追いつくはずもなく、どんどん話は広まっていったようだ。
「もう周辺の街どころか王都の方にまで連絡したって言うし……。アハハハハ、終わった、あたしの神生……。うう、どうしてこんな事に……」
「クリスさんの神生は長いんです。私にはことの重大さは分かりませんが、きっといつかは解決しますよ」
「長いからこそ色々と大変なんだけどね……。でもありがとね、ウィズさん。あたしもどうにか頑張っていくから」
後で聞いた話だが、女神エリスが降臨した事は大事件だったらしく、デストロイヤー討伐が終わった後、すぐに魔法や伝書鳩等あらゆる手段で大々的に広められたそうだ。
さらに余談ではあるが新しいエリス教の教えは、胸の大きさを気にしている女性や、一部の男性など多くの人々に受け入れられ、エリス教の信者はさらに大きく数を増やしたのだった。まあ当の女神本人がそれをどう思うかは知らないが。
今ギルド内は、普通に宴会を楽しむ者、爆裂道を語る変人、ダークサイドクリスの三つ巴に別れ、混沌を極めていた。当然後者二つは論外なので、俺は普通に宴会を楽しんでいるグループに混ざるつもりだ。
「ところでダクネス。何でお前はこんな隅っこで飲んでるんだよ。あれか? 今回あんまり活躍してないから、みんなの輪の中に入るのが恥ずかしかったのか?」
「なっ?! 確かにクリスやめぐみん程は活躍していないが、私だってデストロイヤーの上で大量のゴーレム達を相手にしたんだぞ!」
「でもあのゴーレム達を倒したのほとんどミツルギだろ。ほら、活躍したって言うならお前が何体倒したか言ってみろよ」
「ううう……。さ、三体です……」
「サバ読んでんじゃねえよ。その感じだと倒せたのは一体か」
「な、何で分かって……。じゃなくて! 見てもないお前が適当なことを言うな!」
雰囲気から当てずっぽうで言ってみたがどうやら当たりらしい。ダクネスにしては良くやったなと思ってしまう辺り、俺の頭はもう駄目かもしれん。
「そもそも私は好きで一人で飲んでるんだ。今日の自分の成果を恥じているわけではない。だから私のことは放って置いて、お前も好きに飲んでくるといいさ」
「恥ずかしくないって言ってる割には、さっきから顔が赤いような……」
「あ?」
ドスの効いた声が返ってくる。これ以上追及すると拳が飛んできかねないのでさっさと退散した。
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その後、馴染みの冒険者達と騒いだり、めぐみんに捕まり爆裂講釈を延々聞かされたり、クリスの機嫌が収まるまでぐちぐちと文句を言われたり、色々とあった。そうして宴会のピークも過ぎ、冒険者達は一人、また一人と帰っていく中。
「あ〜、頭がグルングルンするんじゃあ〜」
私こと佐藤カズマは酔いに酔っていました。
はい、調子に乗って飲み過ぎました。ちょっと周りからおだてられて、次から次へとジョッキを傾けていたらこんなことに。いやだって、デストロイヤーを倒せたのはお前のおかげだとか、カズマコールとかされたらね。期待に応えたくなるじゃん。
結果、断れない日本人体質がいかんなく発揮され、近年のアルハラ問題がいかにして起きるかを身をもって体験することとなった。
「あ、カズマ君だ〜。ねえ、あたしもう歩けないからおんぶして〜」
「ダメですよ〜、クリス。カズマの背中は私の席なんですから〜」
立ち上がるのも億劫なので机に突っ伏していると、先程ようやく機嫌を直したクリスが俺の背中にもたれかかってきて、さらに後ろからめぐみんまで参戦してきた。そうして美少女二人が俺の背中の取り合いをする、中々に素晴らしいシチュエーションが完成した。
言動から察するに二人ともかなり酔っているようだ。酔った女の子が大胆になるって男の幻想じゃなかったんだな。
「おいおい、カズマさんは一人しかいないんだぞ。気になる相手を独り占めしたくなる気持ちは仕方がないが、俺のために争うのはやめてくれ」
「「?」」
二人から何言ってんだこいつ、という視線を感じる。ハハハ、この恥ずかしがり屋さん達め。素直じゃないんだから。
だがいかんせん二人とも胸がアレなので背中の感触が寂しい。できればもう少し胸を押し付ける感じで争ってくれないだろうか。
「む〜? よく分かりませんが、カズマが良からぬことを考えてますね。クリス、やっておしまいなさい」
「あいあいさ〜。えいやっと」
「グエッ?!」
めぐみんの号令によりクリスの腕が俺の首に回ったかと思うと、一気に締められた。人体の急所である気管が圧迫され、反射的にカエルの鳴き声みたくえずいてしまう。いわゆるチョークスリーパーをかけられたわけだ。
だがそんな首の圧迫感とは別に背中に控えめな膨らみが押しつけられる。技をかけるためにクリスが密着したことにより、意図せずして俺が望んだ状況になったのだ。
「ふふふ、カズマ君が昼間のことを反省したって謝るなら止めてあげても……。ねえ、何でちょっと嬉しそうな顔してるの?」
「どうしたんですかカズマ、気持ち悪いですよ。ダクネスの病気が移りましたか?」
二人の若干引いている声を無視して背中に全神経を集中させる。押しつけられているとはいえ、クリスのそれはフラットチェスト。意識しなければ凹凸は認識できないのだ。
だが意識さえすれば、慎ましやかな膨らみを感じることができる。それはまるで天にも昇るような至福な感覚をもたらしてくれる。
……あ、これ違う。首極まってるからマジで意識飛びそうになってるだけだわ。
「他の冒険者達はどんどんと帰っていってるのに、お前達は一体何をしているんだ」
俺が天国と地獄の狭間を彷徨っていると呆れ顔のダクネスが現れた。
クリスに俺の顔が青くなってきているのを伝え、チョークスリーパーを止めるよう諭した。俺としてはもうちょっとこのままでも良かったのに。
「まったく。馬鹿なことをやってないで早く帰るぞ。お前達も今日は色々あって疲れただろう」
ダクネスの言う通り、今日はデストロイヤーの作戦会議に始まり、二転三転とした討伐作戦やいかれた日本人研究者など、疲れることが多すぎた。酒が入ったこともあり今すぐにでも寝てしまいたくなるほど瞼が重い。だから……。
「そうだな、確かに疲れてる。じゃあ俺もうここで寝ることにするわ。明日の朝には帰るからよろしく頼んます」
だから今日は酒場で一晩過ごすことにした。
いやだって、今から家まで歩くのめんどくさいし。というかもう立つのもかったるいし。それならもうここで寝ちゃえばいいかなって。
人間、睡魔には抗えないものだ。
「じゃあ今日はあたしもここで寝る〜。お休みね、ダクネス」
「右に同じくです。ダクネスは一人寂しく帰ってくださいね」
クリスとめぐみんも俺と同じ気持ちのようだ。机に突っ伏したり、長椅子に堂々と寝っ転がったりしている。
「馬鹿者、そんなことをしたらギルドの職員達の迷惑になるだろう。それにだ。お前達だってこんな固い場所より家のベッドで寝る方がいいんじゃないのか?」
む。確かに我が家の柔らかベッドに包まれる方が俺としても望ましい。
でもなぁ。マジで立つのも面倒くさいんだよなぁ。
今が楽ならそれでいいじゃない、が俺の基本スタンスだ。誰かが運んでくれるならともかく、自分から動くことはありえないだろう。
「……はぁ。お前達がどうしても動きたくないということはよくわかった。だがギルド側に迷惑をかけるわけにもいかないし……。そうだ、私がお前達を背負って帰るというのはどうだ? それなら文句はないだろう?」
一向に動こうとしない俺達三人を前にして、ダクネスは大きく溜息を吐きながら提案してきた。まあ楽ができるならと俺達三人はそれを了承した。
そうして俺達をおんぶするために屈んだダクネスの背に、まず一番重い俺、次にどこでもいいクリス、最後に天辺は譲れないめぐみんの順で乗っていった。バランスを崩して落下しないようバインド用ワイヤーで体を固定する。
これで準備完了。後はダクネスが俺達を持ち上げるだけだ。
…………いや、冷静になって考えてみると三人おんぶして帰宅とかできるわけなくね?
「ふんっ!」
そんな俺の予想を裏切り、ダクネスは掛け声と共に俺達三人を背負ったまま立ち上がった。
クリスやめぐみんの体重がどれくらいかは知らないが、装備等合わせると少なくも三人で百五十キロはあるはずだ。それを事も無げに持ち上げるダクネスの筋肉はどうかしてる。
「うぉっ?! マジで持ち上げられるのかよ。お前まるでゴリラみたいだな」
「……カズマ。そのゴリラというのが何かは知らんが、私を侮辱してるならお前だけ置いて帰るぞ」
「……馬鹿やろう。世間知らずのお前は知らないんだろうが、ゴリラさんは森の賢人と呼ばれる凄い動物なんだぞ。だから人をゴリラって呼ぶのは尊敬の意を表していて、お前なんかにはもったいなぐらいの敬称なんだ」
「そ、そうなのか。すまない、早とちりをしてしまった。……そうか、賢人か。じゃあこれからは、皆からゴリラクルセイダーと呼ばれるよう頑張りたいものだ」
「お、おう……いい目標だと思うぜ」
笑い声が出そうになるのを必死に抑えながら返答する。今笑ったらさすがのダクネスでも言葉の意味を訝しんで詰問してくる。そうなった先は想像に難くない。Kazuma Must Die の未来が待っている。
とりあえずダクネスがアホなことを言い回らないうちに、今度それとなく本当の意味を伝えておこう。
というかこの世界にゴリラっているのだろうか。俺の背中でクツクツと必死に笑いを堪えてる女神様は知っているようだが。
ダクネスは俺達三人を平然と背負ったままギルドを出て、帰りの道を歩いていく。側から見たら変な四人組だ。まあ通行人が少ないから気にする必要もないだろうが。
「それで、三人とも何か問題はないか。要望があるなら出来る限り善処するが?」
「ダクネスの鎧が固くて痛いから脱いでくれないか。鎧を脱ぐのと一緒に薄着になってくれればなお良しだ」
「あたしは特にないかな。……あ、でも、もうちょっと速く歩けたりする? あたし今日は疲れたから早く寝たいよ」
「一番上だからか揺れが凄いですね。もっと繊細に歩けないんですか、まったく」
「……好き放題言ってくるなお前達は。あんまりわがまま言うと適当な路地に置いていくぞ」
「それにしても一番上を陣取るのは悪くありませんね。三人を従えてるみたいで気分がいいです」
「なんで俺らがお前の下っ端扱いされなきゃならんのだ。こんなのただの体重順だろ。下が重くて上が軽い。ただそれだけだ」
「一応年齢順でもあるかな。今のあたしの姿はカズマ君より一つ二つ年下くらいの年齢だからね」
「なるほど。じゃあ纏めると、ダクネスはこの中で一番下っ端で、一番体重が重くて、一番歳食ってるってことなるのか」
「…………なあ、年齢のことや下っ端扱いはそこまで気にしないのだが。その、一人の女として一番体重が重いとかはあまり言ってくれるな……」
適当な話題を話しながら帰路に着く。そうしている内にみんな眠くなってきたのか段々と口数が減っていく。
こうして人におんぶしてもらうなんて十数年ぶりだとは思うが、案外悪くないものだ。体重を預けているからか妙な安心感があり、一定間隔の揺れは心地よく自然と目蓋が重くなっていく。
誰かが何か喋っているがもう内容もよく分からない。俺は自らの内から溢れる欲求に身を任せて目を閉じた。
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「三人とも寝てしまったのか……? なら起こさないよう慎重に歩かないとな」
背中から三人の寝息が聞こえてくる。こんな不安定な状態でよくもまあ眠れるものだ。不意に落ちてしまいそうで怖くはあるが、酔って騒いでいる時よりは運びやすくて助かる。
私達の家に向かって歩いていく。街灯と家屋からの灯りがほのかに道を照らし、家の中からは子供だろうかはしゃぐような声が聞こえてくる。
いつも通りの帰り道。だが私が守りたかったものが確かにここにある。
酒場での冒険者達の姿を思い出す。彼らも私が守るべき領民だというのに随分と無理をさせてしまった。まあ酒場で馬鹿みたいに騒いでいた姿を見るに、そんなことはまったく気にしてないのだろう。
そんな彼らを眺めているのが楽しくて、先程はつい一人で過ごしてしまった。
そして背中で寝息を立てている三人。
カズマがいなければあれだけの冒険者達は集められなかったし、エリスやめぐみんがいなければデストロイヤーを止める術はなかった。この三人がいなかったら今頃この街は地図から姿を消していただろう。
「私は仲間や友人に随分と恵まれたな」
元はと言えば私一人のわがままだったのに、三人は懸命にそれを形にしてくれた。本当に、感謝の念が堪えない。
彼らに比べて私は大したことはできなかった。ただただ思いだけが先行して何も成すことができなかった。仲間の一人として恥ずかしいばかりだ。
だから今、こんな風に彼らを背負っていることを嬉しく思う。まるで彼らに頼られてるみたいだから。まあ当然、こんな些細なことで彼らの頑張りと釣り合いが取れてるはずもないのだが。
今回の恩はこれから先、私が彼らの助けになれるよう頑張ることで返していこう。誠意には誠意で返す。助け合いこそが冒険者仲間にとって大事なことなのだから。
「そういえばまだお前達に礼を言っていなかったな。みんな。街を守ってくれて、ありがとう」
誰に聞かせるでもなく、私は一人感謝の言葉を呟いた。
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デストロイヤー迎撃戦から数日後。
冒険者ギルドには大勢の冒険者が集まっていた。彼らが集まった理由は他でもない。ギルド側のデストロイヤー関連の事後処理が終わり、今日ようやくその賞金が冒険者達に配られるのだ。待ちに待たされた冒険者達は、欲望に駆られた目をギラギラとさせている。
大物賞金首機動要塞デストロイヤー。散々国を荒らし回ったそれは、当然多額の懸賞金がかけられていた。その額なんと三十億エリス。魔王軍幹部にかけられた額の実に十倍である。冒険者達が期待するのも無理からぬことだ。
俺もその例に漏れず、かなり期待している。なにせ俺は今回の討伐作戦において、名目上ではあるものの作戦の立案からその指揮など多方面で活躍したのだ。報酬の方にもきっと色を付けてくれるに違いない。
今回の報酬でようやく借金が返済できるだろう。思い返せば理不尽な出来事ではあったが、終わってみればあっけないものだ。借金を返し終わったら今度こそ真っ当な冒険者ライフを送るとしよう。
そんな俺の淡い期待はあっけなく崩れ去る。
二人の騎士を引き連れた黒髪の女が唐突にギルドに現れたかと思うと、俺を厳しく睨みつけ名指しで用件を伝えてきた。
「冒険者、サトウカズマ! 貴様には現在、国家転覆罪の容疑が掛けられている! 自分と共に来てもらおうか!」
俺の冒険者ライフの明日はどっちだ?
ようやく二巻部分が書き終わりました。
だいたい同じ時期に始めた他の作品がアルカンレティアとか紅魔の里に行ってるのにまだ二巻です。我ながら執筆速度の遅さに笑いが出る。まあここまで差が開くと気にするのも馬鹿らしくなってくるので今後もマイペース投稿でやっていきたいと思います。
というわけでデストロイヤー戦エピローグでした。
エリスやめぐみんとのやり取りはデストロイヤー戦前後半でやってたので、今回はダクネスに重点おいて書きました。
正直三人が酔ってからおんぶまでのシーンは展開に違和感ありありなんですが、ダクネスの独白とゴリラクルセイダーをどうしても入れたくてああなりました。
今回もクリスの胸ネタを使ってしまった。あんまり多用すると飽きが来るので今後は出来る限り封印していく所存です。
何故かカズマさんが指名手配されてますね。だけどエリス様は絶対に失敗しないって確約したからきっと誤解だよね。
次回「カズマ、捕まる」 こうご期待。
読んでくださり深く感謝。