この素晴らしい世界でエリス様ルートを   作:エリス様はメインヒロイン

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爆焔三巻ルート突入!


駆け出しの街の幸運男♯1

 昔、白魚の踊り食いを家族で食べに行ったことがある。

 食べた後に口の中で動き回るあの感触は子供ながらにして感動した。

 食べると言う行為に生命を感じたのだ。

 子供は無垢だ。

 その行為の残酷さにまるで気づかない。

 生きたまま食べられる、その恐怖に。

 

 

「いやーーーー喰われるーーーー!」

 

「あはは、頑張ってー!」

 

「助けてくれ、クリスーーーー!」

 

「どうしよっかなー」

 

「クリス様ァーーーーーーーー!」

 

  

  ーーーーーーーー

 

 あの後、夜も明けたので2人で早めの朝食を取り俺の冒険者装備を買いに行った。

 

 当然俺は金がないので代金は借金という形でクリスに払ってもらった。

 別に構わないのにとクリスは言ってくるが、俺が構うのだ。

 今のままクリスに甘えていたら将来、紐になっている気がする。

 

 

 そんなこんなで冒険者ギルドについた。

 

「結構人が増えてきたな」

 

 装備を買いに行ったので人が多い時間になってしまった。

 今はクリスとどのクエストに行くか相談中だ。

 

「君のレベルに合わせるんだったらやっぱりカエルがおすすめかな」

 

 そう言って彼女はジャイアントトードの依頼所を持って来た。

 

「カエルの討伐?そんな簡単なものもあるのか」

 

「たぶん君が想像しているのより、ずっと大きいよ」

 

 ふむ。

 確かにクエストになる程度だ。

 おそらく大型犬ぐらいの大きさはあるに違いない。

 

 そんな想像をしていると、受け付けの方から驚きの声が聞こえて来た。

 

「凄いですね!流石は紅魔族です、知力と魔力が凄い数値で...」

 

 紅魔族?

 俺が聞きなれない単語に首を傾げていると、

 

「紅魔族ってのはね、生まれつき高い魔力と知力を持ってる、いわば魔法のエキスパートっていえる人達なんだ」

 

 それに加えて紅い瞳と黒髪が特徴らしい。

 確かに受付窓口にいる明らかに年下の少女はクリスの説明と合致する。

 ならばあの隅っこの席に座る彼女も紅魔族なのだろうか?

「冒険者ギルドへようこそ。スタッフ一同、今後の活躍を期待しています!」

 

 よほどすごいステータスなのか周りからからは期待の新人と言った目を向けられている。

 

 いいなぁ。

 俺もあんな感じが良かったなぁ。

 つける職業はありませんだの、冒険者やるより商人の方が向いてますよだの。

 あの時のお姉さんの目は辛かったなぁ。

 

 そうやって憂鬱に浸っていると、

 

「ほーら。君は君で頑張ればいいんだから。大丈夫だよ。あたしがついてるんだからね」

 そう言ってはにかみながらクリスは俺の腕を取って引っ張っていく。

 なんかこの人には一生、敵いそうにないなぁ。

 

ーーーーーーーー

side めぐみん

 

 ふっふっふ。

 これこそが私が望んでいた展開。

 この盛り上がり様、パーティの勧誘は引く手数多でしょう。

 そうしてゆくゆくは大魔術師となる私を支えるメンバーに...

 

 そんな妄想をしていると見知った顔がいることに気づいた。

 

 む、あれは昨日の迷惑極まりないエリス教徒。

 彼も冒険者になった様ですね。

 すでにパーティを組んでいる様子。

 まあ彼には同期として、いずれ訪れる私の伝説を讃える一員になってもらいましょうか!

 

 このロリっ子自信満々である。

 

  ーーーーーーーー

 

 平原についた俺たちは遠くからそこに佇む一個の小山を眺めていた。

 

「おい、クリス。あれはなんだ」

 

「何ってあれが討伐対象のジャイアントトードだよ」

 

「でかくない?」

 

「?さっき言ったじゃん」

 

「いやいやいや、デカすぎんだろ!」

 

 そのカエルは見た目こそただのカエルだが、大きさは乗用車をさらに一回り大きくした様なものだった。

 

「あんなもんに勝てるわけないだろ!何が初心者におすすめだ!あんなのに向かって行ったら一口でぺろりだよ!」

 

「そんなに怒んないでよ。あのカエルは食べることしか考えてないし呑み込むのもゆっくりだから、パーティが全員食べられない限り怪我しないんだよ」

 

2人で騒いでいたせいか、そのカエルはのそのそと近づいて来た。

 

「くそっ、気づかれた。こうなったらやるぞ!クリス」

 

 どうにか己を鼓舞して剣を抜いた。

 

「あ、あたしはパスだから」

 

「俺たちならやれ... 今何て言った?」

 

 高まった気持ちに急に冷水を浴びせられた俺はクリスを見た。

 

「だってこれ君のためのクエストだよ。あたしがいたら意味ないじゃん」

 

 そうしてクリスは潜伏と言うと、どういった理由か気配が薄くなっていった。

 

「ピンチになったらちゃんと助けてあげるから。それじゃカエル討伐、行ってみよう!」

 

 楽しそうに言いながら俺の視界から消えた。

 

 

 気づいたら先程のカエルは目と鼻の先にいた。

 慌てて剣を構えた俺など意にも介さず、その口を開けた。

 あの目は知っている。

 経験したことがなくても本能でわかる。 

 あれは獲物を捕食する時の目だ。

 

 カエルに睨まれた俺は動くことができず、その長い舌に絡めとられて口の中に放り込まれた。

 

  ーーーーーーーー

 

「ぐず、ぐず、うううう」

 

「ほらほら、もう大丈夫だよー」

 

 こうなることがわかっていたのか、大きめの布を取り出したクリスがカエルのぬめりをとってくれていた。

 

 クリスは俺を飲み込むために動きを止めていたカエルを倒してくれた。

 

「あんなにあっさり食べられるなんて思わなかったよ」

 

 クスクスと笑っている。

 

「本当にこれ初心者で狩れるのか?明らかにキツいだろ」

 

「金属を嫌ってるからね。装備さえ用意してれば簡単に倒せるよ」

 

「そういうことは先に言ってくれませんか!」

 

 ごめんごめんと謝っているが顔が笑っている。

 この人絶対わざとやってるよ。

 

「一回クリスが手本見してくれ」

 

 カズマはクリスの華奢な体ではあの巨体を倒せないだろうと小さな反撃を試みた。

 

「別にいいけど、手本になるかわからないよ?」

 

 あっさりと了承した彼女は近くにいるカエルを見つけて走り出した。

 クリスの存在に気づいたカエルは先程と同じように舌を伸ばして捕食しようとする。

 それを僅かな動作で交わし、その勢いのままカエルの体を駆け上がる。

 そしていつのまに抜いていたのかその手に持ったダガーを首の後ろに深々と突き刺してカエルを絶命させた。

 

「参考になったー?」

 

「できるか!」

 

  ーーーーーーーー

 

 それから2人は時には追い回されたり、クリスが縛ったカエルを倒したり、また食われたりしながら合計5匹のカエルを討伐してギルドに報告した。

 

「くそ、身体中ヌルヌルで気持ち悪いな」

 

 最後にもう一回食われたカズマは報告の後に銭湯によっていた。

 今日の成果を思い返す。

 

 あれだけの思いをして12万エリスか。

 割にあわねー。

 今日のは本当にトラウマになりそうだ。

 あの食われる感覚の恐怖といったら。

 クリスもなかなか酷いことをする。

 

 仲間が喰われているところを放置するなんて最低だ!

 たとえそれで討伐が楽になるのだとしても!

 

 何故かキレイな軌道のブーメランが連想されたが彼にはあずかり知らぬことである。

 

 風呂上ったら文句を言ってやろう。

 そう決意して風呂を上ると、

 

「お、やっと上がったかー。先にいただいてるよ」

 

 そう言ってこちらに牛乳瓶を投げて来た。

 

「......」

 

「どしたの?」

 

  風呂上りの女の子ってのはどうしてこうかわいく見えてしまうのだろうか。

 クリスの濡れた髪や、少し上気した頬を見ながらその謎を考える。

 文句を言う気分も失せてしまった。

 

「女ってずるい」

 

ーーーーーーーー

 

 sideめぐみん

 

 困った。

 兄妹のパーティと一緒に初めてのクエストに挑戦したはいいものの、クエストは途中でリタイア。

 それに加えて爆裂魔法で起きた被害の弁償で一気にお金がなくなりました。

 

 その兄妹とはすでに分かれたがあれは体良く追い出されたのだろうか?

 そんな時に他の席から声が聞こえて来る。

 

「やっぱりクエストの後はシュワシュワだねー!」

 

「このカエルの舌のカリカリ揚げって俺たちが討伐したやつなのか?カエル、舌、喰われる、うあぁーー!」

 

「はいはい、怖かった、怖かった」

 

「元をたどればクリスがちゃんと教えてくれなかったからだぞ」

 

「それにしてもこの料理なんて言うか...カリカリするね」

 

「まんまじゃん!」

 

 やたら遭遇するエリス教徒の少年と、銀髪の女の子が夕食を取っていた。

 あの2人組は騒がしいが随分と楽しそうだ。

 

 ま、まあ我の力は強大ゆえにその隣に立つ物にも相応の格がいると言えましょう。 

 私はあえて孤高でいるのですから。

 別に羨ましくなんてないんですからー!

 

 孤高のロリっ子(笑)

 

  ーーーーーーーー

 

 夕飯を食べ終えるとすっかり日は落ちていた。

 2人は揃って宿に向かっている。

 

「飯食ったり、風呂入ったり、装備補充したりで結構金持ってかれるな」

 

「冒険者なんて本来そんなもんだよ。割のいいクエストなんて滅多にないしね」

 

 こうなったら宿代だけでも抑えよう。

 馬小屋暮らしはきついが背に腹は変えられない。

 

 宿に着き、俺は隣の馬小屋が並ぶ方にいこうとするとクリスに引き止められた。

 

「どこ行くの?」

 

「馬小屋だよ。出来るだけ出費を抑えたいんだ」

 

「相部屋ならそこそこ安く済むよ」

 

「......え゛⁉︎」

 

  ーーーーーーーー

 

 カズマはドアの前で悶々としていた。

 クリスにはちょっとしてから入ってきてと言われている。

 

 緊急イベント発生だと。

 いや落ち着け佐藤カズマ。

 このパターンは前に一度あったぞ。

 出会ってからまだ一日しか経ってないんだ。

 そうあれは....

 

   《中略》

 

 ......つまりはそういうことだったんだよ。

 

 カズマの理論武装は完璧になった。

 どうせ今回も大したことは起きないのだろう。

 

 ドアをノックすると、

 

「カズマさんですか?入っていいですよ」

 

 どこかワクワクした口調で返事がきた。

 というかこれって...

 

 カズマが部屋に入るとその先には、

 

「お帰りなさいませ。カズマさん」

 

 女神エリスが笑顔で迎えてきた。

 

「ワンパターンですね。エリス様」

 

「ええっ⁉︎」

 

 

  ーーーーーーーー

 

「せっかく驚かせようとしましたのに」

 

 女神エリスはプリプリと怒っていた。

 

「2回目ですからね。というかなんでまたエリス様に戻ってるんですか?」

 

 そんな質問をするとムーっと不満気な顔をしてくる。

 

「嫌でしたか?」

 

「いえ単に疑問に思っただけですけど」

 

 俺がそう答えるとエリス様は、

 

「地上でこの姿になってお話しするのが、夢だったんです」

 

 心の底から嬉しそうに答えた。

 

「....そうですか」

 

 どうしてこんなに嬉しそうなのかはわからないが、理由を尋ねるのはどこか野暮だなと感じた。

 この人の笑顔は本当に癒される。

 

「じゃあ今日のクエストの反省からいきましょうか」

 

 そうして2人はカエルに喰われたことの文句だの、クリスの戦いが凄かっただのと語り合った。

 

 

「そういえば」

 

 カズマは話している中でふと思い出した。

 

「クエスト中にエリス様が使ってた潜伏とかってなんですか?」

 

「スキルのことですか?」

 

 エリス様の説明によると、レベルアップ等によって手に入るポイントを使い、各職業に応じたスキルを覚えることができるそうだ。

 

「俺の冒険者カードには何にもないですけど?」

 

「職業が冒険者の方は他の方に教えてもらうことで初めてそのスキルを覚えられるんですよ」

 

 その他冒険者はスキルの補正が乗らないだの、大量のスキルポイントが必要になるだのを教わった。

 

「せっかくなので私の覚えている物をいくつか教えておきますね」

 

 そう言ってエリス様はクリスにすがたを変えた。

 生で見るのは初めてだがなるほど魔法少女みたいだ。

 

「またどうして姿を変えたんですか?」

 

「こっちの姿じゃないと盗賊のスキルは使えないんだ」

 

 クリスの姿だと盗賊スキルが、エリスの姿だと女神の力が使えるらしい。

 

「とりあえずポイントが低くて使いやすいのを教えるね、と思ったけど潜伏と敵感知はもう1人いないと教えれないや」

 

 クリスはごめんねーと頬をかいている。

 

「じゃあ、あたし一押しのスキルを教えてあげる。窃盗って言って相手の持ち物をなんでも1つランダムで奪うスキルだよ。しかもこのスキルは幸運が高いほど成功率が上がるからカズマくん向けのスキルだね」

 

 クリスは俺に手を向けて、

 

「じゃあいくよ『スティール』!」

 

 俺の財布をかっさらった。

 

「私向けのスキルでもあるんだけどね」

 

 そう言って財布を投げて返してきた。

 

「すげーな。一発で財布を引き当てるなんて」

 

「これでも幸運を司る女神ですから」

 

 俺がカードにスキルが表示されるのを見ているといつのまにかエリス様の姿に戻っていた。

 

「せっかく覚えたスキルですし、さっそく私に使ってみてください」

 

 そう言って自分の鞄を持ってきてそれを胸の前で抱き抱える。

 

「大当たりが魔法がかけられたダガー、次に財布ですね。ふふ、他にも冒険に使う雑貨がいろいろ入ってますよ。何が取れるでしょうかね?」

 

 ワクワクした顔で見てくる。

 そんな顔をされたら期待に応えたくなる。

 

「それじゃあ遠慮なく盗らせてもらいますよ。『スティール』ッ!」

 

 

 これは間違いなくお宝だ。

 根拠はない。

 だが俺の持ち前の運がそれを告げている。

 ならば後はこの眼で確かめるのみ。

 

 果たして俺が手に入れた物とは。

 

 

 掌の中に感じるほのかな温もり。

 隙間から垣間見えるのは白い布地だった。

 それを目の前で広げる。

 

「あ、ああ⁉︎」

 

 エリス様の顔がどんどん赤くなって行くのが見える。

 

 だが今、目に焼き付けるべき物はこれだ!

 

 心の内にはただただ感謝しかなかった。

 

 清楚さを表す純白の布地。

 可愛らしさを感じさせるフリル。

 まさに天からの贈り物と呼べるそれは、

 

 女神エリスのパンツであった。

 

 

 

「きゃあああああああああ⁉︎」

 

「エリス様、感謝しまーーーーーーーす!!」

 

「パンツ返してくださーーーーーーーーい!!」

 

 

 

 

 カズマの寝床が馬小屋にランクダウンした。

 

 

 

 

 




最初の構想(妄想)の時は爆焔は予定になかったんです。
でも入れないと時系列がおかしなことなるので変更しました。
一応爆焔ルートも流れはできたので後はうまく表現できるといいな。

作者踊り食いは食べたことなかったのでネットで調べてそれっぽく書きました。しょうがないね。
作者パンツなんてまじまじと見たことないのでネットで画像検索してガン見しました。しょうがないね。


エリス様のスキルについて

クリス状態  盗賊スキル、ちょっとだけ女神オーラが出てる

エリス状態  女神の力(アクア様みたいなもの)

それぞれ違う姿のスキルは使えません。

また本編で説明するかもしれませんがこの設定は今後、そこそこ出てきます。


おまけ

sideめぐみん
今日も爆裂魔法を撃って疲れた私は少し早い就寝についた。
明日こそパーティーが見つかるといいのだが。

「きゃあああああああああ⁉︎」

女性の悲鳴に起こされる。
 
「エリス様、感謝しまーーーーーーーす!!」
 
「パンツ返してくださーーーーーーーーい!!」
 
あの少年はエリス教徒とアクシズ教徒のハイブリッドだったようだ。
とゆうか毎度人が寝ているところを叩き起こすのはやめてほしい。

ロリっ子と同じ宿に泊まってます。


おまけ2
カズマが別のお宝を取ったようだ

この手にある人肌の温もり。
フニュフニュと握れるその物体は。

「なんだこれ?」

「きゃああああああ‼︎」

女神エリスのパッドだった。
 

読んで頂いた読者に深く感謝を!
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