名探偵コナン 探偵世界の転生者〈レインカーネイター〉 作:げろっぱ
あろうはずが無い。
タイトルをその物語風にしたいげろっぱの阿呆なタイトリングでした。
俺は明智朝巳。
前に天界の派閥争いだとか何だとかに巻き込まれて、十七歳という若さで世を去った可哀想な男だ。
まぁ、お陰で下級な神様にテンプレを経験させて貰って『名探偵コナン』の世界に来れたわけだが…。
そんな『名探偵コナン』の世界でも現在運命の十七歳だ。今までは何事も無く平穏…というわけでもないかもしれないが過ごしていた。
転生後の両親が、大手の製薬会社に勤めているらしく、自慢ではないが金持ちだ。
しかも金につられてるのか、どうかは知らんが友達だって多いんだぞ!!!
えっ!?そんな俺が今何をしてるかって?
現在は両親と共に森の中を命辛々逃走中だ。
なぜ逃走中かって?
答えは簡単。両親が勤めていた大手製薬会社が黒の組織の下部組織だったからだ。
両親は、『作為的に引き起こしたアポトーシスの作用により癌細胞を分解・除去する』という薬を作っていたらしいのだが…知らず知らずの内に"究極の毒薬"『APTX4869』を製作していたようだ。
で、作っていたのが新薬ではなく毒薬という事知った両親は、俺を連れて組織から『例の薬』を一掴み持って逃げたのだ。
それで、およそ半日ぶっ通しで走り続けて、今はデッカイ木の陰で休憩している。無論休憩中だからといって、黒の組織が追ってこないわけではないから、気は抜けない。常に緊張状態だ。
唐突に、割と美人な母親が『遺書』と書かれたもの二つと『養育費』と書かれたものを渡してこう言った。
「私達が死んでもあなただけは絶対に生き残りなさい。そして、
急に渡された遺書にビックリし、思わず
「なんで追われてる時にこんなの渡すんだよ!!縁起でもない!!」
と大声で言ってしまった。そしたら近くでガサガサと音がした。
マジでびっくりした。
三人でそっと木の陰を出て、周りに注意しながら少しずつ進んでいく。が、しかし
「いたぞ!!!」
という声がして、追ってが走っていると分かる足音がした。
「散れ!!無事にまけたらこの森の先で落ち合おう」
と言う父さんの声で俺たち親子は散り散りに逃げた。
「追え!!!」
と声がした。
それから何分走ったかなんて分からないが、追手の気配が無くなった様な気がした、とりあえず俺の方はまけた…のか…?
ハッとなり、周りを見渡し状況確認。
とりあえず自分以外誰もいない。
息子の俺は無事だが、両親は無事だろうか。
まけたと自分の中で思いつつ数十分。やはりというかなんというか、両親があとから来る気配はなかった。
この辺でちょっと頭の中から記憶を引っ張り出してみる。
地図を家から出る直前まで見ていた俺の記憶が正しければ、ここから一番近くにあるの街だって割と遠くだったハズ。
しかも間違いであって欲しいが追手の気配が少しずつ近づいてる。様な気がする。
ので俺自身も音を発てないようにソ~ッと逃げ出す。
それで周りにかなり注意して逃げて4~5分したらアニメで聞いた様な声が聞こえた。
「チッ、アニキ、ガキがいやしませんね…」
「…中々ツイてるやつの様だな。人員を証拠や『ブツ』の隠滅に割いてる上、この森は広い…。まあ、肝心の二人は始末したし、あとは周辺《まわり》からしらみ潰しに調べていって、少しずつ捜索範囲を狭めていけばいずれ見つかる」
ってこれジンとウォッカの声じゃね!?何でアイツらみたいな幹部が!?しかも二人は始末したって…!?気が動転していたのか、思わず…
パキッ!!!
やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!木の枝踏んじまったぁぁぁぁぁ!ありがちだな!オイ!
刹那、背中を満遍なく、何百本もの針で一斉に刺されたような感覚がした。
殺気が来たってのは分かる…だがイカン…足がすくんで動けねぇ!
動け俺の足!動けって!
「…どうやらそのガキも神に見放されたようだな」
とジン。
「そんなもん、アニキが直々に来た時点で、一家諸共とっくの昔ですぜ」
とウォッカ。
チクショウ!!余裕ぶっこきやがって!!
ガサガサという音が近づいてきたときに、幸運にも頭に軽い衝撃。どうやら運よく木の実が頭にぶつかったらしい。
やった…ついさっきの軽い衝撃で動ける!
逃げるついでに木の実を遠くにブン投げて、敵も撹乱してやれ!!!
逃げるため走りつつその辺に落ちてるものを、適当な方向に投げまくってヤツらを撹乱する。
そんな事をしまくってるうちにある物が目に付いた。
車だ!!!しかも黒ポルシェ356A!!!ジンめ、相手がガキだからって油断しやがったな!
ラッキー、車の窓から車の鍵が刺さってるのを確認‼ドアをガチャっと開けて…
ドガッ!!!!
…今度も頭に衝撃。しかしこんどのは強い。
俺は地面に倒れ伏した。
そうとう強い力で殴ったのか、俺は意識を失いかけた。
その朦朧とした意識の中、上を見ると、ジンの手には銃身を握った拳銃。
討てば一発で殺せたものを。わざわざ持ち手で殴らんでも…
「フン。俺の車を盗もうたぁいい度胸じゃねえか」
「まったくその通り…で、どうしやすかい?アニキ」
あぁ、コイツら、どう殺すか談議してやがらぁ。
「どうせなら、コイツの親と同じ末路を辿らせてやろうじゃねえか」
「同じ末路というと、また『出来損ないの名探偵』を?」
「ああ。親と違って何の罪も無いガキだが、そうすりゃ親と同じ冥土に送ってやれるかもしれねえ。せめてもの手向けだ」
「情け深いこって。そういや此間もこのくらいのガキをひとりバラしましたね、こいつで」
あぁ…それが工藤新一ってわけね…。
「俺はバラしたヤツは忘れる主義だからな。知らねえ」
あぁ、俺は十七歳という数字に何か呪いでも掛かっているのだろうか。
あの神に次会ったらどんな世界に行こうか…。
次の世界でも十七で死んだりして…。
あっ。でも神、今回だけって言ってたな…。
とか死ぬ前提な事を思ってたら唐突にジンが薬を取り出した。
「俺達も忙しいからな、いつまでも此処でボサッとしてるわけにはいかねぇ。とっととバラしてズラかるぞ」
あぁさらばこの世。
なにやら固体と水が口の中に入ってくる感覚が…。
「お前に怨みはねえが、死んでもらうぞ。恨むんだったら自分のこの運命を恨みな」
と言った後、ジンは周りの奴らに命令を出して、車に乗り込みこの場を去っていった。
ッ!?体が熱い!骨といわず体中が溶けてるみたいっ、感覚的には、轢かれた時より酷い。ダンプの時は一瞬だったもんな…。
心臓がバクバク言ってやがるああ痛い全身が悲鳴上げて目が霞んでぜんしんふるえてイタイイタイイタイイタイイタイイタイイイイイイイイイイイイイイイアガガガ、ぐ、あガあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああ…痛みが振り切れて何も感じなくなってきた…ふふ、懐かしい。これが――――
―――――――死。
死にたくねえ…
何時間、いや何日か寝ていたかもしれない。
ここはどこだ?
まだ目は開けてないが、周りが白い様な気がする。
じゃあまた例の境目だろうか…?
静かに目を開けてみた。
そしたらなんて事はない。ただ霧が掛かっただけの俺が意識を失った森だった。
痛む殴られた部分を抑えながら、フラつきながらも立ち上がってみた。
どんな夥しい量の血がついているのかビクビクしながら手を見る。
あれ?
血が出てねぇ。
ジンにあれだけ力一杯殴られたら普通、血の一滴や二滴落ちて来てもおかしくないだろう…。
だが、ついさっきダボダボの服で頭を触ってみても服に血はついてなかった。
いや、まぁ激しい動悸の所為か、頭から顔にかけて血は流れてるよ?
でも、頭の方は血が凝固したわけでもなければ、瘡蓋すらなかった。
なんで?新しい副作用?
あ、そういえばアニメのコナンもジンに鉄パイプか何かで殴られて小さくなった後(二話だっけ?)、警官に見つかって雨の中走ってたけど頭から血、出てなかったなぁ…。包帯も巻いてなかったよ、あれ…云々云々…。
朝巳はそこまで思いを馳せた後、不意に地面を見た。
ん、あれ?地面近くね?何がって言われると困るが…例えば目線とか、地面から足への距離とかが。
他にも生きている事を確かめる為に手を開け閉めしてみた。
あらあらあら、感覚は変わりないが…手も小っさくね?
おまけに服もズボンも凄くダボダボ。
オイ、分かったぞコレ‼!工藤新一が体験した幼児化じゃね!?
―――――ま…まぁ生きているという事は分かった。
ところで親はどうなったろだろう?
俺みたいに幼児化してたらいいケド…。
と思ってこの森を散策し…。
見事に親の遺体を発見してしまった。
俺は不可思議なほどに冷静にそれを見ていた。
両親が、「明智 準」と「明智 恵」が、折り重なる様に倒れている。
倒れたときのものと思われる擦り傷以外は傷一つない。
当然だ。ジンたちの言から察するに、両親もまた、『APTX4869』で殺されたのだろう。
自らが作った、その薬で。傷一つ着くものか。
その顔にはもはや生気がない。死相だ。この十七年でそれなりに見てきたが、実の両親では勝手が違うな…。
勝手に死にやがって、俺だけ生き残っちまっただろうが。どうしてくれる。
「っ!」
不意に目頭が熱くなる。
なまじ前世の記憶があるせいで中々「父」「母」と呼べなかった。
勝手にフラッといなくなっては妙なことに巻き込まれていた。心配をかけた。
一度として胸を張って「親孝行」といえることなんてしたことなかった。
それでも俺を慈しみ、愛し、育ててくれた。
『息子』と。『自慢の息子』と。そう、呼んでくれた。
そうさ、元々、『APTX4869』が毒薬だと気が付いたのは、薬名を聞いた俺が原作知識なんてもんを引っ張り出したからだ。
それさえ無ければ…「毒薬だよこれ」なんて言わなければ…こんな…ことには…っ!
…妙な話だ。幼児化するとき、それこそ死ぬほど苦しかったのにこなかった走馬灯が、親が死んだらくるなんて…。
「…死ぬって、ヤダねぇ、やっぱり」
…雨が降っていた。
晴天のもと、天然の巨大な傘の下。
俺にだけ降る、塩っぱい雨。
奇妙なことに、その雨は、俺から降っているらしい。
俺の目から。両親に。俺に。
塩分をいっぱい含んだ、その雨が。
しばらく、俺はその雨に打たれていた。
…だが、泣いているだけでは両親の遺言は守れない。
『私達が死んでもあなただけは絶対に生き残りなさい。』
……。うむ。
決心したぞ。
俺は生き残っちまったからには生きる!
そうさ!生ききってやるさ!そんでジジイになったら早死にした親を笑ってやるんだ!
と、いうわけで、まずは両親には悪いが少々、身体を調べ、財布、キャッシュカード、携帯等々を追い剥ぎの如くいただいた。
今にして思えばこの両親、始末するのにジンやウォッカが出て来たということは、薬開発において、かなり重要な立ち位置にいたのだろう。もしかしたら、「宮野 志保」と直に面識があったりするかもしれない。そういえば「新しい上司が息子と同年代で驚いた」というようなことを言っていた気もする。
…やれやれ。
暫し警戒し続けていたが、組織のヤツららしき人物は来なかった。
一応、周辺には誰もいないようだ。
ホッと一息ついた後、バカみたいに時間がかかったが、両親の遺体を丁寧に土葬して、その場をあとにし、途中、遺書を開く。
そこには凜とした美しい字とひとつのカプセル剤が入っていた。
ほう…二人ともが死んだら親戚がいる日本、『毛利探偵事務所』へ…か。
それじゃあ、日本まで高飛びするのに、“アイツ”の力でも借りるか…。