このすば〜もしもカズマがポケモン大好き野郎だったら〜 作:クロウド、
結構無茶だが、まぁ、俺の作品が無茶なのはいつものことなので勘弁願いたい。
「やっぱりダメか……。」
ある日の朝。俺は自室でテーブルに積み上げられている無数の紙束の中身をペラペラとめくっていた。
これは俺が昔、旅の間に書いたレポートだ。シンオウ、ジョウト、カントー、イッシュ、カロス、ホウエン、アローラ、ガラル、そしてヒスイ地方の記録の数々、読めば読むほどに俺が書いたという記憶が蘇ってくる。
もしかしたらこのレポートの中に俺の記憶の謎について、なにかわかる手掛かりがあるかと思ったんだがなぁ……。
「肝心のヒスイ地方のレポートがこれじゃあなぁ」
テーブルの上にある紙束の中で一際異質な存在感を放つレポート、《半分以上が焼け焦げた小冊子》を手に取った。
「どうやったらこんな風になるんだよ……。」
他のレポートもところどころ汚れてたり濡れたあとらしいしわがあるがここまで損傷が酷いレポートは他にない。確かにヒスイ地方は野生のポケモンが凶暴な奴らが多く、見つけられるたびに攻撃されてきたがここまで酷い状況にはならない、寧ろよくこれだけ焼け残ったと思うレベルだぞこれ。
「本当に野生のポケモンにやられたのか?」
『野生のポケモン相手でもそこまでボロボロにはならないロト』
ポケットから出てきたロトムが俺の言葉を否定した。
―――となると、もしかしたらこの焼けた原因そのものが、俺が記憶を失った原因なのか。
「しっかし、我ながら随分と色んな地方を旅したもんだな」
「メラ?」
「ダメだぞ、メラルバ。それは大事なものだからな」
レポートと一緒にテーブルの上にいたメラルバが不思議に思ったのか近づいてきたが、燃やされたら困るのでその前にレポートを手に取る。わざと燃やすようなことはしないだろうが、体から熱を放つ以上、紙を近づけるのは危険だろう。
時間もあるし、折角だから手に取ったレポートを見ようとページをめくろうとしたときだった。
―――プルルルル!
「ん?」
『エリス様からの着信ロト』
着信音にレポートから顔をあげるとスマホロトムの画面に『エリス様』の名前が映されている。俺とエリス様は仕事上のパートナーと言うか、上司、部下みたいな関係だから既に番号を登録して着信時には名前が出るようにある。
―――それ以前に、もうひとり俺に電話してくるいたずらっ子がいるからな。
向こうから電話してくるのは久しぶりだなと思いながら、手のひらに収まったスマホロトムの画面の通話ボタンをタップしてスマホを耳に当てる。
「はい、もしも―――『ほんっとうに申し訳ありません!』―――うおっ!」
エリス様の声が聞こえてくるや否や、右耳から左耳を貫通すると錯覚するほど大きな声でエリス様の謝罪が俺の耳を襲った。いきなり至近距離で聞こえてきた声に慌ててスマホを耳から遠ざける。
「ど、どうしたんですかエリス様……いきなり……。」
『すみません! 本当にすみません!』
「あの、だから理由を……。」
『すみません! すみません! すみません!』
謝ることに必死になったる様子でこちらの言うことに全く反応してくれないエリス様。ただ、エリス様の声音の必死さから電話の向こうで容姿もわからないエリス様が必死に頭を下げている姿が目に浮かぶ。
―――謝り疲れたのか、ようやく正気に戻ったらしいエリス様から事情を聞けるようになるまで十分くらいかかった。
「それで結局、どういうわけですか?」
『そ、それが……その貴方から預かっている伝説のポケモン達なのですが何体かが、その―――ました』
「え? 今なんと?」
とてもいいづらいことなのか、だんだんか細くなっていくエリス様の声が最後の方だけ聞き取れず、聞き返すと、息を飲む声のあと覚悟が決まったらしい声音で告げた。
『―――貴方から預かった伝説のポケモンの何体かが、天界から逃げ出しました』
「……………は?」
イマコノヒトナンテイッタンダ?
『……天界の特別な空間で過ごしてもらっていた何体かが、地上に逃げ出したようでして、本来はそんなことはならないようにアクア先輩が結界を張るんですが、その……。』
「ナニシテヤガッタンデスカアノバカ?」
『あのカズマさん? 口調が片言に……。』
「ナニシテヤガッタンデスカアノバカ?」
『え、えっと……それがその……昼寝してたそうです』
―――これがロトムが入ってるスマホロトムで良かった。でなけりゃ怒りでスマホを握りつぶしていたかもしれない。
「ふっざけんな、あの駄女神!!」
エリス様には大変申し訳なく思うが一度怒鳴って、ガス抜きしないと正気を保っていられそうにない。エリス様は俺の怒鳴り声に平謝りするしかない様子だ。
『すみません! 本当っに、すみません! アクア先輩は今上から責任を問いだされて始末書を千枚書いていますので、勿論その後ちゃんと処罰も受けますので! それでなんとか怒りを鎮めていただけないでしょうか?』
「っ! あぁ、もうっ!! ……わかりました」
頭をガシガシとかきながらもう怒り疲れて脱力した声で返した。
エリス様に何を言っても仕方ない。やらかしやがったのはアクアなんだから……ほんっとどうしようもないなアイツ。しかし、伝説のポケモンが数体地上に野放しってのはあまりにも危険すぎる。
「エリス様、逃げ出したポケモン達が今何処にいるかわかりますか?」
『現在、天界の総力を上げて捜索中です。どうやら一点に集まってる様子ではなく、バラバラに散らばったようで難航しています』
「アルセウスに【さばきのつぶて】をあの馬鹿に落としてもらうよう伝えてもらっていいですか?」
『そんなことしたら天界も吹き飛びます!』
チッ! アクアはともかく天界には俺のポケモンもその世話をしてくれてる天使さんやエリス様もいる、しかし、マジでアイツに天罰落ちないかなぁ……あっ、アイツ天罰落とす側じゃん。
ハッハッハッ、大丈夫かなこの世界……。
「それでまさか、俺に伝説のポケモン達を探せ、と?」
『申し訳ないですが……今の所ポケモンのエキスパートであるカズマさんに頼るしか……。』
「いやぁ、エキスパートだなんて」
『あの、照れてるところ申し訳ないのですが……場所が分かり次第、座標を送りますので捕獲、または説得していただければ』
エリス様のお願いに俺は違和感を覚えた。捕獲はわかるが、説得?
「説得ってどういうことですか?」
『―――これは上からの提案なのですが……前に話してくれましたよね、伝説のポケモンはその土地の守り神のような立場にあるものもいると』
「まさか、アイツラをこの世界の守り神にするつもりですか?」
『もちろん、カズマさんが良ければですけど―――私としては天界でこのまま窮屈に過ごすよりも、世界で力を発揮してくれたほうがあの子達のためだと思っています』
つまり、俺がゲットする前の状態に戻るってことか。ただ、そんなことをすれば当然、あのポケモン達は俺のポケモンではなくなる、それは結構……いや、かなり心に来るものがあるが、あいつらの幸せを考えるならそれが一番いいのかもしれない。
―――以前、コギトさんに言われたことが脳裏をよぎる。
俺は伝説のポケモンを捕獲したけど、それはあくまで俺が生きている間その力を借り受けているに過ぎない、俺とて永遠に生きられるわけではない。俺の生が終われば彼らは本来の役目に戻っていく。
それが、この世界でほんの少しだけ早くなっただけ―――って言えば、話は通っているが……。そんな簡単に受け入れられるかどうかは別問題だ。
「捕獲の依頼は受けます、ただ、説得に関しては……少し考えさせてください」
『―――わかりました。今回の事件は間違いなく、こちら側の非ですのでまたカズマさんに頼ってしまうのは心苦しいですがどうかお願いします』
「はい……。」
声音から複雑な心境を察してくれたのか優しい声で答え、もう一度謝罪とお願いを受け取り電話を切った。脱力し、ボスンと椅子により掛かるように倒れて額を押さえて天井を見上げる。
「………。」
「フィア〜?」
「メラ?」
「あぁ、大丈夫だよニンフィア、メラルバ。ありがとう」
その俺の姿を心配した様子のパートナーたちが近づいてくる。二人をこれ以上、心配させないように笑いながらその頭を撫でてやる。
こんなときはポケモンと触れ合って癒やされるべきだ、ウールーとかチルタリスののモコモコに顔を埋めたい。あっ、そういえば最近生まれたポケモンがいいかもしれない。
どうせならクリスも誘おうかな、こないだチルタリスとじゃれあってたら交ぜてくれって言ってきたし。
思い立ったが吉日。レポートをスマホロトムにしまってリビングに入ると、そこにはキルリアと楽しそうに話をしているゆんゆんとガバイトの爪をといでいるめぐみんがいた。
「あれ、クリスは?」
「今朝早くに出ていきましたよ」
「昔の知り合いにクエストを手伝ってほしいって言われたとかなんとか」
ふ〜ん。クリスは俺達の中でも一番クエストにいく頻度が高い。【盗賊】という職業はダンジョンに必須な職業であるため結構、頼られることが多いらしい。
個人的には俺の活動も手伝ってくれてる上にそんなにクエストに行って大丈夫なのかと聞くが、いつも「へいき、へいき」っていって元気に出かけるから大丈夫とは思うけど……トゲチックにも無理してそうなら俺にいってくれってこっそり伝えてあるし。
「そうか、この子と遊んでもらおうと思ったんだけど」
「そのボールは?」
「先週生まれたばっかの子なんだけど、生態上人に懐きづらくてな」
ポイッとモンスターボールを床に放ると、光が漏れてそれが大型犬くらいの大きさになってポケモンの姿をかたどる。
現れたのは白い子馬のようなポケモン、頭と尻尾、そして足首にモコモコとした体毛が生えており、額からはユニコーンのような角が生えている。馬と言っても子馬なのでかなり小さく、広いリビングには十分入る大きさだった。
「ブルゥゥゥ……。」
「馬、ですか?」
「ガラル地方に生息しているポニータってポケモンなんだ」
『ポニータ ガラルの姿 いっかくポケモン エスパータイプ
小さな角に癒やしの力を秘めている。ちょっとした傷なら角を擦り寄せ直してくれる。瞳を覗いて心を読む。邪な気持ちを見つけるとたちまち姿を消してしまう。』
「エスパータイプってのは気持ちを読める分、警戒心が高いポケモンが多いんだ。だから俺以外になかなか懐いてくれなくてな……。」
「エスパーってことは、キルリアと同じですね」
「キル?」
「ブルゥ……。」
ポニータは小さく嘶くとキルリアに視線を移すと、そのそばに立つゆんゆんへと視線を映す。一分ほど、ゆんゆんを見つめると、ポニータは歩き出しゆんゆんのそばに近づく。
「ブルゥゥゥ」
「えっ?」
ゆんゆんの目の前に立つと、ゆんゆんの体に頭を甘えるように擦り寄せる。いきなりのことにゆんゆんは目を点にしている。
「警戒心の高いポケモン、なんですよね?」
「そのはずなんだけど……ゆんゆん、良ければ撫でてやってくれ」
「え、えっと、こうですか?」
ぎこちなくゆんゆんがポニータの頭を撫でると気持ちよさそうな声を上げるポニータ。その姿に硬かったゆんゆんの表情が柔らかくなる。ラルトスのときも思ったけど、もしかしたらゆんゆんはエスパータイプに好かれる何かがあるのかもしれないな。
「これは、パートナーは決まりですかね?」
「みたいだな。ゆんゆん!」
「えっ、うわっ!」
めぐみんの言葉に同意し、ゆんゆんにポニータのモンスターボールを投げ渡す。
「良ければ、その子の面倒を見てやってくれないか?」
「い、いいんですかっ!?」
「その子の姿を見れば考えるまでもないさ」
「え、えっと、いいかな? 私がパートナーで?」
ゆんゆんがポニータにモンスターボールを差し出すと、ポニータは額を自分からモンスターボールに当て、そのまま光になってボールに収まった。
「おめでとう、ゆんゆん。これでポニータはキルリアと同じ君のパートナーだ」
「は、はいっ! 私、この子もキルちゃんも立派に育ててみせます!」
いやぁ、いい話だなぁ。これであの馬鹿への怒りも少し収まった。そう思っていたその時。
『デストロイヤー警報! デストロイヤー警報! 機動要塞デストロイヤーがこの街へ接近中です。住人の方は直ちに避難、冒険者の皆様は装備を整えてギルドに集合してください!』
―――そんな和やかな空気に水を差す、凶報が街中に響き渡った。
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―――場面は変わって、冒険者ギルド。
放送の通りギルドに集まっていると沢山の冒険者、おそらくこの街にいる全員が集まっており皆一様に落ちかない様子だった。俺達はあのあとリビングにやってきたダクネスに引っ張られる形でギルドに来ていた。ゆんゆんとめぐみんは一目散に逃げる準備をしていたが。
あの勝ち気なめぐみんが逃げようとするなんて、一体デストロイヤーってなんなんだよ。
―――そう思っていると、見慣れた顔が背後から声をかけてきた。
「カズマ、君も来てくれたのか」
「ミツルギ、いいところに」
現れたのは同郷の【ソードマスター】ミツルギ。彼ならデストロイヤーとやらが何なのか聞こうとするがそれよりも早く向こうから質問が飛んできた。
「ん? どうしたんだい、妙にげっそりしてる気がするが?」
「あぁ、それな」
誰にも聞こえないようにあたりに注意してミツルギに今朝、アクアがやらかしたことを話してやる。
―――ミツルギには俺のポケモンが今天界でお世話になっていることは伝えている。もちろん、伝説のポケモン達をおいそれと呼び出せないことも。天界と連絡が取れるってことを聞いたときは「アクア様に話をさせてくれ! 一度お礼が言いたい!」っていって俺のスマホから連絡しようとしたけど、どうもミツルギのグラムと同じで俺のスマホは俺専用らしく俺にしか使えないらしく通話はできなかった。
「そんな……まさか、アクア様が……。」
アクアの悪行を知って、額を押さえて崩れ落ちそうになるミツルギ。正直、アクアに夢を見ないほうがいいと思う。ただ、それを言うと一生関係が修復できなくなりそうだから言わないが(俺もこいつの前ではちゃんとアクアに様つけてるし)。
「それで聞きたいんだけど、デストロイヤーってなんなんだよ?」
「あ、あぁ、そうか。君はこっちに来て日が浅いから知らないのか。冒険者の間では古の古代兵器と呼ばれているものだよ」
―――ミツルギの話を要約するとこうだ。元は対魔王軍用の兵器として魔導技術大国ノイズとやらが大金をはたいて作り上げた巨大な蜘蛛のような姿をした兵器らしいがどう言うわけか暴走、大陸中を蹂躙しながら今も動き続けているらしい。おまけに超強力な魔力結界があり魔法は通じず、自立型のゴーレムやバリスタを搭載した文字通り大陸を蹂躙する要塞なのだという。
なんでこの世界にはそんな訳のわからない兵器があるんだよ。
「というか、この世界でそんなもん作れるのか?」
「確かに、いくら魔法文明が発達したといっても無理があるような気がするな」
「それこそ俺達みたいな転生者が持つ特典、みたいな……。」
「………。」
なんの気なしに口にした言葉に言い出しっぺの俺もミツルギも額に嫌な汗を浮かべながら、黙り込む。
「まさか……。」
「い、いやっ! それはないだろう。アクア様だって人を選ぶはずだ、そんな厄災を生み出すような人間にそんな力を渡すなんて―――」
「あの女神、今朝俺の伝説のポケモン達を昼寝を理由に逃したぞ」
「…………。」
「キレた伝説のポケモンなんて天変地異以外の何者でもないぞ」
俺が何を言おうとしたのかを察し、アクアを庇護しようとしたミツルギだったが今朝アイツがやらかしたことを改めて伝えてやると何も言えずに押し黙ってしまった。
「……一応、後でエリス様経由で聞いておくけど、期待はすんなよ」
「わかったよ……でも今は、目の前のことが先決だね」
見るからに空元気、というか現実を受け止めたくない様子だが、ミツルギの言う通り今はこの街に向かってくるデストロイヤーをどうにかするほうが優先だ。
「―――俺の夢は何者であろうと邪魔をさせる気はない」
古の古代兵器だか、デストロイヤーだかなんだか知らないが……この街に危害を及ぼすというのなら容赦はしない、寧ろこっちがデストロイして必ずスクラップにしてやる。
ただ……実際、どうしたものか。ジガルデの【コアパニッシャー】とかムゲンダイナの【むげんだいビーム】とかなら可能性があるが、二体揃って伝説ポケモンだし。しかも二体とも逃げ出したポケモンの名簿が記載されたメールに名前あったし……!
となると、手はかなり限られてくる。一番厄介なのはその結界とやらだろう……強力な技ってだけでは破壊は無理かもしれない。それこそ守りの力を貫通してダメージを与えられるほどの一撃が必要なのかも。
―――持てる手札で考えうる最善の策を思案しているとめぐみんが何かを思い出したように「あっ」と声を漏らして駆け寄ってくる。
「カズマ、前に話してくれたアレですよ!」
「アレ?」
興奮しているめぐみんだが俺には何を言っているのか全くわからない。自分が言いたいことを察しない俺にいらだちを覚えたのか今度は興奮だけでなく若干の怒気を含んだ声で答えを口にした。
「アレと言ったら、アレですよ! Z技です、Z技!」
「それってアローラ地方の話に出てきた……。」
「なんなの、そのZ技って?」
―――Z技とはアローラ地方に古くから伝わる伝統出来な技。【かがやくいし】という石から作られる【Zリング】と、各島に伝わる試練を突破した証である【Zクリスタル】が揃って初めて使うことが許される技。リングとクリスタルを通して、トレーナーの思いを【Zパワー】というエネルギーに変換しポケモンに送ることで本来決して出せないはずの威力の技を放つことができる。
原理はメガシンカに酷似しているが違うことが数点ある。例えば、Z技を放つ際にはZポーズというポーズを取らなきゃいけなかったり、あとはポケモンだけでなくトレーナーにも精神力や体力を【Zパワー】に変換するため、トレーナーにもガッツリ負荷がいくので連発が出来ないことなんかだろう。
「―――こんな具合に使うポケモンによっては爆裂魔法に匹敵する威力の技だ。確かに一部のポケモンのZ技なら結界は壊せるかもな」
「まさにこの状況にぴったりじゃない!」
「カズマ! そんなもんがあるなら早く言えっての! もったいぶりやがって!」
簡単にZ技の説明をするとリーンが希望を見出したように声を上げて、ダストがZ技のことを話さなかったことを非難しながらも笑って肩を組んでくる。
「おい、行けるんじゃないか?」
「確かにカズマのポケモンって……魔王軍の幹部も倒してるし……。」
「もしかしたら、デストロイヤーも……。」
ベルディアとの戦いのことを思い出したのかさっきまで俯いていた冒険者達が顔を上げ始める。
「そんな切り札があるならもっと早く言ってほしかったよ」
ミツルギも完全に乗り気になってるようだが、残念ながらそれは不可能だ。
―――盛り上がってるところ大変申し訳無いが、これ以上ぬか喜びさせるのも悪いし、そろそろ現実を教えなくてはなるまい。
「Z技が使えたら! だけどな」
「「「「「え?」」」」」
俺の叫びに全員が何を言ってるんだという顔をこっちに向ける。嫌々ながらも【Zリング】が
「ないんだよ、Z技を使うために必要なZリングが」
「「「「「…………はぁっ!?」」」」」
渋々告白した内容に俺のパーティメンバー+ミツルギだけでなく、冒険者たちが一様に唖然として固まり次の瞬間、驚愕の声がギルド中に響いた。
「確か、カズマさんのZリングって守り神様からもらったんですよね!?」
「そんな大事なもの一体何処に置いてきたんですかッ!?」
「実家……。」
「「「「「実家ぁっ!?」」」」」」
アローラでの話を知っているゆんゆんとめぐみんを筆頭に冒険者たちの何してんだよこいつみたいな視線が俺に一斉に降りかかる。
―――そう、俺のZリングはアローラの旅を終えた後、シンオウの実家で大切に保存しているのである。俺としてはそのままつけていっても良かったが、Z技はアローラ地方特有の文化……アローラリーグが出来たばかりで他の地方のリーグでは使うことがまだ認められていなかったのである。
そのため、変な疑いを受けないために実家に置いてきたのだが……。
「まさか、それが裏目に出るとは……。」
―――ただ、一つだけ気がかりなことがある。
「Zクリスタルはあったんだけどな……。」
そう、Zリングはなかった……だが、俺が試練を突破した証であるZクリスタルがZクリスタルのタブにあったのである。それだけじゃない、大切なもののタブには俺が今まで旅した先で勝ち取ったジムバッジまであったのだ。なのに、キーストーンやら、Zリングやら肝心なものが無くなっていた。
ガラルで手に入れた
―――ちらりと右腕に嵌めたそれを見やる。ただ、エネルギーが足りてないのかうんともすんとも言わないが。これが使えればなんとかなるかもしれないんだが。
「ないものねだりをしても仕方ない、別の案を―――」
「―――皆さん、大変です!」
ダクネスがうなだれる冒険者達の気分を切り替えようと声をかけようとしたとき、ギルドの扉が勢いよく開き意外な人物が息を切らしてギルドに入ってきた。
「ウィズさん? なんでここに」
「い、一応、私も冒険者登録をしていますので」
そういえばウィズさんって元々凄腕のアークウィザードって話だったな。リッチーになってからは冒険者を続けるわけには行かないから、魔道具店の店主になったって言ってたけど。
以前ウィズさんが話してくれたことを思い出していると、いつものおっとりとした雰囲気からは想像もできないほど鬼気迫る表情で俺たちに訴えてきた。
「こ、この街にとても大きな力を持った存在が近づいています!」
「いや、ウィズさん。だからデストロイヤーの対策をこうして―――「デストロイヤーではないんです!」―――はい?」
「デストロイヤーと同じ、いえ、もしかしたらそれ以上に強い力を持った何かが物凄い速さでこの街に近づいてきているんです!」
ウィズさんが取り乱しながら口にした言葉で冒険者たちの間に衝撃が走る。
「ウィズさん、それは本当ですか?」
「はい、私の感知系スキルに反応しまして……今もこの街に近づいています」
ルナさんが皆を代表してウィズさんに真偽を確かめる。平静を装っているが彼女の額からたらりと汗が流れるのが見えた。
「まさか、魔王軍?」
「このタイミングでかよ!」
「やっぱり逃げたほうが……。」
デストロイヤーに加え、さらなる脅威に冒険者達の顔が青くなり次々と逃げたほうがいいという声が上がっている。今朝のことといいなんで悪いことってのはこうも重なるんだよ!
「ウィズさん、今その反応は何処にいますか?」
「えっと……あっ、今、街の正門を抜けました! ―――アレ?」
「どうしました?」
瞳を閉じて、反応を追っているらしいウィズさんが首を傾げる様子に質問を投げかける。
「この反応、このギルドに向かってまっすぐ近づいています!」
「「「「「なっ!」」」」」
鬼気迫るウィズさんの口から放たれた絶望的な言葉にその場の全員が固まる。そんななか反応を感知し続けたウィズさんがギルドの頭上を見上げる。
「―――い、今、ギルドの真上にいます」
震える声で絞り出された言葉に、ミツルギをはじめとしたこの街の実力者達が武器を取る。
「こうなったら逃げることは出来ない! 僕が先頭に立つ、皆は続いてくれ!」
「「「おうっ!!」」」
ミツルギが号令とともにギルドの入り口から飛び出そうとしたその時だった。
「ラリオーナァァァァ!!!!」
―――天を震わせるような力強い雄叫びが俺達の耳を貫いたのは。
「っ! 何だこの雄叫び!」
萎縮し、武器を持っていた冒険者達が入り口からでようとしてた足を止めてしまった。
―――ただ、その中でたた一人―――俺だけがその声に耳を塞ぐことなく立ち尽くした。なぜなら、あの雄たけびは俺がよく知るものだったからだ。
「カズマさんもしかして今のって、ポケモンの……。」
「まさかっ!」
「あっ、カズマ!」
めぐみんが呼び止めるよりも早く駆け出し、出ようとしていた冒険者達をかき分けてギルドの入り口のドアを押し開き外に出た。左右や空、ウィズさんが言っていたギルドの天井をせわしなく見回し、鳴き声の主の姿を探す。ぐるんとあたりを見回すが、奴の姿は見えない。
だけど、この感覚は間違いない。あそこで、【日輪の祭壇】であいつが真の姿へと覚醒したときに感じたものだ。
「おーい、いるんだろうっ!? 姿を見せてくれ!」
「カズマッ! 一体、どうしたんだ?」
「ウィズさん、そいつの反応は今何処に!?」
「えっ? えっと、まだギルドの上に」
俺を追って出てきた冒険者たちの中からウィズさんにそいつの場所を問い直し、ギルドの真上を見る。そこにはちょうど太陽が昇っており、その光で上手く直視が出来ない。
―――♪〜〜♪〜〜♪
―――そのとき……風にのって、懐かしい音色が流れてきたような気がした。
「なぁ、なんか聞こえなかったか?」
「あぁ、綺麗な音だったな……。」
どうやら、他の冒険者達にも聞こえたらしくその音色の感想を口々に話し始める。空耳じゃなかったってことは、もしかしてあいつが聞かせてるのか?
―――もしかして、あいつ。あの曲が聞きたいのか?
あいつからのメッセージに気付き、懐に大事にしまっていた【天界の笛】を取り出した。
「カズマ、それは……笛なのか?」
「あぁ、かなり特殊な形をしているが、神にすら音色が届くとすら言われた由緒ある笛だ」
ダクネスの言葉に答えると冒険者達がざわつき始める、こっちに来てからこの笛を吹くのは初めてだが、ヒスイで何度も吹いた笛だ。自然と指に馴染む。
「【太陽の笛】じゃないけど、我慢してくれよっ」
残念だが、今手元にはあのときに使った【太陽の笛】はなく、かわりにヒスイ地方でセキさんからもらった【カミナギの笛】が神の欠片たる十八枚のプレートの力を受けて変化したこの【天界の笛】しかないが、アルセウスに音色が聞こえるこの笛ならアイツにも届くはずだ。
―――因みに【太陽の笛】は【月輪の笛】とともに元あった島に戻した。あれはアローラ地方の人達にとって大事なものだからリーリエやルザミーネさん、しまキング、クイーンたちとも相談してそう決めた。
「カズマさん、一体なにを……?」
「しっ! ウィズ、静かに」
アローラでの話を知っているめぐみんが俺が何をしようとしているのかを察し、質問をしようとしていたウィズを呼び止めた。その様子に皆も俺がすることを静かに見守る。
「ふぅ……よし」
―――皆が息を呑んで見守る中、息継ぎをしてそっと【天界の笛】の口に息を吹き込む。
【♪♪〜〜♪〜♪♪〜】
奏でるのは【日輪の祭壇】で俺がリーリエとともに奏でた曲。アローラ地方の伝説のポケモン達に捧げる、神聖な曲。そして、その曲に反応するように俺達の頭上からある音が響く。
―――ガシャン! ガシャン!
「なんだ、この音?」
「足音、なのか?」
「でも、空からきこえるぞ?」
「ん? おいっ! なんか、空にいるぞ!」
頭上から聞こえてくる鎧がで地面を踏みしめる時になるような大きな足音に皆が顔を上げる、俺も笛から口を外さず目を開いて視線を空に向ける。
―――そこには太陽を背に空中を踏みしめながら大きな影がこちらに向かって降りてくるのが見えた。
ガシャンッと一際大きな音と共に着地した大きな影が俺の目の前に降り立つ。その姿を例えるなら銀の獅子、けがれのない白銀の姿、発光する鬣はまるで太陽のように光を放っている。その力強く神秘的な姿に冒険者たちの口が塞がらないようだった。
「ラリオーナァァァァっ!!!!」
「「「「「ーーーッ!!」」」」」
銀の獅子は笛から口を話した俺の姿を宇宙のように澄んだ青い瞳で捉えると、空気を震わせる雄叫びを上げる。体の芯からビリビリと震えるような雄叫びに冒険者達は言葉を失い萎縮してしまう。
「………。」
【天界の笛】を懐にしまい込みゆっくりと銀の獅子に近づいていく。
「会いたかったよ、ほしぐも―――いや、ソルガレオ」
銀の獅子―――ソルガレオの名前を口にして、ソルガレオの顔を撫でた。
アクアなら十分やりかねませんよねそれくらい。だって、考えなしにチート与えてデストロイヤー生み出すきっかけ作ってるんですから
デストロイヤー戦はZワザを披露したいのですがどのZ技がいいでしょうか?
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カプ【ガーディアン・デ・アローラ】
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ソルガレオ【サンシャインスマッシャー】
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ルナアーラ【ムーンライトブラスター】
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ネクロズマ【天焦がす滅亡の光】