このすば〜もしもカズマがポケモン大好き野郎だったら〜 作:クロウド、
ゆんゆんとパーティを組む約束をした翌日。俺は約束通りギルドに来ていた。
すると、そこにはゆんゆんだけでなく彼女によく似たとんがり帽子をかぶった少女がいて、ゆんゆんとなんかいいあいしていた。
「お〜い、ゆんゆん〜!」
「ブイブイ〜!」
「カズマさん、おはようございます!」
「ああ、おはよう。ゆんゆん、誰だこの娘?君の妹?」
「なっ!?違いますよ!」
そう言って否定するとんがり帽子の女の子。他人と言うには似すぎている気がするけど。
そう思っていると、少女はバサリとマントを翻す。
「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法使いにして爆裂魔法を操りしもの!」
「……なぁ、ゆんゆん。俺だって、馬鹿にされたら怒るぞ?」
「ちっ、違うんです!これは紅魔族特有の自己紹介の仕方で……!めぐみん、私まで巻き込まないでよ!!」
……取り敢えず、話を聞くために朝食をとることになった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「つまり、二人は紅魔族っていう魔力の高い種族の生まれなのか」
「は、はい、そうなんです」
俺達は三人でテーブルを囲いながら朝食をとっていた。
「で、この娘との関係は?」
「ら、ライバルですッ!!」
「自称、ライバルです」
ほ〜う、ライバルとは。ライバルは大事な存在だ。今まで俺がやってきたポケモンにはライバルという存在が必要不可欠だった。ライバルとのバトルのあとにパートナーが進化したりすると熱くなったなぁ。
パートナーといえば、俺はめぐみんが連れていた翼の生えた黒猫を見る。そいつは今、イーブイと一緒に俺が上げたモモンのみをかじっている。
「その子は君の使い魔か?」
「えぇ、『ちょむすけ』といいます。そちらの白い子は、貴方の?」
「あぁ、俺のパートナーのイーブイだ。俺は『トレーナー』っていう職業でな。この子みたいな使い魔、ポケモンっていうんだけど、そいつらの力を借りてるんだ」
「ポケモン、聞いたことがないですね」
「まぁ、そりゃな」
元々は別世界のゲームから生まれた存在とは言えないわな。
「ゆんゆん、今日はどうする?」
「どう、というのは?」
「いや、どんなクエストを受けるのかとか」
「わ、私が決めちゃっていいんですか?」
「そりゃ、パーティなんだからな」
互いに対等な立場っていうのがパーティってもんだろ。
「じゃ、じゃあ……」
「そうですね、今日はカズマの実力を見てみたいのでジャイアントトード狩りなんてどうでしょう?」
「ちょ、なんでアンタが決めてるのよ!?」
「まぁまぁ、いいじゃないか。俺もゆんゆんの魔法見てみたいし、めぐみん、君も来るか?」
「では、お言葉に甘えて」
「甘えないでよ!」
仲悪そうに見えるけど、どっちかっていうとただの照れ隠しに見えるのは俺の気のせいだったりするのだろうか。
「ところでライバルって言ってたけど、二人共いくつだ?」
「私もゆんゆんも13歳です」
「………マジか」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「『ファイアーボール』!!」
ゆんゆんが魔法名を叫ぶとともに彼女のワンドから放たれた炎の弾にあたったジャイアントトードが火だるまになった。
アレが魔法か。ポケモンの技とはまた違う感じだな。
―――俺はこの一週間で得たポイントを使って職業、『トレーナー』のスキルをいくつか習得した。『トレーナー』のスキルとはポケモンの状態異常を治す魔法や、ポケモンのお世話ブラッシングなどが上手くなったり事だ。さらに、『技習得』というスキルを得た。コレはその名の通り、ポケモンに技を覚えさせることができるスキルだ。
『わざマシン』で覚えられる技を五つ習得した。『れいとうビーム』、『まもる』、『ソーラービーム』、『10まんボルト』、『シャドーボール』。取り敢えず、即戦力として使えそうな技を適当に五つ選んだ。
どうやら、この『トレーナー』というジョブ、ゲームの世界での俺の経験がスキルとして反映されているらしい。
「イーブイ、『シャドーボール』!」
「ブイッ!ブ〜イッ!」
イーブイの口元で形成された紫色のボールはジャイアントトードに向かって発射されると、着弾とともに爆発する。
「イーブイ、『シャドーボール』随分うまく使えるようになったな」
「ブイ〜!」
ジャイアントトードを倒したイーブイを褒める。これだけ強くなれば、ジャイアントトードにも負ける心配はないな。
「ブイちゃんって、強かったんですね……。」
「言ったろ?頼りになるって」
……だけど、そろそろイーブイをどの個体に進化させるか決めないとな。
イーブイはしんかポケモンと呼ばれるほど多くの進化パターンがある。炎タイプの『ブースター』、水タイプの『シャワーズ』、電気タイプの『サンダース』、エスパータイプの『エーフィ』、悪タイプの『ブラッキー』、草タイプの『リーフィア』、氷タイプの『グレイシア』、そして、フェアリータイプの『ニンフィア』。
それぞれの条件のいずれかを果たしたときこの8体のいずれかに進化する。
俺はそのいずれもゲットしているが、進化したほうが強くなる。まぁ、最終的には本人が望む進化をさせてやりたいと思ってるが。
「それで、どうするか?このまま、カエル狩りでもするか?」
「いえ、ここは森に行きましょう」
「えっ!?」
「軽く戦闘を見てわかりました。私達はもっと強敵を相手にするべきです」
「いや、めぐみん。君は何もしてないよな?」
「…………私達はもっと強敵を相手にするべきですッ!」
「あ、ごまかした」
「でも、森には賞金までかけられるほどの悪魔型のモンスターが出るって……めぐみん……?」
ゆんゆんの不安げな言葉にめぐみんが「くくく」と怪しげな笑みを浮かべる。
「遭遇したら好都合です!森に入ったら、ゆんゆん達は雑魚を引き受け、例の悪魔が現れたなら私が仕留めます」
「大丈夫かな……めぐみんがやりたいだけじゃ……」
ゆんゆんの言葉にぎくりとなるめぐみん。コレは図星だな。
だけど。
「その案、俺も賛成だ」
「カズマさんまで……!!」
「安心しろ、いざとなったらちゃんと守るから」
今の俺の手持ちは念のために俺の手持ちの中でもかなり強いポケモンで固めてある。もしものときはすぐに逃げられるように。
「では、早速行きましょう。」
「ちょっと、待ってくれ」
俺は六つあるモンスターボールの中から一つを手に取り。
「折角だ、空を飛んでいこう」
「「はい?」」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「リザードン、3人乗りだが重くはないか?」
「グルゥ!!」
問題ないようだ、流石にパワフルだぜ。
「「ほ、ホントに飛んでる……。」」
「驚くのはいいが、しっかり捕まっててくれよ。落ちたら洒落にならないからな」
俺の後ろで唖然としている二人に向けて注意をする。現在俺はイーブイを抱きかかえ、その後ろでゆんゆんが俺、めぐみんがゆんゆんの腰にしがみついている。それほど高い高度じゃないが、それでも魔法使い職が落ちたら怪我じゃ済まない高さだからな。
「か、カズマはドラゴンも従えていたんですね……。」
「残念だけど、リザードンはドラゴンじゃないぞ?」
「え、そうなんですか?」
リザードンは間違われやすい見た目をしているが炎、飛行タイプのポケモンだ。黒いメガリザードンにメガシンカできればドラゴンタイプになれるが、俺の手元には『キーストーン』しかないし、メガシンカのためには『リザードンナイトX』が必要なんだよな。
キーストーンがあるんだからどっかにあってもいいと思うんだが。
「まぁ、ドラゴンもいるけどな。でも従えてるってわけじゃないんだ」
「?」
「俺、訳あって家族がいないんだ。だから、今となってばコイツらが俺の家族なんだ」
「ブイ」
「グルゥ!」
そう言って、イーブイとリザードンを撫でる。
めぐみんとゆんゆんは込み入った事情を聞いたしまったという顔で申し訳無さそうな顔をしている。13歳の女の子には少しヘビィな話だったか。
「だから、コイツらとゆっくりできる家がほしいんだがやっぱり金がなくてな。だから、賞金をかけられてる悪魔を倒すって案は俺も賛成だぜ。さて、そろそろ降りるか。リザードン頼む」
「グルゥ!!」
俺は話を切るためにリザードンに指示を出し開けた場所に着地した。
「お疲れ、リザードン」
俺はリザードンにお礼としてオボンのみを上げる。そのリザードンの頭をなでながら、ゆんゆん達に声をかける。
「空から見てたけど、モンスターが見当たらなかったな」
「おかしいですね、この間はスライムだのムササビだのが襲ってきたんですが」
「それなんですけど……最近、森の奥にかくれたモンスターが街の近くに現れるようになったのは例の悪魔が原因って噂もあるんです」
なんか、ポケモンの世界でそれに似たことがあった気がするな。なんだったか、
「紅魔の里でコレと似た現象があった気がしま……」
めぐみんが言い終える前に近くの草むらがカサカサと揺れ始める。ゆんゆんとめぐみんが杖を構える。
「か、可愛いッ!」
しかし現れたのは、角をはやした愛らしい顔立ちのウサギだった。あれ? コイツ確か。
「ほ〜ら、野菜スティックあるよー」
「あっ、ズルいです、私にも餌を」
「まっ、まてっ、めぐみん、ゆんゆんっ!!」
無防備に野菜スティックをあげようとするゆんゆんを突き飛ばす。次の瞬間ウサギ特有の脚力でゆんゆんに向かって飛び込んでくる。
そして、背後の木にズガンと角が刺さり抜けなくてジタバタしてる。もう少しタイミングが遅かったら危なかった。
「あぁ、やっぱり一撃ウサギか……。」
「い、一撃ウサギ?」
「この間酒場で聞いたんだが、その愛らしい見た目とは裏腹にめちゃくちゃ凶暴なモンスターだって。因みに肉食だ」
「ど、どうりで……」
「で、でもなんでカズマさんは引っかからなかったんですか?」
「うちのイーブイのほうが百倍可愛いから」
「「あっ、そうですか……。」」
そういった瞬間、森からドドドドドドドドという音が響き渡る。何だこの音は?
「止まった?」
そう思った瞬間、草むらの中から凄まじい数の一撃ウサギが現れる。
「えぇ〜〜〜!!」
「ッ!リザードン!!」
「ガァァァァ!!」
リザードンは俺の前に出て、一撃ウサギを威嚇しはねのけていく。だが、それによって一撃ウサギ達はゆんゆん達の方に行く。
「イーブイ、『まもる』!」
「ブイッ!」
イーブイが展開した光のバリアによってゆんゆんに飛びかかった一撃ウサギを弾く。
「あ、ありがとう……ブイちゃん……。」
「ブイ〜!」
さて、どうするか……流石に森の中でリザードンの『かえんほうしゃ』を使うわけにはいかないし、だからといって俺がリザードンに覚えさせる技って言ったら、水タイプ対策に覚えさせた『かみなりパンチ』と、『ドラゴンクロー』。そんで必殺技の『ブラストバーン』だけだしな。
仕方ない、ここはギルガルドで……。
そう考えている直後、一撃ウサギ達の上空に魔法陣が浮かびウサギ達がふわりと浮かび上がる。
「『先の軍勢、万の平甲。我が雄渾な力を以て、薙ぎ払え』!」
「ま、まさかここで!?」
杖を掲げ魔法の詠唱らしきものをしているめぐみんにゆんゆんが目を見開く。めぐみんの詠唱とともに大気を覆うプレッシャーが重みを増す。やばいと感じ、とっさにイーブイを抱いて魔法陣から背を向ける。
「『エクスプロージョン』ーーーッッッッ!!」
ドゴォォォォォォォォォンという凄まじい音とともに爆炎が俺達の視界を覆った。
「あ、あの馬鹿ッ!!自然破壊ってレベルじゃないだろうがッッッ!!リザードン、イーブイ大丈夫か?」
あんな至近距離で魔法をぶっ放し、森を吹き飛ばした魔法使いに憤慨しながらイーブイとリザードンに怪我がないか確かめる。よかった、二人共問題なさそうだ。
「おい、めぐみん、ゆんゆん。生きてるか?」
至近距離であの爆発に巻き込まれて地面に突っ伏しているめぐみんとゆんゆんを起こそうとする。
その時だった、
「グルルルルルル………!!」
「リザードン、どうした?」
リザードンが森の方向に向かって低い唸り声を上げる。
「おいおい、なんでこんなところにドラゴンがいんだよ?」
俺達の目の前に黒い異形が姿を表した。
「おい、二人共早く起きろっ!」
爆裂魔法でふっとばされた衝撃で一瞬、気絶した私だったがカズマの切羽詰まった声で目を覚ます。そこにいたのは、
「我が名はホースト、でっけぇゴブリンではなく。上位悪魔にして、やがてはとあるガキに使役される予定のもの!」
現れた黒い異形が警戒態勢をとっているリザードンの向こうで自己紹介する。
「どうだ?俺様の挨拶は。そこの二人は紅魔族だろ?一つ聞きたいんだが、このへんで真っ黒な巨大な魔獣を探しているんだが……」
「リザードン、『かみなりパンチ』!」
「おっ、ぐぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
カズマの指示を受けて翼を広げたリザードンが話している途中の悪魔に一気に接近し雷を纏った拳がホーストの顔面にめり込んだ。
「いってぇ、いきなりなにしやがる!」
「二人共、急いでリザードンの背中に!」
吹き飛ばされても立ち上がったホーストだったが、私達はカズマの指示でリザードンの背中に飛び乗った。
「頼む、リザードン!」
最後にイーブイを抱きかかえたカズマが飛び乗り私達はリザードンに乗ってその場を撤退した。
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