この素晴らしい世界でエリス様ルートを   作:エリス様はメインヒロイン

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今回ちょっとシリアス?


この幸運の女神と異世界転生を♯2

 クリスに連れられて来た場所は言うならば酒場のような場所だった。

 

「ギルドの中に酒場が併設されてるんだ。奥にある受け付けが冒険者用の窓口だよ」

 

 そう言って勝手知ったる場所のように進んで行った。

 

「よう、クリス。久しぶりだな。どうしたガキなんて連れてよ?」

 

 奥へ進んでいると横から急に声をかけられた。

 見た目からしていかにもベテランという体の男だ。

 

「彼この街に来たばっかでね。冒険者になりたいって言うから案内してあげてるの」

 

「お前は相変わらずお人好しだな」

 

 そう言いながら男は俺に矛先を向けて来た。

 

「俺の名前はレックス。自慢じゃねーがこの街一番の冒険者パーティーの一人だ」

 

 男は自信満々に名乗って来た。

 

「最近は魔剣の勇者のパーティーの方が勢いあるって聞くけど?」

 

「そんなの噂だろ?まあこの街で冒険者やっていくなら俺の名前を覚えといて損はないぜ」

 

 ガハハと笑うと俺たちに興味を無くしたのか男は再び酒をあおりだした。

 そこから離れてからクリスに尋ねた。

 

「知り合いなのかあいつ?」

 

「まあね。あの人のパーティー実力はあるんだけど前衛ばっかりでね。サポートができるあたしがたまにパーティー組んでるんだ」

 

 そんなことを話してるうちに受け付けについた。

 

「ルナさーん」

 

「はい。今日はどうされましたかクリスさん」

 

 受け付けの奥から金髪のお姉さんが窓口に出て来た。

 

「彼、新人君でね。冒険者になりたいって言うから説明お願いしてもいかな」

 

「はい。わざわざ案内ご苦労様です」

 

 そこから俺は冒険者の仕事、冒険者カード、レベル、経験値についての説明を受けた。

 

(本当にゲームの中みたいな世界観なんだな)

 

 そんな素直な感想を抱いてると、

 

「それでは登録料は1000エリスとなります」

 

「‥‥‥」

 

 金とるのかよ!

 無一文なんだけどどうしよう。

 てゆうか1000エリスってどんぐらいの価値なんだ?

 エリス様1000人分とか日本円じゃ兆超えても足りねーぞ。

 

 そんな頭の悪い思考しているとクリスが声をかけて来た。

 

「いやーごめんごめん。冒険者登録なんて久しくやってなかったからお金がいるの忘れてたよ。とりあえず今は君の分を立て替えといてあげるから」

 

 そう言いながら財布を取り出そうとしていた。

 

 さすがは女神エリス様だ。

 金の単位なんて言うパチモンのエリスとは格が違った。

 

「あ、あれ?」

 

 おっと何やら様子がおかしいですね?

 

「えっと、そういえば今財布どころか何にも持ってないんだった」

 

 あははーとクリスは謝ってきた。

 

 数字は絶対だ。

 たかが1エリスが1000エリスに勝てるはずもなかったんだ。

 

 

「どうしたらいいんだよ」

 

「困ったねー」

 

 2人して途方に暮れていると、

 

「あの、手持ちがないようでしたら少しですがお貸ししましょうか?」

 

 さすがに見かねたのか受け付けの人がお金を貸してくれるそうだ。

 

「いいんですか?」

 

「ギルドとしてはこういったことは認められていませんが、私個人としてクリスさんにお貸しするのは何も問題ありませんので」

 

「ううう、ありがとうございますルナさん」

 

「構いませんよ。それにしても珍しいですね。クリスさんが財布を忘れたりするなんて」

 

 ルナは珍しいものを見たように答えた。

 

 すいません、それ俺のせいです。

 

「それではサトウカズマさん。こちらのカードに触れてください。それであなたのステータスがわかるので」

 

 おっとようやく来たなメインイベントが。

 いろいろ想定してたのとは違うがここからがカズマさん伝説の始まりだ!

 

  ーーーーーーーー

 

「カ、カズマくーん。ご飯きたよ冷めないうちに食べよ」

 

「‥‥‥」

 

「ほら、カエルの唐揚げだよ。淡白でさっぱりしてて美味しいよー」

 

「‥‥…」

 

 俺のステータスは幸運が高いだけの一般人という結果らしい。

 そんな抵ステータスな俺は最弱の冒険者という職業しかつけなかった。

こんなのでどうやって魔王を倒すっていうんだよ。

 

「ほら。人より幸運が高いってことはきっとエリス様も君の活躍に期待してるってことじゃないかな」

 

「たかが1000エリスに負ける女神様なんて」

 

「意味はよくわかんないけどすごい侮辱されてる気がする」

 

 まぁいつまでも凹んでるわけにはいかない。

 レベルさえ上げればステータスも上がるらしいし、何よりも俺には女神様がいるのだから。

 

「それでね。あたしのお金や装備が王都にあるからちょっと取りにいってくる」

 

「えっ」

 

「お金は君に預けとくから、少しの間それで工面してね」

 

 そう言ってクリスは残っている金を俺に渡してきた。

 

「十分足りると思うけど、変なことに使っちゃダメだからね」

 

 そう言ってクリスは俺が呼び止める間も無く席を立っていった。

 

 

   ーーーーーーーー

 

 何か胸に突っかかるものを感じながら、することもなく暇していると先程のレックスとか言う男が絡んできた。

 

「よう。冒険者になれてよかったな坊主。せっかくだ、冒険者カード見せてくれよ」

 

「なんで見せなきゃいけないんだよ?」

 

「うちのパーティーはまだ3人でな。理想を言えば後1人は欲しい。だから新人にも期待できるやつがいないか探してんだよ」

 

 ついでに暇つぶしだ、と最後に本音を言っていた。

 酒が回ってるのかよく喋る。

 そういう理由ならとしぶしぶカードを見せた。

 

「あーん、職業冒険者?それになんだよこのステータスは」

 

 人を小馬鹿にしたように笑ってきやがる。

 

「期待に応えてやれなくて悪かったな。用が済んだならとっととあっちに行ってくれ」

 

 予想していた反応に辟易しながらしっしと手を振った。

 

「なんだよ。クリスが珍しく絡んでるからちっとは期待したのによー。そういやアイツどこ行ったんだ?」

 

 俺はさっきまでの経緯を説明してやった。

 

「そりゃお前あれだ、見捨てられたな」

 

 話を聞き終わった男はそんなことを言ってきた。

 

「は?」

 

「わざわざ世話して連れて来たやつが期待以下で、あいつもこれ以上関わる気が失せたんだろ。その金は別れの手付金てところだな」

 

「クリスがそんなことするわけないだろ」

 

「そうか?むしろ新人なんかにわざわざ金残してくなんてお人好しのあいつがやりそうなことだろ。それに王都までなんて往復で早くて一週間はかかるぞ。そんなはした金じゃ2日と持たねえよ」

 

 面白い酒の肴が見つかったなと、男の口は止まらなくなっていった。

 

 

「まあいい夢見れたろ」

 

 

 そんな男の言葉を聞いていた俺は、

 何も言い返す事ができなくなっていた。

 

 

「お、おい。本気で落ち込むなよ。俺が悪者みたいじゃねーか」

 

 そういえばこの世界に来た時も彼女は俺を避けていた。

 会った時もどこか様子がおかしかった。

 

「クリスも何か勘違いしてて、引き返してくるかもしれねーだろ」

 

 彼女は天界に帰りたいとも言っていた。

 俺みたいな冒険者じゃ魔王を倒さないと見限ったのかもしれない。

 

「悪かった。言いすぎたよ。ほら俺の奢りでいいから好きなもん食え」

 

  ーーーーーーーー

 

 俺は1人馬小屋の天井を見つめていた。

 

 あの後。

 奢ってくれるといったレックスに腹いせに店のメニューを片っ端から注文してやって、クリスが戻ってくるんじゃないかと待っていた。

 けれど酒場が閉まるまで待っても彼女が現れることはなかった。

 

 手持ちは残り7000エリスほど。

 体感でおそらく1エリスが1円だと考えるとあまりにも足りない。

 少しでも節約するために宿は馬小屋を選んだ。

 

 クリスは嘘をついたのだろうか?

 どこか楽しそうにしていたのは演技だったのだろうか?

 状況から考えるとそうとしか思えなくなってくる。

 

(何が悪かったんだろうな)

 

 俺がエリスと会ってからのことを思い返す。

 

 初対面でカッコつけて絶叫して、無理矢理この世界に連れてきて、何か失礼なこと言って、魔王を倒すための力もない。

 

(あれ、結構思い当たる節があるような?)

 

 カズマは深く考えないことにした。

 

(いい夢見れたろ、か)

 

 あの男の言葉を思い出す。

 彼女とあってからまだ1日しか経ってない。

 今までそう見えていたものは全部俺の妄想だったのかもしれない。

 エリスの笑顔も。

 クリスの楽しそうな姿も。

 

 俺が死んだ後、手を取ってその人生を認めてくれたことも。

 

 

 俺はまだ彼女のことを何も知らない。

 

 

  ーーーーーーーー

 

 ザッザッザ

 

 いつのまにか寝てしまっていた俺は誰かの足音で目を覚ました。

 夜間に迷惑なやつだなと思っているとその足音は俺の小屋前で止まった。

(盗人か?)

 そうして扉を注視していると、そーっと扉が開いて、

 

「カズマくーんいるー?」

 

 小声で尋ねながらクリスが入ってきた。

 

 

 

「エリス様ァーーーーーーーー‼︎」

 

 俺は彼女に全力で飛びついた。

 

「急にどうしたんですか⁉︎と言うかその名前はダメですって!」

 

 突然の抱きつきに彼女は困惑する。

 

「クリス様ァーーーーーーーー‼︎」

 

「合ってますけど落ち着いてください‼︎」

 

 クリスの姿のままエリスの口調になっていた。

 

「おい!うるせーぞ!騒ぐなら別の場所でやれ!」

 

「ごめんなさい!」

 

 隣からの罵声にクリスは謝罪する。

 それでも収まらない俺に、

 

「どこか静かに話せる場所に行きましょうか」

 

 そう提案してきた。

 

  ーーーーーーーー

 

 俺たちは街の外の城壁のそばに腰掛ける。

 夜明け前なのか東の方の空が白んで来ていた。

 

「一体どうしたの?あんなに叫んだりして」

 

 クリスはもう慣れたのか軽い感じで聞いてくる。

 彼女の前ではいつも取り乱してばかりだったからなと恥じつつ、昼間のことを話した。

 

 

「あははは!あたしが君を見捨てて何処かに行っちゃたと思ったんだ」

 

「う、うるさい。あんま笑うな」

 

 彼女が言うにはこの街から王都へはテレポートの魔法で一瞬で行き帰りできるサービスがあるらしい。

 改めてここが異世界なんだと痛感させられる。

 

「くそ、あのやろう。酔っていたとはいえ、適当なこと言いやがって!」

 

「まあそんな手軽に使えるサービスじゃないしね。はなから選択肢になかったんじゃないかな」

 

 あれ結構高いしねーと続けるクリス。

 

「あれ?金なかったんじゃないのか?」

 

「1人お金には困ってない友達がいてね。まあその友達がなかなか捕まらなくてこんな時間になっちゃったけど」

 

 つまるところ結局は全部俺の思い過ごしだったようだ。

 

 

 

「それにしても心外だなー。あたしはそんな薄情な人に見えてたんだ」

 

 俺の疑問が解けたのを察したのかクリスはからかってきた。

 俺が彼女をどう見ていたのか。

 クリスの言葉につられて昨日の夜のことを思い出す。

 そして、

 

 

「だって俺は...あなたのことを何も知らないじゃないですか」

 

 その言葉が口から出てしまった。

 

「無理矢理こっちの世界に連れてきたのも俺だし、魔王を倒せるような見込みもなければチートもない」

 

「俺なんて置いて...別の方法探した方が楽じゃないですか」

 

 我ながら面倒くさい女みたいなことを言うな。

 淡々と話しながら頭の中では別のことを思い浮かべていた。

 

 クリスが店を出ていった時、どうしてか初恋の幼なじみの子のことを思い出していた。

 不良の先輩といるようになった時、仕方ないよなと諦めた。

 こっちがどう思っていようが、向こうは勝手に離れていってしまう。

 あの時からずっと俺は止まったままだ。

 

 

 そんな俺の独白を始めこそ戸惑ってはいたものの最後まで静かに聴いた彼女は、

 

「私は勝手に何処かへ行ったりしませんよ」

 

 そう見透かしたように言ってきた。

 

「あなたは女神エリスを転生特典として選びました。特典はその人が異世界で生きていくための力になるものです」

 

「だから、私はあなたがこの世界で幸せに生きていくためのお手伝いをする義務があるんです」

 

 それが当然のことであるように言ってきた。

 この人は無茶苦茶なことを言っているのをわかってるのだろうか。

 俺が小さく笑ってるとエリスはにこりと微笑んできた。

 

「エリス様って優しいですね」

 

「ええ、女神ですから」

 

「1つわかった事があります」

 

「なんでしょうか」

 

「エリス様はかわいいってことです」

 

「ええっ⁉︎」

 

 急に言われて赤面している。

 やっぱりかわいい。

 

 もう夜が明けようとしている。

 東の空から陽の光がさしこんできている。

 

「それと一つだけ訂正を」

 

 最後に彼女はこっちを振り向いて言った。

 

「私のことは何にも知らないとおっしゃいましたが」

 

「エリスとクリスが一緒なのを知ってるのはカズマさんだけですよ」

 

 朝日に照らされて見るその笑顔はとても綺麗だった。

 

 

 

  ーーーーーーーー

 

 始めは戸惑いました。

 前例がない上に残してきた仕事。

 本当は早く帰らなければならないのです。

 

 けれど彼に帰りたいか訪ねられた時。

 私は少しだけ迷いました。

 天界に帰るのは責務のため。

 ならば私のやりたいことは?

 

 彼と過ごす時間は新鮮でした。

 本当の私を知ってもらえているようでした。

 浮かれていたと言ってもいいでしょう。

 だから彼の悩みに気づかなかったのです。

  

 きっと彼は怖いのでしょう。

 自分から誰かが離れていくのが。

 だから私は彼のそばにいてあげましよう。

 たった1人の特別な友人のために。

 

 

 

 

 




こうして長い1日が終わる。

まだ1日目なんだよなー。
カズマさんってこんなキャラだっけ?
これこのすばの意味ある?

読者の気持ちを代弁させていただきました。


今回はうまくまとめれた自信がありません。
本当はあとがきに解説をびっしり書くのは嫌なんですが今回はすいません。


レックスさん
爆焔三巻登場人物

クリスが王都に行った理由 補足

本来はクリス→エリスに戻る時は身につけているもの以外はその場所に置いていかなければいけません。etc 財布等
カズマさんに拉致られられる前は王都で義賊ってたクリスさん。
アクセルに召喚されたので手持ちがゼロになる。

あんまり詳細に説明してるとカズマさんがテレポートの存在を知っちゃうかもしれないのでカットしました。

カズマさんナイーブすぎない?
作者もそう思う。

アクアに比べて無理矢理連れて来た罪悪感が高い。
さらに予定調和のごみステータス。
たよりのエリスもどっかいく。
最後にレックスの言葉でドン。
K.O
やめてカズマさんのライフはゼロよ
みたいな

エリス様にとってのカズマさん

作中では特別な友人と評してますけどダクネスより上とか言うわけではありません。
特別と言うよりは特殊と言ったほうがわかりやすいかもしれません。

望んではいたけれど絶対に手に入らないと諦めていたもの。
最後にエリスがカズマさんに言った言葉が彼女が欲しがっていた関係。
それをくれたカズマだからこそエリスは力になろうとしています。

ちなみにカズマはそれの重要性はまだよくわかってません。


すごくロマンのない話

前回登場したおっさんプリーストがカズマとクリスが一緒にいるところを見たらわかるんじゃね?

読んでくださった読者に深く感謝を。

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