このすば〜もしもカズマがポケモン大好き野郎だったら〜 作:クロウド、
―――健康診断の翌日の朝。
今日の朝食当番である俺はキッチンでヒートロトムと一緒に今日の朝食を作っていた。
―――あのあと、気まずくなってしまったまま夜を迎えた俺達は夕食もそこそこにそれぞれの部屋に戻って眠った。原因が自分にある以上、なんとかしなければいけないと思いながらキッチンに立っている。
といた卵をバターをひいたフライパンに流し、少し待つ。ヘラで少しずつ固まっているのを確認するとヘラでかき回しながら火を通していく。ある程度形ができあがってきたら火を消し予熱で火を通していく。
チーン!
『ロト!』
「サンキュー、ヒート」
ヒートロトムがオーブンで焼いた食パンを完成したスクランブルエッグとプチトマトと一緒に皿に盛り付けていく。完成した五人分の朝食をそれぞれの盆に乗せて、俺が手と脇に二つずつと最後の一つをヒートロトムが、テーブルに向かう。
「待たせたな、食ってくれ」
「あ、あぁ……。」
「待ってました!」
ぎこちない様子の三人に対して一番空気の読めるクリスがなんとか場を盛り上げようとオーバーなリアクションを見せるが、その必要はない。
俺は覚悟を決めて皆に話を切り出した。
「―――それと、昨日のことだけど」
「カズマ、そのことは落ち着いてからでいいと」
「いや、皆には話しておく必要があるから今言う。下手に隠してお前らに心配かけるよりかは遥かにマシだからな。めぐみんには昨日は気を使ってくれたのに悪いと思うが」
「いえっ、そんなことは」
「だから、皆も聞いてほしい」
「―――わかった、聞かせて」
クリスの言葉に頷き、俺は昨日自覚したことを口にする。
「昨日自覚したけど、俺には昔の記憶の一部が欠落しているらしい」
俺の一言に皆が一様に固まるのがわかった。
「それって、大変なことなんじゃ……。」
「今の今まで気づかなかったんだから、生活に支障はないだろう。なくなってるのはヒスイ地方をどうやってあとにしたか、だけだからな。ただ昨日、僅かだけどその断片を見た気がする」
「じゃあ、昨日のあれは」
「記憶が戻った影響というわけか」
「本当に僅か、だけどな。」
結局、あの赤いなにかの正体は考えてもわからなかった。だけど、あれが俺の記憶の一部ならいつかは思い出すことができる日が来るかもしれない。
「もし、記憶が全部戻ったらちゃんと全部話す。約束する」
「―――わかりました。それまでは詳しくは聞きません。皆もそれでいいですよね?」
めぐみんの確認に皆が安心したように頷く。
「はいっ! じゃあ、この話はここまで! 早く朝ごはん食べようよ」
「そっ、そうですね! それにしても美味しそうですね」
クリスが締めくくるように手をたたくと話は丸く収まり、いつもの風景が戻って来る。
「ゆんゆんのお弁当より美味しそうですね」
「なっ!? いつも人のお弁当を奪っといて何いってんのよ!」
「失礼な、正当な戦利品です!」
「めぐみん、お前そんなことしてたのか……。」
「それにうちは貧乏だったのでゆんゆんのお弁当が生命線だったんですよ」
ゆんゆんの言葉に俺とダクネスとクリスの三人がジト目でめぐみんの事を見る。その視線に慌てて弁解する姿に呆れると同時に安心してしまう。
「ったく、今度からは腹が減ったら俺に言えよ。簡単なものなら作ってやるから
さて、お前達も飯だぞー!」
「フィア〜」「メラ〜」
「ギャバッ!」「メンラ〜!」
「チック!」
「キル〜」
「メタ〜」
きのみのパウダーをまぶして皆の好みに合わせたポケモンフーズをそれぞれのパートナーの前においていく。この仕事だけはダクネス達には出来ないから毎朝俺の役目だけど、特に文句はない。
美味しそうにポケモンフーズを食べるニンフィアの頭を撫でる。こうやって、美味しそうに食べる姿だけでも十分に癒やされる、労働の対価としてはお釣りが来るレベルだ。
―――記憶が全て戻る時が来たら、俺が地球から転生したことも話したほうがいいのだろうか? いや、そうなるとポケモンの世界での話と齟齬が出来てしまうからやめたほうがいいのか?
ただ、最近になって感じる違和感。
地球にいた頃の記憶よりも後付されたはずのポケモンの世界の記憶のほうが強くなっている……いや、あれは本当にただの架空の記憶なのかすら疑っている。
この答えを知っているものがいるとしたらアルセウスくらいなんだろうけど、聞くに聞けない自分がいる。
―――自身の記憶の謎について考えていると、家の呼び鈴がなった。
「ん?」
「誰だろう、こんな朝っぱらから」
「俺が出てこよう」
ニンフィアの頭を撫でていた俺は立ち上がり、玄関に向かう。もう食べ始めてる皆に行かせるのは悪いと思ったからだ。
―――玄関の扉を開くと、そこには金髪の整った顔立ちの青年が立っていた。青い上等な鎧を纏った青年は俺を見て安心したように息を漏らす。
「よかった、今回はいてくれて」
「えっと……。」
「いや、こんな朝早くから申し訳ない。君はよく外出しているからこんな時間じゃないから会えないと思ってね」
「はぁ……。」
安心した様子のあとにすぐ、こんな時間から尋ねてきたことを謝罪する青年。なんだろう、どっかで会ったことがある気がするんだが……どうにも思い出せない。
「えっと、どちら様でしたっけ?」
「―――あぁ、そうか。こうして話すのは始めてだったね、覚えていないかい? 君に一度助けられたものなんだけれど」
青年の言葉に俺は記憶の糸を手繰り寄せる。
ちらりと青年の腰を見ると、見るからに立派な剣を差している。職業は多分【クルセイダー】か【ソードマスター】。【ソードマスター】? 何処かで覚えがあるような。
「あっ、あの悪魔騒ぎのときの!」
「ようやく思い出してくれたか」
俺の言葉に青年は頷いた。
そうだ、思い出した。彼はホーストと戦う前日、奴にやられて瀕死だった【ソードマスター】だ。助けられたってのは多分、ハピナスの【いやしのはどう】のことだろう。
「あれから教会のプリーストに治療してもらってね。でも、あのときの応急処置がなかったら危険だったと言われて礼を言いたかったんだ」
「それはご丁寧に」
わざわざお礼を言いに来てくれた礼儀正しい【ソードマスター】さんに恐縮して頭を下げる。荒くれ者揃いの冒険者にこんな礼儀正しいやつがいたんだな。
「実は話はそれだけじゃないんだ」
「?」
「同じ地球からの転生者として君に話がある、佐藤和真くん」
「!?」
こっちに来てから一度も聞いたことがなかった『地球』、『転生者』というワードと名字と名前を分けたイントネーションにまさかと思い青年の顔を見る。
青年はそんな俺の様子を苦笑しながら、自分の名前を名乗った。
「僕の名前は『御剣響夜』、君と同じ女神アクア様からこの世界に転生させてもらった人間だ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「―――俺を君のパーティに?」
「あぁ」
俺と【ソードマスター】の青年、御剣響夜は転生者同士の話をお互いの仲間に聞かれないようにアクセルの裏路地に来ていた。ここは人通りが少なく、滅多に人が来ないので俺達の話を聞かれる心配もない。
普通の人が女神から転生させられたなんて話を聞いたらまずい異常者だと疑われるからな。
めぐみんたちには同郷の人が尋ねてきたので少し話してくるといって出てきた。
このミツルギという青年は転生の際に腰に挿してある立派な剣【魔剣グラム】を転生の特典としてもらったらしい。本当はもっと早く俺のところに礼に来るつもりだったらしいが、俺がポケモンの育て手を探すのにアクセルの街を奔走している間にエンシェントドラゴンとかいうモンスターの討伐の依頼が入り、この街を離れていたらしい。ベルディアの話を聞いて慌てて帰ってきたらしいが。
―――ミツルギの話を要約するとこうだ、どうやら彼のパーティは他に二人(多分彼を助けたときの近くにいた二人)女の子がパーティに居るらしいのだが、司令塔や後衛職がいないらしい。そこで、ベルディアとの戦いで指揮をしていた俺を是非ともパーティに迎え入れたいということだ。
「いや、俺もうパーティ組んでるし」
「もちろん君のパーティメンバーも一緒にだ、スカウトというより合併のほうが正しいかな」
俺は腕を組みながらう〜んと唸りながらこのミツルギという青年を見る。
どうもこの男、本気で魔王を倒すことを目標としているらしい。それで、近々王都にたつというので俺にもついてきて欲しいといっていた。
―――正直、答えはもう決まっている。ただ、どうやってそれを伝えようか……やっぱりシンプルに理由を伝えるべきか。
「悪いけど、そういう話なら俺は行けないよ」
俺はきっぱりとミツルギの申し出を断った。ミツルギはあまりにも唐突に断られたことに唖然としたがすぐに我に返って問い返してきた。
「―――理由を聞いてもいいかい?」
「俺には俺の夢がある。だから、この街を離れたくない」
俺はミツルギに自分の夢を語った。今はまだ絵空事の段階だが、いつかこの世界で人とポケモンが当たり前のように共存できるようにしたいこと、そして、ポケモンとともに魔王軍やモンスターのせいで荒れ果てた大地を開拓したいことを、誠心誠意、俺が持てる情熱の全てを込めて話したつもりだ。
―――勿論、エリス様のことやアクアの政策のこととかは話していない。秘密って約束だからな。
「―――俺にとって、この街は夢の縮図なんだ。夢を叶えるなら、俺はここで叶えたい」
「なるほど……。」
俺の話を清聴していた御剣は腕を組んで何かを考え込む。
他人から見たら、俺は一種の革命家か、あるいはそれになりきれない絵空事を語る道化に映るだろう。問題は御剣がそれをどっちとして捉えるか、転生者がそんな絵空事に特典を使うと考えるのか、それとも俺の革命に共感してくれるのか。
「―――気持ちはわかるよ。俺達転生者は元々魔王を倒すために送り込まれた存在だからな。でも、俺は上辺の使命より自分の夢を優先させたい」
「いや、君の話は僕にとってもためになったよ」
「?」
「どうやら僕は、魔王を倒すことばかりに気がいってその後のことを考えていなかったようだ」
そういうと、ミツルギは腰に刺してあった豪華な剣を鞘ごと俺に見せるように持つ。こうして、近くで見ると素人の俺ですらわかるほどの気配を感じる。
「この【魔剣グラム】は確かに僕に【ソードマスター】に相応しい力を与えてくれたが、言ってしまえば戦闘でしか使えない力だ。君のように、その後になにかをするのには向かない力だよ」
「………。」
「僕は君より先にこの世界の色んな所を見てきたが、確かに魔王軍やモンスターとの戦いの傷はどの地でも深いのがわかる。魔王を倒せたとしても、その復興にはきっとそれ以上の労力がかかることになるだろうね。だけど、もしも君の考えが認められれば文字通り世界が変わるかもしれない」
そういうとミツルギは剣を腰に戻し俺に手を差し出してきた。
「パーティを組む話は断られたが、僕に力になれることがあるなら是非いってほしい」
「いいのか? やってることはともかく、動機は俺の夢なんだぞ?」
「元々転生の特典は魔王軍を倒すためじゃなくて転生者が簡単に死なないための保険のようなものだからね。使い方は自由だ」
「えっ、そうなの?」
「えっ、知らなかったのかい?」
ミツルギの口からこぼれた何気ない一言に俺は面を喰らう。マメパトがみずでっぽうを喰らったような表情に同じように唖然とする御剣。
「転生のときにアクア様から説明があっただろう?」
「あっ……。」
ミツルギに言われて俺は転生したときのことを思い出す。言われてみれば、確かにそんなことをアクアがいってたような気がしてきた。ポケモンと早く会いたくてそれまでの話、結構忘れてたかも……。
「その顔だと、忘れてたみたいだね」
「あぁ……今思い出した……。」
でも、だとしたらさっきまでの俺の葛藤は一体。
頭を押さえると、ミツルギから手を差し伸べられていることを思い出す。俺も立ち上がり、その手を取る。
「一応、俺も魔王軍の幹部を倒してるし、俺の夢を達成するには最終的に魔王軍が一番の難敵だからな、進んで協力はできないけど、俺で力になれるんだったら同郷のよしみで協力させてもらうよ」
「ああ。それと、折角出会えた同郷同士、下の名前で呼び合うのはどうだろう? これからはキョウヤでいいよ」
「遠慮するわ」
「即答ッ!?」
だって、ぶっちゃけ今日始めて会ったようなもんだし……。そんなすぐに名前で呼べって言われても。
―――ただ、俺の場合サトウって呼ばれるとどうしても反応が遅れちゃうんだよな、こんなこと昔はなかったのに。
はい、こんな話になって申し訳ないです本当に……。ぶっちゃけ出さなくてもいいかなと思ったけど、出さないと後々面倒くさいことになるかと思いまして……。
デストロイヤー戦はZワザを披露したいのですがどのZ技がいいでしょうか?
-
カプ【ガーディアン・デ・アローラ】
-
ソルガレオ【サンシャインスマッシャー】
-
ルナアーラ【ムーンライトブラスター】
-
ネクロズマ【天焦がす滅亡の光】