この素晴らしい世界でエリス様ルートを   作:エリス様はメインヒロイン

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クリス登場


この幸運の女神と異世界転生を♯1

「おお」

 目を開けるとそこには

「おおおお」

 ゲームの中でしかみたことのないような

「おおおおぉーーー!」

 異世界と呼ぶにふさわしい街並が広がっていた。

 

「すげー!中世ヨーロッパみたいな建物に馬車なんか走ってるし。本当にゲームの中に入ったみたいだ。これが異世界かー!」

 

「さようなら引きこもり生活、こんにちは異世界。この世界なら、俺ちゃんと外に出て働くよ!」

 

「じゃあこれからよろしくお願いしますね。エリス様!」

 

 異世界に来た喜びで興奮していたカズマは

 

「あれ?」

 

 肝心の女神エリスがいないことに気づいていなかった。

 

「あれーーーー⁉︎」

 

 

  ーーーーーーーーー

 

「エリス様ー。どこですかー」

 

 出鼻を挫かれたカズマはエリスを探すために街中の大通りを散策していた。

 

「エリス様ー」

 

 どうしよう、さっきまでなら何が来ても怖くないって感じだったのに、1人ってわかった途端すげー心細い。

 

「エリス様ー」

 

 何か周りの人からめっちゃみられてるし。

 服装か?やっぱ異世界じゃジャージは目立つのか?

 

(ていうかエリス様本当どこ行ったんですかー?)

 

 まだ10分程度しか探していないが一向に見つかる気配がなかった。

 

(一緒に門に吸い込まれてたしこっちに来てるとは思うんだけどな)

 

(もしかして俺避けられてる?)

 

(それともやっぱり女神は連れてこれないとか?)

 

 慣れない場所で一人でいるせいでどんどん思考が悪い方に流れていった。

 

 

「もし、そこの少年」

 

 それでも諦めずに探していると神官の格好をした男性に呼び止められた。

 

「何か困りごとですかな」

 

「えっと、人を探していて。エリスって言うんですけど」

 

 カズマは明らかに高位の役職についているだろうプリーストに萎縮しつつも返事をした。

 

「ほう、女神エリス様をお探しで。それは私も是非ともお会いしたいですな」

 

 その返事に対し男は楽しそうに笑いながら答えた。

 

「いや女神ってわけじゃ」

 

「しかし、そんなに往来でエリス様の名前を呼ばれると、あの方も困ってしまわれます。以後お気をつけを」

 

 カズマはいまいち要領を得ない男を面倒に思い、

 

「えっとわかりました。じゃあ俺はこれで」

 

「あっと、そういえば私あなたに言伝を頼まれていまして」

 

 さっさと去ろうとすると無理矢理引き留められた。

 

「いやそっちを先に教えてくれよ!」

 

 この世界に知り合いのいない俺に用があるのはエリス様しかいないだろう。

 ようやく見つけた。

 

「銀髪の美しい少女があちらの路地の奥に来て欲しいとのことです。残念ながら名前は教えていただけませんでしたが」

 

「ありがとな、おっちゃん」

 

「いえいえ、お役に立てて何よりです。それでは私はこれで。あなたに女神エリスの祝福があらんことを」

 

 そう言って最後までよくわからなかった男は去っていった。

 

 

   ーーーーーーーー

 

 

 男の言葉に従って路地の奥に行くとエリス様が待っていた。

 

「エリス様、やっと見つけましたよ。どこ行ってたんですか?」

 

「‥‥‥‥」

 

 カズマはようやく知り合いに会えて安堵した。

 

「よーし、ここからが俺のフイーバータイムだ!」

 

 なんと言ったって俺の特典は女神様だ。

 他の転生者と違ってチートし放題。

 薔薇色の異世界生活が待ってるぜ!

 

「‥‥‥‥」

 

 しかし先程からエリス様の様子がおかしい。

 ずっと黙ったままだし、なんか頬が赤いし、ジト目で俺をみてくるし。

 

(かわいいな)

 

 そんなしょーもないことを考えていると、

 

「はぁ」

 

 溜息をつかれた。

 なんか悪いことしたかな?

 

「佐藤和真さん。私も初めての経験なので確証はありませんが、今の状況を説明させてください」

 

 彼女は表情を正して話し始めた。

 

  ーーーーーーーー

 

 彼女の話を聞くに連れてカズマの計画はどんどん崩れていった。

 転生特典を与えることができないこと、急に連れてこられたので俺の初期装備も何も用意できないこと、彼女が天界に帰るために魔王を倒すのを手伝って欲しいことを伝えてきた。

 

「俺の完璧な計画が...どうしてこんなことに」

 

「本当にどうしましょうか」

 

 エリス様は困った顔をしながら頬をかいていた。

 

「やっぱり天界に帰りたいんですか?」

 

「‥‥‥そうですね。この世界での死者を導くのは私の務めですし、他にもやり残したことがあります」

 

(何か悪いことしたな)

 

 思いついたときにはこれ以上ない名案だと思ったのだがこんな風に困った顔をされると罪悪感が湧いてくる。

 どーしたもんかと悩んでる俺に彼女は提案してきた。

 

「とりあえずこの街のギルドに行ってみましょう。冒険者になるならそれが一番手っ取り早いですから」

 

 なるほど。

 さすがこの世界の女神様だけあって内情にも詳しいようだ。

 そう俺が感心しているところに、

 

「それでですね。準備があるのでちょっと後ろを向いていてもらえませんか」

 

 先ほどまでとは打って変わって、悪戯っぽく笑いながら俺に言ってきた。

 

  ーーーーーーーー

 

 後ろを振り向いてから10秒。

 カズマの思考は加速していた。

 

 これはあれか、お決まりの着替えイベントというやつか

 路地裏とはいえこんな街中でなんて大胆な

 今振り向いたらおそらく下着姿のエリス様がいるのか

 いやあの清純そうなエリス様がこんなことをするなんて

 

「カズマくーん」

 

 ではあの悪戯っぽい笑みは一体どういう意味が

 俺が気づいてないだけですでに好感度MAXになってるのか

 むしろ俺に振り向いて着替えシーンを見て欲しいのか

 そんなのもうエリス様じゃなくてエロス様だよ

 

「カズマくーん?」

 

 そもそも着替えなんてもってなかったし脱ぐしかないのでは

 え?じゃあなに着替えイベントすっ飛ばしてその先いっちゃうの

 エリス様の程よい大きさパイが見れちゃうの

 大人の階段をジェット機乗って駆け上がるの

 勝ったっ!エリス様ルート完!なんですの

 

「ねえカズマくんってば!」

 

「はっ⁉︎」

 

 エリス様の呼びかけで我に返った。

 

「もう振り向いてもいいよ」

 

 着替えをすますにはあまりに早い。

 喋り方も先程までの硬い雰囲気が抜けている。

 

 カズマは勝利を確信した。

 

(落ち着け佐藤和真、素数を数えるんだ。

 小さなミスも許されない。

 冷静さこそが男の度量だ)

 

 呼吸を整える。

 

(まずはしっかりとその御姿を目に焼き付けるんだ!)

 

 そうしてゆっくりと振り向いたその先には、

 

 

「まずは自己紹介といこうか。あたしはクリス。見ての通り盗賊だよ」

 

 

 皮の鎧を着た頬に小さな切り傷があり、

 先程までいた少女に比べバッサリと切られている銀髪をした、

 スレた感じだが明るい雰囲気を感じさせる、

 

 エリス様と瓜二つの少女が立っていた。

 

 

「どう、びっくりした?」

 

 あっけに取られていると思ったのか彼女は楽しそうにからかってきている。

 

 

 しかしカズマの脳内はその想像をはるかに超えていた。

 高まる期待によって焼ききれんばかりに高速回転されていた思考に、僅かな理性によって冷静さを保とうとブレーキをかけていた。

 そんな不安定な状態の所にクリスという謎の少女の情報が横合から殴りつけてくる!

 結果思考の車輪は軸を外れどこかへと消え失せていた。

 カズマの脳内には先程まで思考していた行動に従い、残された断片的な情報を吐き出すことしかできなかったのだ!

 

 つまり、

 

「エロス様の清純パイが小さくなってるー!」

 

「エ、エロス様⁉︎てゆうかそこですか⁉︎もっと他に見る所あるじゃないですかー!」

 

 しっかりその姿を焼き付けて思考の断片から発した言葉がこれなのである。

 馬鹿である。

 

  ーーーーーーーー

 

「すいませんでした」

 

「い、いや期待以上にびっくりしてくれてあたしも驚いちゃったよ」

 

 土下座っている俺を彼女は許してくれるようだ。

 なのになぜだろう。

 先程よりも物理的にも心理的にも距離を感じる。

 

「えっと、エリス様ってことでいいんですよね?」

 

「そうだよ。エリスとクリスは同一人物。息抜きにエリスのまま降りてきちゃうと大騒ぎになるからね。地上ではこっちの姿で過ごしてるんだ」

 

「どうやって着替えたんですか?髪もバッサリ切ってるし」

 

「自分で説明するのは難しいんだけど、こう白い光にふわーと包まれて気がついたら姿が変わってる、みたいな?」

 

「なるほど魔法少女ですね」

 

「何それ?」

 

「それにしても随分イメージ変わりますね。口調も髪型も服装も胸も変わってるなんて」

 

「君ってデリカシーないって言われない?ま、まあ確かに胸が小さくなるのが欠点なんだよねー」

 

 カズマは様子のおかしいクリスに気づかずに感心していた。

 なるほど、確かにこれなら正体が、女神だとはばれないだろう。

 

「えっとじゃあこれからはクリスさんって呼べばいいのか?」

 

「クリスでいいよ。後硬い感じも禁止ね。あたしはカズマくんって呼ぶから」

 

 なんだろう。

 何故か知らないが、先程からどこか楽しそうというか、浮かれているように感じる。

 まあ特に悪いことでもないし気にしなくていいか。

 

「わかったよ。じゃあク、クリス。ギルドまでの案内頼む」

 

「オッケー、それじゃあ行ってみよう!」

 

 

 




アクア様に比べて展開が進まねぇ。
ギルドつくまでにどんだけ時間かかったんだよ。
というわけでエリス様は正体隠して進みます。
どこぞの女神と違って秒でバレるからね。
仕方ないね。

エリス⇄クリスはシームレスに姿を変えれます。
魔法少女って言ってるけど別に途中で裸になったりはしません。

クリスがカズマのことを君付けで呼んでいますが原作だと「カズマ君」と呼んでるのはおそらく6巻での一回だけです。
その後は基本助手君になるので割とレアです。
どうでもいい知識が増えましたね。
間違ってたらごめんないさい。
ところでクリスの君付けっていいよね。

途中のオリキャラの聖職者はアクセルのエリス教徒の偉い人です。
見た目やイメージは綺麗なゼスタを想像してください。
偶然エリス様に呼び止められて初見で正体に気がついたけれど訳ありなのを察して気づいてない振りをしてくれてるナイスガイです。
エリス様はばれて無いと思ってます。かわいいね。

自分で言っといてなんですが綺麗なゼスタってもうそれゼスタの原型ないなと思いました。


おまけ

ある聖職者の一日

「どうされました?今日はいつにも増してご機嫌じゃないですか」
「わかりますか。そうですね、今日という日は私の人生に置いて記念すべき日となりました」
「それは素敵ですね。お話を聞かせてもらってもよろしいですか?」
「ふふふ、申し訳ありません。この喜びは私の胸の内だけに留めていないと意味が無いのです」

 男はまるで隠し事をする子供のように笑った。

 あの方に呼び止められた時は自然と祈ろうとしてしまった。
 けれど名前を尋ねても答えて頂けなかったのは何か訳がおありなのだろう。
 ならば私はただ一人の少女のお願いを聞いてあげた。
 それだけで良いでしょう。
 あの幸運な少年が何者かはわかりませんでしたが、
 彼らの旅に祝福があることを願っています。


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