現実での主人公
褐色肌、切れ長翠眼、黒髪低めのマンバン。たまに金色のピアスをしていたり。怖い。
GGOでの主人公
褐色肌、切れ長碧眼、黒髪縦パーマのフリンジアシメ。そんなに怖くない。
BoBほどの大会となれば有名で実力のあるプレイヤーが揃うことは必然となる。その中にデスガンの殺害対象がいる確率は高い。まずはデスガンを探し、いるのであれば排除してBoBを安全にすることが最優先だ。
しかし考えてみてもデスガンの何もかもが分からない。姿形やプレイヤー名はもちろん、動機さえも分からない。そもそも殺したいならダイブ中の人間の家に侵入して刺すなり撃つなり絞めるなりして殺せばよくてわざわざゲームで死んだから現実でも死んだかのように見せかける小細工をする必要はない。考えても考えてもそれをする意味が分からなくて本当にデスガンによる死が現実での死だと思えてきた。自分の愛銃のハンドガンをいじり、今日使うセミオートスナイパーライフルのアタッチメントもいじっているとシノンがやってきた。
「今日はスナイパーも使うのかしら?」
「ああ」
「ワルサーWA2000、いいわね。ちょっと持たせて」
「ほらよ」
シノンに持たせるとスコープを覗いてみたりマガジンを抜いてみたり、一通り触って満足したようで返された。
「セミも良いわね。それにwa2000は重いけど小さいのが良いわ」
シノンと他愛もない話をしていると今度はキリトの声が聞こえた。やけに気分が悪そうだ。
「どうした?らしくねぇぞ」
「シノン、フーガ、頼みがあるんだが今日参加する新規のプレイヤーでシノンとフーガが知らないプレイヤーを教えてくれ」
「いきなりどうしたのよ?フーガもおかしかったけどキリトもおかしいわよ?」
俺はキリトの狙いを理解して俺もシノンに頼んだ。
「頼むシノン。俺からも」
俺とシノンはリストを見ながらピックアップをしていく。この中の聞き覚えのある名前があるかどうか見てみるがどの名前も知らない。
「これ、打ち間違えかしら?スティー、、ブン?」
横からシノンの手元を覗くとSterbenと書かれたプレイヤー名が有った。確かには打ち間違えっぽい。それかどこか他の言語か。
「確かにそうっぽいな。そういえば、なぁキリト?お前はガイコツのプレイヤーに会ったか?」
奴、あのスカルマスクがSAOでの知り合いならばキリトが知っていてもおかしくない。そう思って聞いたのだが、突如キリトは妙に怯えだした。
「フーガも会ったのか?」
「ねぇ、なんの話をしているのよ?」
キリトは暗い声でボソボソと話始めた。
「この間昔同じVRMMOをやっていたプレイヤーに会ったんだ」
「友達、なの?」
「いや。敵だ。俺はそいつと本気で殺し合ったこともあったはずだ。なのに俺も当時の奴の名前すら思い出せない」
「殺し合った敵?それはパーティーで仲違いしてトラブったとかじゃなくて?」
「違う。本当の命を賭けた殺し合いだ。なぁ、フーガ、教えてくれ。向き合う方法を。なんでお前はそんなに強いんだ。お前はもっと、、」
「もっと沢山殺していたのに?か?」
シノンは察したようだ。キリトがSAOから来たということも、キリトがした行動も。俺は一瞬怒鳴りそうになったのを深呼吸して堪えた。シノンは俺の様子もキリトが言いたいことも分かったようで何も言わなかった。
「嫌味か?記憶喪失とか言ってる時点でお前と一緒かそれ以下だわ。でもお前には向き合うチャンスが迫っているんだ。逃げ切っちまった俺みたいにはなるな。後から苦しくなるから。逃げたツケは一生払わされることになるぞ。だから絶対逃げるんじゃねぇぞ。お前はかっこいいからダサい俺みたいにはなるなよ。ほら、辛気臭い顔してないで待機エリア行くぞ。することあるだろ?」
シノンは立ち上がって自分より一歩先を行く雅を見た。疲れ切っているようで背中は丸まっている。キリトに話した時の悲しそうで、全ての罪を受け入れて苦しむような顔が目に焼き付いていた。雅にほんの少しでもいいから救いを与えたい。雅はただの悪じゃなくて誰かの英雄だったと知らせたい。詩乃は一度ぎゅっと拳を握った。
待機エリアではお互い一言も言葉を発しなかった。各々装備を確認したり目を瞑って精神を研ぎ澄ませたり。俺は座ってエナジードリンクを啜っていた。開始後は取り敢えずキリトと合流して協力してデスガンを探索して排除したい。必要であればシノンに協力を頼むのもありか。
カウントダウンが始まり待機エリアの緊張が高まるのを感じた。こういう緊張は嫌いじゃない。カウントダウンに反比例するテンションを感じて、数字が0になって空き缶を投げ入れた直後、戦場に放出された。
ホルスターからハンドガンを一つ抜いて走り出して遮蔽物に隠れた。暫くじっとしていると真っ白な戦闘服が周りの色と同化して完全な迷彩になった。通常より多い弾丸と馬鹿みたいに重いライフルを担いでいるから多少動きが鈍い。
生存プレイヤーを見るにはまだ時間が足りない。どうしようか考えていると近くで物音が聞こえた。こっそりと物音に向かっていくと通路を警戒しながら歩くプレイヤーが見えた。ギリギリまで近寄って、後ろから茂みに引き込んで
ナイフで首元を切った。ドローンのようなカメラが近くを飛んで俺の様子を撮影している。裏ピースを立ててポージングをすると観戦中の女性プレイヤーが沸いた。そんな馬鹿をやっていると生存プレイヤーを見ることが出来る様になった。ポケットから端末を取り出してスイッチを入れるとフィールドのマップと生存プレイヤーの現在位置が表示されたホログラムが出現した。シノンは遠くはない。移動を始めた。
シノンがいる場所の周辺までやってきた。すると話す声が聞こえた。息と足音を殺して歩いていくと押し倒されたシノンと押さえつけるキリト。俺はキリトの首を絞めてこめかみに銃を突き付けた。
「フーガ!こいつなんとかして!」
「やりおったな。覚悟しろよ」
「悪かったけど誤解だ!!提案をしたいだけだったんだ!!」
「あの状況で提案もクソもあるかよ!」
「あの橋での戦闘を最後まで見たいんだ!」
俺はシノンにアイコンタクトを送る。シノンがハンドガンをキリトの頭に向けて、俺はキリトを離して後ろから銃を向けて警戒しながらキリトが見ている方向を見た。
一本橋に向かい合うプレイヤー同士。片方はアサルトライフルをバイポッドで支えて伏せていてもう片方は軽装にショットガンを持っている。状況としてはショットガンの方が圧倒的に不利だが同様のスタイルを取っている俺だからなんとも言えない。アサルトライフルの引き金が引かれた瞬間、ショットガンは駆け出して飛び上がった。ショットガンもといペイルライダーは橋の柱などを巧みに使って避けながら距離を詰めていく。アクロバットスキルは相当高いだろう。ペイルライダーは被弾することなく近寄って散弾を浴びせた。そして怯んで動けないプレイヤーに弾を込めながら近寄り、眉間に銃口を突きつけて引き金を引いた。
「見事だな」
「あいつがあのマントの中身なのか、、」
するとペイルライダーが何かに撃たれた。ペイルライダーは倒れて動かないがまだ死んではいないようだ。
「あいつ、まだ死んでないぞ。スタンバレットか!?」
スタンバレットを使う意味はない筈だ。なぜだ。キリトと顔を合わせる。デスガンの仕業か。
スナイパーライフルのスコープで注意深く橋を見ると、隅にそれはいた。黒いマントでガイコツのマスク。目は真っ赤に光っている。
「あいつはどこから出てきた!」
「知らなぇよ!落ち着け!」
取り乱すキリトを怒鳴って赤目の様子を観察した。赤目は動かないペイルライダーに近づきハンドガンを抜いた。
「止めをハンドガンでやる気?」
赤目はペイルライダーの前で止まると何かのジェスチャーをし出した。十字を切っているのか。
「フーガ、シノン、あいつを撃て!」
「どっちよ!?」
「あのボロマントの方だ!撃て!アイツが撃つ前に!」
赤目の頭に照準を合わせて引き金を引いた。サプレッサーのおかげで音はしない。しかし弾丸は赤目に到着することなく途中で消えた。
「ダメだ!射程じゃねぇ!シノンがやれ!」
読んで頂きありがとうございました!
小説を書くごとに増えてく銃の知識。一度サバゲーとかやってみたい。