黒の剣士と茶の銃士   作:正直者ライアー

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 読んで頂きありがとうございました。

主人公の絵とか描いて載せてみたいけどそれほどの画力はない悲しさ。主人公はデカイです。エギルと並んで同じかちょっと小さいくらい。


予選

 モスグリーンの集団の中に目を引く純白が一つ。

 キリトはなんだかんだで決勝に行く気配がしているし問題は無さそうだがシノンが心配だ。発作が出ないだろうか。GGO内なら銃を見ても大丈夫らしいがそれがずっとそうだとは限らない。なぜか嫌な予感がしているのは杞憂だといいが。控室で応援してくれる仲間すらいない完全な個人戦で少しソワソワしていると身体が青い光に包まれた。俺の出番らしい。

 真っ暗な空間で俺は自分の武器を装備する。丁寧なカスタムの施されたM93Rに大振りのククリナイフ。相手は無名のプレイヤーだ。START!!の文字と共に俺は戦場に転送された。

 戦闘開始直後銃弾がばら撒かれ、俺は身を隠した。戦場は塀で囲まれた長方形型で所々に遮蔽物を置いただけの単純な造りだ。相手はライトマシンガン使いでステージと相まって厄介だ。俺は遮蔽物を移ってゆっくりと前進しつつ様子を伺う。

 

「どこだ!出て来い!」 

 

 初心者だろうか。それとも時間切れになるまで撃ちっぱなせる程弾を持っているのか。取り敢えず予測線もバレバレだ。突撃しても回避できる。遮蔽物から身を出した俺を赤い線が捉えるが避けながら、障害物を乗り越えながら敵との距離を詰めて弾を放った。三連続で放たれた銃弾が狙い通りに真っ直ぐ敵の頭に当たって貫通して敵は動かなくなった。取り敢えず初戦は上々だ。俺の身体はもう一度光に包まれた。

 

 

 

 

 

 それから第二回戦、第三回戦と試合を重ねていったが運良く無名のプレイヤーと当たってくれたことで決勝まで行くことが出来た。

 決勝もいつもと同じく暗闇に転送されて、敵のプレイヤー名が表示される。その時、俺は驚いた。プレイヤー名はサトライザー。GGO内では有名人物で初代BoB王者。外国人プレイヤーで、GGO最強だという人も少なくない。俺は覚悟を決めて自分の武器を装備した。

 戦闘が始まり、まずは隠れて聞き耳を澄ます。風の音と揺れる草の音。砂粒が舞う音に混じって聞こえる微かな足音。立ち上がってハンドガンを向けた。しかし誰もいない。警戒は解かず、息は殺して、辺りを見回そうとした時後ろから首を締め上げられた。気配も音もなかった。直前に咄嗟に顎を引いたから完全に締まり切ってはいない。焦らず冷静に腰をずらして股間を思い切り殴るとホールドが外れた。

 

「Oh shit!!!」

 

エスケープされて隙を見せた敵に発砲した時、突如視覚と聴覚が奪われた。マズルフラッシュとほぼ同時で理解が追いつかない。ただ敵が何をしたのかは分かった。フラッシュバンをピンを抜いて持っていたのだろうか。視界は無いし、耳鳴りは激しいし、平衡感覚はないし、もうどうにもならない。額に感じる金属の冷たさが感覚をやけに研ぎ澄まさせ一秒後には脳天をぶち抜かれていた。

 

 

 

 

 

 驚くべきスピードで決勝が終わってギャラリーは呆気ないと言った感じだった。サトライザーのあまりの強さに驚きを隠せないプレイヤーもしばしば。BoB本戦出場は決まったが悔しい。詰めの甘さを露見してしまった。シノンとキリトと合流するためにその場から立ち去ろうと振り返ると一人のプレイヤーとすれ違った。ガイコツのマスクに黒いマントで赤い目をしているプレイヤーだ。そのプレイヤーはすれ違うなりこう言ったのだ。「久しぶりだな」と。人違いだろうか。いや、俺はそいつを知っている。赤い目にガイコツ。SAOでの記憶を呼び戻そうとするが思い出せない。SAOから目覚めた俺は一部の記憶障害が残り、覚えている記憶と覚えていない記憶があるのだ。そして失った記憶の中にその赤目のガイコツがあるに違いない。考え込みながら歩いているとシノンとキリトの声が聞こえた。

 

「シノンお疲れ。どうだったんだ?」

 

「2位よ。キリトは天才だわ。あっさり斬られたわ」

 

「そうか。それは意外だ」

 

「どうした?何かあったのか?」

 

考え込む俺を見てキリトがそう言った。

 

「いや。俺もシノンと同じく2位だ。サトライザーにあっさりやられた」

 

「えっ!?サトライザーがいるの!?」

 

驚いているシノン。

 

「まぁでも一先ず全員BoB出場決定だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は何者かを追っていた。左手には大きなククリナイフを持って、やけに見覚えのある岩だらけの道を縦横無尽に駆けて、追いついた俺はそいつに飛び掛かって馬乗りになってナイフを振り上げた。その時そいつは言った。

 

「久しぶりだな」

 

そいつの顔の皮が剥がれて骨が顕になって目が赤く光った。

 

 

 

 

 

 叫んで飛び起きた。目を見開いて辺りを見回す。広がるのはいつも通りの俺の部屋。さっきのは夢だったらしい。隣に寝ていた詩乃が俺の声に起きたらしく不思議そうに俺を見ている。

 

「雅?どうしたの?」

 

「すまん。夢だ」

 

「珍しいわね」

 

怯えた顔で不規則な呼吸をする俺を詩乃は珍しそうに見た。そして頭に手を伸ばして優しく撫でる。今の夢は夢にしてはやけに鮮明だ。もしかしたらあれは失われた記憶の一部なのだろうか。しかしあれが失われた記憶の一部だとするとSAOでの自分は何を?考えても思い出すことはなく不安感が募るだけだった。




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