このすば〜もしもカズマがポケモン大好き野郎だったら〜 作:クロウド、
「さて、それじゃ始めるとするか」
「ようやくですか」
めぐみんが爆裂魔法を放って三十分くらいがたった。魔力切れで倒れてためぐみんも動けるようになり、せっかくだから、ここでバトルの練習をしようって話になった。
俺は用意しておいた、二つのモンスターボールを取り出して中のポケモンを呼び出す。
「ジュラッ!」
「ウ〜ラ〜」
現れたのは二体のドラゴンタイプのポケモン。一体は体が磨き上げられた鋼のような体のドラゴンジュラルドン。もう一体は巨大な頭と発達した足を持つポケモンウオノラゴン。
「ジュラルドン、ウオノラゴン久しぶりだな」
「ジュラ〜!」
「ウ〜ラ〜!」
「……ウオノラゴン、噛みつくのやめてくんない?」
二人に話しかけると、俺は背後からウオノラゴンに頭をガブッと噛まれる。う〜ん、痛くないから甘噛みなのはわかるけども。因みにこの二人なのはせっかくガラル出身のアーマーガアがいるのだから同じガラル出身のこの二体にお願いした。
「ふたりとも少し頼みがあるんだけど」
「ウ〜ラ?」
「ジュラ?」
「少しの間、どっちかがこの子のパートナーになって欲しいんだ」
「め、めぐみんですよろしくおねがいします」
「ウ〜ラ〜」
「ジュラ」
めぐみんが挨拶をすると、二人共頷いてくれる。妙に恐縮している様子だが、多分なにげに俺の持ってるドラゴンタイプのポケモンを見るのは初めてだからだろう。
「んじゃ、めぐみん。好きな方を選んでくれ」
「と、言われましても……ロトム、説明お願いします」
『お任せロト!
ジュラルドン ごうきんポケモン はがね・ドラゴンタイプ
磨き上げた金属のような体は軽い上に硬いが錆びやすいのが欠点。
ウオノラゴン かせきポケモン みず・ドラゴンタイプ
ずば抜けた脚力と顎の力で古代では無敵だったが獲物を取り尽くして絶滅した。』
「ふ〜む……。」
ロトムの説明を聞いてもイマイチどちらを選ぶか決めきれない様子、そこに。
「カフッ!カフッ!」
「どうしましたフカマル?」
「カフッ!」
「ジュラ?」
フカマルはジュラルドンを指さして、まるでこっちにしとけと言っているようだ。
「なぜ、ジュラルドンなのですか?」
「カフッ!」
「ウ〜ラ?」
フカマルは自分の口と、未だに俺の頭を噛み付いているウオノラゴンを指差す。その様子を見ていて、クリスがなにかに気づいたように近づいてきた。
「もしかして、自分とキャラが被ってるって言いたいの?」
「カフッ!」
「どうやら、あたりみたいですね……。ふぅ、わかりましたよフカマル。ジュラルドン、お願いできますか?」
「ジュラ!」
「となると、俺はウオノラゴンか。よろしくな」
「ウ〜ラ〜!」
俺がウオノラゴンにそう言うと、ウオノラゴンは頭を持ち上げて威勢のいい雄叫びを上げる。
だが、忘れてはいないだろうか?
「「「「あ……。」」」」
「あ〜れ〜……。」
皆の間の抜けた声が聞こえた。
その視線の先で、ウオノラゴンの口からスポッと抜けた俺の体は放物線を描きながらドボンという音を立てて湖にダイブした。
「「「「か、カズマ(さん)(くん)ーーー!!」」」」
「ブイーーーー!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ふぅ、死ぬかと思った……。」
「大丈夫ですか……?」
「大丈夫大丈夫」
なんとか、湖から這い上がり服を絞っているとゆんゆんが心配してくれるが、ポケモンと関わって生きて行くと決めたときからこれくらいの覚悟はできている。
因みにめぐみんはロトムからジュラルドンとウオノラゴンの技の説明を聞いている。
「よし、それじゃ始めっか」
「そういえば、バトルを直に見るのは初めてだな」
「二人共がんばれ〜!」
「チュッキィ!」
クリスたちが観戦している中、ようやくバトルが始まる。審判はロトムだ。
「準備はいいか?」
「勿論です!」
「よし、ロトム」
『それでは、先攻はめぐみんロト。バトル開始!』
「ジュラルドン、『十万ボルト』です!」
「ジュゥラァ!!」
めぐみんの指示を受けて、ジュラルドンの体から黄色い電撃が放たれる。
「ウオノラゴン、『ドラゴンダイブ』で避けろ!」
「ウ〜ラァ!」
「「「と、飛んだっ!」」」
ウオノラゴンは体に竜のオーラを纏いながらその強靭な脚力で空中に飛ぶ。その姿に観戦していたクリスたちが驚く。そして、そのままジュラルドンめがけて凄まじい勢いで落下する。
「ジュラルドン、『ラスターカノン』です!」
「ジュラッ!」
銀色の光線が落下してくる、ウオノラゴンに向かって放たれる。
二つのエネルギーのぶつかり合いで爆発とともに、二体が弾かれあう。
「―――やるな、あの土壇場で『ラスターカノン』を選ぶとは」
「どのみちよけれませんからね、ロトムから『ラスターカノン』の追加効果を聞いておいて正解でした」
『ラスターカノン』の追加効果、それは相手のポケモンの特防を下げること。特殊アタッカーのジュラルドンにとっては決め手の前の下準備になる。
大技を撃たれる前に決めるか……。
「『エラがみ』!」
「近づけさせませんよ、『りゅうのはどう』!」
ジュラルドンが放った『りゅうのはどう』が『エラがみ』の構えを取って駆け出していたウオノラゴンに直撃する。
「ウ〜ラ〜……。」
「ウオノラゴン!」
「確か、ドラゴンタイプにドラゴンタイプの技って―――」
「効果は抜群だったはずだ、しかもさっきの技で耐性を下げられたということは結構痛いぞ。……羨ましい」
「ダンッ!」
「痛っ!なにをするんだ、ダンバル」
視界の端でいい加減にしろって様子のダンバルがダクネスを折檻しているが、今はバトルに集中しないと。
「ウオノラゴン、まだ行けるよな?」
「う、ウラッ!」
一瞬ふらついたが、ウオノラゴンはすぐにしっかりと立ちジュラルドンを見据える。それを見た、めぐみんが勝負をつけるために大技を仕掛ける。
「一気に決めますよ!ジュラルドン、『りゅうせいぐん』ですっ!!」
「ジュゥラァ!!」
ジュラルドンが口に溜めたエネルギーを上空に向かって放つと、空中で無数の隕石となって降り注ぐ。
ドラゴンタイプ最強の技『りゅうせいぐん』は使うたびに威力が落ちるため、連発時の威力は期待できない。ここで勝負をつけるきだな。
だけど、ピンチこそ最大のチャンス!
「ウオノラゴン!りゅうせいぐんを足場にジュラルドンまで駆けろ!」
「なっ!?」
「ウラッ!」
俺の指示にめぐみんは驚愕し、目を見開く。
ウオノラゴンは俺に言われたとおり降り注ぐ『りゅうせいぐん』を足場に一直線にジュラルドンに向かっていく。ウオノラゴンの脚力があってこそなせる技だ。
「すごいっ……!」
「それってありなんだ……。」
ゆんゆんとクリスもあの巨体で身軽に飛び回る姿に驚きすぎて若干唖然としているが、その間もウオノラゴンは走り続け、ついにジュラルドンの間合いに入る。
「『けたぐり』だ!」
「ウラッ!」
「ジュ、ジュラァ!!!」
ジュラルドンはステータスの中で防御が群を抜いている。だが、かくとうタイプの技である『けたぐり』ははがねタイプのジュラルドンには効果抜群だ。さらに言えば、『けたぐり』は相手が重ければ重いほど、その威力が高まる。ジュラルドンはその見た目からわかるとおり重量級のポケモンだ、よってそのダメージは凄まじい。
「ジュラルドン!?」
「『エラがみ』で決めろッ!」
「ウーラッ!!」
「ッ!?ジュラルドン、『十万ボルト』です!」
「ジュラッ……!」
ウオノラゴンはその巨大な口を大きく開いて水の力をまとったままジュラルドンに向かっていく。めぐみんはとっさにジュラルドンに指示を出すが、ジュラルドンが技を出すより前にウオノラゴンの牙がジュラルドンに届いた。
そのまま爆発して、ジュラルドンは倒れた。
「ジュラァ……。」
『ジュラルドン、戦闘不能。よって勝者ウオノラゴンとカズマロト!』
「やったな、ウオノラゴン」
「ウ〜ラ〜」
「……だから噛むのやめてね」
ウオノラゴンに労いの言葉をかけるとまた頭をガブッといかれた。ハハハ、これじゃめぐみんのフカマルのこと言えないなぁ。しかたないので、噛まれたままジュラルドンの側にいるめぐみんのもとへ向かう。
「ジュラァ……。」
「すみません、ジュラルドン。私が未熟なばかりに……。」
「そんなことはない」
「カズマ……。頭かじられながら言っても説得力ないですよ」
「うっさいわ!……少なくとも、お前の指示にあまりミスはなかった。ただ、やっぱり慣れが足りなかったな。だけど、才能があるよ、お前は」
「カフッ!カフッ!」
いつの間にか近くに来ていたフカマルもそうだというように鳴く。その様子にめぐみんも顔を上げた。ぶっちゃけ、『りゅうせいぐん』が一発でも当たってたらやばかったし。
―――このあとはジュラルドンを回復させて街に戻ることになったので少しの休憩を取ることになった。
「カズマ、最強のドラゴンタイプってどんなポケモンなんですか?」
皆できのみをおやつにかじっていると、めぐみんから唐突にそんな質問が飛んできた。相変わらずドラゴンタイプ好きだなこいつ。
俺は少し考える素振りを見せたあと、すぐにあのポケモンたちだなと当たりをつける。
「そうだな、やっぱりまず最初に名があがるのは伝説のポケモンだろうな」
「伝説のポケモン!?なんですか、その心を惹かれるフレーズは!」
テンションを上げるめぐみんだけじゃなく、ダクネスやクリス達も俺達の話に耳を傾けてる。
「俺が旅をしてきた地方にはそれぞれ伝説に登場するポケモンがいるんだ。その中の一つにシンオウ地方という場所に伝わる神話にドラゴンタイプのポケモンがあらわれるんだ」
正確には俺の分身が、なんだが、今はそのへんはいいだろう。最近ますます、ゲーム世界の記憶が流れ込んできてその時の光景がはっきり思い出せるくらいになってきたし。これもエリス様の言っていた世界の変化にともなうものなのか―――この間聞いときゃよかったな。
「時を司る神と呼ばれしポケモン、ディアルガと空間を司る神と呼ばれしポケモンパルキア」
「ディアルガと……。」
「パルキア……。」
「神話において、シンオウの時間と空間は彼らが作ったとされている」
『では、僕から説明させてもらうロト
ディアルガ じかんポケモン はがね・ドラゴンタイプ
時間を操る力を持つ。シンオウ地方では神様と呼ばれ神話に登場する。ディアルガが生まれたことで時間が動き出したという伝説があるポケモン。
パルキア くうかんポケモン みず・ドラゴンタイプ
空間を操る力を持ちシンオウ地方の神話では神様として描かれている。並行して並ぶ空間の狭間に住むと言われている。』
ロトムの画面に青い体に鋼のような爪を持ち、胸にダイヤモンドのような宝石のあるドラゴンと白い体に桃色のラインがあり肩にパールのような宝石が埋め込まれているドラゴンが映し出される。
「これがディアルガとパルキアですか……。」
「なるほど、神と呼ばれるだけある」
「はい、なんかこう……神々しいですよね」
「そうだねぇ」
ロトムの画面の映し出された姿を見ながら、各々の反応を見せる面々。なぜか、クリスの反応だけが淡白だった気がするが、まぁいいだろう。ピンときてないだけかもしれないし。
そう思っていると、またもやめぐみんから質問が投げかけられた。
「それで、カズマ。このディアルガとパルキアはどちらが強いんです」
「あぁ〜……そうだな。めぐみん、この二体に関してはどちらが強いとかそういう上下関係はないんだ」
「?」
「時間と空間、それら二つはどちらか一方が欠けることは決してあってはならない。故に彼らの力は均等でなければいけないんだ」
「えっと、よく意味が……。」
「う〜ん、脱線するし長い話になるがいいか?」
「はい、構いません」
めぐみんに許可をとってからどこから話すか思案する。
―――うん、やっぱりあそこからかな。
「
「―――え、えっと、どういう意味ですか?」
ヒスイ地方でコギトさんに教わったことをそのまま伝えようとしたが、どうやら難しすぎたらしくゆんゆんたちにもっと詳しく説明をしていく。
「現在を含む未来、すなわち時間を宙と呼び。
前後左右上下の全方向、すなわち空間を宇と呼ぶ。
時間と空間、二つがそろって宇宙という時空が形成されているんだ」
「つまり、私達が今いる場所がパルキアが司る空間で―――」
「―――今流れている時間を司るのがディアルガということですね」
「そして、その両方が揃って世界を形成しているということか」
『クリス、めぐみん、ダクネス大正解ロト』
ロトムが三人を称賛すると、三人は仲良くハイタッチをする。
そして、俺はゆっくりとこの話の肝である結論を述べる。
「時間と空間、それら二つは世界を作る重要な要素だ。よって、どちらか一方の力が強かったり、よわかったりすると、世界は乱れ最悪滅びてしまう可能性があるんだ」
「……だから、どちらの力も同じでなければならない」
「そうなるな」
―――一つ、俺は四人に質問を投げかけてみた。
「さて、四人とも。俺から一つ質問だ、ディアルガは時間をパルキアは空間を創った。では、その中で生きる人々の役目とはなんだと思う?」
「また難しい問題を出してきましたね……。」
「ゆんゆんはどう思う?」
「えぇ!?私ですか……?」
さっき質問に答えられなかったゆんゆんに尋ねるが、急に俺に話を振られてゆんゆんはあたふたしてしまっている。すると、ラルトスがそばに彼女の足に触れる。
「ラルちゃん?」
「ラ〜ル」
まるで、自分のパートナーを落ち着かせるような姿に俺は目を見開く。まだ、生まれてから一日も経ってないのに、もうここまで信頼関係を築いているとは……。
そういえば、イーブイもゆんゆんとはすぐ仲良くなってたし。ゆんゆんはもしかしたら、ポケモンに好かれやすい質なのかも……。
ゆんゆんはラルトスを胸に抱いて、意を決したように俺に質問の答えを返してきた。
「……多分、その世界をより良くするため……だと思います」
「ほう、ゆんゆんにしては興味深い答えですね。その心は?」
何故か上から目線のめぐみんだが、その顔は真剣なので馬鹿にしている様子はなさそうだ。クリスとダクネス、フカマル達も真剣な顔で聞き耳を立てている。
ゆんゆんはキラキラと太陽の光を反射する湖を瞳に映しながら答えた。
「だって、折角神様がくれた世界ならもっといい世界にしたいじゃないですか」
「ぷっ……なんですかそれ?」
「な、なによ、めぐみん!」
ゆんゆんの答えに吹き出して笑うめぐみん。だけど、それは嘲笑だとかそういう陰気なものではなく寧ろ清々しいものだ。
「まぁまぁ―――ゆんゆん、ぶっちゃけこの質問に答えはないんだ」
「えぇ!?」
「そりゃ、神様の考えなんかそうそうわかるもんじゃないしな。でも、俺の考え自体はゆんゆんと同じだ」
「ホッ……。」
「そして、俺なりの世界を良くする方法がこいつらだ」
「ブイッ!」
「こことは違う、遠い遠い場所ではポケモンが人や自然を支えている地がある。この場所もそんな世界になって欲しいって思ってる」
―――元々はエリス様のお願いだったが、あのあとロトムと話しているうちに、段々この世界でポケモンが生きているのを想像するのは……結構楽しかった。というか、ワクワクした。
そう。あのとき、俺はこの世界で夢を見つけたんだ。
「ある人は言っていた、『すべての命は別の命と出会い、何かを生み出す』。
―――世界には変化がある。良い変化もあれば、悪い変化もある。俺はポケモンたちが良い変化としてこの世界に受け入れてもらえたらって……思ってる」
「「「「………。」」」」
「って、ちょっとカッコつけすぎたかな?」
ガラにもなくあつく夢を語ったせいで、話し終えたら段々恥ずかしくなってきた。頭をかきながら皆の方を見ると、皆が感心した様子でうんうんと頷いていた。
「カズマ、貴方も私に負けないくらいの野望を抱えていたのですね」
「夢といえ、人聞き悪い」
「まぁまぁ、いい目標なのは変わらないんだから」
「あぁ、素晴らしい考えだと私は思うぞ」
「わ、私もできることがあるなら言ってくださいね。ね、ラルちゃん?」
「ラ〜!」
「〜〜〜ッ!そ、そろそろ、帰るぞ。人が増えたから買い足しもしなきゃいけないし」
なんか皆が俺に温かい視線と言葉を向けてくるので俺はアーマーガアたちのもとに向かう。
その背後で四人と数匹が顔を寄せ合っている。
「照れてますね」
「照れてるな」
「照れてるねぇ」
「照れてるん……ですかね?」
『心拍数が上がっているのが確認できたロト、間違いなく照れてるロト』
「ブイッ!」
「カフッ!」
「ラル……。」
「ダァン」
「チュッキィ!」
「おいっ、置いてくぞ!」
「「「「あっ!ちょっと!!」」」」
コソコソ話してるつもりだろうけど、丸聞こえなんだよ!イーブイとロトムまで何してんだ。
俺がリザードンに跨ったのを見て本気で置いてかれると思ったのか、慌ててアーマーガアの籠に乗り込んでいった。
はい、今回はカズマさんのこの世界での目標、夢について語るエピソードということで、どすか?
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