このすば〜もしもカズマがポケモン大好き野郎だったら〜   作:クロウド、

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ふぅ、久しぶりに満足行く内容になったと思います。


このロトム屋敷と幽霊少女に幸せを!

「おい、クリス?ほんとにここなのか?」

「うん、間違いないよ。知り合いの魔導具店の店主さんから紹介された不動産屋さんがくれた家は」

 

 俺とクリスとゆんゆんは今、アクセル郊外にある一つの屋敷の前に来ていた。今朝早くにクリスに呼び出された俺達は、パーティの拠点が手に入った!とはしゃぐクリスに連れられてここまで案内されたというわけだ。

 めぐみんは宿からちょむすけを、ダクネスはアクセルの近くにある実家から荷物を取りに行っていて今はいない。

 

「しかし。まさかただでこんなでかい家をもらえるとは」

「本当はその魔導具店の店主さんがもらうはずだったらしいんだけどね」

「まぁ、()()()()なんて誰も欲しがらんだろうからな」

 

 そう、ここをタダで手に入れられた最大のポイントは、この屋敷が幽霊屋敷だという点だ。まぁ、隣が共同墓地だから出ても仕方ないかもしれないが。そのせいもあってこの家は買い手が見つからないのだそうだ。

 なんでも、クリスにこの屋敷をくれた店主さんは霊的なモンスターにめっぽう強いらしく、不動産屋さんでは浄化をしてくれるという条件でくれたというわけだ。

 

「でも、本当に出るんでしょうか?」

「問題ないよ、出たら出たでウチのリーダーがなんとかしてくれるって」

「正確には俺のゴーストタイプのポケモンが、だけどな」

 

 そう、うちにはプリーストがいないが代わりにレイスやゴーストと同じ条件で戦えるゴーストタイプのポケモン達がいる。実際、何度かクエストでゴースト系のモンスターと遭遇したがゴーストタイプのシャンデラやゲンガーをぶつけたところ普通に倒せた。

 仮に成仏できない魂だったとしても、そのときの策もちゃんと考えてある。そっと腰につけてあるめぐみん達と同じ()()()()()()()()()()()()()()()()にふれる。

 

「庭も広いし、きのみの栽培もできそうだな」

「とにかく中に入ってみようか」

 

 クリスは預かっていた鍵で玄関の扉を開いて、俺達もそれに続いて中に入る。

 意外なことに中は結構綺麗だった。不動産屋さんが定期的に掃除に来ていたんだろうか。

 俺達はそれぞれ適当な部屋を自分の自室にする。俺が入った部屋は大きなベッドが備え付けてあるなかなか豪華な部屋だった。といっても、他の部屋にもベッドはあったから、これがこの屋敷の普通なんだろう。となると、ここは貴族の屋敷かなにかだったのかもしれない。

 

「イブイッ!」

「メラ」

「イーブイ、メラルバ。あんまりはしゃぐなよ」

 

 大きなベッドに飛び乗り、ゴロゴロと転がるイーブイとノソノソと部屋を行き交うメラルバ。

 

「さぁて、俺は家具を置くとしようかね」

 

 俺はスマホのアイテムボックスのページを開くと、『大切なもの』の欄にしまわれてるものの羅列を見る。

 

「まさか、これまでこっちに持ってこれてるとは」

 

 こっちの世界にはないから助かるけどもさ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「はい、オーライオーライ」

「ドー!」

 

 呼び出したドータクンの『サイコキネシス』で浮かせて部屋から持ち出したものをキッチンに持ってくる。ふむ、このあたりが邪魔にならなそうだな。

 

「ドータクン、この辺にゆっくりおろしてくれ」

「ドータ」

「ありがとうドータクン、戻ってくれ」

 

 無事にキッチンの端に()()を置いてもらい、あとは自分でもできるのでドータクンにはモンスターボールに戻ってもらう。

 そこへ、部屋に荷物を置き終えたのかゆんゆんがキッチンに入ってきた。

 

「カズマさん、これ冷蔵庫ですか?」

 

 ゆんゆんは俺が持ってきた大きなオレンジの冷蔵庫を見ながら尋ねてくる。そう、俺がヒスイ地方でイチョウ商会のギンナンさんから買ったカラクリ箱こと冷蔵庫を。

 こっちの世界にも魔法を使って作った魔導具としての冷蔵庫はあるが、家電としての冷蔵庫は俺が持ってるこれしかないだろう。

 

「そっ、でもただの冷蔵庫じゃないぞ」

 

 俺は呼び出してあったモンスターボールを取り出すとそれがパカンと開いて中から見覚えのあるポケモンが出てくる。

 

「ケテテッ!」

「え?ロトム?」

「ロトム、頼むよ」

「ケテテッ!!」

 

 ボールから出てきたロトムはコンセントから冷蔵庫の内部に侵入しモーターに取り憑く。すると、冷蔵庫にロトムのトレードマークである三角の角が現れ一番上の段にロトムの顔が現れる。

 

「カズマさん、これは?」

「フロストロトム、ロトムの姿の一つで冷蔵庫に取り付いた場合の姿だ。こいつにはうちの冷蔵庫兼盗難防止の留守番役を頼んだんだ」

『よろしく頼むロトよ、兄弟!』

『ロトトッ!』

 

 万が一泥棒とかに入られて、スマホとかモンスターボールを盗まれたらたまったものじゃないからな。勿論、イタズラはするなと言ってある。

 ロトム曰く、この家電の中は結構心地良いらしく頼んだら二つ返事でオッケーしてくれた。

 さて、ダクネス達が来るまでに残りの家具も配置しておかないとな。

 

「カズマく〜ん!」

「はいは〜い!」

 

 クリスに呼ばれて、俺は洗面所の方に向かう。そこには案の条、思案顔のクリスとさっき置いておいた洗濯機、その中に取り憑いたウォッシュロトムがいた。

 

「これってロトムだよね?」

「ああ、ウォッシュロトム。洗濯機の中にロトムが入ってもらってるんだよ」

「せんたくき?」

 

 クリスは俺の言葉に首を傾げて疑問符を浮かべる。

 おや? この世界、冷蔵庫はあるのに、洗濯機はないのか? 確かに洗濯に関しては、自分でやろうと思えば手洗いできるから冷蔵庫ほど必要性はないかもしれないけど。

 

「それじゃあ、試しに使ってみるか」

 

 俺は今日洗濯するためにしまっておいた土汚れのついた白いシャツを部屋から取ってきて、洗剤と一緒にウォッシュロトムの腹の部分に入れる。

 

「こうやって汚れた服と洗剤を入れて、よし、ロトムよろしく」

『ロト!ロトトトトトトト!!』

 

 洗濯が始まりガタガタとウォッシュロトムの体が揺れる。それが止まると、ウォッシュロトムの腹が開いて中から脱水まで終わって、新品のように真っ白になったシャツが現れる。

 

「と、このようになるわけだ」

「あら便利ー!」

 

 真っ白になった俺のシャツに触れながら、ウォッシュロトムの有用性がわかったクリスが目をキラキラさせてロトムを見る。

 

「他にもロトム達はいるから一回全部説明しようか」

「ゆんゆんも呼んでくるよ」

「頼む」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ―――一方、その頃。

 

「ダクネス、あれは何でしょうか?」

 

 宿屋からちょむすけを連れてきためぐみんと実家から荷物を持ってきたダクネスが合流し、伝えられていた住所から屋敷にたどり着いていた。

 そんな二人の視線の先には庭に置かれた()()が鎮座していた。

 

「芝刈り機、だろうか?」

 

 確かにそれには人が押して使うための取手と草をかるためのノコギリのようなギザギザした刃が搭載されている。傍目には芝刈り機以外のなにかに見えることはないだろう。

 

「前の住人の忘れ物でしょうか?」

「どうだろう、それにしては新しいように見えるが……。」

 

 気になっためぐみんとダクネスはなんの疑いもなくそのオレンジ色の芝刈り機に近づいていく。

 すると。

 

『ロ〜トトッ!!』

「「うわぁ!」」

 

 いきなり顔が浮かびだし勝手に動き出した芝刈り機に驚いて退く二人。だが、改めてその特徴的な目と角から彼女達のリーダーが愛用している謎アイテムに取り憑いているポケモンを連想する。

 

「「ロトム(でしょう)か?」」

「あっ、二人共来たのか」

 

 二人が芝刈り機の正体に気付いたのと同時にこの状況を説明できる唯一の人物が玄関の扉を開いて現れた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「こっちは電子レンジに取り憑いたヒートロトム、こっちが扇風機に取り憑いたスピンロトムだ。外にいたのは芝刈り機に取り憑いたカットロトムだな」

『ロ〜ト』

『ロトトッ!』

 

 さっきまでいなかったダクネスとめぐみんにもウォッシュロトムとフロストロトムの説明をして、残り二体のロトムの説明もする。電子レンジに取り憑いた赤いロトム、ヒートロトムと扇風機に取り憑いた黄色いロトム、スピンロトムが宙を浮いている。

 

「スピンロトムは見たところ風を送る役目でしょうけど、ヒートロトムは何をしてくれるんでしょうか?」

「食べ物を温めたりお菓子を焼いたり、いわゆるオーブンとか窯の役目をしてくれるんだよ」

「ほぅ、それは便利そうだ」

 

 どうやら洗濯機と同じで電子レンジも扇風機もこの世界にはないらしい。俺が作るのは無理だけど、魔導具とか作る専門の人にアイディアを教えたら売れるかもな。

 

「俺達が留守の間はコイツらに家のことを頼んだ。ちゃんとお礼言っとけよ」

「「「「よろしくおねがいしまーす!!」」」」

『『ロトトトッ!』』『任せるロト!』

 

 皆のお礼にヒートロトムとスピンロトム、スマホロトムが答えた。ロトム達の統括は人間の言葉で喋れるスマホロトムに任せてある。

 

「というか、カズマくんなんでこんなにロトム持ってるの?」

「大量発生のときにゲットしたんだ」

「大量発生?」

「偶にあるんだよ、特定のポケモンが大量に現れるときが。ヒスイ地方では図鑑を作るのが俺の仕事だったからな、ケースは多いほうがいいってことで、こうして複数体ゲットしたんだ」

 

 それにロトムは結構珍しいポケモンだったし、折角の大量発生ならってことでゲットしておいた。電気で動く道具なんてほとんどないあの世界で家電を手に入れられたのはラッキーだったとしか言えないな。

 

「もはや、幽霊屋敷というよりロトム屋敷ですね」

「確かにな」

 

 キッチンに戻っていくヒートロトムとリビングに留まるスピンロトムを見ながら言っためぐみんのジョークに俺も皆も得心した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ―――夜。

 

「ふぅ、さっぱりしたな」

「イブイ!」

 

 引っ越しも終わり、埃っぽくなった体を豪華な風呂で洗い流してきた俺とイーブイはすでに入浴が終わった、皆が集まっているリビングにやってきていた。

 因みに、メラルバも一緒に入ったのだが、メラルバはほのおタイプで水が嫌いだから軽めに洗って早々に浴場から出て行ったので、既にリビングにいる。

 

「め、メラ……メラ……。」

 

 ただ、もう夜も遅いので眠気眼だ。

 

「メラルバ、眠いなら寝ていいぞ。部屋までは運んでやるから」

「め、メラ……。」

 

 俺が言うと、すぐに瞳を閉じて動かなくなった。やっぱり、相当我慢してたんだな。そんな必要ないのに。

 

「さて、イーブイは毛を乾かさないとな。このままじゃ風邪ひいちまう」

「イブイッ!」

「スピン、頼むよ」

『ロトッ!』

 

 俺は近くに浮いていたスピンロトムを呼び、弱めの風を送ってイーブイの体を乾かしてもらう。

 

『ロト〜』

「ブイ?ブイイイイイイイイ」

「プッ、何やってんだよイーブイ」

 

 イーブイはスピンの回転する羽を見て、俺が子供のときにやったたような扇風機の前であ〜っていうのをやる。その姿が面白くて、つい吹き出してしまった。

 

「へぇ〜、そんなこともできるんだ」

「まぁな、クリスたちも今度からやってもらったらどうだ? 髪は早めに乾かしてないとすぐに傷むっていうしな」

「そうだねぇ。確かに髪は女の子の命って言うし大事にしないとね」

 

 トゲチックを抱いた、クリスと話しながら乾いたイーブイの毛を愛用のブラシでブラッシングする。

 

「ブイ〜〜〜」

「気持ちいいか、イーブイ?」

「ブイッ!」

「「「「…………。」」」」

 

 イーブイのブラッシングにもスッカリ慣れたので、手を動かしながらさっきからこっちをジッと見つめる四つの視線の持ち主を見る。

 

「あの、やりづらいんだけど……。」

「あっ、ごめんなさい」

「やっぱり上手いなと思いまして」

「ああ、なんというか……長年の経験を感じる」

「あたしはほら、トゲちゃんがトゲキッスに進化したら自分もやらなきゃいけないから見学だよ」

 

 トゲチックの進化形トゲキッス。確かにトゲキッスはトゲピーやトゲチックのようにタマゴのような姿ではなく、イーブイのようなフワフワの体だからな。

 ただ、トゲチックをトゲキッスに進化させるには。

 

「トゲキッスか……なら、『ひかりのいし』を探さないとな」

「「「「『ひかりのいし』?」」」」

「ロトム」

『ロト?』

「あっ、ゴメン。スピンのほうじゃなくてスマホのほう」

『呼んだロト?』

「皆に『ひかりのいし』の画像を見せてやってくれ」

『了解ロト』

 

 スマホロトムはひかりのいしに関するデータのページを開き、その画像を皆に見せる。そこには半透明だが中心で太陽のように光る光源のある実に不思議な石だった。

 

「それが『ひかりのいし』。ポケモンを進化させる力を持つ進化の石の一種だ」

「一種ってことは他にもあるんですか?」

「あぁ、主にほのおタイプを進化させる『ほのおのいし』やみずタイプを進化させる『みずのいし』、くさタイプを進化させる『リーフのいし』。あとはあくタイプやゴーストタイプを進化させる『やみのいし』なんてのもある」

「トゲちゃんを進化させるには『ひかりのいし』が必要ってわけだね。お宝探しは盗賊の得意分野、きっと見つけてあげるからね、トゲちゃん」

「チックチック♪」

 

 やる気満々のクリスとトゲチック。ひかりのいしかぁ……まっ、()()()()()()()()()()()じゃないし見つけたらプレゼントしてあげるかね。

 そんなことを思っていると、ダクネスが何かを思い出したように口を開いた。

 

「ゴーストタイプといえば、ここに出る幽霊というのはどういう幽霊なのかクリスは知ってるのか?」

「な、なんでこんな時間にそんな話をしだすんですか!」

 

 ダクネスが口にした話題に、めぐみんが目に見えて動揺を顕にする。それを見るなり、いつも弄られているゆんゆんが日頃の恨みとばかりに畳み掛ける。

 

「なに? めぐみん、怖いの?」

「こ、怖くないわい! そっちこそ、怖いんじゃないんですか?」

「私? 私は別に?」

「ぐぬぬぬ」

 

 実際、ゆんゆんは怖がってる様子はない。こういうときはゆんゆんのほうが肝が据わってるのかもしれないな。

 

「ここに出る幽霊か、話は聞いてるよ。というか街ではちょっと有名だよ」

「聞いてもいいか?」

「ちょ、カズマ! なんで聞くんですか!」

「怖いんなら耳でも塞いどけよ、なんならもう寝たらどうだ?」

「怖くなんてありませんよ! で、でも、ここまで言われたら気になって眠れませんよ!」

 

 ハァ……相変わらず強がりというか弱みを見せようもしないというか。仲間の前でくらい気を抜いてくれてもいいのに。

 

「なんでも昔ここに住んでた貴族とメイドの間に生まれた隠し子らしいんだ。ただ、やっぱりメイドと貴族の間に生まれた子ってことで世間体に悪いってことで疎まれてたらしくて」

「……幽閉か」

「……うん。おまけにその子、父親は早くに病死、母親は行方不明、その女の子も父親と同じで……親の顔も知らないまま亡くなったらしいよ」

「「「「………。」」」」

 

 良くある話ではあるが聞いていて気持ちのいい話ではないな。

 親の顔も、親から受けるはずの愛情も知らずに生を終えた少女か……。どんなに寂しい思いでこの世を去ったのだろう。

 お通夜のような空気になってしまったリビング、その中で気を利かせたのか話をしたクリスがパンッと手を叩く。

 

「湿っぽい空気になっちゃったね、カズマくんなにか面白い話ない?」

「いきなりだな……でもそうだな、折角だから俺が体験したとっておきの恐怖体験でも話してやろうか?」

「え? それは結構で……」

「なにそれ、面白そう!聞かせて聞かせて!」

「ちょ、クリス!?」

 

 怖い話繋がりで恐怖体験を話してやろうと提案すると意外にも反対のめぐみんをおしきって乗り気なクリスが声を上げる。

 

「じゃあ話すか。」

 

 ―――あれは俺がカロス地方を旅していたときの話だ。

 クノエシティという街に用があった俺はそこへ向かう途中道に迷ってしまってな、ある民家に辿り着いたんだ。

 冷たい雨が降る夜中のことだった。

 明かりのない家の中をおそるおそる探るのだけど誰もいる気配はなく俺はキッチンに立っていた。

 冷蔵庫を見つけ開けるとうっすらと光が漏れ周りの様子がぼんやりとわかってきたんだ。そして、部屋の片隅にうずくまる一人の男の人を見つけたんだ。

 俺は迷ったこと、一晩止めてほしいことを男の人に伝えるために近よろうとすると……男の人は『来るな!』と叫んだんだ。

 俺は謝りつつ『すみません、助けてください』と男の人に頼もうとすると『お前じゃない!』と……俺は驚き男の人をじっと見つめた。

 すると、男の人はこう尋ねてきた……『お前には見えないのか? お前の後ろには……

 

「―――顔のない男ばかりだぞ!!』」

「「キャアァァァァァ!!!」」

 

 俺が話のしめを真似て皆の後を指さしながら叫ぶと年少の二人組が抱き合いながら悲鳴を上げた。俺はその様子を笑いながら二人に話しかけた。

 

「ハハハ、悪い悪い。俺の体験ってのは嘘、これは人づてに聞いただけの話さ」

 

 そう、これはカロス地方の14番道路、そこにある怖い家という場所で聞いた話だ。

 そのことを教えてやるとゆんゆんが涙目で尋ねてきた。

 

「じゃ、じゃあ、本当の話じゃないんですか?」

「さて、どうかな? 本当の話かもしれないし、作り話かもしれない。もしかしたら、ゴーストポケモンのイタズラっていう線もあるかもな」

「「そ、そんなぁ……。」」

 

 俺の煮えきらない返事にへたり込む二人組。ただ、ダクネスとクリスはそれほど怖がってる様子はなく二人の様子を見て微笑ましいものをみたような笑顔を向けている。

 

「さて、夜ももう遅い。今日は寝ようか」

「「そうだな(ね)」」

「ちょ、ちょっと待って下さい! あんな話しといて、いたいけな少女を一人で寝かしたりしないですよね?」

「何言ってんだ、ひとりじゃないだろ? ちゃんとパートナーがいるじゃないか」

 

 俺は壁に寄りかかったまま眠りについたガバイトとキルリアとメタングを指差す。ついでにちょむすけも。

 

「「もう寝てるし!!?」」

 

 二人のツッコミを無視して、俺達はリビングから出る。勿論、ダクネスはメタングをモンスターボールに入れてから、俺はメラルバを抱いてからだ。

 

「それじゃおやすみ〜」

「ああ、おやすみ」

「おやすみ〜」

「チックチック」

「ちょ、ちょっと待って……!」

「そんなに怖いなら、今日は二人で寝ろよな。じゃあ〜」

 

 俺達は二人を置き去りにして、それぞれの自室へと戻っていった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「………もう、一時か」

 

 暗い自室で俺はスマホで時間を確認し、一人呟く。イーブイとメラルバは当然のこと、スマホの中のロトムもぐっすり眠ったようだ。

 ―――ロトムも寝静まる丑三つ時ってやつだな。出るとしたらそろそろだろうけど。

 

 ―――コンッコンッ

 

「―――来たか」

 

 噂をすれば影とはいうが、まさかこんなにあからさまなタイミングで来るとはな。俺は扉の向こうでノックをする相手に警戒しながらイーブイとメラルバを布団で隠して、モンスターボールを構える。

 油断しないように警戒しながらドアへと近づく。

 すると。

 

「カズマぁ〜」

 

 ―――扉の向こうから聞こえためぐみんの泣きそうな声にずっこけそうになった。

 

「めぐみん、こんな時間にどうしたんだよ……。」

「私もいますぅ〜」

 

 ゆんゆんもかよ……。

 俺は呆れながらも、扉を開ける。そこには、パジャマ姿のめぐみんとゆんゆんが予想通り泣きそうな顔でそこに立っていた。

 仕方ないので、明かりをつけて二人を部屋に入れてベッドに座らせる。

 

「で、どうしたの?」

「ね、眠れなくて、その……。」

「ゆんゆんも?」

「は、はい……。」

 

 めぐみんはもう強がる気力もない様子で枕を抱きしめ、ゆんゆんも申し訳無さそうに頭を下げる。俺は頭をかきながら、ため息を吐く。

 まぁ、あんな話をした俺にも責任はあるしな。

 

「わかったよ、眠くなるまで話し相手になってやる」

「「ありがとうございます、カズマ(さん)!」」

「シィーーー。イーブイ達が起きちゃうだろ」

 

 俺が人差し指を口元に当てて注意すると、二人は両手で口を塞いでコクコクと頷く。

 

「で、何の話をしようか?」

「じゃ、じゃあ、カズマの旅の話を聞かせてくれませんか?」

「俺の旅をか?」

「あっ、私も聞きたいです」

 

 二人共小声で喋りながらキラキラして目で俺を見ている。しょうがない、リクエストにお答えしようか。

 にしてもどこの話をするか、イッシュはライトストーンとダークストーンの正体に触れてしまうし、かと言ってカントーは少し味気ないか。

 

「―――そうだな、じゃあ俺がアローラ地方という場所を旅したときのことを話そうか」

 

 俺は自分がアローラ地方を旅したときのことを語りだした。

 

 ―――温暖な気候と四つの島から形成されていることが特徴的なアローラ地方。そこで出会った、不思議なポケモン、コスモッグを連れた少女リーリエ。

 ―――ぬしポケモンやしまキング達に挑む試練と大試練。

 ―――しまキングの孫でライバルのハウと謎の少年グラジオ。

 ―――ポケモンを保護するために作られた人工島、エーテル財団。

 ―――アローラ地方の荒くれ者達、スカル団。

 ―――それぞれの島を守護する四体の守り神ポケモン。

 ―――異世界からやってきたポケモン、ウルトラビースト。

 ―――そして、太陽と月を司る二体の伝説のポケモン。

 

 二人は俺の話をワクワクした様子で聞いてくれた。そこにはさっきまで、怖い話で怯えていた恐怖はなくなっていた。

 

「―――そうして、俺達は旅立っていくグラジオを見送ったんだ」

「いい話でしたね、ゆんゆん。ゆんゆん?」

「すぅ…すぅ…。」

「寝ちゃったみたいだな」

 

 座ったまま眠ってしまったゆんゆんをそのままベッドに寝かせる。

 

「めぐみん、お前もそろそろ眠くなったろ。今日はこの部屋で寝ていいから、もう寝なさい」

「カズマはどうするんですか?」

「俺はリビングのソファでも使って寝るさ」

「でも……。」

「早く寝ないと、これ以上背が伸びなくなるぞ?」

「寝ます!」

 

 俺が冗談めかして脅かしてやると、ゆんゆんの隣に寝転がった。そのまま目を瞑ると、二分もしなうちに寝息が聞こえてきた。どうやら、話を聞くために無理矢理起きてたらしい。

 俺は部屋の明かりを消して、廊下に出る。

 ―――その時だった、俺のポケットに入れていたスマホが振動したのは。

 スマホを取り出し、画面を見るとそこには『非通知』の表示が出ていた。

 

「エリス様か? こんな時間に、どうしたんだろう」

 

 俺は通話のボタンをタップして、スマホを耳に当てる。

 

「もしもし、エリス様でしょうか?」

『…………。』

「もしもし?」

『―――楽しいお話をありがとう。また……たくさん聞かせてね』

 

 たった一言、そう告げて、通話はきれた。それはひどく幼く無邪気な声だった。そして、()()()()()()()()

 ツーツーという音がなるスマホを震える手で握りしめる。

 

「ッ……!」

 

 その時、俺は気づいた。背後から、背筋が凍るような視線を向けられていることに。

 ―――背後に、何かいる。いや、なにかなんて漠然としたものではないそこにいるのが()なのか俺にはわかった。

 

『……親の顔も知らずに亡くなったらしいよ』

 

 さっきリビングでクリスが話した話の内容が脳裏をよぎる。

 

「…………。」

 

 ―――俺はゆっくりと振り返った。

 そこには半透明な体で廊下の奥からこちらを見つめる金髪碧眼の少女が立っていた。年の頃はめぐみん達と同じか、少し上くらいだろうか。自分を見てお驚いた様子のない俺に驚いたような表情を向けていた。

 俺は笑いながら彼女に近づき、膝をついて彼女の目線と自分の目線を合わせる。そして、手を差し出した。

 

「俺なんかの話でよければ今からいくらでも聞かせてやるよ」

『……!』

 

 俺の言葉に改めて驚いた少女だったが、すぐに笑顔になって俺の手をとった。その目尻に涙を浮かべて。

 ―――触れられるはずのないその手は酷く冷たく、酷く震えているように感じた。俺達は手を繋いでリビングに向かった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「これはどういう状況だ?」

「さぁ……?」

 

 翌日の朝、いち早く起きてリビングにやってきたダクネスとクリスは目の前の光景に唖然としていた。

 そこには、ソファで寝るカズマ。そこまではいい、ただ、その周りにギルガルドやら、シャンデラやら、ジュナイパーやら、カズマのゴーストタイプのポケモンがカズマに寄りかかるようにして寝息をたてていた。

 

「ギィル……。」

「シャァン……。」

「ジュパァ……。」

「ん、んん……。」

 

 三体ものポケモンによりかかられて当の本人は物凄く寝心地が悪そうだが。

 

「カズマ、起きてこの状況を説明してくれ」

「んんぅ……。」

「……駄目だ、全く起きない」

 

 ダクネスがカズマを起こそうと体を揺すってみるが、全く起きる気配がない。

 

「まぁまぁ、今日はどうせ休みなんだしこのまま寝かせてあげようよ」

「……それもそうだな」

 

 クリスに言われてダクネスも嘆息しながらも了承する。寝ているカズマの顔が寝心地が悪そうにしながらもどこか幸せそうな顔をしていたからでもあるのだろう。

 

「さっ、ダクネスはめぐみんとゆんゆんを起こしてきて。カズマくんがここにいるってことはもしかしたらカズマくんの部屋にいるかも知れないからそっちも見てきて」

「わかった」

 

 クリスに言われて、ダクネスは二人を起こすためにリビングから出ていった。

 

「……ありがとね、カズマくん」

 

 クリスはカズマの顔を覗き込みながら感謝の言葉を伝える。一人ぼっちの少女に素敵な冒険譚を聞かせてくれた、一人の冒険者兼ポケモントレーナーに。




昨日だけで百人近くお気に入りが増えていたんですが一体何が!?

デストロイヤー戦はZワザを披露したいのですがどのZ技がいいでしょうか?

  • カプ【ガーディアン・デ・アローラ】
  • ソルガレオ【サンシャインスマッシャー】
  • ルナアーラ【ムーンライトブラスター】
  • ネクロズマ【天焦がす滅亡の光】
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