このすば〜もしもカズマがポケモン大好き野郎だったら〜 作:クロウド、
「さて、そんじゃやるかぁ」
「待ってました!」
俺達は今、おなじみの平原であることを行おうとしていた。
俺は一つのボールをホルダーからとって、空に向かって放る。
「出番だ、エルレイドッ!」
「エルッ!」
出てきたのはホーストとの戦いの傷がすっかり癒えたエルレイドだ。
あのあと、最終的にどうやってホーストを倒したのかという質問をクリスとめぐみんからされ、メガシンカの説明は口で言うよりも実際にやってみせたほうがわかりやすいと思ったので、実際に見てもらうためここで実践することになった。
『エルレイド やいばポケモン エスパー・かくとうタイプ
ラルトスの最終進化形。
伸び縮みする肘の刀で戦う。居合の名手。礼儀の正しいポケモン』
前回、説明をしていなかったのでいつものごとくロトムが図鑑の説明を読み上げる。
「ラルトスの最終進化系?」
「どうりで……なんとなくラルトスと色合いが似てると思ったんだ」
多分、皆が気にしてた疑問はロトムがした説明で納得したようだった。確かにエルレイドは頭の赤い触覚や緑色の髪などラルトスと酷似したところがあったので作戦会議のときは皆どこかラルトスとエルレイドを見比べてるときがあったからな。
ゆんゆんの足に隠れたラルトスも覗くようにエルレイドの姿を見ている。
ゆんゆんとクリスの話だと、マジックアイテムの準備のために行った魔導具店でエルレイドナイトをラルトスが見つけたらしい。それがなかったら、俺達今頃ここにいないかもなぁ。
「マジでエルレイドナイトをラルトスが見つけてくれなかったら俺達死んでたかもな……。ありがとな、ラルトス」
「ホントだねぇ……ありがとね、ラルトス」
クリスが礼を言うとダクネスやめぐみん、パートナーであるゆんゆんもラルトスにお礼を言う。本人は相変わらず恥ずかしがってる様子だったが。
「エル、エルレイ!」
「ラッ……ララララ………!」
すると、俺の隣りにいたエルレイドもラルトスの前に出て膝を降り笑顔で礼を言う。すると、どうしたことだろう、ラルトスは顔を真っ赤に染めてゆんゆんの後ろにすごい速さで隠れてしまった。
「わっ、ラルちゃんどうしたの!?」
「大きいエルレイドが怖いのでは?」
「エルッ……。」
エルレイドはめぐみんの言うとおり自分がラルトスを怖がらせてしまったと思ったのか申し訳無さそうに声を落とした。
だが、俺にはそれが違うとわかった。あの反応、そしてエルレイドとラルトス……。んで、ゆんゆんのラルトスは……だもんなぁ、これはあれで確定だろう。
「罪な奴め」
「エル?」
『!なるほど、そういうことロトね』
俺はエルレイドの肩に手を乗せるが、本人は自覚なしと来た。同じエスパータイプ同士だと考えを読むことができないのだろうか?
まぁいいや、エルレイドとラルトスのことは後回しだ。先にメガシンカについて説明しないとな。
「ゆんゆん、エルレイドナイトを」
「あっ、はい!」
俺は元々の持ち主であるゆんゆんに預けていたエルレイドナイトを受け取り、ポケットからイーブイが見つけたキーストーンを取り出して皆に見せる。
「メガシンカにはトレーナーが持つキーストーン、そして、ポケモンに持たせる専用のメガストーンが必要になる。今回はエルレイド専用のメガストーン、エルレイドナイトだな」
『メガストーンはそれぞれ配色が違うから、それで見分けるロトよ』
「かなりの種類があるんだな……。」
ロトムが画面にそれぞれのメガストーンを映すと、それを注意深く見るダクネス達。
「そして、メガシンカには必要なものがもう一つある」
「もう一つ?」
「ポケモンと人間の信頼関係、端的に言えば絆だな」
「絆、ですか?」
「ああ、だから俺のエルレイドをメガシンカさせられるのは俺だけ、たとえ俺以外の誰かがキーストーンを持っていてもな」
説明をしながらキーストーンを強く握りしめる。すると、拳の隙間から光が漏れ出る。
「うわっ!」
いきなり輝きを発したキーストーンに驚きの声を上げる一同。
そんな皆をよそにエルレイドが持つエルレイドナイトからも光が放たれる。二つの光は帯のように互いに伸びて、やがて結びつく。
エルレイドの体が虹色に発光し、徐々に姿を変えていく。両腕の鎌は更に鋭利な形状へと変化し肩から伸びたマントが風になびく。考えを読み取るための角も形を変える。
ふとゆんゆん達のほうに視線を向けると、四人はその神秘的な光景から目が離せない様子だった。
「エェェェェェルレェェェェイ!!!」
全ての変化が終了すると、全身を纏っていた光を払いのけるようにエルレイドの、いやメガエルレイドの咆哮が平原にこだました。
「これがメガシンカ……人とポケモンが揃っていなければ到達できない領域だ」
「す、素晴らしいですよ、カズマッ!メガシンカっ、紅魔族の琴線にビビッときました!!」
四人の中で一際メガシンカに感動したらしい、めぐみんが紅い瞳をルビーのように輝かせながら感動を熱弁していく。他の三人もめぐみんほどではないがその光景に感銘を受けた様子だった。
「しかし、ポケモンのことといいメガシンカのことといい……カズマはどこでこれほどのことを知ったんだ?」
「―――俺は、幼い頃からずっとポケモンたちと旅をしてきた。それまで色んな経験をした、メガシンカもその時に知ったんだよ」
「幼い頃からって……。」
「懐かしいなぁ、カロス地方、マスタータワーで初めてメガシンカをしたときのことを」
シャラシティ、シャラジムのジムリーダー・コル二に託されたルカリオとメガリングを使って初めてメガシンカをさせたときのことを思い出す。あれからいろんなメガシンカを見てきたが、やはりメガストーンやキーストーンよりも絆が必要なのだと思い知らされた。
―――こんな記憶がある辺り、俺にとって向こうの経験は完全に今の自分に蓄積されているらしいな。複雑だが、今のところは便利だしいいか。
「カズマッ!フカマルもメガシンカできますか!?」
感傷にふけっているとめぐみんがフカマルを抱きかかえて、目をキラキラさせてにじり寄ってくる。
「近い近いって……!」
『フカマルの最終進化形であるガブリアスのメガシンカも確認されているロト』
「ではっ……!」
「ただし、そのためにはガブリアス専用のメガストーン、ガブリアスナイトが必要になる。勿論、お前専用のキーストーンもな」
「どうやったら見つかりますか!」
「そこまではなぁ……ただ、ラルトスがエルレイドナイトを見つけたのを考えると、もしかしたらメガストーンとそれに関連するポケモンはお互いに引かれ合っているのかもしれないな」
エルレイドナイトがあったってことはまず間違いなく他のメガストーンもこの世界に存在するだろう。それを見つけられるかどうかで、これからの皆の戦い方も大きく変わっていくだろう。
メガシンカの説明も終わったのでエルレイドのメガシンカをといて、エルレイドナイトを受け取る。
「さて、ゆんゆん。エルレイドは確かにラルトスの最終進化形ではあるが君のラルトスはエルレイドにはなれないんだ」
「えっ、どうしてですか?」
「エルレイドはオスのラルトスでしか進化しないからだ」
「ということはゆんゆんのラルトスは……」
「そっ、メス。つまり女の子だな」
そういった瞬間、ゆんゆん以外の全員がさっきのラルトスの反応から何かを察したようだった。
「なるほど、そういうことでしたか」
「なるほどねぇ……。」
「しかし、だとしても早すぎないか?まだ、生後一ヶ月も経ってないんだぞ?」
「ませてますねぇ……そんなところもパートナーに似たんでしょうか」
「えっ、ゆんゆんさんってそうなの?」
「あ、あの……みなさん何の話を……。」
何故だか、ゆんゆんを除く三人がヒソヒソと話すなか、仲間はずれにされてるように感じたのか若干涙目になったゆんゆんが皆に声をかける。流石に見てられないので俺がストレートに教えてやる。
「あ〜、だからなゆんゆん。君のラルトスはメスでエルレイドはオスしか進化しないから必然的にオスなわけだ。んで、さっきのラルトスのいつもとは違った恥ずかしがりよう……とくれば答えは一つしかないだろう」
「……あっ!えっ、そういうことなのラルちゃん!?」
「ラッ、ラル〜〜〜〜〜〜〜……。」
どうやら俺達と同じ結論に至ったらしいゆんゆんが足元のラルトスに問いかけるといつも以上に髪の毛で瞳を隠してしまうラルトス。
これは確定だな。
―――そう、ラルトスは俺のエルレイドに一目惚れをしてしまったのである。
そのことにきづいたゆんゆんが一気に顔を赤くしながら慌てだす。
「どどどどどどうしたらいいんでしょうか、私は!?」
「どうするもなにも……ラルトスの恋を応援してあげたらいいんじゃないか?」
「で、でも何をしてあげれば」
「あっ、だったらそれを改めてラルトスからエルレイドに渡してあげたら?」
考え込むゆんゆんに助言をしたのは俺が持つエルレイドナイトを指さしたクリスだった。
「だって、ゆんゆんさんのラルトスじゃエルレイドにはなれないんでしょう?だったら、贈り物ってことでエルレイドにプレゼントするのはどう?」
「うん、いいアイディアじゃないか?」
「確かに、まずはきっかけが大事ですからね」
クリスのアイディアに次々と賛同する女子たち。高校でも思ったけど色恋が関わったときの女の子の行動力っていうか積極性ってやっぱすごいわ。
「それじゃあ、ラルちゃん。やってみる?」
「ラルッ!」
一瞬戸惑う様子を見せながらもラルトスは力強く頷いてエルレイドナイトを受け取った。ゆんゆんを励ましたときも思ったがもしかしたらいざというときの行動力は他の子よりも強いのかもしれない。
「頑張ってラルちゃん……!」
「ファイトですよ、ラルトス!」
「自分の気持ちを伝えるんだ!」
「勇気を出してッ!」
エルレイドのもとへと向かうラルトスにエールを送る女性陣、ただなぁ……エルレイドは騎士道精神をモットーとした堅物だからなぁ。ラルトスからの好意にも気づいてないようだし……。
「ラ、ラ〜……。」
「エル?」
エルレイドのもとにたどり着いたラルトスはおどおどしながらもエルレイドナイトを差し出す。その様子に「自分に?」と問いかけるエルレイドに頷くラルトス。その手からエルレイドナイトを大事そうに受けるエルレイド。
「エルレイッ!」
「ラ、ラ、ラ……ラァァァァァァ!!!」
「え?ラルちゃんッ!?」
目的を達し恥ずかしさが一気にこみ上げて来たのかラルトスはダッシュでゆんゆんのもとに戻り、腰のモンスターボールに触れる。そのまま光となってボールの中に戻っていった。
「あっ、ボールに隠れちゃったね」
「いきなり難易度が高すぎたか……。」
―――ラルトスの恋が叶う日は来るのだろうか、俺達の密かな楽しみが一つ増えた。
「―――そういえばさ」
メガシンカの説明も終わりクリスが何かを思い出したように呟いた。
「どうした、クリス?」
「行商の人に聞いたんだけど、最近ここの近くで馬車が悪魔に襲われたって」
「悪魔、ホーストとは別のか?」
「うん、人間に近い姿の女の悪魔。ホーストほどじゃないけど、腕利きの冒険者が何人も瀕死にされたって」
「初耳だな、それでその悪魔はどうなったんだ?」
「それがねぇ」
クリスはめぐみんとゆんゆんの方に視線を向ける。
「ちょうど居合わせた二人組の紅魔族の少女が討伐したって言うんだよ」
「ふふふ、いかにも!その女悪魔アーネストを屠ったのは我が爆裂魔法です!」
クリスの言葉に自信満々に答えるめぐみん、驚いたなホーストを討伐する前にすでに悪魔を討伐していたなんて。
「何偉そうに言ってるのよ!他の冒険者さんが守ってくれてたからでしょうが!」
「それにしたって……お前らよく無事だったな」
「ふふふ、それはこれのお陰です!ほら、ゆんゆんも」
「え〜、仕方ないなぁ……。」
完全に天狗になっているめぐみんが懐から何かを取り出そうとし、彼女に言われてゆんゆんも懐から何かを取り出す。めぐみんが取り出したのは白い石、ゆんゆんが取り出したのは黒い石。どちらも全く同じ形状をしていることから自然にできたものではないことは明らかだった。
「なにこれ?」
「ただの石に見えるが……。」
ダクネスとクリスはめぐみんとゆんゆんが取り出したものをまじまじと見つめている。だが、俺は二人が取り出したそれを見た瞬間目を見開いた。
「嘘だろ……。」
「カズマくん、どうしたの?」
「様子がおかしいぞ?」
無意識に口から溢れた言葉と俺の唖然とした態度から只事ではないと思ったのか二人が心配してくれるが今はそれどころじゃない。
俺は生唾を飲み込み今にも確認のために二人の手からひったくりそうになる衝動を抑えながら、めぐみんが持つ白い石とゆんゆんが持つ黒い石を見つめる。
「ダークストーンとライトストーン……?」
二人が持つその白と黒の石の名を呟いた。
それは正しく、イッシュ地方に伝わる真実と理想の神話。そこに現れる二体の大いなる竜、彼らがその身を石に変えた姿そのものだったからだ。
かつて俺もその眠りを覚まさせたことがあるからわかる。この独特の感覚、これは間違いなく本物のライトストーンとダークストーンだ。
―――だが、何故だ?
何故イッシュ地方に伝わるこれがここにあるッ!?
「めぐみん、ゆんゆんこれを一体どこで?」
「えっと、私はめぐみんにもらったんですけど……。」
「―――ふふふ、ついに語るときが来たようですね。我が大いなる過去を」
「また始まった……。」
よくぞ聞いてくれましたと言いたげなめぐみん、だが対象的にゆんゆんは呆れたような視線を向けている。そんな様子を無視してめぐみんはライトストーンとダークストーンを手にした経緯を話してくれた。
「あれはまだ私が幼いときの話です。とある理由でモンスターに襲われていた私はとある二人に助けられました。
一人は爆裂魔法を操る魔法使いのお姉さん。ただ、お姉さんが撃った爆裂魔法の音で新しいモンスターが次々と現れまして……。」
爆裂魔法は一度撃ったら基本的にもう魔法は使えない、それだけ必要となる魔力が膨大なのだ。そうか、めぐみんの爆裂魔法への思いはそれがルーツなのか。
「その時に現れたんです。巨大な白と黒の竜を従えたお兄さんが」
「白と黒の竜……。」
「そのお兄さんは竜に指示を出して現れたモンスター達を次々となぎ倒していったんです!あの雷鳴と爆炎、そして竜の背に乗った威風堂々たる姿に私は憧れたのです!」
まるで子供が物語に出てくるヒーローの話をするように目をキラキラさせながら熱く語るめぐみん。ゆんゆんは何度も聞いた様子でうんざりしたような顔をしていた。
俺はめぐみんの話を真剣に聞きながらその竜使いの青年について考えていた。
白と黒の竜。まさか、レシラムとゼクロムのことなのか?いや、状況から言ってその二体の可能性が極めて高いか。
「私はお姉さんの爆裂魔法に憧れ、そして、竜を従える青年にも憧れました。いずれ、あんなふうになりたいと!だから、フカマル。貴方が生まれてきてくれたときは本当に嬉しかったのですよ」
「カフッ!」
しゃがみこんでフカマルの頭を愛おしそうに撫でるめぐみん。
めぐみんがドラゴンタイプに拘る理由は一目惚れじゃなかったってことか。
そして、苦笑いをしながら俺に視線を向ける。
「実を言うと、リザードンを連れているのを見てもしかしたら、あの人がカズマなんじゃないかと思ったのですが。違いますよね……十年近く前の話なのでどう見ても年が合わないですし」
「だろうな、俺も身に覚えがないし」
「爆裂魔法のお姉さんはともかく竜使いのお兄さんに関しては夢でも見たんじゃないのって言ってるんですけど、頑なに認めないんですよ」
「あたりまえでしょう!あの感動を夢で片付けられてたまるものですか!」
「でもいくらなんでもありえないじゃない、そんなドラゴンを二体も従える人がそうそういるわけ―――」
「じゃあここにいるこの人は何なんですかっ!」
「あっ」
めぐみんの話の内容を否定するゆんゆんだったが、めぐみんが俺の方をビシッと指差すと言葉に詰まった。
いや、確かにウオノラゴンとかジュラルドンの他にもドラゴンタイプは持っているけど俺じゃないぞ、そのドラゴンつかいの青年は。
流石に話が進まないのでクリスが仲裁に入った。
「はいはい、それで?その石のおかげで悪魔を倒せたってどういうこと?」
「あぁ、そうでした。この石は私達がピンチになるといつも光りだすんです、紅魔の里やアルカンレティアでもモンスターに襲われたときに強い光を発したんです」
「馬車のときもその光に怯んだスキに爆裂魔法でトドメを刺してました」
石が、いや、レシラムとゼクロムが二人を護ったのか。
だとするなら、考えられることはたった一つしかないだろう。
「―――その石、絶対になくすなよ」
「え?」
「カズマさん?」
至極真面目な顔でそういった俺に二人は面食らってる様子だがちゃんと伝えなきゃいけないことだ。
「これからお前らがどんなピンチに陥ってもその石がきっと守ってくれる」
「カズマはこの石がなんなのか知ってるんですか?」
「もしかしてメガストーンと同じでポケモンに関係するものとか?」
「今は言えない……ただ、その石がお前達を守ったってことは、きっとお前達が強くなるのを待っているはずだ」
俺やNが選ばれたように……もしかしたらこの二人も……。考えすぎだろうか。
「…………。」
だが、そもそもなぜライトストーンとダークストーンがここに……。キーストーンやメガストーンとはわけが違う。なにせ姿が石とはいえ伝説のポケモンだぞ。
まさか、俺以外にもポケモンをこの世界に連れてきたやつがいるのか?
これは、エリス様に相談する必要がありそうだな……。
さて、一体めぐみんを助けた青年とは誰なのか?
ヒントはくさ・エスパータイプ。
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