このすば〜もしもカズマがポケモン大好き野郎だったら〜 作:クロウド、
―――翌日。
俺達はホーストがでるという、森にやってきた。目的は勿論ホーストを倒すため。
因みに皆のパートナーとイーブイ、ロトム、ちょむすけは危険なのでめぐみんの知り合いのプリーストにあずけてもらった。めぐみんいわく、悪い人ではないと言っていたし、問題ないだろう。
やがて、俺達の視界にかつて見た黒い異形の姿が見えてきた。奴は、俺達の気配に気づきこちらを向く。
「―――久しぶりだな、ホースト」
「あっ、テメェは俺をぶん殴ったドラゴンの……。」
「覚えてたか。じゃあ、俺が何をしに来たかわかるよな」
俺は右手の指に挟んだ三つのモンスターボールを一斉に地面に投げつけて中のポケモンを呼び出す。
「エルッ!」
「ギルッ!」
「ジュパッ!」
現れた三体のポケモンはラルトスの最終進化形の一つであるエルレイド、そして、お馴染みのギルガルドとジュナイパー。今回の討伐のために組んだパーティだ。
「悪いがこれ以上お前にここに要られちゃ困るんだ」
「ここで討伐させてもらうぞ、悪魔ホースト!」
エルレイド達の隣で剣を抜いて立つダクネスとナイフを構えるクリス、その後ろでワンドを構えるゆんゆんと杖を構えるめぐみん。ジュナイパーはゆんゆんとめぐみんの護衛のために同じように後ろに下がる。
「はっ、またかよ。昨日も武器だけはいっちょ前のソードマスターが来たが、これでも俺様は上級悪魔だぜ?駆け出しの街の冒険者なんぞに負けるわけねぇだろうがぁ!!」
咆哮のような叫びに大気が震えるのを感じる。まるでオヤブンポケモンの咆哮だ。それでも、ここまで来て引き下がることはできない。
「全員、作戦通りに行くぞ!」
「おうっ!」「うんっ!」
俺の号令とともにダクネスとクリスが先行して前に出る。ホーストは前に出てきたダクネスに向かってその大きな拳を振り下ろす。
「おらあっ!」
「ぐっ!流石は上級悪魔、なかなかいい攻撃をするじゃないか……!」
「ハアッ!?」
重い攻撃を受けながらもそれをしっかりと剣で受け止め安定の変態発言をするダクネス。その姿にホーストは量目を見開いて驚愕する。
「手加減してねぇんだぞ? それで吹き飛ばないとか、お前の筋肉鋼でできてんのかよッ!?」
「しっ、失礼な!私の筋肉はそこまで硬くない!」
死地とは思えない気の抜けた会話に脱力しそうになるが背筋にゾクリと悪寒が走る。これは……ホーストの殺気じゃない。昨日感じたことのある殺気、その殺気の正体がダクネスの影から飛び出す。
「シッ!」
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!何だこれめちゃくちゃいてぇぇぇぇぇ!!」
クリスが持っているナイフに切り裂かれたホーストはとてつもない絶叫を上げる。え?あれ、そんなに痛いの?見たところただのナイフでできた切り傷にしか見えないし、そこまで深くなさそうだが。
ホーストは傷を押さえながらダクネスとクリスから距離を取る。
「なっ、何だそのナイフッ!?ただのナイフじゃねぇだろ!」
「そりゃそうだよ、君みたいな害虫に効果抜群な神聖な加護を受けたナイフだからねぇ!」
「え?そうなの」
初耳だ。作戦会議でもそんなこと言ってなかったじゃないか、ちゃんと報告してくれよ。
「チッ、確かにそれを喰らい続けたらやべぇな……ならっ!」
「はやっ!」
クリスに狙いを定めたホーストは突如、凄まじい速度で駆け出しクリスの眼前に立ち拳を振り上げる。あれじゃ、ダクネスの防御もクリス自身の回避も間に合わない。
「ギルガルド!『キングシールド』!!」
「ギルッ!」
「なんだとっ!」
空中から、クリスとホーストの間に割って入ったギルガルドのキングシールドによってホーストの拳は防がれる。これで、あいつの攻撃力は弱体化した。一気に畳み掛ける。
俺はゆんゆんにアイサインを送ったあと、エルレイドとギルガルドに指示を出す。
「エルレイド『つじぎり』、ギルガルド『せいなるつるぎ』!」
「『ファイアーボール』!」
「ぐおぉぉぉぉぉ!!」
「ゆんゆん、たたみかけろ!」
「はいっ、『ライトニング』!」
ゆんゆんのファイアーボールが炸裂し、更に左右からエルレイド、ギルガルドの強烈な斬撃技が直撃した。さらに、ゆんゆんの雷属性の魔法が直撃する。
「いってぇなクソッ!」
流石にやられたい放題で頭に血が上り始めたらしいホースト、すると彼の頭上に巨大な炎が出現する。だが、あれについてはすでにダクネスが他の冒険者から聞いている。やつは炎属性の上級魔法が使えると。当然、その対策もした。
「消し飛べ!『インフェルノ』!」
「させるかよッ!!」
俺は残りのモンスターボールのうち一つを炎に向かって大きく振りかぶって投げる。ボールの中身のポケモンが炎の中でその姿を表す。
「シャ〜ン」
「シャンデラ、『もらいび』だ!」
現れたのはシャンデリアのような姿をしたゴースト、ほのおタイプのポケモンシャンデラ。そして、シャンデラの特性『もらいび』はほのお系の技全ての攻撃を吸収し、自分の力とする。
シャンデラは『インフェルノ』を吸収すると、頭の紫の炎が巨大に肥大化する。
「んだ、そりゃあッ!」
「お返しだ。シャンデラ『オーバーヒート』!!」
「シャ〜ン!!」
驚くホーストを無視してシャンデラに指示を出すと、シャンデラは『インフェルノ』を吸収したことで肥大化した炎のエネルギーを一気に解き放つ。『インフェルノ』を吸収し、自らの力を上乗せしたオーバーヒートは視界を真っ赤に染め上げ、ホーストを飲み込み凄まじい爆発を起こす。
俺たちは熱風と爆風から顔を覆う。
「凄まじい、威力だな……!さすがの私もあれを喰らうのは御免だ」
「……本来は一回の攻撃では一段階しか攻撃力は上がらないんだが……それだけ強力だったってわけか」
「説明はいいから、今がチャンスだよ!」
「あぁ、わかってる」
俺は翼でゆんゆんとめぐみんを爆風から守るジュナイパーと守られているめぐみんにアイコンタクトを送りうなずく。ここからがこの作戦の肝だ。もうすぐ爆煙が止む。ジュナイパーは翼で弓を作り、羽根で矢を作り準備をする。めぐみんも爆裂魔法の詠唱を開始する。
そして、ホーストの影が爆煙に映し出される。
「今だっ!ジュナイパー、『かげぬい』!」
「ジュパッ!」
俺の指示でジュナイパーは必中の矢を放つ。
「ッ!」
しかし、その矢は咄嗟に気づいたホーストによってヤツの
「ちくしょう……侮ったぜ、まさかここまでやりやがるとは。だが、ここからは容赦しねぇぞ。ゴリ押しなら一撃の威力が高い俺が勝つからなぁ」
「―――いいや、もう終わったよ」
「何を言って……!」
俺の言葉を挑発と受け取ったのか無視して攻撃の構えを取ろうとしたホーストだがその表情から余裕が消えた。当然だろう、
「なっ、何だこりゃ!『パラライズ』かッ!?」
「ちげぇよ。ジュナイパーの矢、『かげぬい』は射抜いた影の持ち主の動きを封じる」
「ッ!さっきの矢はそのためか……だが、動きを封じたところで俺様は倒せねぇぜ」
「……それは、私の魔法を受けてから言ってくれますか?」
ジュナイパーに守られていためぐみんが前に出るとホーストの頭上に無数の魔法陣が展開される。その光景と待機に広がる魔力にホーストが冷や汗を流す。
「何だこの魔力は……長く生きてきたがそうそう感じたことのない魔力だ」
「―――我が名はめぐみん。紅魔族随一の魔法使いにして爆裂魔法を操りしもの」
「ッ!そうか、テメェらはじめからこれが狙いかッ!」
「悪いな、俺達の狙いははなからお前の動きを封じる一点だ、トドメはこいつが決めてくれるからな」
「テメェ、やってくれたなぁ……!」
「恨み言はいくらでも聞くぜ。これに耐えられたらな。めぐみん、やっちまえ!!」
俺が声を上げると詠唱が完成しためぐみんの必殺の一撃が放たれた。
「喰らうがいい、『エクスプロ―――――ジョン』!!!」
「クソがアァァァァァァァ!!!」
ホーストの絶叫とともに放たれた一閃は先程のオーバーヒートによる『赤』の爆炎ではなく、『真紅』の爆炎で俺達の視界を覆い尽くした。
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「……なんとか上手く行ったか」
爆裂魔法によってできたクレーターの中心を見つめながら安堵の息を漏らす俺達。
「よくやってくれたぞ。めぐみん」
「あの、もう立てませんので……街までおぶってもらっていいですか?」
「しょうがねぇなぁ」
俺はめぐみんに肩を貸して街まで運ぼうとする。だが。
「ッッッッッ!!?」
背筋から貫かれるような殺気にゾクリと悪寒が走り、未だにもうもうと立ち込める爆炎に視線を向ける。
「―――『カースドブラスター』!」
「皆、伏せろぉぉぉぉぉ!!」
俺の叫びは虚しく響き、衝撃波は俺を含む全員を吹き飛ばした。
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「ぐっ……!」
俺は一瞬途切れた意識を痛みで復活させる。咄嗟にめぐみんをかばったせいで肩から地面に叩きつけられたようで、右肩からズキズキと鈍い痛みが断続的に響く。もしかしたら、肩が外れたかもしれない。
肩を抑えながら顔をあげると傷つきながらエルレイドが立っている。しかし。
「ギルガルド!シャンデラ!」
エルレイドの前にはギルガルドとシャンデラが目を回して倒れていた。自ら盾になりエルレイドと俺をかばったようだ。
周りを見回すと、さっきの魔法の衝撃でクリスとダクネス、ジュナイパー、ゆんゆん、めぐみんも吹き飛ばされていた。皆、苦悶の表情を浮かべながら僅かに体が動いていることから生きてはいるようだ。どうやらゆんゆんはジュナイパーが、クリスはダクネスが守ってくれたらしい。
だが、問題なのは……。
俺は衝撃波の中心で未だ立ち込める煙幕の中から重い足音を鳴らしながら、現れる巨体を睨みつけながら悪態をつく。
「くそったれが……!」
「よう、恨み言はいいから聞きたいことがあんだけどよ……。」
そこには残った羽と片腕が吹き飛び、全身ボロボロになりながらホーストが仁王立ちしていた。
「アレ喰らって、まだ耐えるのかよ」
「あぁ、もうちょっと威力が高かったら吹き飛ばされてたけどよ……なんとか耐えきったぜ」
どんだけタフなんだ、この悪魔はッ!
どうする、めぐみん達は完全に気絶してる。ギルガルド達は戦闘不能、残ったのは俺とエルレイドのみ。
これだけ攻撃を仕掛けた以上、交渉は不可能。絶体絶命ってやつか……。
「聞きたいことがあるって言ったな、なんだ?」
「随分素直に答えるじゃねぇか」
とにかく今は戦えない奴らから意識を逸らすしかない。こいつの質問には素直に答えておくしか。
「まぁいい、俺様が聞こえたのはたった一つだ。この辺で黒い獣を見なかったか?」
「黒い獣?」
「あぁ、俺の契約者が探しててな。その方、邪神ウォルバグ様の半身だ」
邪神の半身?黒い獣?そんなヤツ知るわけ……。
『なー!』
「ッ!」
まさか……!
俺の動揺を表情から読み取ったのか、ホーストが笑みを浮かべる。
「その顔、知ってやがるな」
「……なんのことだかな」
「とぼけんな。お前たちからは僅かだがウォルバグ様の匂いがする、俺様は鼻が利くんでな」
「…………。」
「取引しようぜ、ウォルバグ様の居場所を言えば。お前達とあの街には手を出さない」
「……信じろってか?」
「俺達悪魔は契約には従う、それが掟だからな」
どうする……ここでちょむすけを売れば俺達とアクセルは助かる。俺はズキズキと痛む肩のせいでまともな思考ができないなりに必死に考えを巡らせる。
すると、目の前に一つの影が現れる。
「エルッ!」
「エルレイド?」
「エェェェル……!」
いつの間にか眼前にいたエルレイド、彼の両腕の鎌が巨大化し、全身に闘気が満ちてるのがわかる。これは攻撃力が上昇しているのか?
「まさか、特性かッ!?」
エルレイドの特性、『せいぎのこころ』。悪タイプの技を受けたとき攻撃力を上昇させる。さっきのホーストの攻撃でそれが発動したのか。
エルレイドはゆっくりと俺の方に振り返る。その目を見て、俺は息を呑んだ。まるで、何自分のことを忘れて諦めてるんだって言いたげだった。……そうだ、そうだったよなぁ。俺達ポケモントレーナーは何よりもお前らを信じて行動しなきゃいけないんだったよなぁ!
俺は左手でエルレイドの肩を掴みふらつく足に残った力をすべて込めて立ち上がる。
「……悪いが、その契約は不成立だ」
「なに?」
「―――
「エルレイッ!」
―――エルレイドと俺の気持ちが一つになったその時、俺のポケットから凄まじい光が放たれる。
「なんだ、この光ッ!」
突如、放たれた光にホーストは警戒する。その光の発生源はいつかのイーブイが見つけたキーストーン。さらに、光の発生源はもう一つある。ゆんゆんのマントの裏からだ。
その光の発生源はひとりでにマントから飛び出し、エルレイドの元へと飛んでいく。
「それは、エルレイドナイト!」
メガストーンの一つであり、エルレイドをメガシンカさせるために必要なアイテム。なんでゆんゆんがこれを……いや、今はそんなことを言ってる暇はないな。
「―――行くぞ、エルレイド!」
「エルレイッ!」
「メガシンカだッ!!」
キーストーンを握りしめると、拳から漏れ出た光とエルレイドナイトから放たれた光が繋がりさらなる輝きを作り出し、エルレイドの体を包み込む。光の中でエルレイドの姿を変えていく。
「エールレーイッ!」
雄叫びとともに光が消えると、白を貴重とした姿へと変わり両手の鎌がより鋭利になり、現れた白いマントが風で翻る。これがメガシンカ、これがメガエルレイドだ。
ホーストもメガエルレイドの姿から何かを感じたようで、警戒の体勢を取る。
「姿が変わっただけ……ってわけじゃねぇようだな」
「―――お互い、あと一撃で倒れる身だ。終わらせようぜ」
「なんだ、バレてたのかよ」
「うちの頭のおかしい爆裂娘を舐めんなよ。アレ喰らって、立ってる方が不思議なんだよ」
カマをかけたつもりだったが、どうやらマジらしいな。
―――話を終えたホーストとエルレイドはお互いにザッと足を踏みしめて技を構える準備をする。
そして、互いが同時に駆け出す。
「「ッ!!」」
ホーストの拳とエルレイドの拳が激突する。さっきの魔法にも負けないくらいの衝撃波に吹き飛ばされそうになるが必死に足に力を込めて踏ん張る。
俺は腹に力を込めて最後の指示をエルレイドに送る。
「エルレイド、『きしかいせい』!!」
「エールレイーッ!!」
「くっ……なんだこのパワーはッ!!」
かくとうタイプの技『きしかいせい』は自身へのダメージが多いほどに威力を増す、文字通り起死回生の一撃。拮抗していた力の流れがエルレイドに傾きホースとの拳に光のひびがあらわれ、全身に広がる。
「決めろっ!エルレイドッ!!」
「エルゥゥゥゥレェェェェイ!!!」
「ぐおぉぉぉぉぉぉ!!!……くそっ、ここまでかよ」
絶叫を上げていたホーストが突如何かを悟ったような言葉を漏らした。
「まさか、この俺様がこんな街の近くでやられるとはな……これで残機が一人減っちまうな、あ〜あ、これでウォルバグ様との契約も強制解除で晴れてフリーの身か……マジでいつかあのガキに使役されちまいそうだぜ」
まるで遺言のような文句に俺は何も言わず耳を傾ける。
―――やがて、ホーストの拳が崩れ去って形を失いエルレイドの拳がホーストの胸を貫いた。
「ぐはっ!……ったく、なんだってんだよこの街はよぉぉぉぉぉ!!!!!」
悪魔ホーストはその絶叫を最後に体が消滅しその残骸は空に消えていった。
「勝っ……た?」
「エルッ!」
目の前の光景が信じられない俺の元へメガシンカから元の姿に戻ったエルレイドが笑顔で駆け寄ってくる。その姿に本当に勝ったのだと確信した。
その瞬間、足から力が抜けその場に倒れ込む。瞼も急激に重くなり、慌てて駆け寄ってくるエルレイドの姿を最後に視界にとらえてそのまま俺は意識を手放した。
ちょっと無茶な感じだったかなぁ、やっぱバトルはむずいぜ。
ぶっちゃけ、原作以外のバトルよりもカズマのポケモン政策に力を入れたいんだがなぁ……。
デストロイヤー戦はZワザを披露したいのですがどのZ技がいいでしょうか?
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